(短編集)
Boy's Surface
- 遠距離恋愛 (7)
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理系です。まだBoy's surfaceとGoldberg invariantしか読んでないけど、ムカつく。出てくる数学ネタは全部知ってる(だと思う)けど、素直にムカつく。以下ネタバレ含み。 1.言葉回しが面倒臭い(自分の日本語が下手なのもなくもないけれど) 2.自作の数学対象があやふやで非道くムカつく。明確な定義がないし(まぁ当然だけど)解釈も適当。たとえばレフラー球についての「morphismのmorphism」という描写は明らかに圏論から借りてきたものだが、全体的に見てちょっと群論寄り?兎にも角にもムカつく。作者が本当のところ数学にどれくらい詳しいかちょっと気になる。 3.Goldberg invariantは不要(かつ不愉快)な遠回しを除いて一言で言うと、ただ「AIに基礎的なの言語能力と論理思考を与えて自由に考えてもらっていたら別の数学が発見されて人類とアルゴリズムの戦争を引き起こした」というそんなに新しくない物語になる(と思う)。別の数学が発見されたという計算機の中で起きた事件は一体どうやって現実世界の危機に導いたかというと、まさか読者の想像におまかせだった。一応SFなので哲学の書籍じゃないし、読者にそんな義務はないと思う。 4.タイトルと内容が全然関係ない。あるけど大体「猫とウイルスは同じく生物だ」みたいな感じ。そんなに言葉遊びしたいならもっといいタイトル考えろ。 | ||||
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非常に面白い。 普段接している概念があって、それを「形式的にこう当てはめられるならこうも言えるよね、じゃあこういうことにならないかな。」という拡張・一般化の思想の元、「理系の本気の言葉遊び」を進めていく小説。比喩をもって読者をつれていってくれる。 どこかで聞いたことがある、けれど文学の文脈では聞いたことがない単語を豊富に出してくれる。理系読者垂涎の一冊。 変換、極限、(文中では示唆だけだが)実数の範囲外での極限操作の概念、ライフゲーム、etc... 繰り返し読むことでだんだんわかる、でもよくわからない。そんな心地がたまらない。 self-reference engine に続き私を円城ファンたらしめる作品。ぜひご覧あれ。 | ||||
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読むのにとても時間が掛かり、今日帰りのJRの中でも読み終えられなかったので、無人駅に降りてからベンチで数十分使い何とか読み終えた。私は普段司馬遼太郎の歴史物なんか読み飛ばして高速で読書してるのだけど、本書は読み飛ばしたら本当に何も頭に残らない感じがして丁寧に読むしかなかったのだ。 恋愛小説と言う噂だったので、表題作「Boy's surface」がてっきり少年の話かと思ったのは私だけだろうか。実はBoyと言うのは人名で物理学用語らしいのだが、わかるわけねえだろ! と言う感じで、まともな小説ではなく、激しく読者を選ぶと思う。個人的には筒井康隆後期の「虚構船団」以後の実験的作品を想起したのだが、「恋愛小説」を読もうと思ってるならパスした方が良い。まあ、初めの1ページ読んだらわかると思うが。その後いくら読んでもわかり易くなることは全くないし、普通の意味で男女の恋愛なんて少しも描写されてはいない。あえて言えば恋愛小説を解析した難解なログを読まされる感じだろうか。 少なくても私にはほとんど理解不能だったが、高等数学や物理学の用語が頻出し、さらにその他の雑学的な要素も山盛りで、作者が専門の物理学のみならず教養も凄いことがわかる。ところがそうしたわけのわからない文章の羅列を追っていくのが不思議と面白くてクセになる。まるで難解な現代詩でも読んでるみたい。きっとSF好きな人の半分くらいはハマるのではなかろうか。逆に言えばまるで受け付けない人も多いだろう。 たふん「こんなの小説じゃない!」と腹を立てる人の方がまともな感覚の文学好きだと思う。「SF」も「SM」も大好きな私みたいな変態性癖な人なら面白く読める本かなあ。 | ||||
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作者のホームページに偶然行き着いたことがあって、そこに並んでいる短文の、無機的かつシュールで、しかも知的な雰囲気に惹かれた。素晴らしい才能だと感じた。 そこでこれも含めた幾冊かを注文してみたが、どれも期待外れだった。小説に必要な有機的な発展だとか現実に切り込む力などがあまりに希薄だ。たとえばこの本だと数学的概念に意識が発生し、それに恋愛感情が宿るという話が冒頭にあるのだが、観念的な文のせいで、話のばかばかしさがより際立ってしまう。あらすじを見ると面白そうに思うのだが、この文章で書かれると「だからなんなんだよ」と言いたくなるくらい無意味で苦痛な読書になってしまう。 自分の感覚では、昔シュールレアリストの提唱した自動筆記がこれに近いのではないか。つまり何も考えずに、ただ文章を連ねてゆく作業だ。ただし、ブルトンは言葉とは裏腹に十分思考を練り上げていたはずで、この作者は本当にそれをやってしまったように感じる。少なくともブルトンは現実だけを対象にしており、非現実について非現実な言葉で語っているのではない。 この小説について言えば、一ページ読んでも百ページ読んでもこちらの体験量に変化がない。それどころかホームページの一文だけで作者を知るには十分だとさえ思う。こちらが現実的に感じられないことでも、作者は十分に現実的に思い描けているはずだと、そんな単純に信じられるほど幼稚な読者はもう存在しない。非常に惜しい。この才能でリアルなことを描写してもらいたい。 | ||||
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作者の作品は初読。5編を収めた中短編集だが、冒頭のタイトル作を読み始めて驚いた。「鳥獣戯画」の昔から動物や物体の擬人化は良く見られるが、何と数学上の概念を擬人化するとは...。 タイトル作の語り手は、ある高次元射影空間上の構造"レフラー球"であり、自身の発見者である数学者レフラーの初恋を語るという奇想天外な設定。"レフラー球"はmorphismであり、その構造は本質的に無限循環である。読者が本を読んで何らかの意味に解釈する事をmorphismと捉え、その本質を解体した作品に映ったが...。理解出来ない事が特徴だとも思われる。次編「Goldberg Invariant」も、一見エージェント指向の自然言語自動認識・生成を扱った近未来SFのように見えて、実は上述の"メビウスの環"的構造で、小説における階層の破壊を試みたもの(だと思う)。「Your Heads Only」は、読者をチューリングマシンとして、作品をそこからのアウトプットとして(あるいはその逆として)捉えたゲーム感覚に溢れた作品。それでいて作者の美意識を発露した作品でもある。ここでも"メビウスの環"的構造が繰り返される。「Gernsback Intersection」は、大胆なメタファーを用いて、読者の想像力の"極限"の産物が作品であると訴えたもの(だと思う)。要するに良く分からないのだが、見た目のユーモア感に比して作者の思惟の深さが窺える。自作解説を装った最後の「What is the Name of This Rose ?」がまた悩ましい。 数学・プログラミング上の概念・用語のオンパレードである事も手伝って読み手を選ぶ作品。だが、作者の知見と諧謔が楽しめ、未体験の刺激を求める方にはお勧めしたい。 | ||||
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