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Yの悲劇
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Yの悲劇の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.08pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全118件 61~80 4/6ページ
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名作と名高い作品ですが、初めて読んで脱帽しました。 確かに解決に結びつく手がかりの見せ方と論理性も、その巧妙さが抜きん出て優れたいると思います。 しかし、それより驚いたのが犯人像の描き方。 犯人の残虐性、救いの無さを際立たせるデータを提示する作りのうまさに舌を巻きました。またそこから、ドルリー・レーンのある行動を示唆する劇的な幕切れといった演出効果も優れています。 さすが名作と長く言われることだけのことはあると思いました。 | ||||
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クイーンはこれと『エジプト十字架の謎』を読みました。共通していえることは、いわゆる「動機」に関して作者はかなりいい加減であるということです。推理小説は小中学校のときにドイルとかクリスティを結構読みましたが、やはりどちらも「動機」に関しての説明に大きくページがさかれていて、とくにホームズの『緋色の研究』『四つの署名』『恐怖の谷』などはそこにおもしろさがあるといって良いとおもいます。私は「犯人は誰か」と考えながら読むことはないですしまた考えてもわかりゃしないので、トリックに命がかかっているような作品は疲れてしまいます。まあ、実際は大した理由もなしに殺人は行われるものだということは現実の事件をみてもわかりますが。 | ||||
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やっぱり、鮎川信夫の訳がいい。 いろいろと間違っている所があるらしいが、そんなことは関係ない。 刷り込みの影響は大きい。 私的には、最初に読んだ創元推理文庫版の文章が、本書の内容に最もしっくりくる。 なんせ、連続殺人である。 館ものである。 だから、ある意味たどたどしい所や意味不明な所があるほうが、適度に不気味な雰囲気を醸し出す。 あまりスラスラ読めるよりも、よっぽど良い。 そう、小栗「黒死館〜」のように。 内容は、いまさらどうこう言う必要はない。 古典だし、典型的な本格ミステリである。 ミステリとは何か?を問われたとき、最初に差し出すのには最も適当な作品である。 もちろん、現代感覚からしたら、“古くさい”という言葉が飛んでくるだろう。 しかし、どんなものでも、古いものの上に新しいものがあるのであり、土台を知っているのとそうでないのとでは、新しいものへの理解度がまったく違う。 ビッグ・ヴァンではないが、ある意味ではそれに近いものがある。 そして、このロジックはどうだ! 強引なところもあるのだが、このロジックこそがミステリの醍醐味であり、都筑道夫もそこに最大の魅力を感じていたのだ。 現在だと有栖川あたりだ。 理屈っぽいと言われようが、ほとんど余剰を残さないこのロジックこそが、本格ミステリなのである。 奇妙な謎の提示−精緻な捜査−ロジックによる解決、という、乱歩が夢見たミステリの理想形のひとつが、ここに現実にある。 横溝も、高木も、そして実は松本清張も、みんな本作の子ども達なのだ。 再読に値するミステリは数少ないが、本書はそんな作品のひとつである。 ちなみに私は三度読んだ。 | ||||
