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楽園のカンヴァス
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楽園のカンヴァスの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.44pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全496件 461~480 24/25ページ
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43歳のシングルマザー早川織絵は倉敷の大原美術館で監視員として働いている。ある日、彼女を訪ねて新聞社の文化事業部の人間がやってくる。アンリ・ルソーの傑作『夢』をMOMAが貸し出す可能性があると言う。しかしMOMAが日本側の交渉窓口として、一介の美術監視員にすぎない織絵を指名してきたというのだ。MOMA側の責任者の名はティム・ブラウン。ティムと織絵は今をさかのぼること10数年前、スイスのバーゼルで出会っていた…。 物語の現在である2000年の倉敷、織絵とティムが密命を帯びて出会った1983年のバーゼル、そしてアンリ・ルソーの晩年にあたる1906年のパリ。3つの時代と場所を往来しながら アンリ・ルソーの隠れた傑作を巡って織絵とティムの不思議な縁(えにし)が回顧されていくという美術ミステリーです。 大学の美術史科で学び、美術キュレーターとして働いていた著者だけに、美術への造詣が行間ににじみ出ており、幻影的な物語を紡ぎだしていく流麗な文体には魅了されます。 ルソーと同時代を生きたヤドヴィガが「永遠を生きる決心をする」場面は大変美しいものです。間違いなく、アンリ・ルソーの作品を次回目にする機会があれば、この小説が描いたルソーとヤドヴィガの物語に思いを馳せることでしょう。 ただし、世紀の発見の可能性をめぐって織絵とティムが美術講評対決をおこなう後段が、少々迫力に欠けるように感じたのが残念です。二人の講評が思いのほか堅固で説得力のあるものには思えなかったのです。 なお、幻の絵画の発見をめぐるミステリーとしてお勧めしておきたい作品に、マイケル フレイン『墜落のある風景』(創元推理文庫)があります。 *残念ながら著者は「すべからく」という言葉の使い方が誤っています。 「この手の古書はすべからくそういうスタイルなのだが」(93頁) 「ご婦人というのは、すべからくこういうものが好きかなと思っていたのでね」(101頁) 「すべからく」は「須らく」であって「全からく」ではありません。つまり「皆すべて」という意味ではないのです。作者はその点を理解していないようです。 | ||||
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アンリ・ルソーの最後の作品「夢」それと対となる「夢をみた」を巡る物語。ルソーについて、それほど知識のないままに、この物語を読んだのですが...フランス画家のルソーのなんたる不思議さ。ルソーは遅咲きの画家で、40歳を過ぎてから絵を描き始め生前には全く評価されず没した人です。彼の生きた時代は、写実主義から抽象画、シュールレアリズムへと変化する時代、ピカソ、ドガ、トゥールーズ・ローレック、コクトー、アポリネール、ローランサン等との交流があり、どちらかというと彼らに影響を与える先駆者となった人です。とは言えこのアンリ・ルソーは、未だ絵画の評価も定まっていない画家と言われています。(もちろんファンも多いですが...) 美術館の運営、キュレーターという仕事、美術館の監視員、新聞社の展覧会、絵画コレクター、そして画家。絵画を巡る世の中の仕組みを垣間見ることができ、この分野の素人でも十分に楽しめ勉強になる。そしてミステリー仕立てでワクワク楽しめるそんな作品です。 ルソーの幻の作品「夢をみた」の真贋を巡ってMoMAのアシスタント・キュレーター、ティム・ブラウンと日本人研究者、早川織江の2人が競う訳だが、芸術作品、絵画を巡ってこんな、ミステリーが作れるのかと感心してしまう。驚きの仕掛けがいっぱいあって大変楽しめました。この物語を読んで、途轍もなくルソーの絵にとても興味が出てきました。ルソーを愛してやまない登場人物達とルソーの人柄...さらに著者もルソーがとても好きなんだろうなぁ!それが読者にも影響を及ぼしてルソーに引き込む!それがこの本の凄さだと思う。この作品に必須で重要な超有名人物パブロ・ピカソが登場するのですが、そのピカソとルソーが織成す仕掛けが面白い。そして最後は感動できます。 読む価値ありです。 | ||||
