赤後家の殺人
評判
赤後家の殺人の評価:
3.76/5点 レビュー 21件。 D ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全3件 1〜3 1/1ページ
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赤後家の殺人の評価:
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(1)
A「あの人だって二十一になったじゃないか」p38
B「なにを騒ぐんだ、ジュディス。おまえだっていつまでも子供じゃない。二十一になるんじゃないか」p147
C「(途中略)彼女はたしか、三十一と聞きましたよ」p234
これらはいずれも同じ女性の年齢に関する記述です。Aの原文は、She’s over twenty-one, anyhow. です。〈試訳〉「いずれにしろ、(成人年齢の)二十一はすぎているのだろう」これを「二十一になった」と訳したことが頭にあったせいでしょうか、Bもそれに合わせてthirty-oneを強引に二十一と訳しています。Cでは、そんなことはおかまいなしに、いきなり十も歳をとって三十一となっています。原文ではBもCもthirty-oneです。これでは本書を読んだ人は、Cの三十一が誤植か何かで、この人物の年齢は二十一だと思うのではないでしょうか。どうでもいいと言えばどうでもいいことですが、せめてこのくらいは本にする前に出版社の人が確認してほしいものです。
(2)
「ぼくは屋敷にはいりましたよ」p256
そのあと同じページで「二階の、あかりのついた窓は、ブラインドが下りているが、人影が前後に動いているんです」と続きます。
屋敷にはいってしまって、どうして窓にうつる人影が見えるでしょう? この原文はI ducked back again.です。〈試訳〉「さっきまでいた場所(向かい側の軒下)に戻りました」でどうでしょうか。そのあとさらに同じページで「とにかくぼくは邸内にはいった」と言っています。ここで屋敷にはいったのです。
(3)
「イザベルさんのほうはもう寝てしまったんではないかな」p279
このせりふの少し前、p251でH・Mが「いまは(昼の)十二時をすぎたところ」と言っています。また、このイザベルさんという人はp258で、睡眠薬で寝込んでいたという記述もあります。そんな人が昼間から寝てしまうものだろうか、と思って、原文を読むとBut I don’t think Isabel’s awake yet. となっています。これはここで訳すまでもないでしょう。昼の十二時を夜中の十二時とかん違いし、またそれを作者がかん違いしたとかん違いしたのでしょうか?
(4)
「Xが死んでしまって、事件もすんでしまったはずですのに、なぜみなさんは、いつまでもこうして、わたくしどものところへおいでになりますんですか?」p316
(Xのところには人名がはいりますが、未読のかたのために伏せました)
この前のページで「お見せしたいものがありますの」と言っておきながら、このページでは、事件の解明に屋敷を訪れたHMやマスターズ警部に対し、まるで何しに来たのかと言わんばかり。本当にこんなことを言っているのでしょうか? また、「事件がすんでしまった」という発言も意味がわかりません。確かに本のページは残り少ないですが、新たに殺人がおきたばかりだというのに、どうして事件がすんだと言いきれるのでしょうか? 原文は以下のとおり。
“But there’s one thing I’ve got to know: why did you insist on his coming here, when there was no need after X’s death?
〈試訳〉「教えていただきたいことがひとつあります。どうして彼(ペラム博士)をここに来させたのですか? Xが亡くなってしまったのですから必要ありませんでしたでしょうに」発言者はペラム博士のことを言っていたのでした。また、上記の発言を受けて、H・Mが「事件がおわった?」とききかえしています。それに対応する原文は “Wasn’t there?” です。「おわった」ではありませんよね?
(5)
さて、(4)を試訳のように訳すと、前の別のところとつじつまが合わなくなります。
「Xの検死に立ちあってもらうために、(ペラム博士に)きょう四時にここへ来てもらう約束なんです」p289
ペラム博士について、かたやXの検死の立ちあいを依頼し、かたやXが亡くなったので来る必要はないと言っています。そもそもここを読んだとき、民間人が民間の医者に、殺人事件の検死の立ちあいを依頼することなどあるのだろうかと思ったのですが……
“I had asked him to call here at four o’clock this afternoon, to have a look at X.”
“had asked”ですから、ペラム博士に依頼したのはXが死ぬ前と解釈すべきで、また、かねてからXに精神異常の疑いがあったこと、ペラム博士が精神科医であることを考えれば、あとの”have a look at”は検死に立ちあうではなく診察するという意味でしょう。そう考えれば、Xが亡くなったので来る必要はないという、(4)の試訳とも矛盾しません。
つっこみどころはまだまだあるのですが、長くなるのでこのへんでやめます。ここに挙げたのは訳書を読んで変だと感じたものですので、原文と訳を逐一比較すればまだおかしな訳があるのかもしれません。最後に、たまたま見つけたほほえましい例をひとつ挙げて終わりにします。
暗号書類が山と積みあげられている。p218
「暗号書類」は、「ひもで縛られた書類(新聞紙?)」です。原文はCorded papersです。Coded papersではありません。