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やっぱり、鮎川信夫の訳がいい。いろいろと間違っている所があるらしいが、そんなことは関係ない。刷り込みの影響は大きい。私的には、最初に読んだ創元推理文庫版の文章が、本書の内容に最もしっくりくる。 なんせ、連続殺人である。館ものである。だから、ある意味たどたどしい所や意味不明な所があるほうが、適度に不気味な雰囲気を醸し出す。あまりスラスラ読めるよりも、よっぽど良い。そう、小栗「黒死館〜」のように。 内容は、いまさらどうこう言う必要はない。古典だし、典型的な本格ミステリである。ミステリとは何か?を問われたとき、最初に差し出すのには最も適当な作品である。 もちろん、現代感覚からしたら、“古くさい”という言葉が飛んでくるだろう。しかし、どんなものでも、古いものの上に新しいものがあるのであり、土台を知っているのとそうでないのとでは、新しいものへの理解度がまったく違う。ビッグ・ヴァンではないが、ある意味ではそれに近いものがある。 そして、このロジックはどうだ!強引なところもあるのだが、このロジックこそがミステリの醍醐味であり、都筑道夫もそこに最大の魅力を感じていたのだ。現在だと有栖川あたりだ。理屈っぽいと言われようが、ほとんど余剰を残さないこのロジックこそが、本格ミステリなのである。奇妙な謎の提示−精緻な捜査−ロジックによる解決、という、乱歩が夢見たミステリの理想形のひとつが、ここに現実にある。 横溝も、高木も、そして実は松本清張も、みんな本作の子ども達なのだ。 再読に値するミステリは数少ないが、本書はそんな作品のひとつである。ちなみに私は三度読んだ。 | ||||
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まず、「Xの悲劇」から読んだ人は簡単に犯人が分かってしまうと思う。 2作品続けて同じトリックを使うわけがなく、それ故にミスディレクション足りえない。 犯人が分かってしまうと他に特筆すべき面白い展開はないし、プロットも平々凡々。 途中、「推理小説の中の推理小説」が出てくることが少し興味をそそるくらいか。 作者のクイーン自身が「なぜこの小説が日本でだけウケているのか分からない」と語ったくらいなので、 私自身もこの小説が海外ミステリ・ベストの上位にランキングされる理由が良く分からない。 | ||||
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まず、「Xの悲劇」から読んだ人は簡単に犯人が分かってしまうと思う。 2作品続けて同じトリックを使うわけがなく、それ故にミスディレクション足りえない。 犯人が分かってしまうと他に特筆すべき面白い展開はないし、プロットも平々凡々。 途中、「推理小説の中の推理小説」が出てくることが少し興味をそそるくらいか。 作者のクイーン自身が「なぜこの小説が日本でだけウケているのか分からない」と語ったくらいなので、 私自身もこの小説が海外ミステリ・ベストの上位にランキングされる理由が良く分からない。 | ||||
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定評のある作品で、個人的には「Xの悲劇」より評価は高いです。「Xの悲劇」は、ニューヨークの雰囲気というか、息吹というかそうしものが感じれておもしろい。が、犯人が小細工をしすぎていてリアルティに欠ける印象があるので、「Yの悲劇」の方をおしたい。もっとも「Xの悲劇」も抜群に面白い。パズラーとして純粋にみたら「Xの悲劇」のほうが上かもしれませんね。この辺は好みでしょう。 昨今、「Yの悲劇」の犯人が意外じゃないという意見が見られますが、どうなんでしょうね。こういっしゃなんですが、読み方を間違っています。 「Yの悲劇」は、リアル、リアルといった作品ではありませんが、ディクスン・カーの諸作のような全くの作り事という作風とも違います。ハッター家は、人間の悪意、憎悪といった負の部分のメタファーといったもので、この作品自体ある種の寓話なのです。発見されたエミリー・ハッターの遺体の恐怖に引きつった表情・・・・彼女は死の直前、何にそれほど驚き、恐怖したのか?真相がわかったときに読者も思わずゾーっとする。このイメージを鑑賞すべきなのです。このゾーっとする感覚はこの犯人でなくてはならないのです。 犯人は分かったよと自慢したってしょうがない。そんなことより、この寓話で語られる救いのない悲劇に正面から向き合うべきなのです。動機が弱いという意見も読み方が浅いと思います。むしろ、はっきりとした動機がないということが恐ろしい。