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楽しかった、映画を見ているような気持ちの良さ。読んだ後、とても気持ちが幸せな気分になりました。私がもっと美術史を理解していたら、モットモット面白かったのでしょうか?絵画を友と呼び、ただ見つめる幸せを持つ主人公たちが羨ましかった。そんな絵画に出会いたい、気持ちを揺さぶられました。絵画でなくても映画でも、あぁ出来たら本がいい…いつでも戻ってこれる原点みたいな本に出会いたい。 さてさて、お話はアンリ・ルソーの絵画の真贋を頼まれた。研究者?二人の話?専門的な知識の展開もあり、絵画取引の裏話がミステリーの様に繋がり、研究者二人の間にはほのかなロマンス?あまりせっつかれた感じも無く、ゆったりと時間が流れていような、それでいてドンドン読み進んでいく不思議な感覚でした。読んで正解。 | ||||
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アンリ・ルソーの絵画をめぐったミステリー小説で、絵ばかりでなく、それに絡む人物たちの思惑も重なり、幾重にも謎に包まれたストーリーです。作家の確かな美術の知識に、綿密に考えられた構成で、テンポも良く、ぐいぐい小説にひきこまれ、もともと絵画に関心があったこともあり、かなり面白く読めました。 新しい事実が次々にでてくるので、読み進めるほど続きが気になって仕方がなく、謎の絵に驚愕な話がひそんでいたり、登場人物たちに知られざる顔があったり、さらに小説で鍵ともなる古書が謎をいっそう深め、最後の最後まで、謎解きを楽しめました。また、アンリ・ルソーに更なる興味を抱かせてくれました。 ただ欲を言えば、表紙の「夢」の絵ばかりでなく、小説内に出てくる他の絵も、本の巻頭にでも写真を掲載してくれれば、よりイメージが湧きやすくなり良かったような気がします。 読後に強い印象を残す本で、小説内に、この作品(絵)には情熱がある、という言葉がでてきますが、作家の経歴からしても、この小説には情熱がある、作家の渾身の力をこめた作品のような気がしました。山本周五郎賞の受賞作というばかりでなく、読み応えのある本で、お薦めです。 | ||||
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本の装丁と某フリーペーパーの告知に惹かれ手に取ってみました。 名前だけしか知ることのなかったルソーやピカソのバックボーンを知り心が熱くなり、名画を取り巻く人々の心理戦にページを捲る手が止まりませんでした。 ラストシーンは思わず涙が出たほど!! 美術の専門家の作者ならではの作品の緻密さもさることながら ルソーとルソーを愛する人達の熱い気持ちが心を揺さぶる珠玉の作品でした。 いい本に巡り合えて、フリーペーパーに感謝です!! | ||||
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絵画でも音楽でも小説でも詩でも哲学でも、圧倒的なものに独り対峙するとき、 人は没頭して「あっちの世界」にいってしまう。多感な十代には、小生も 古今東西に巨人の友達がたくさんいた(ルソーは残念ながら友達ではなかったが)。 大人になるにつれ、目の前の日常をやり過ごすことに汲々とし、人はそうした 鳥肌立つような、忘我の境地を忘れてしまう。 この本は、そのような圧倒的な美、圧倒的な生、圧倒的な情熱への強い憧れを 思い出させてくれる。その意味では、文句なく楽しめる作品だった。 しかしながら、本書自体が「鳥肌もの」とはならなかった。 著者自身の熱い想いがストレートに伝わってくる「古書・夢を見た」部分は 非常によかった。読んでいて、文句なく「あっちの世界」に行ってしまった! 20世紀初頭のパリの空気を、若き芸術家たちの集う長屋のさんざめきを 直に肌身に感じた。