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スリーピング・マーダー



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スリーピング・マーダーの評価: 4.50/5点 レビュー 22件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.50pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全22件 1~20 1/2ページ
12>>
No.22:
(3pt)

かなりあからさまな誤誘導だなて気がして、そこが物足りなかったです。

ポアロものの『カーテン』と同時期の1943年に、第二次対戦下の万が一のことを考えて執筆された作品。
ミス・マープルが登場する〝回想の殺人〟なんだけど、事件の大半を調べていくのは、グエンダとジャイルズの若い夫婦コンビです。

クリスティーのミステリにしては珍しく、著者の「こっちよ、こっち」みたいな誤誘導があからさまな気がしました。それで、話の後半辺りからなんとなく犯人の見当がついてしまって、それが残念なことに、当たってた! いつもは見事に、作者にしてやられてしまうのに。そこがどうにも不満で、拍子抜けした感がありました。

次に読むクリスティー作品では、「あぁあ。まんまと騙されちまったぜ」てなることを期待したいっす。
スリーピング・マーダー (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)Amazon書評・レビュー:スリーピング・マーダー (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
4151300465
No.21:
(5pt)

寝たふりをしている殺人者

本書『スリーピング・マーダー』は、原書の英語タイトルも「SLEEPING MURDER」
カタカナにしただけで、なぜ日本語に訳さなかったのでしょう?

スリーピング・マーダー?
寝ながら殺人?

寝ながら人が死ぬのをただ待つ、というのでは殺人事件にもなりません。
《寝ながら殺人》と訳すのは誤訳でしょう。

では「眠れる殺人事件」(68頁)とかに訳すのは、どうでしょう。
眠っているのは、殺人事件。

「わたしなら眠れる殺人事件は寝かしておくだろう」(68頁)
というわけで、「眠れる殺人事件」という訳も気に入りません。

「回想の中の殺人」(67頁、70頁)ではどう? ピンと来ません。

大方の人々は、死んだ殺人事件だ
「と思っていたのにじつはただ眠っているだけだった殺人事件」(376頁)

これはいい翻訳だと思います。
十八年前に起こり、そのあと十八年間もひたすら眠り続けた殺人事件。

「死んだ」殺人事件だと考えるのも無理はありません。

ところがビックリ。
三歳の女の子が階段の手すりのすき間から目撃していたんです!
殺人現場を目撃した恐怖と殺人犯人の誇らしげな「声」が
十八年後に娘となった目撃者の脳裏にリアルによみがえるなんてこと、
あり得ますか。

ニュージーランドから汽船で英国に到着したばかりの
「二十一歳の若い人妻」(8頁)グエンダは
《マルフィ公爵夫人》の芝居を観に連れて行ってもらいます。

ところが劇場で「女の顔をおおえ、目がくらむ、彼女は若くして死んだ」(38頁)
というセリフを聞いたとき、グエンダはなぜか悲鳴をあげて失神してしまいます。

なぜ?

「誰かがあの言葉を、あれと同じような恐ろしい、満足そうな様子で言っていました」(44頁)

この「誰か」こそ、本書の殺人の犯人に違いありません。
「あれ」とは、《マルフィ公爵夫人》の芝居の舞台。

この「女の顔をおおえ……」のセリフが出てくる戯曲は、
フランス人の作家ウェブスターの戯曲《マルフィ公爵夫人》。

《マルフィ公爵夫人》は、英国人の警部にも有名なフランスの戯曲のようです。
プライマー警部は言います。

「『ウェブスターの作品ですね?』彼は考え深く言った。『フム、《マルフィ公爵夫人》か。猿の前肢ですって?』」(343頁)

彼女が三歳の時に階段の手すりの間から目撃した、恐怖の殺人現場。
地中にはびこる蔓草のように、十八年間も彼女の悪夢となって
意識の深いところで回想され続けてきたのです。

