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曲った蝶番
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【この小説が収録されている参考書籍】
曲った蝶番の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.27pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全31件 21~31 2/2ページ
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悪魔崇拝に謎の自動人形、タイタニック号遭難に不可能殺人。 並べるだけでもわくわくする内容。 トリックの元ネタはルルーの短編かな? カーの作品では一番好き。 万人受けはしないと思うけど。 | ||||
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カーター・ディクスン名義で書いたH・Mものの最高傑作が『ユダの窓』ならば,フェル博士ものの最高傑作は本作品『曲った蝶番』だろう。 絶対的とも言える不可能犯罪の演出もさることながら,驀進してきた怪奇趣向はここで一つ頂点とも言うべく形で実を結びます。 それは悪魔崇拝,自動人形,等々...の道具立てのことでもありますが,このストーリーの中核をなしているタイタニック号沈没の歴史背景を 一要素,一因数として鮮やかに組み込んでいることだ。 そもそもが,怪奇趣味なんてものは現実感の喪失,馬鹿馬鹿しくて荒唐無稽,究極に陳腐になってしまう側面を持っていますが, 後期カーが時代ミステリに傾倒していったように,ここで自ら推し進めてきた作風に一度ケチをつけてみた感がある。が,次の瞬間には既存 を超越する創造をしている所がカーの最も天才的な所だろう。 おもうに,カーの魅力はそこらへんにあって,クリスティが革新的なアイディアを創案していったのには,何が保守的かを知っている裏打ちが ある訳だし,クイーンの論理の美学だって練りに練った裏打ちが歴然だ。 カーって作家はある意味その裏打ちを省みず(努力を怠ると言う意味では勿論ない),多種多様とか柔軟なんて表面上の造形語彙を真っ先に かなぐり捨てて,信念の趣くままに《こだわり》続けた作家だろう。それは甚だ変な喩えだが,子供が好きな玩具をいつまでも手放さないのに 似ている。つまるところそれは,《頑固》とか《偏屈》とは次元を異にする1+1を4にでも10にでも出来る天才的な閃きと,あくまで純粋にして 先進的なセンスの発露なんだ。 | ||||
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この表紙は、むろん再版のものなのだろうが、ちょっとひどい。 読めば判るが、こんな「人形」ではないのです。 『金髪の魔女』と呼ばれた、美しくも恐ろしい自動人形なの。 こんな可愛らしい子供の人形ではない。 で、個人的には、これがカー(カーターも含む)の最高傑作だと思ってます。 この、イギリスの田園地方の、広々と明るいのにもかかわらず、どこか鬱屈した雰囲気。 夕暮れの庭園を跳梁する、奇妙なもの。 こんなくだりを、夜中に1人で読んでごらんなさい、けっこうゾッとしますよ(笑)。 悪魔崇拝だの自動人形だの、怪奇風味を随所に惜しげなくちりばめて、カーの面目躍如たる傑作と思います。 更に、探偵役フェル博士の魅力も満点。 | ||||
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この表紙は、むろん再版のものなのだろうが、ちょっとひどい。 読めば判るが、こんな「人形」ではないのです。 『金髪の魔女』と呼ばれた、美しくも恐ろしい自動人形なの。 こんな可愛らしい子供の人形ではない。 で、個人的には、これがカー(カーターも含む)の最高傑作だと思ってます。 この、イギリスの田園地方の、広々と明るいのにもかかわらず、どこか鬱屈した雰囲気。 夕暮れの庭園を跳梁する、奇妙なもの。 こんなくだりを、夜中に1人で読んでごらんなさい、けっこうゾッとしますよ(笑)。 悪魔崇拝だの自動人形だの、怪奇風味を随所に惜しげなくちりばめて、カーの面目躍如たる傑作と思います。 更に、探偵役フェル博士の魅力も満点。 | ||||