革の表紙を閉じないでくれ……!と思った。 だが、全体の構成、細部のスケッチ、人物の描写、 なかんずく早川織絵とその母・娘の描写にいたっては、お粗末過ぎた。 早川織絵という女性がそもそもこの物語に必要だったのかどうか――、 読後に考えれば考えるほど、疑問符が浮かぶ。彼女の言動には一貫性がなく、 40何年間か、しかも決して平たんではない人生を生きてきた女性とは 思えない。いきいきした女、生きている人間に感じられなかった。 ほかのレビューにもあったが、ひと言でいって、魅力がなかった。 「古書」のアイデアを最大限に生かすのであれば、岡山での妙にリアルな日常から物語を はじめなくても、もっと壮大で圧倒的な、鳥肌もののストーリーを展開できたのでは ないかと思う。その点がとても残念。 でも、間違いなく読者を引き込む力のある作品である。 最近、夢中になれる本に出会っていないという向きにはオススメしたい。 | ||||
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ニューヨーク近代美術館に勤務経験のある著者の本領発揮といった作品ですね。 アンリ・ルソーへの熱い想いも伝わってきました。 真贋の判定にかかわる物語もルソーの生きた時代が垣間見られて味わい深く、 書庫より『ルソーの夢 (イメージの森のなかへ)』(二玄社)を 取り出してきて傍らに置き、美術の世界も堪能しました。。 正直言って、ミステリーとしては詰めが甘いところや、 主人公の人生が、ある事件を境にしてあまりにもかけ離れるなど、 構成としてはどうかなって思うところもありましたが、 それでも、ルソーの「夢」をあれだけ大胆に提示した意欲作で、 こういった欠点を吹き飛ばすだけの魅力があります♪ ルソーが大好きなあなた、ダヴィンチ・コードにはまったあなたには特にお薦めですよ♪ | ||||
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久しぶりに出会った、一気に読むのがもったいない作品でした。 本格的なアートミステリーで、ある作品を軸に世界中のプロフェッショナルが鎬を削る様にドキドキハラハラ。 漫画の『ギャラリーフェイク』に似た雰囲気なので、そういう意味では新鮮さはないのですが、主人公たちの情熱にグイグイ引き込まれました。 | ||||
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ルソー 絵画のお話。 絵画なんて、どこがよいのかしら。と思う方にこそ、読んでもらいたい。 絵画って、そのうんちく(画家の人生。時代背景、エピソードetc)があって、 楽しめるところがあるとおもいます。 ピカソとルソー関係の描写は、興味がわきました。 登場する絵なんかは、ネットで画像検索して、眺めてたりしてました。 なかなか絵画なんて、記憶に残らないですけど、 このようなストーリーで読むと、新しい発見もあるものです。 ミステリ、サスペンス的なところは、期待し過ぎないほうがよいのですが、 (僕は予想どおりだったので、ちょっと残念) 逆に、無理なストーリや伏線ではないのも好感があり、読後感は気持ちいいです。 サラッと読めて、情熱、恋愛、絵画があり、描写が女性的なので、女性にオススメ。 | ||||
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絵画作品を愛する私にとって、小さなエピソードがさりげなくちりばめられていたりして、なかなか質の高い小説だと思いました。なにより、アンリ・ルソーの絵画制作に対する情熱が描かれていて、これはもちろん史実とは異なった作者の創作でもあろうが、人生を豊かに生きる力を再確認できたりして、単なる推理小説でなく、ちょっとした人生書だとも思いました。ルソーって好きではなかったのですが、もっとじっくり作品に向かいたいと思いました。 | ||||