そして今、《マルフィ公爵夫人》のセリフと名演技が引き金となって
彼女の意識の上に一気によみがえってきたのです。

本書を読み進めて行くうちに「ヘレン」という名前の女性が登場します。
「なぜわたし、ヘレンなんて言ったのかしら? ヘレンなんて人知らないのに!」(46頁)

謎の女ヘレン。
冒頭の「登場人物」リストには、ヘレンは「ケルヴィンの後妻」とあります。

ケルヴィン・ハリデイは、グエンダの父。
後妻ともなると、前妻の三歳の娘の記憶にまったく残らないものなのですね。

グエンダの生みの母は、「ミーガン・ハリデイ」(174頁)
ミーガンの名前は、「登場人物」リストにはありません。

この「登場人物」リストは、巧妙に仕組まれています。
探偵小説を読みなれている読者には、
「登場人物」リストからだけで殺人犯人が想像できてしまう可能性があるから。

前妻の三歳の娘の記憶にまったく残らなかった理由が分かりました。
「母はわたしが生まれて一、二年後に亡くなり、父はニュージーランドの母の身寄りに送って育ててもらおうとしたのです。それから二、三年後に父も亡くなりました」(48頁)

なるほど。

後妻のヘレンの名前は、「ヘレン・スペンラヴ・ケネディ」(89頁)
「ジェイムズ・ケネディ」は、「ヘレンの兄。医師」。
「登場人物」リストには、そうあります。
「ヘレン」は、ジェイムズ・ケネディの「妹」(99頁)なのです。

第7章は「ドクター・ケネディ」
第20章は「少女ヘレン」
兄と妹がそれぞれ独立の章で語られるなんて、彼らはこの小説の重要人物です。
わくわくしてきます。どうなってんだ、この二人。

第24章は、「猿の前肢」(340頁)

この単語自体は、前から何度か出て来てはいました。

「猿の前肢(まえあし)」(44頁、359頁)
「わたしはその男の手を見たんです――灰色の、しわのよった――手じゃないわ――猿の前肢」(44頁)
「猿の前肢や死人の夢を見ることはありえただろう」(77頁)
「それからそのことを夢に見た、その中で猿の前肢が動いた」(77頁)

キャー、怖い。
でも、安心してください。
猿の前肢は、読者の恐怖心をあおるためだけの小道具です。

もひとつ。付言。現場の目撃者が、猿の前肢を見たからと言って、
殺人犯人は《猿だ》、なんてあわてて決めつけてはダメですよ。

「ダンの『時の実験』――過去をでなく将来を見る……」(34頁)
本書のこの一句にも引き付けられました。

ダンの『時の実験』全体も読んでみたくなり、ネットで探しました。
ダンの「時の実験」の翻訳は、日本では翻訳出版されていませんでした。
ところが最近になって、研究者らしき人の日本語訳がネットの上で公開されていました。
思ったより大部のようでしたので、精読はギヴアップしました。

「過去をでなく将来を見る」というアガサの要約を信じて、本書の読書に戻りました。
過去の殺人事件をあばこうとしている人間が登場すると、
殺人犯人は何か過去をばらされると心配し始め、
昔話を知る口の軽い人間は口封じされそうです。

アガサの作品は、皆が忘れかけている過去の事件は、
将来、新たな殺人事件を生む可能性があると警戒しています。

殺人犯人捜しは、自分も口封じされてしまう恐れのある危険な作業なのです。
殺人犯は、何食わぬ顔をして人を殺せるのです。狂人です。
殺人者は寝たふりをするから要注意です。
寝たふりをして、他人に殺人の疑いを擦り付ける狂人なのです。
スリーピング・マーダー (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)Amazon書評・レビュー:スリーピング・マーダー (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
4151300465
No.20:
(5pt)