むしろ、ハッキリとした動機がないということに意味をみるべきなのです。 不条理、不合理が支配するハッター家という小宇宙で起こった事件をレーンは見事なロジックで明らかにしていく。不条理、不合理と論理、合理性のせめぎ合い。これぞミステリの醍醐味ではありません? しかし、いかに理性を正しく働かせ真相を見抜いても、ハッター家の悪夢自体が完全に消え去ることはない。だから、レーンは苦悩するのです。まさしく、「一人の悪魔はいなくなったが、世界には、多くの邪悪が残っている」のです。 寓話だと私はいいました。この作品の悲劇性は、理性によっても決して人間社会の問題は解決しないことを示しているのです。そう、私たちの現実がそうであるように。正しいことをすれば世界は正しくなるのか?悲劇はなくなるのか?人間は本当に自由なのか?そうした意味性を読み取るべきでしょう。 犯人が分かったと自慢する人、実際こうした事件が起きてニュースで「犯人はこいつでした」といわれたらやっぱり驚くのではありません?こうした感覚でこの作品は鑑賞すべきなのです。何度もいいますが、これは寓話なのです。 もっとも、オールタイムベストの名作、名作と持ち上げるのは、どうかと思わないでもない。変に持ち上げるから、「犯人わかった。たいしたことないじゃん」という意見が続出する。さりげなく、「面白いよ」と進めるべきでしょう。 | ||||
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定評のある作品で、個人的には「Xの悲劇」より評価は高いです。「Xの悲劇」は、ニューヨークの雰囲気というか、息吹というかそうしものが感じれておもしろい。が、犯人が小細工をしすぎていてリアルティに欠ける印象があるので、「Yの悲劇」の方をおしたい。もっとも「Xの悲劇」も抜群に面白い。パズラーとして純粋にみたら「Xの悲劇」のほうが上かもしれませんね。この辺は好みでしょう。 昨今、「Yの悲劇」の犯人が意外じゃないという意見が見られますが、どうなんでしょうね。こういっしゃなんですが、読み方を間違っています。 「Yの悲劇」は、リアル、リアルといった作品ではありませんが、ディクスン・カーの諸作のような全くの作り事という作風とも違います。ハッター家は、人間の悪意、憎悪といった負の部分のメタファーといったもので、この作品自体ある種の寓話なのです。発見されたエミリー・ハッターの遺体の恐怖に引きつった表情・・・・彼女は死の直前、何にそれほど驚き、恐怖したのか?真相がわかったときに読者も思わずゾーっとする。このイメージを鑑賞すべきなのです。このゾーっとする感覚はこの犯人でなくてはならないのです。 犯人は分かったよと自慢したってしょうがない。そんなことより、この寓話で語られる救いのない悲劇に正面から向き合うべきなのです。動機が弱いという意見も読み方が浅いと思います。むしろ、はっきりとした動機がないということが恐ろしい。むしろ、ハッキリとした動機がないということに意味をみるべきなのです。 不条理、不合理が支配するハッター家という小宇宙で起こった事件をレーンは見事なロジックで明らかにしていく。不条理、不合理と論理、合理性のせめぎ合い。これぞミステリの醍醐味ではありません? しかし、いかに理性を正しく働かせ真相を見抜いても、ハッター家の悪夢自体が完全に消え去ることはない。だから、レーンは苦悩するのです。まさしく、「一人の悪魔はいなくなったが、世界には、多くの邪悪が残っている」のです。 寓話だと私はいいました。この作品の悲劇性は、理性によっても決して人間社会の問題は解決しないことを示しているのです。そう、私たちの現実がそうであるように。正しいことをすれば世界は正しくなるのか?悲劇はなくなるのか?人間は本当に自由なのか?そうした意味性を読み取るべきでしょう。 犯人が分かったと自慢する人、実際こうした事件が起きてニュースで「犯人はこいつでした」といわれたらやっぱり驚くのではありません?こうした感覚でこの作品は鑑賞すべきなのです。何度もいいますが、これは寓話なのです。 もっとも、オールタイムベストの名作、名作と持ち上げるのは、どうかと思わないでもない。変に持ち上げるから、「犯人わかった。たいしたことないじゃん」という意見が続出する。さりげなく、「面白いよ」と進めるべきでしょう。 | ||||