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准男爵家の子どもが、タイタニック号沈没事故の際に、サーカスに送られる予定の 子どもと入れ替わっていたかもしれないという冒頭の謎は、実に魅力的で、読者を 惹きつけるのに十分です。 また、真偽の鑑別の決定的な証拠となる指紋帳を所持した男が登場するのですが、 その男ではなく、“現在の准男爵”が殺害されるという意外な展開にも驚かされます。 しかし、衆人環視の夜の庭園で起きた殺人の真相に関しては、カーの趣味が ストレートに炸裂しているので、眉をしかめたり、あるいは、拍子抜けに感じる 向きもあるかと思います。 そのあたりが、本作が、毀誉褒貶相半ばする要因なのでしょうね。 事件の解明は、フェル博士が、ダミーの解決を提示することによって事後従犯を誘導し、 真の解決の裏づけをとるという流れなのですが、どちらの解決にも、カーの稚気溢れる トンデモトリックが用いられており、その是非はともかく、忘れがたい印象は残ります。 通り一遍のモラルなど物ともしない、カーの遊び心が凝縮された作品、といえるでしょう。 それにしても、自動人形や悪魔崇拝といった怪奇味、そしてラストに用意された「告白」など からは、乱歩の《少年探偵団》シリーズを思い出しました(本作のほうが「先祖」でしょうが)。 | ||||
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准男爵家の子どもが、タイタニック号沈没事故の際に、サーカスに送られる予定の 子どもと入れ替わっていたかもしれないという冒頭の謎は、実に魅力的で、読者を 惹きつけるのに十分。 また、真偽の鑑別の決定的な証拠となる指紋帳を所持した男が登場するのですが、 その男ではなく、“現在の准男爵”が殺害されるという意外な展開にも驚かされます。 しかし、衆人環視の夜の庭園で起きた殺人の真相に関しては、カーの趣味が ストレートに炸裂しているため、眉をしかめたり、あるいは、拍子抜けに感じる 向きもあるかと思います。 そのあたりが、本作が毀誉褒貶相半ばする要因なのでしょうね。 事件の解明は、フェル博士がダミーの解決を提示することによって事後従犯を誘導し、 真の解決の裏づけをとるという手順を踏むのですが、どちらの解決にも、カーの稚気 溢れるバカトリックが用いられているので、人によっては引いてしまうかもしれません。 要するに本作は、通り一遍のモラルなど物ともしない、カーの遊び心が凝縮された作品なのです。 それにしても、自動人形や悪魔崇拝といった怪奇趣味、そしてラストに用意された「告白」など からは、乱歩の《少年探偵団》シリーズを思い出しました(本作のほうが、「先祖」でしょうが)。 | ||||
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本書は、カーのベストを挙げると 必ず上位にランクされる作品です。 ケント州の由緒ある家柄の准男爵、 ジョン・ファーンリ卿のもとに、 自分こそが本物だと主張する男性が現れます。 ファーンリ卿が少年時代に遭遇した 「タイタニック号」の沈没事件の際、 入れ替わったというのです。 どちらが本物か、議論が紛糾する中、 追及を受ける現当主が邸宅の庭で死亡してしまいます。 目撃者の証言では、 誰も被害者に近づいた者はないとのことで、 カーお得意の不可能犯罪の謎が提示されるのですが・・・。 物語は、この事件の謎に加え、 「自動人形」に関する怪しげな事件が錯綜して展開していきます。 カーの怪奇趣味が不可能犯罪に関する謎と バランス良く組み合わさった作品構成となっています。 この作品の読みどころは、 最終章のある部分で示される「1行」です。 そこに示された事柄により、 「不可能犯罪」の謎も「自動人形」に関する謎も解かれ、 さらには、題名の「曲った蝶番」の意味するところも 明かされていくのですから、 ミステリ好きにはたまらない心地良さが待っています。 正直なところ、こんな手で来るのか、 とカーの不可能犯罪に対する熱意に 感心させられた一品でした。 | ||||
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本書のタイトルは、少年時代にタイタニック号の沈没に遭遇した登場人物が記憶している、ドアの蝶番がねじれていくイメージを表している。だからもしもタイトルを『タイタニック号の○○』とかにしていたら、本書はもっとメジャーになっていたかもしれない。 それはさておき、本書はそのタイタニック号沈没の際にまだ少年だったジョン・ファーンリ卿とパトリック・ゴアが入れ替わったものとして、ゴアが自分こそがファーンリ家の当主であると主張するところから始まる。 そして2人の真贋を指紋で見極めようとした矢先に、現ファーンリ卿が衆人環視の庭園で3度も喉を刃物で切られて殺される。いわゆる「開放された密室」の殺人である。 