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深い疵



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【この小説が収録されている参考書籍】
深い疵 (創元推理文庫)

深い疵の評価: 4.11/5点 レビュー 28件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.11pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全23件 21~23 2/2ページ
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No.3:
(5pt)

始めの数ページは忍耐力が必要です

登場人物の多さ・それぞれが抱える背景を把握するのが少し大変でした。(シリーズの3作目が初の邦訳ということがあるからでしょうか)読み始めは数行読むたびに人物紹介をチェック。なので、なかなか前に進めない。でも、それを過ぎるとノンストップで読み終えてしまいました。
ドイツでは『ハリー・ポッター』シリーズを抜いた、というのもうなずけます。タイトルの『深い疵』という言葉は作品の終盤・ある人物のセリフに入っているのですが、ナチスという負の遺産を背負っているドイツが抱える歴史も表しているのでしょうか。
読み始めた時期は、ロンドンオリンピックの真っ最中。ネオナチとの交際を報じられた、ドイツ代表のボート選手の帰国という出来事もあって色々考えさせられる内容でした。
深い疵 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:深い疵 (創元推理文庫)より
4488276059
No.2:
(5pt)

ナチスに対するドイツ人の疵は消えない!

ドイツという国が現在でも消し去ることが出来ない忌まわしき過去の遺産。それが現在でも影響を与え続けている実情。この類を題材とした映画も多くある。
本作品は、ナチスの大量殺戮を何とか生き延び、米国で大統領顧問まで務めた92歳のユダヤ人が処刑のような格好で殺されるところから始まる。凶器は第二次世界大戦時代の拳銃、さらに遺体の司法解剖の結果から老人は、なんと元ナチスの武装親衛隊員であったことが判明する。ここまで読んでくると、この先の展開が浮かんでくるようになる〜。矢張り、第二、第三の被害者が出て、彼らもナチスとの深い関係をひた隠しに生きてきたのだ。このままだとツマラン!ということになるのだが、作者は“登場人物の多さ”、“煩雑とも思える、場面転換”を上手くさばき、見事にドイツ人の複雑かつデリケートさを背景にしながら、現代ドイツの縮図を描き切ったと思う。
これが、警察小説か〜!
深い疵 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:深い疵 (創元推理文庫)より
4488276059
No.1:
(4pt)

怪しい奴らと失踪人だらけで真犯人が絞れないドイツ新進ミステリーの女王の初紹介作。

本国ドイツで2009年のデビュー作から著作3作が連続のベストセラーとなる大人気で早くも「ドイツミステリーの女王」と呼ばれる新鋭ノイハウス女史の本邦初紹介作です。近年海外ミステリーの世界ではヨーロッパ勢がとても元気で新鮮な魅力に溢れておりまして、今回評価が上々の著者の第3作である本書を読んだ印象としては、日本版の帯に書かれた「どんなに信じ難くともこれが、真実」という宣伝文は些かオーバー気味かなとは思いましたが、それでも随所に著者の実力の片鱗がうかがえて今後に大いに期待を抱かせる内容だと感じました。
2007年4月ドイツである朝老人の射殺死体が発見される。ホーフハイム刑事警察署のオリヴァー首席警部とピア警部の名コンビが早速捜査を開始し、凶器が第2次世界大戦期の拳銃で、現場に残された血文字による謎のメッセージ「16145」といった手掛かりが明らかになる。しかも被害者の元アメリカ大統領顧問のユダヤ人の老人ゴルトベルクが検死の結果、実はナチス武装親衛隊員だった事が判明し、やがて犯行の状況が酷似した第二第三の殺人事件が連続して起きるのであった。
本書の真犯人を手掛かりから推理で割り出せるかというとかなり難しいと思いますが、唯メッセージ「16145」の意味が朧気にわかった時点で自然に大部分の人物が消去出来たなと後で気づきました。真犯人の正体については随分と唐突な感じがあるのですが、それ以外の部分で著者の非凡な点は最初から事件との関わりが不明な人物を登場させたり、メインの事件以外にも次々と手口の異なる殺人を起こしたり、登場人物たちの多くが怪しげな動きを見せて失踪したりと、目まぐるしい展開で真犯人を絞らせない巧みな構成にあると言えるでしょう。この裕福なドイツの名門カルテンゼー家を巡る過去の暗い秘密がおりなす犯罪の物語は良く練られていて、メインの殺人の謎が解けた後も落ち着きを見せず更に警察をも恐れない悪党どもの暗躍によって最後までスリルとサスペンスが途切れません。殺伐として血塗られた非情な殺人劇の中で、やや出来過ぎですがクライマックスに温かな感動を呼ぶ人間ドラマも用意されていて、最後のオマケにとても現代的な側面を感じさせる趣向も隠されています。さて、ホーフハイム刑事警察署の面々の印象としては、下位の警部たちはやや画一的で個性に欠けますが、その中で何やら私生活に問題を抱えているらしいフランク上級警部が今後どうなるのか気がかりです。立身出世主義の最低なハインリヒ署長は幸い次作では姿を消しそうですが、でも後任のニコラ女性警視がオリヴァー首席警部と過去に恋愛関係の諍いの経緯があった様でこれからもトラブルが絶えない事が予想され先が思い遣られます。そして主役の一人オリヴァー首席警部は妻コージマと娘ロザリーの家庭を大切にする優しい面もありますが、仕事には厳しい態度で臨み上司にも追従せずにオレ流を貫いて逆境にも負けずにここ一番で決めて見せます。最後にヒロインのピア警部は若いだけに先走って間違う事もありますが失敗を恐れずに積極的にチャレンジする行動力が最大の魅力で、過去に恐ろしい男性体験と厳格な同僚の夫との離婚という2つの不幸を経験して今は優しい恋人と出会い幸せな人生に踏み出そうとしています。今回二人の推理はデータが少ないだけに空回り気味で常に後手に回りますが粘り強く奮闘して最後には複雑な事件の全貌を突き止めるのは流石だと思いますし、ピアが人生最大のピンチも何とか気力で切り抜ける必死の活躍が特にお見事で、精神的にも理解を深めた二人の今後の活躍がますます楽しみです。
まだ日本ではようやく1冊が紹介されたばかりですが、動きが非常に活発でサスペンスが持続して最後まで飽きさせずに読ませる警察小説の好シリーズだなと感じましたので、これから未訳作がどんどん紹介されて人気が高まって行けば良いなと期待します。
深い疵 (創元推理文庫)Amazon書評・レビュー:深い疵 (創元推理文庫)より
4488276059

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