最後のミス・マープル

ミス・マープル最後の事件ですが、1943年に書かれていたので正確には前作「復讐の女神」が最後となります。出版順が変則的になったせいか、「バートラムホテルにて」「復讐の女神」そして本作と、3作続けて後半にならないと殺人事件が起きないという似たような構成の作品が続くことになってしまいました。
オカルトチックな導入部には、ハラハラさせられましたが中盤から後半にかけて、なかなかスリリングに展開し、最後はミス・マープルがちゃんと事件を解決します。それにしてもヒロインが、ミス・マープルの助言を受け入れて、余計な好奇心を出さじにいればあの人は殺されなかったわけで、ヒロインはちゃんと反省してほしい。まさにミス・マープルの金言「若い人は年寄りを馬鹿だと思っている。年寄りは若い人が馬鹿なことを知っている」が、まんま当てはまります。最後にシリーズでも珍しいミス・マープルのアクションシーン(笑)もあります。
スリーピング・マーダー (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)Amazon書評・レビュー:スリーピング・マーダー (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
4151300465
No.19:
(5pt)

タイトルに尽きる‼︎

小学生の時から読み始めたクリスティー文庫、引越しのため何度か手放し再購入してきました。こちらの作品については不覚にも、文庫本とKindle版をどちらも購入してしまいました。でも傑作なので再度読むと思いますのでまあいいやです。本作イングランドの田園風景に登場するニュージーランドでのびのび育ったヒロインのグエニーが実に魅力的、『スリーピングマーダー』というゾクゾクするタイトルの持つ不気味さに尽きる‼︎亡き父の無実を証明するため18年前の眠れる殺人鬼を揺り起こす主人公夫婦。ミスマープルに導かれ謎解きをする過程で起きる新たな殺人、そして魔の手はついにヒロインの命まで…。本作でのミスマープルは健康状態が極めて良く、セントメアリーミードを飛び出し大活躍、後半では階段を駆け上がる!美しいイングランドの庭園風景や焼き立てのマフィンと濃いお茶、のどかな中に描き込まれる人物描写の見事さ。描かれる登場人物は普遍性を持ち、現代の日本にでもよく見かけることができるため時空を超えて引き込まれ堪能できる。大好きなクリスティー作品の中でも何度も読みたい物語のひとつです。欲を言えばもう少しミスマープルに登場してもらいたかったし、グエニーの旦那さまのキャラがちょっと不安定、肉付け不足な気もしますが、やはり面白い、オススメします‼︎
スリーピング・マーダー (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)Amazon書評・レビュー:スリーピング・マーダー (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
4151300465
No.18:
(3pt)

まあまあ

若妻グエンダはヴィクトリア朝風の家で新生活を始めた。だが、奇妙なことに初めて見るはずの家の中に既視感を抱く。ある日、観劇に行ったグエンダは、芝居の終幕近くの台詞を聞いて突如失神した。彼女は家の中で殺人が行なわれた記憶をふいに思い出したというのだが…ミス・マープルが、回想の中の殺人に挑む。
スリーピング・マーダー (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)Amazon書評・レビュー:スリーピング・マーダー (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
4151300465
No.17:
(5pt)

イギリスに引っ越すため新居を探しに来たグエンダが見つけた家は幼い頃住んでいた家だった

グエンダが探し求めて見つけた家はヒルサイド荘だ。
グエンダがヒルサイド荘に来たのは初めてではなかった。
甦った記憶がグエンダを悩ませる。
継母ヘレンは何者かに首をしめられているのを幼いグエンダが見ていたのだ。
ミス・マープルは事件を眠らせておくように若夫婦を諭すが、言うことを聞かない。
グエンダが犯人に追い詰められたところにミス・マープルがやって来た。
ミス・マープルが登場するまで、ちょっと退屈だ。
スリーピング・マーダー―ミス・マープル最後の事件 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:スリーピング・マーダー―ミス・マープル最後の事件 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150700850
No.16:
(5pt)

ニュージーランドからイギリスに引っ越すため、新居を探しに来たグエンダが見つけた家は幼い頃住んだ家だった

グエンダは理想の家を探し求めて見つけたのはヒルサイド荘だ。
グエンダはヒルサイド荘に来たのは初めてではなかった。
甦った記憶がグエンダを悩ませる。
継母ヘレンは何者かに首をしめられているのを幼いグエンダが見ていた。
ミス・マープルは事件を眠らせておくように若夫婦を諭すが、いうことを聞かない。
グエンダが犯人に追い詰められたところにミス・マープルがやって来る。
ミス・マープルが登場するまで、ちょっと退屈だ。
スリーピング・マーダー (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)Amazon書評・レビュー:スリーピング・マーダー (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
4151300465
No.15:
(5pt)