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Xの…とは違い さすがのレーン氏もてこずってしまいます。 その姿を見てとても切なくなってしまいました。 設定は誰もを疑いたくなる ような設定なので、誰が犯人でもおかしくは ありませんが、怪しい人は法則通り 疑ってはいけません。 しかしそこから先のこれはないだろう、 という虚をついてくる犯人の設定です。 なので判明したときの驚きは ひとしおなはず。 ただし、真相が真相上 読後感はあまりよくはありません。 | ||||
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Xの…とは違い さすがのレーン氏もてこずってしまいます。 その姿を見てとても切なくなってしまいました。 設定は誰もを疑いたくなる ような設定なので、誰が犯人でもおかしくは ありませんが、怪しい人は法則通り 疑ってはいけません。 しかしそこから先のこれはないだろう、 という虚をついてくる犯人の設定です。 なので判明したときの驚きは ひとしおなはず。 ただし、真相が真相上 読後感はあまりよくはありません。 | ||||
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少年探偵団や子ども向け「ルパン」シリーズを卒業して、最初に読んだミステリが本作です。今から35年ほど前のことです。とてもラッキーだったと思います。 今から考えると、“犯人の意外性”という魅力は減じていますが、あの独特の雰囲気が好きです。日本では極端に高い評価を得ていますが、こういった雰囲気も人気の一つでしょう。 この作品からミステリの世界に入る人は幸せだと思います。 | ||||
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本格推理の名作「レーン四部作」その中でも最高傑作としてあげられるのが本作「Yの悲劇」です。前作「Xの悲劇 (創元推理文庫)」はあくまで主人公ドルリー・レーンの紹介のためのエピソードで、本作から「レーン四部作」の隠れた真のテーマが始まるのだと私は考えています。 陰鬱な空気が支配するハッター家を包む死の翼。当主の自殺に始まり、盲目で聾唖の娘の毒殺未遂。そして事実上の家の支配者であった婦人は、マンドリンを凶器にに撲殺される。残されたのはヴァニラの香り――― 異様な殺人、不可解な証言、奇妙な手掛かり。事件全体を支配する意思―――「探偵小説」 この邪悪な空気に満ちた事件に、レーンの推理がいかに挑むか。そして迎える真相に彼がとった態度とは――― 「これは罪と罰の問題だけで済むことではない。この中には、病理学や異常心理学、社会学や倫理学の問題が渦を巻いて介入しているのです……」 最初から最後の一ページに至るまで、この作品はある意思の支配下にあり、対する探偵レーンの行動と沈黙もまたそれと同様の意思に支配されていると私は考えます。穿った見方かもしれませんが、その意思こそが「レーン四部作」の真のテーマなのです。 読んで確かめてください。支配する意思、その名は――― | ||||
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本格推理の名作「レーン四部作」その中でも最高傑作としてあげられるのが本作「Yの悲劇」です。前作「Xの悲劇 (創元推理文庫)」はあくまで主人公ドルリー・レーンの紹介のためのエピソードで、本作から「レーン四部作」の隠れた真のテーマが始まるのだと私は考えています。 陰鬱な空気が支配するハッター家を包む死の翼。当主の自殺に始まり、盲目で聾唖の娘の毒殺未遂。そして事実上の家の支配者であった婦人は、マンドリンを凶器にに撲殺される。残されたのはヴァニラの香り――― 異様な殺人、不可解な証言、奇妙な手掛かり。事件全体を支配する意思―――「探偵小説」 この邪悪な空気に満ちた事件に、レーンの推理がいかに挑むか。そして迎える真相に彼がとった態度とは――― 「これは罪と罰の問題だけで済むことではない。この中には、病理学や異常心理学、社会学や倫理学の問題が渦を巻いて介入しているのです……」 最初から最後の一ページに至るまで、この作品はある意思の支配下にあり、対する探偵レーンの行動と沈黙もまたそれと同様の意思に支配されていると私は考えます。穿った見方かもしれませんが、その意思こそが「レーン四部作」の真のテーマなのです。 読んで確かめてください。支配する意思、その名は――― | ||||