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絵の鑑定をさせる謎のコレクター、この人がいったい誰なんだろう?と考えながら読んでください。私が読み手として未熟だったんでしょうか、読んでる途中全くノーマークでした。 最初、女性の生い立ちがなかなか詳しく述べられててそこからどう展開していくのかな、とかなり興味をそそられましたけど、・・それから男性の方に視点がシフトしていってしまいました。それ以降の展開じゃなくて、それ以前の話に戻る展開だったんですね。期待と逆でした。 テレビで有名タレントが付箋をいっぱい貼り付けたこの本を片手に推薦して「美術館に行きたくなる」って言ってたので、ものすごく期待しましたけど、そうでもなかった。 | ||||
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美術(アート)の世界を題材にした異色作。ニューヨークにあるMoMA(Museum of Modern Art)には、アンリ・ルソーが画いた「夢」が所蔵されている。不思議な風、熟れた果実の香り、獣たちの遠吠え、名も知れぬ花々の花弁を揺らすミツバチの羽音。そして、赤いビロードの長椅子に横たわる裸身のヤドヴィガ。彼女は左手を突出し何かを指差しているかのよう。スイスのバーゼルにあるバイラー・コレクションにはこれと似た構図の作品(「夢をみた」)があるという。 そのオーナーである長老のバイラーは、その真贋を見極めてもらうために、MoMAのアシスタント・キュレーター、ティム・ブラウンとソルボンヌ大学でルソー研究で博士学位を26歳の若さで取得したオリエ・ハヤカワ(早川織絵)に鑑定を依頼した。それはただの鑑定依頼ではなかった。アンリ・ルソーについて書かれた古書(7章から成る物語)を一週間、二人がかわるがわるに読み込み、7日目に講評し、説得的な解釈を述べたほうに、取り扱い権利(ハンドリング・ライト)を与えるという。この権利を獲得すれば、コレクションにあるルソーの「夢をみた」をいかように処分してもいいと言うのだ。ふたりは互いに牽制しあいながら、この「競技」にはまっていく。 アンリ・ルソーはしがない税関吏であったが、50歳を過ぎる頃から奇妙な画を書き始めた。日曜画家と呼ばれ、その構図は嘲笑の的となった。くわえて、この画家のことはあまりわかっていない。何百点もあるはずの画は散逸している。古書にはその画家のこと、「夢をみた」の下絵にピカソの「青の時代」の大作があるかもしれないという秘密が書かれていた。確かに笑われ者だったルソーを評価したのはピカソであり、交友関係もあり、ルソーの画に出会わなければあのピカソはいなかったといわれている。ティムの背後にはMOMAが、そして織絵の背後にはテート・ギャラリーがひかえ、その絵をねらっている。古書を読み解くうちに、ルソーの人となり、また彼が恋い焦がれたヤドヴィガ、そしてその夫のことがわかり、またピカソ、アポリネール、ローランサンとの関係もあぶりださていく。このあと、ますます面白くなって一気に結末へ。 最後の場面はちょっとウルウルくる。この小説を読んで、知識としてルソーのこと、彼の画がシュールレアリズムの登場に果たした役割、キュレーターの仕事の内容なども理解できた。著者の才能に乾杯。 | ||||
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ニューヨークにあるMoMA(Museum of Modern Art)には、アンリ・ルソーが画いた「夢」が所蔵されている。不思議な風、熟れた果実の香り、獣たちの遠吠え、名も知れぬ花々の花弁を揺らすミツバチの羽音。そして、赤いビロードの長椅子に横たわる裸身のヤドヴィガ。彼女は左手を突出し何かを指差しているかのよう。スイスのバーゼルにあるバイラー・コレクションにはこれと似た構図の作品(「夢をみた」)があるという。 そのオーナーである長老のバイラーは、その真贋を見極めてもらうために、MoMAのアシスタント・キュレーター、ティム・ブラウンとソルボンヌ大学でルソー研究で博士学位を26歳の若さで取得したオリエ・ハヤカワ(早川織絵)に鑑定を依頼した。それはただの鑑定依頼ではなかった。アンリ・ルソーについて書かれた古書(7章から成る物語)を一週間、二人がかわるがわるに読み込み、7日目に講評し、説得的な解釈を述べたほうに、取り扱い権利(ハンドリング・ライト)を与えるという。この権利を獲得すれば、コレクションにあるルソーの「夢をみた」をいかように処分してもいいと言うのだ。