イギリスに引っ越すため新居を探しに来たグエンダが見つけた家は幼い頃住んでいた家だった

グエンダが探し求め見つけたのはヒルサイド荘だ。
グエンダはヒルサイド荘に来たのは初めてではなかった。
甦った記憶がグエンダを悩ませる。
継母ヘレンが何者かに首をしめられているのを幼いグエンダが見ていた。
ミス・マープルは事件を眠らせておくように若夫婦を諭すが、言うことを聞かない。
グエンダが犯人に追い詰められたところにミス・マープルがやって来る。
ミス・マープルが登場するまで、ちょっと退屈だ。
スリーピング・マーダー―ミス・マープル最後の事件 (1977年) (Hayakawa novels)Amazon書評・レビュー:スリーピング・マーダー―ミス・マープル最後の事件 (1977年) (Hayakawa novels)より
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No.14:
(5pt)

サイコスリラー的な導入部が秀逸!マープル物の傑作の一つ。【軽くネタバレ】

イングランドには初めてやって来た(はずの)若妻が、ルンルン気分で新婚の新居を探す・・・というところから、物語は始まります。「思ったとおりの家」を見つけて喜ぶのですが・・・「思ったとおりの家」が、度を越して「思ったとおり」だったら・・・・・・。もう、なんといってもこの作品は導入部がイイ。

「いきなりサックリ殺人事件が起こって、探偵が緻密にパズルを解いていく」というタイプのミステリーもいいですが、このスリーピング・マーダーは、そっちの方向とは一線を画す、心理的ホラーサスペンスの趣きがあります。サイコスリラー的な、じわじわ精神にくる恐怖。そのためのお膳立てが素晴らしい。ディルマスの家、サナトリウム、インド航海といったさまざまな情景、これらすべてが忘れかけた「過去」(あるいは記憶にさえない過去)にあるというもどかしさと不気味さ。老練なミス・マープルならば、今更どんなおぞましい真実にも動じないだろうけど、今作のメイン探偵ポジションの一人である若妻グエンダのフレッシュさ・健全さが、過去の闇との対比を効果的に強めています。

推理パズル的な意味では、いわゆる「犯人は誰か」は比較的分かりやすい方だと思います。動機も、人間臭くて気持ち悪いもので、妙にリアリティがあり怖い。トリッキーなどんでん返しとか意外性は少ないかもしれませんが、その分、ありそうな感じがして怖い。

ちなみに、NHK等で放送の映像版ミス・マープルでは、原作には無い「夏の旅一座」(煙幕サブストーリー)や、「非イケメンの探偵補助キャラ」(とのグッドエンド)などがイイ味を出していました。原作のプロットはやや1本道の感があり、しかも暗いトーンですが、映像版では彩りと複雑性をプラスしてバランスを取っており、それはそれで良い出来でした。原作・映像版ともども、ミス・マープルシリーズの傑作の一つと言えるでしょう!
スリーピング・マーダー―ミス・マープル最後の事件 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:スリーピング・マーダー―ミス・マープル最後の事件 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150700850
No.13:
(5pt)

シリーズの環を完結させる役割を担う

ここで扱われるのは、クリスティーお得意の“回想の殺人”。モヤモヤとしたイメージが、だんだんハッキリと全容を現していく趣向が面白い。しかし、「ミス・マープル最後の事件」というサブタイトルはどうなのだろう? と最初は首をかしげた。ポアロの『カーテン』と比べてみても、ちっとも「これでおしまい」という感じがしないのである。