その後、庭を這い回る「足のない死んだもの」や悪魔礼拝などを絡ませ、さらには動かないはずの自動人形が動いたためにメイドが恐怖のあまり瀕死の状態に陥るなど、事件は怪奇の様相を深めていく。 密室に怪奇趣味というカー真骨頂の本書は『火刑法廷』に近しいものがあるが、『火刑法廷』では妻が有名な毒殺犯ではないかという主人公の内面の疑惑・不安によるサスペンスに支配されているのに対し、本書は異形の自動人形や窓から部屋の中を覗く庭を這い回るものなどによる直接的な恐怖に支配され、その恐怖はブライアン・ページが窓の正面に自動人形を見た瞬間に最高潮に達する。 さほど複雑な話ではないためか作者の作品にしては読みやすく、怪奇趣味に満ちた本書は『火刑法廷』と同じく私のストライクゾーンど真ん中の作品だが、その密室状況下の犯行が、真犯人が読者に明らかにされていない特殊な身体的特徴を有していたために行えたものである点がかなりアンフェアに思えるのと、その密室状況が真犯人を含む3人の偽証により成立していたという点がいささか興醒めで、☆5つまでは進呈できない。 本書は二重構造の解決を有する点でも『火刑法廷』に似ている。ただし、本書のひとつ目の解決は真犯人を炙り出すためのフェル博士の苦肉の策ではあるが。 しかし、そのひとつ目の解決が密室状況を解決しながら充分納得のいくものであったことを考えると、二つ目の解決と逆であればもっとよかったのにと思う。 | ||||
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ジョン・ディクスン・カーの代表作の一つと言われる本作ですが、ギディオン・フェル博士が探偵役として活躍する作品群の中では最高傑作かもしれません。 英国の准男爵ジョン・ファーンリ卿のところに、現在のジョン卿は偽者であり、自分こそが本物のジョン・ファーンリであると主張する男が現れます。かつて素行の悪かったジョン少年は、勘当同然に米国の親戚のところへ送られたのですが、そのときに乗ったのが、かのタイタニック号であり、沈没の混乱に乗じて別の少年と入れ替わったのだというのです。 判別の切り札として、米国行き以前に取った指紋帳の存在が明らかとなり、照合しようとしていたまさにそのとき、現在のジョン卿が庭で亡くなります。そして、その騒ぎの中、指紋帳が何者かによって盗まれます。 卿の首には切り傷がありましたが、そばに凶器はなく、一方、卿が倒れたときには周りに誰もいなかったとの目撃証言が得られます。果たして自殺か、はたまた他殺か。 カー(=カーター・ディクスン)の作品の特徴は、密室を始めとする不可能犯罪と怪奇趣味、そしてロマンスですが、この作品はそのバランスがうまく取れ、また、フーダニットとハウダニットの両方の興味が最終盤まで持続させられます。 謎が解き明かされると「なーんだ、そういうことか」と拍子抜けさせられるような気分になりますが、逆にこれこそが素晴らしいトリックの証しです。 私はこれまで、フェル博士ものの長編は、「三つの棺」、「緑のカプセルの謎」、「囁く影」、「死者はよみがえる」(「死人を起す」)及び「帽子収集狂事件」の五作を読んでいますが(順番は私の評価の高さ順です)、「曲った蝶番」は名高い「三つの棺」に匹敵するか、それ以上だと思います。 カー作品が好きな人には絶対お勧めの一冊です。 | ||||
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この作品はカーのストーリー性とトリック 意外な犯人とエンターテイメント性が有機的に結びついた最高傑作です 豪華客船の沈没の際に 入れ替わったとされる貴族の本物・偽者判別を縦糸 不気味なサタニズムの影が横糸になって 独りでに動く機械人形の謎(ポーのチェス人形を思わせます) 衆人環視の迷路内の奇怪な死 がさまざまな色を投げかけます それらが織り成すいろいろな意味で意外な犯人と その犯人を示す各所に散りばめられたその証拠 あけすけに書いていながら巧みに犯人から目を逸らさせる文章 これこそがカーの到達点といえるでしょう | ||||
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この作品はカーのストーリー性とトリック意外な犯人とエンターテイメント性が有機的に結びついた最高傑作の一つですタイタニック号もどきの豪華客船の沈没の際に入れ替わったと見られる貴族の相続人問題を軸に独りでに動く機械人形の謎(ポーのチェス人形を思わせます)衆人環視の迷路内の奇怪な死サタニズムの不気味な影そして意外な犯人と各所に散りばめられたその証拠の数々これこそがカーの到達点といえるでしょう | ||||
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