ふたりは互いに牽制しあいながら、この「競技」にはまっていく。 アンリ・ルソーはしがない税関吏であったが、50歳を過ぎる頃から奇妙な画を書き始めた。日曜画家と呼ばれ、その構図は嘲笑の的となった。くわえて、この画家のことはあまりわかっていない。何百点もあるはずの画は散逸している。古書にはその画家のこと、「夢をみた」の下絵にピカソの絵があるのではないかという秘密が書かれていた。確かに笑われ者だったルソーを評価したのはピカソであり、交友関係もあり、ルソーの画に出会わなければあのピカソはいなかったといわれている。ティムの背後にはMoMAが、そして織絵の背後にはテート・ギャラリーがひかえ、その絵をねらっている。 古書を読み解くうちに、ルソーの人となり、また彼が恋い焦がれたヤドヴィガ、そしてその夫のことがわかり、またピカソ、アポリネール、ローランサンとの関係もあぶりださていく。いよいよ、講評の当日。当初は冷たい関係にあったティムと織絵。ふたりは「競技」のなかで次第に相手を尊敬し、心惹かれていく。講評の場で、ティムは意外な結論を出す。驚く織絵。そして、分った意外な事実。 古書の物語の執筆者も明らかになる。これにもビックリ。ハンドリング・ライトは、予想外にもバイラーの孫娘に。「競技」は終わり、ティムはニューヨークに戻り、織絵とも長の別れに。この小説、最初は大原美術館の監視員(セキュリティ・スタッフ)であった早川織絵の家族と仕事関係者との日常の話からまり、大原美術館がMoMA の「夢」(アンリ・ルソー)を借り出す計画がきっかけとなり、織枝の訳ありの人生が見えてくる仕掛けになっている。 そして、終章ではMoMAとの交渉に立ち会う大原美術館の代表者のひとりとして織枝がニューヨークにとび、彼女は17年ぶりでティムと再会する。最後の場面はちょっとウルウルくる。この小説を読んで、知識としてルソーのこと、彼の画がとシュールレアリズムの登場に果たした役割、キュレーターの仕事の内容なども理解できた。著者の才能に乾杯。 | ||||
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話題作だからと手に取り読んでみたら、一気に作品に引き込まれてしまいました。 作中の中心人物たちが絵を愛してやまない姿がこの作品を清く美しくしているのだと思います。 久しぶりに読了後すぐに「もう一度読みたい!」と思いました。 ミステリーのジャンルに分けられているこの作品は、冒険(アドベンチャー)、ラブストーリー、あるいは美術史、どのコーナーに置かれていても良いと思います。 現在は、作中に出てくる絵画をネットで検索して見れる時代です。 気になる作品をパソコンの画面に映して読み進めると、また違った味わいがあります。 表紙の絵「夢」を描いたルソーだけでなく、きっと別の画家にもいろんな物語があって、美術館に展示されている様々な作品にはいろんな気持ちや想い、さらには人生そのものがこめられているんだろうなと、今までとはまったく違った視点で絵画を見れるようになったと思います。 週末に美術館に行ってみよう!っていう気にさせてくれます。 | ||||
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ルソーの絵が大好きだった私ですが、ルソーがどんな画家であったか知りませんでした。子供みたいな絵、遠近法も知らない日曜画家と嗤われていたこと、貧しくボンボンを売りながら、誠実に絵と向き合っていたこと、ヤドヴィガへの老画家の片思い、そんなルソーを若き天才ピカソが認めていたこと。 晩年の大作「夢」にはもうひとつの知られざる作品があった。その真・贋をめぐるミステリーを通じて、新しくルソーと知合えた気がしました。史実をもとに語られるもうひとつの「夢」はとても面白く、一気に読みました。 本棚で眠っていたルソーの画集を思わず開いて絵を鑑賞しつつ、楽しみました。キュレーターならではの造詣と愛情の深さが感じられ、ラストはいっそう興奮しました! | ||||
