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ハーモニー
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ハーモニーの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.15pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全253件 141~160 8/13ページ
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『虐殺器官』ラストを発端とする「大災禍」から再出発した人類は、極度の人命尊重思想をベースとした福祉厚生社会を創り上げた。体内はサイバーテクノロジーによって24時間監視され、病原体は即座に駆逐される。個人情報はコンピュータネットワークによって完全にオープンにされ、他人を欺くことはできない。誰もが健康で、誰もが善良な“ユートピア”に息苦しさを感じた3人の少女は自殺を図る――それから13年。世界中で同時に大量の人間が自殺をする… 醒めた主人公が、事件の鍵を握る謎の人物を追いかけるというミステリ仕立ての構成は前作『虐殺器官』と同一だが、特徴的な一人称の語り口はより洗練されている。何より緻密な舞台設定が素晴らしい。『すばらしい新世界』『1984年』『華氏451度』など先行作品のエッセンスを巧みに採り入れつつ(作品中では明示されていないが、おそらくファウンデーションシリーズの「ガイア」やエヴァンゲリオンの「人類補完計画」も念頭に置いている)、ミシェル・フーコーの生権力の議論を軸に独自の世界観を構築している。ディストピア文学としての完成度は類を見ない。巧妙な伏線と鮮やかなどんでん返し、読後の余韻といい、完璧な作品と言って良い。 病魔と闘いつつ、自分がこの世界から消えようとしているという現実と真摯に向き合った作者のロジックとエモーションに深く共振させられた。その早すぎる「さよなら」を悼みつつ。 | ||||
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この小説の魅力は、綿密に練られた世界設定と意外な結末、そしてそれらの中を貫く強靭な論理にあると思う。反面、登場人物の行動原理や感情の動きの描写はお世辞にも上手いとは言い難い。だが、その短所を補って余りあるストーリーとしての面白さが、「ハーモニー」にはある。 文章は簡潔かつ平易であり、読みやすいと思う。そして、どこか淡々とした印象を受ける。また、著者の言葉の使い方もユニークで、センスを感じさせるものが多いと思う。 ハーモニーの一番の面白さは、わたしがわたしであるという意識が人類にとって必須ではないのではないか、という発想にある。その発想がはっきり明かされるのは小説後半ラスト直前であり、大抵の読者はそこで驚くだろう。そして、それが分かった瞬間、それまでの謎が解け、しかもその発想の論理的な帰結として、意外な結末が導かれてしまうのだ。僕がこの小説を気に入ったのは、この発想にショックを受け、そしてその論理の一貫性に感心したからだろう。この発想は、現代人の思い込み又は盲点をついたものであり、ミステリで言うトリックのようなものだ。だから、この小説はミステリ的な要素を持っていると言える。ミステリ好きな人には面白いのではないかと思う。また、普通なら考え付かない世界(ラストの世界)を垣間見せてくれる意味でも、ハーモニーは面白い。 とにかくお勧めなので、少しでも興味のある人はぜひ、手に取ってほしいと思う。 | ||||
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内容、それのバックボーンとしての幅広い知識が感じられ本当によく出来た作品です。 ただ、全体として冗長な感じがします。更に推敲すればこの半分か2/3のボリュームになったかと。 来年公開される映画が楽しみです♪ | ||||
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どこが、SFなんだかよくわかりません。設定が未来だから?? 「死ぬ自由」を声高に主張する友人の勧めで読んだのですが、読んでてこれほどつまらなくて読むのが苦痛だった本は初めてかも・・・ 私の読解力が足りないせいかもしれねいけど、はっきり言って何を言いたいのかサッパリわからない。 マジ疲れました。 | ||||
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虐殺器官が面白かった(語弊があるかもしれないが)ので、購入。 入院中の暇つぶしに読み始めたのですが… 引き込まれるけど、イヤな感触の話だなー。 虐殺器官では主だった“死のシチュエーション”が大量虐殺なのに対し、こちらはよりパーソナルな死、自死を多く扱っているからなのかもしれない。 主人公が女性である必然性はあるけれど、なんかビミョーにアニメっぽさを感じるのは、筆者が男性だから?百合萌え属性のある人は、本筋とは違うところでときめくかもしれない。 テーマとキャラでは、攻殻機動隊を連想し、ストーリー運びの流れは前作と比べてしまう…もちろん完全に別の話だけど、淡い既視感はちらつく。 だけど、物語としてのパワーはすさまじい。心身が弱っているときに読まない方がよさそう。 退院してから、読み直します。 | ||||