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かつて、人気投票でNo.1に輝いた実績があると聞く。正直、そこまでの大傑作とは、思わない。一番の難点は、〇〇は常識があり、××は物事を知らないという先入観が、物語全体を支配している為、釈然としない。すなわち、推理の根拠が曖昧なために、首を傾げてしまうのだ。登場人物がマトモでない奴ばかりだから尚更そうだろう?探偵も、どうでもいいような人物までに、暖かい眼差しを送っているが、とてもついていけない。犯人の行動パターンや結末のオチまでが、グリーン家と僧正に酷似して、独創性に乏しいし、読んでいても、退屈で仕方なかった。但し、80年前の作品という点を考慮して、☆は4コ進呈。尚、石坂浩二主演でドラマ化されている。リアルタイムで見た記憶では、凶器に関する記述面で修正されていた。このあたりにも、小説版の限界を感じた所以だ。 | ||||
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はじめのほうで、犯人がわかってしまったので、後はレーンの一人よがり(自己陶酔的)な、茶番劇(まるで、ハムレット)を読んでるようだった。ハムレットは、自身の問題として、to be or not to be と苦悩するが、レーンは全然他人事(探偵という、第三者)の、印象(苦悩してました?悩んではいたみたいだけど、苦しんでる様には受けとれませんでした。)しか受けとれなかった。悲劇性という面でも、納得しかねた。それは、病毒について。病毒って、何?ワッセルマン反応が出てくるって事は,たぶん梅毒でしょ。その場合私の知る限り、母子感染認められるが、父子感染は、家庭内感染と同一で、後天的な物と認識出来る。ゆえに、病毒の遺伝的悲劇性はなりたたないと思われる。当時一般的に、梅毒が悲劇的な病気であった事は、想像出来るが、Yの悲劇発表が1932年、ペニシリンの発見が1929年、ハッター家の財力をもってすれば(当時のペニシリンはさぞ、高価だったでしょう。)悲劇というよりは、単に病気、なのでは?バーバラの文才までも、病毒の産物って言われちゃ〜オイオイってツッコミタクなりますよ。現場検証で真犯人を、わざわざ、隠す表現があるし。私はここで、わかりました。『グリーン家』の足下にもおよばない。 | ||||
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傑作と言われるので読んだが・・・正直そこまで凄いとは思わなかった。 というのも、この作品が発表された当時は「意外な犯人」だったんだろう。 しかし、現在となっては、意外どころか「コイツしかいないでしょ」っていう 人物が犯人なのである。意外性を認めるかどうかで評価が分かれる作品。 現代のミステリーファンだったら、おそらくすぐに犯人が解る。 ただ、犯人は解ってしまっていても、見せ場である「頬の感触」と「ヴァニラの香り」が 判明するくだりは面白い。 | ||||
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傑作と言われるので読んだが・・・正直そこまで凄いとは思わなかった。 というのも、この作品が発表された当時は「意外な犯人」だったんだろう。 しかし、現在となっては、意外どころか「コイツしかいないでしょ」っていう 人物が犯人なのである。意外性を認めるかどうかで評価が分かれる作品。 現代のミステリーファンだったら、おそらくすぐに犯人が解る。 ただ、犯人は解ってしまっていても、見せ場である「頬の感触」と「ヴァニラの香り」が 判明するくだりは面白い。 | ||||