でもゆっくり考えて、これはこれでやはり最後なのだ、という感想に至った。なぜなら、本書によってマープルものは永遠性を獲得することができた、という気がするからだ。マープルものは、どれが始まりでどれが終わり、というようなシリーズではないのだと思う。始まりもなく終わりもない世界、その円環を完成させる最後のピースが本作だった、ということではないのか。それゆえに、ミス・マープルというキャラクターの天使性も、よりくっきりしたように思う。

ひとつ残念に思うのは、本作はセント・メアリ・ミード村が舞台ではないこと。やっぱり最後はあの愛すべき村でミス・マープルに活躍してほしかったなあ…という気がしないでもないが、これは最後であって最後ではない作品。きっと今でもミス・マープルはセント・メアリ・ミード村の自宅で、編み物をしながらお客やメイドのおしゃべりに耳を傾けているに違いない。
スリーピング・マーダー (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)Amazon書評・レビュー:スリーピング・マーダー (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
4151300465
No.12:
(5pt)

犯人が当たってて良かった(涙)

ミス・マープルものはマープル初登場の『火曜クラブ』を最初に読み、間をすっ飛ばして次にマープル最後の事件である本書を読むという、ファンの方に渋面を作られそうな読み方をしてしまいました。すみません・・。

 本作は過去に起こった殺人から犯人を推理していく<回想殺人>もので、タイトルの『スリーピング・マーダー』は<眠れる殺人事件>という意味です。
 マープルの甥・レイモンドの友人の若妻グエンダは、夫と暮らす新居を探す中で幼時に目撃した殺人場面を思い出し、その事件に自分の父親が関わっているかもしれないという疑念を持つようになります。グエンダはことの真相を突き止めようと、夫ジェイルズと共に過去の殺人事件の調査を開始。そんな若い夫婦二人の身を心配したミス・マープルも、犯人の究明に力を貸すことにします。

 短編集『火曜クラブ』では殆ど犯人が当たらず(リアルタイムで起こる最後の話はかろうじて当たりましたが)結構落ち込みましたが(笑)本作は犯人がちゃんと当たっていたので嬉しかったです!アガサの名探偵たちの教え<証言を信用するのはちゃんとウラを取ってから!!>の精神が大分身に付いてきました・・。まあ大体の読者なら本作の犯人は当てられるんでしょうけども・・。容疑者の人数が少ないと比較的推理が楽ですね。
 
 ミス・マープルものは最終巻においてもポワロもののように劇的な結末が待っているわけではなく、あくまでも静かに慎ましく幕が引かれていて、それがいかにも日常の中の名探偵ミス・マープルらしくていいな、と思いました(2冊しか読んでいないのに生意気ですが)。

スリーピング・マーダー (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)Amazon書評・レビュー:スリーピング・マーダー (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
4151300465
No.11:
(4pt)

読み応えあり!!

三ヶ月前に結婚したばかりのグエンダは、夫と二人で住むための家を探していた。
「これが私の家だ!」
見ないうちから確信に近い胸騒ぎを覚えた家があった。家の中を見せてもらって
いるうちに、グエンダは不思議な感覚に陥る。既視感を抱いたこの家とグエンダとの
間には、意外なつながりがあった・・・。

グエンダはなぜその家に既視感を抱くのか?彼女の幼いころの記憶が重要な鍵と
なってくる。記憶の糸をたどり、当時その家に関わっていた人たちと接触していく。
ひとつひとつ手がかりを積み重ね、記憶に隠された殺人事件の真相に迫るグエンダと
夫のジャイルズ。そして二人を手助けするミス・マープル。だが、過去が暴かれるのを
嫌う人間もいた・・・。
それほど凝ったトリックもなく、犯人にも意外性はない。けれど、何気ない描写の
中に巧みにちりばめられた犯人への手がかり、そしてミス・マープルの鋭い観察眼と
洞察力、それらがこの作品をとても面白いものにしている。一枚一枚ベールを剥ぐ
ように真実に迫っていく様子は、緊張感があり読み応えがあった。とても魅力のある、
面白い作品だと思う。

スリーピング・マーダー (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)Amazon書評・レビュー:スリーピング・マーダー (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
4151300465
No.10:
(5pt)