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調和がとれれば意識が要らない なんて,考えたこと無かった. 本当にそうなのか,考えようと思う. 医療分子WatchMe と 医用センサー搭載端末 iWatch ... | ||||
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前作『虐殺器官』は、かなり頑張って最後まで読んだ。 結果、わからなかった。 でも本作は、女の子主人公だし、厚くないし、読めるかなー…と、思ったんですが……… 登場人物達の名前(【トァン】とか)で挫折。そっと図書館の書架に戻しました。 おそるべし、ゼロ年代。 アニメ化されるそうだが、このネーミング(【ミァハ】とか)…声優さん泣かせだな。 | ||||
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アイディアを核に据え自らの体験を基に枠組みをつくりネットの海に流れている情報を肉付けしていく。 精巧に、精密につくりあげられた世界は素晴らしい技巧だけれどもそこにはいくつもの欠落がある。 社会に出る前の少女の不安定さ、生物が本能的に持つ死への恐怖、それを乗り越えて死に至るまでの動機 この小説は主人公が女性である必然性はどこにあるのだろう? また性の壁を乗り越え女性の一人称視点で描かれる必要性はどこにあったのだろう? はっきり言おう。 現実の女性の心理を描き出すだけの豊富な実体験がないのなら 女性の一人称視点を男性作家が描こうとするのは自殺行為に等しいと。 リストカットを行う少女の心の揺れを描写できないのなら、 自死を選択するカリスマは血が流れ心を震わす人物から 物語を進めるためだけに必要なただの道具に変わり果ててしまう。 作品を投げかける相手が女性心理を理解することに興味を持てない男性諸氏だけならば価値を損なうことはないだろうが。 SFである以上評価の本質はそこにはないかもしれないが。 惜しむらくは作者が病気という名の枷により体験と知識との間に著しい不均衡をきたしたことだろう。 もっと多くの人、物、感情に触れよりよい小説を書いてほしかった。 | ||||
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表紙の白が表すもの、それがこの小説の核心である。 丁寧な物語の進行、丁寧な伏線の回収。 その点は前作である虐殺器官と同様である。 この小説は、虐殺器官の続編と見ることができる。 よって、この小説を読む前に虐殺器官を是非、読んでいただきたい。 そうすれば、第三者の視点でこの小説を楽しむことができ、2度楽しむことができる。 | ||||
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「虐殺器官」から本作連続で読みました。以下2作通じて。 下手すると笠井潔や京極堂になっちゃうんじゃないかってぐらいにきわめ て理知的なものを含んでるんだけど、設定そのものによりかかることに満 足することも、井坂某風の中途半端なペダンティックにも堕してないとこ ろがいい。これは結構ありそうでないので◎。 ある意味で古臭い「私小説」の体裁そのものなんだけど、その「私」を無 邪気に信じることのできない現在における肌触りみたいなものが、理知的 な想像力と結びついててものすごく快感を感じます。 「虐殺器官」でもそうでしたが、いろんな知見がほの見えすが、概念を拝 借したというのでなく、自分の資質から出てきていてきわめて古典的とも いえるエモーショナルな語りになってる。 ハイレベルで理知的な想像力がたんに妄想設定でおわるのでなく、そこか らどういうものが発動するかという生な部分への想像力がきちんとリンク しているのがいいです。以外とないんですよね。そういう小説。 西尾維新と資質は同じながら、そのエモーショナルな部分の扱いで対極を いく感じがします。以外と二人はとても近いとおもいます。 自分や身体性を背景として扱うのに(不可避的に小説ってそうなるでしょ うけど)今後この小説を意識しないですまないんじゃないかな? 挿絵いれてラノベでもいいとおもいます。 「虐殺器官」はわずか10日で脱稿したそうです。ちょっと信じられない ですね。宮部さんの3回生まれ変わってもこんなものはかけない、という のもなんとなくわかる。 ラストの風景はJ.L.ナンシーを彷彿とする風景(強引かな…)。 たぶん、現在感じているある種の違和感・肌触りを小説として扱えている 気がします。目に見える設定としても、ここまできたかって感じです。 尚、ストーリとしては、ありきたりです。趣向をこらした謎の真相も、ど んでんがえしもありません。物語前半でおおよその対立構図が予想され、 そしてその通りに進みます(W。映画化してもくだらないものになるでし ょう。じゃあ、何が面白いのかっていうと、やはり今感じていることを突 き詰めていったらどうなるんだっていうのを見せてくれそうだっていう筆 力なのかな。読み始めるとちょっと本を閉じられなくなるような引力があ ります。 | ||||
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人の"意識"の由来の仮説を提起する佳作。近未来を社会派的な作風で描きつつ遡る視線で現在の経済優先の風潮へ鋭い評論も垣間見せている。終盤を、やや急いで書き抜けた"もどかしさ"を感じるが、結末への加速感を醸し出しもしている。この作品の世界観を受け継いだ続編を期待したいが、今となっては惜しむしかない。// | ||||