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エラリー・クイーンのバーナビー・ロス名義による四部作中の第二作で、評価の点からいえば第一作の『Xの悲劇』と拮抗しているものの、少なくとも知名度においては他作を圧倒している名作。クイーンはマンフレッド・リーとフレデリック・ダネイのコンビによる作家であるが、ロス名義の作品が実はクイーン作であることを当時隠しており、二人のうちの一人が覆面をかぶってクイーンvsロスの対談(論争)も行なったことがあるというのだから、何とも手が込んでいる。 狂った血の流れたハッター一族の家長であるヨーク・ハッターの死体が海から揚がる場面によって悲劇は幕を開ける。「私は完全に正常な精神状態で自殺する」という完璧な遺書は、しかし事件の終わりではなく始まりだった。同家に住む全盲のルイザ・キャンピオンに毒が盛られ、その直後に母親のエミリー・ハッターがマンドリンで撲殺される。元俳優で耳が聞こえない探偵ドルリー・レーンが捜査に乗り出すが……。 本作の最大の魅力はやはり犯人の意外性であろうが、クイーン作の中で『Yの悲劇』の人気がこんなに高いのは日本だけというのも興味深い。昔は海外ミステリベストテンの常連だった本作も、最近では圏外に去ることが多いのは時代の流れだろうか。 かつて学友と議論したことがある。なぜ犯人は最後の最後であんなヘマを犯したのか? 答えは言わずもがなだと思うが(犯人のヘマではない)、その点にこの作品を(モラルもしくはリアリティの観点から)支持できない読者もいるのかも知れない。とはいえ読んで損することはないミステリーの古典である。 | ||||
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エラリー・クイーンのバーナビー・ロス名義による四部作中の第二作で、評価の点からいえば第一作の『Xの悲劇』と拮抗しているものの、少なくとも知名度においては他作を圧倒している名作。クイーンはマンフレッド・リーとフレデリック・ダネイのコンビによる作家であるが、ロス名義の作品が実はクイーン作であることを当時隠しており、二人のうちの一人が覆面をかぶってクイーンvsロスの対談(論争)も行なったことがあるというのだから、何とも手が込んでいる。 狂った血の流れたハッター一族の家長であるヨーク・ハッターの死体が海から揚がる場面によって悲劇は幕を開ける。「私は完全に正常な精神状態で自殺する」という完璧な遺書は、しかし事件の終わりではなく始まりだった。同家に住む全盲のルイザ・キャンピオンに毒が盛られ、その直後に母親のエミリー・ハッターがマンドリンで撲殺される。元俳優で耳が聞こえない探偵ドルリー・レーンが捜査に乗り出すが……。 本作の最大の魅力はやはり犯人の意外性であろうが、クイーン作の中で『Yの悲劇』の人気がこんなに高いのは日本だけというのも興味深い。昔は海外ミステリベストテンの常連だった本作も、最近では圏外に去ることが多いのは時代の流れだろうか。 かつて学友と議論したことがある。なぜ犯人は最後の最後であんなヘマを犯したのか? 答えは言わずもがなだと思うが(犯人のヘマではない)、その点にこの作品を(モラルもしくはリアリティの観点から)支持できない読者もいるのかも知れない。とはいえ読んで損することはないミステリーの古典である。 | ||||
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ヴァン・ダイン『グリーン家殺人事件』を範としたクイーン初の《館もの》。 犯人が、被害者が食べないはずの梨に毒薬を注射し、その上、 マンドリンという殺傷能力の低い凶器を使ったのはなぜなのか? 犯行現場で、三重苦の女性が触れた犯人の頬の感触や、その時匂ったヴァニラの 香り、そして現場に残されていた注射器と足跡から浮かび上がる犯人像とは……? 犯人を特定する手がかりをフェアに示し、それらを組み合わせることで、 思いもかけない真相を導き出す論理の手筋は流石に堂に入っています。 しかし、本作最大の特色は、多段構えの《意外な犯人》の提示にこそあります。 計画犯による実行犯の《操り》を基本構造とする本作ですが、それに とどまらず、もう一段、深いところに真相が設定されているのです。 レーンが決して語らなかった“犯人を殺した「犯人」”の衝撃ゆえに、 『Yの悲劇』の名は、ミステリ史において、永遠となったといえます。 | ||||
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