私が一番好きな1冊

クリスティの作品の中で、私が一番好きなのがこれです。主人公の夫婦が爽やかで気持ちいいキャラクター。ミス・マープルの自然な登場の仕方(マープルシリーズには無理矢理マープルと縁づけたものもありますが、これはごく自然に、話の初期段階からマープルが活躍します)。マープル特有の、料理や園芸や編み物といった生活感も、存分に活かされています。犯人がわかっていても、話の筋を覚えていても、何度でも読み返したくなります。……というのが日本語訳と共通する感想です。クリスティの英語は、とても簡単でわかりやすく、表現がおもしろいです。臨場感があって、辞書をあまり引かずに読み進められる平明な文章です。これだけわかりやすい文章で興味深く世界を作り込むのは、作家として本当に優れた資質があったということなんだろうと感心します。冒頭、主人公が家を探すシーンで、買いたい家の家主と話しながら家をチェックするシーンなどは、英語なのに「ああ〜〜そうそうこんな感じだよね〜」と親近感を感じて、友達の話を聞いているような気分になります。ただ! 誤植におおらかな洋書とは聞いたことがありますが、第1章の見出し「House」を「Mouse」にしちゃうのは、どうなんでしょうか……冒頭にずっこけました。
スリーピング・マーダー―ミス・マープル最後の事件 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:スリーピング・マーダー―ミス・マープル最後の事件 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150700850
No.9:
(4pt)

勘が鋭い人には容易に犯人は割れます。

マープルの最後の作品です。扱っているのは過去の作品です。自分の継母の失踪を知りたいことから始まるのですが…一応殺人事件は起こりますが1件のみです。それとあまりトリックは練られているわけではなく勘の鋭い人だと運が悪いと当てられる可能性がありです。だからといって悪い作品ではありませんが。ただし真相部分はかなり鬼畜なものがあります。最後にふさわしくね。それとマープルが小さいけれど大きな活躍もしていたりします。さりげなくね。作品的には面白いけど事件は平凡ですね。
スリーピング・マーダー―ミス・マープル最後の事件 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:スリーピング・マーダー―ミス・マープル最後の事件 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150700850
No.8:
(3pt)

マープル最後の事件だが、書かれたのは最後ではない

本書はミス・マープル最後の事件として執筆されたものだが、その執筆時期は1943年と『書斎の死体』や『動く指』と同じ頃で、執筆順からいえば、むしろマープルものとしては初期作品に属する。
従って、恩田陸が巻末解説で本書を後期の作品としてその作風を論じているのは明らかに誤り。
本書では、ヒロインが購入した海辺の家について、以前あったはずのドアや階段、元の壁紙の模様など、まるで以前から知っていたかのように思い浮かべ、果ては家の中で女の死体が転がっているのを連想し、自分の頭がおかしくなったのではないかと思い悩む。
マープルはそれが実際に起きた過去の殺人であると指摘するが...
前半はゴシック・ホラーを思わせる展開だが、面白いのはここまで。
以後の展開はありきたりで、作者作品を読みなれた読者なら、誰が犯人か分かるだろう。
スリーピング・マーダー (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)Amazon書評・レビュー:スリーピング・マーダー (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)より
4151300465
No.7:
(4pt)

静かな殺人

マープル最後の事件、感慨を持って読み始めたが同じく「最後の事件」である
ポアロの『カーテン』と異なり、マープル自身は遠景にとどまる。
幼児の深層に記憶された殺人は静かに掘り起こされる。
その過程が怖い。
ただ、犯人は謎解きを待たず、仕掛けも含めてわかってしまう読者が
多いだろう。
本棚に買い込んだ何十冊のクリスティのミステリーの最後に、これをとっておいた。
読み続ければ、トリック、読者をあざむく手法にも慣れてくる。
それでも、アガサを読む楽しみは損なわれない。
推理小説のジャンルを超えて人間の深層を語り続けた小説家。
「厳しいがあたたかい目」の常套句は似合わない。
厳しく救いがなかろうと、その無惨をも恐れない。
私がアガサを読み続けて感じたのは、そんな勇気だ。
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4151300465
No.6:
(5pt)