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SFと現実の科学・特に医療について考えさせられる本です。 読んでいて、確かに医療が進んで、だれも病気で死ななくなった世界、その世界で起こりうる精神について描かれています。 まぁSFだけあって、そんな世界が実際に来るかどうか? 来たとしても遥か未来ではないか!? とも感じましたが、人の心とは!? 善意とは!? 社会性とは!? …結構、考えさせられました。 | ||||
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「公開処刑のような派手なパフォーマンスで、分かりやすく力の宣伝を行って言うことを聞かせる」 よりも、 「生きること健康であることを根本的な価値にして、自らに縛らせ、言うことを聞かせる」 の方が効率的。 もちろん、後者は権力者が(でなくても誰にも)自分で仕組めることではない。 権力者はただ利用することができるのみ。 こういう仕組みを描き出したのがフーコーだった。 そこをポイントとして抜き出してをエンターテイメントとして、最高の形に仕上げたのが伊藤計劃。 伊藤計劃はそういうのがうまい。 『虐殺器官』も、念頭にあったのは分析哲学や現象学といった20世紀前半の哲学だろう。 ものを考えることは、言語なしにはできない。 人間にとって言語がいかに根底にあるかは20世紀のはじめに一気に盛り上がったのが分析哲学だ。 それに対して、身体だって大切だと説いたポンティに代表される現象学もあった。 言語によって、人間がどれだけ縛られるか、影響を受けるのか、それをヒントにしたのが虐殺器官だろう。 才能ありすぎ。 | ||||
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この本を読んでまず思ったことは、前作「虐殺器官」に比べて格段に読みやすい、だった。 よって、伊藤計劃の入門書として、この作品から読んでもいいかもしれないな、と思った。本作が嗜好に合ったなら是非「虐殺器官」も読んで欲しい。合わせて読むことで、「ハーモニー」の世界がぐんと奥深くなるはずだ。 「虐殺器官」に比べ、この本がとっつきやすい理由を挙げてみる。 ・日本人女性が主人公。 ・日本が舞台。 ・友人の仇打ち(?)として死んだはずの親友を探す、というわかりやすい動機。 ・ちょっぴり反社会的な主人公がカッコイイ。銃をぶっぱなしたりする。カッコイイ! って感じだ。『優しすぎる世界への警鐘』というテーマが奥深い作品だと思う。 | ||||
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伊藤氏のデビュー作にあたる「虐殺器官」と重要な繋がりを持つ本作ですので 虐殺器官を未読でしたら、そちらを先に読むのを強くオススメしておきます。 登場人物の名前がトァン、ミァハ、キアンなどちょっと不思議っぽいわけですが 中身はテーマたるその特殊な設定を除けば、現代の延長線上の世界なので 虐殺器官から続けて読んでも違和感は無いはず。 大変面白く。現代に通じる共感と一線。 最後に明らかになる仕掛けも程よい驚きと納得で気持ちよいです。おすすめ。 | ||||
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虐殺器官より読みやすく、すっと世界に入っていきやすかった。 真綿でしめつけるような、いたわりとやさしさの押し売りに満ちた世界の居心地悪さが、 今の日本を予言しているようだった。 ラストはうむむ、と考え込んでしまったな。 自分自身が、これをハッピーエンドとしてとらえるのかどうか、という意味で。 | ||||
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順番間違えないように、虐殺器官の後にどうぞ。 この作家の早過ぎる死が非常に残念です。 もっと作品を読みたかった。 | ||||
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なるほど。 最初、文中のタグが気になったが、なるほど。 物語の緻密さも、なるほど。 | ||||
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「虐殺器官」を読んで、この作家に興味を持ち、今回「ハーモニー」を読んだ。僕はこの作品の方が響いた。 「誰かを殺さないと自らが死ぬ」と言われたとき、人はどんな選択をするのか。殺すことに抵抗し、自死を選ぶ人。意識を自らが放棄するるという選択。明るいのか、その選択は。 空想の中で紡がれるストーリーは新鮮で、初めて感じるものだった。 | ||||
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登場する女性たちが強くて賢くてステキでした。思春期の感受性の豊かな女の子たちが、ひねくれながらも生き生き描かれて、病床で書いたとは思えないほどです。 | ||||
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