いつもながらの犯人の意外さ

イギリスの風景と文化を楽しむことができる ミス マープルもの。
映像作品も同時に見たので、すごく楽しめました。
筆跡鑑定の真贋は、他の作品でも出てきますが、しばしば偽物と思われたものが本物だというのがアガサクリスティの仕掛けの一つだということが分かりました。
古い建て物、建築家も、仕掛けの一つですね。
新聞の切り抜き、郵便、検死、刑事、庭の手入れは、マープルものに限らない小道具と登場人物。
本作品は、めずらしく、犯人はいったい誰かが途中でわかってきました。
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4151300465
No.5:
(4pt)

《回想の中の殺人》

初めて来たはずの場所に感じる既視感。
ふとした偶然により、記憶の淵から甦り、フラッシュバックされる過去の恐怖――。
《回想の中の殺人》をテーマにした“ミス・マープルの最後の事件”。
一人の美しく魅力的な女性と、彼女を愛した男たちの関係性を軸に、
過去の記憶に眠っている殺人を掘り起こしていく手ぎわは、じつに
優雅でエレガント。
ミステリというより、ホラー風味のサスペンスという感じであるため、
意外な犯人とか、緻密な解明といったものは望めませんが、着想の
独創性とサスペンス醸成の巧さには流石に大家の風格があります。
スリーピング・マーダー―ミス・マープル最後の事件 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:スリーピング・マーダー―ミス・マープル最後の事件 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150700850
No.4:
(5pt)

ミス・マープルの味わい方いろいろ

ミス・マープルの長編シリーズは、全12作と、ポアロ物の三分の一しかないのだが、「殺人お知らせ申し上げます」で有名な「予告殺人」、車窓から並行する汽車で行われている殺人を目撃してしまう「パディントン発4時50分」、一切の手掛かりのない「何か」の解決を依頼される「復讐の女神」と、奇抜な仕掛け物が多いのが特徴であり、潜在意識の中に封じ込められていた幼児期に目撃した殺人事件を扱ったこの「スリーピング・マーダー」も、そんな一つに数えられるだろう。  初めてイングランドに移住することとなった若妻グエンダは、ある家を見た瞬間、もう隅から隅まで知っているような胸騒ぎを覚え、「これが私の家」と即決する。やがて、改装を始めると、次々に、そこにあるような気がしていたもの、そこにあればいいと思っていたものが隠されていたことがわかり、彼女は言いしれぬ不安におびえることになる。そんなとき、彼女の潜在意識を呼び覚ますある出来事が起こった…。 ちなみに、ミス・マープルの長編シリーズは、「復讐の女神」を除いて、ミス・マープルの探偵振りが地味で控え目なため、全体的に、「マープル度」(マープルが絡むシーンのページ数の割合)が低いのが難点といえば難点なのだが、全12作が出揃ったところで、各作品のマープル度を測ってみると、次のようになった。①「復讐の女神」…96%、②「カリブ海の秘密」…70%、③「魔術の殺人」…64%、④「スリーピング・マーダー」…45%、⑤「鏡は横にひび割れて」…43%、⑥「書斎の死体」…42%、⑦「パディントン発4時50分」…29%、⑧「予告殺人」…29%、⑨「バートラム・ホテルにて」…28%、⑩「牧師館の殺人」…25%、⑪「ポケットにライ麦を」…23%、⑫「動く指」…7%。  なお、アガサ自身が選んだベスト・テンには、⑧と⑫が入っており、特に⑫がお気に入りだったようだ。  
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No.3:
(5pt)

束縛の愛

この作品は愛の怖ろしさを描いています。束縛の愛は怖いとしかいいようがない。ストーカーにもつながる、保身の為に殺人も辞さない犯人の愛は・・・つまり自己愛ですね。
スリーピング・マーダー―ミス・マープル最後の事件 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:スリーピング・マーダー―ミス・マープル最後の事件 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
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