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19世紀半ば〜20世紀前半に活動した<日曜画家>、アンリ・ルソーの絵画の真贋を巡って織り成される、知的スリルに溢れた芸術ミステリー。本作は、美術にある程度関心のある読者を想定して書かれていると感じられる部分があり、美術好きでない方がいきなり読むとちょっとキョトンとしてしまうかもしれません。ピカソとルソーがある程度好きな方ならとても楽しく読めると思います(と、個人的には心配しましたが、普段美術に親しんでいないレヴュアーの方も意外と抵抗なく読んでおられるようで嬉しくなりました)。 原田マハさんの著作を読むのは本書が初めてでした。 文章において読みやすさと芸術性のバランス具合が上手い方だと感じましたし(ねっちり緻密というよりさらっとして生き生きとした文章を書かれる方ですね)、流石は元美術業界畑の方、美術館、展覧会の裏側事情が非常に細かく具体的に書かれている点もこの作品の大きな魅力になっていると思いました。ピカソやアポリネールら、ルソーが活動していた当時のフランス芸術家たちが何を探求していたのか等を知るための勉強にもなります。 しかし何より、著者の方のルソーに対する愛情と情熱が作品全体の皮膚の下で脈動しているのを大変に強く感じ、その深い思いに感動させられました。作品の主人公である2人のルソー研究者が持っているルソーへの熱い愛着は、マハさんの気持ちを代弁しているのでしょう。 ミステリーとして展開が全く予想外ということはないですが(紛らわしい疑似餌とかがないので伏線は分かりやすいと思います)、ラストはとても気が利いていて、細かいところまでよく練られているなあ!と気持ちよく満足させてもらえることと思います。 生意気にも描写のバランス面で気になる部分がなかった訳ではないのですが・・(女主人公の家族の描写なのですが、踏み込み具合が不自然に中途半端な気がしました。前半の紙幅をたっぷり割いた印象的な登場場面から期待する程、家族が後の物語の軸に絡んでこず、肩透かしを食らった気持ちになります。あれはもしや続編への伏線なのでしょうか?)もっと分厚くなってもいいから現在生きている人間達の思いなどを、じっくり書き込んで欲しかった! しかし最近読んだ日本人作家さんの本の中では、この作品が一番面白いと思いました。本作が直木賞を取ることを期待しています(以下後記・・受賞逃しましたね!残念!)。 | ||||
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一気に読めました。ページをめくるのがもどかしかったほど。ちょうどフェルメール展が来ていますし絵画をめぐるビジネスの裏側も覗けたような気がして興味深く読みました。少し残念なのは人物描写の淺さ、でしょうか。単純過ぎて深みがないので意外と読後に余韻が残りません。いろいろ「描き切れていない」部分がありつつ、強引にラストに向かった感は否めないかな、と思います。「夢」のモデル女性の旦那さんって、もしかして…というのは途中で気がつきました。ただルソーとピカソとの絡みは非常に面白く、また、ラストシーンにはホロリとしましたよ。夏休みを共に過ごす一冊にはおすすめです。 | ||||
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推理小説的な展開があり面白いです。でも本質はルソーを愛する人達のお話です。本の表紙にあるルソーの「夢」を何度も見直しながら読み進めました。謎の古書ではピカソ、女神のモデルになった主婦ヤドヴィガ、その夫といった数少ないルソーの真の理解者の愛情を感じます。真贋鑑定に関わる登場人物たちのルソーの作品を残さなければならないという強いパッションが伝わってきます。ルソーが招待されたピカソたちの溜まり場「洗濯船」の宴会にタイムスリップしたくなりました。MOMAやバーゼルやパリやバルセロナにも行きたくなりました。ピカソの青の時代も見たくなりました。もし関連する絵を見る機会ができたら、往路でこの本もう一度読もうと思いました。劇画風でちょっと軽いので(そこが一気に読める利点でもあるのですが)、星4つとしました。でも、おすすめです。 | ||||
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旅先の恋を思い出させてくれる本です。 美術にめちゃくちゃ疎い私でも楽しめる本でした。 アンリ・ルソーの物語も良かった。 本の世界観も好きです。 でも、個人的には、全体を通して素晴らしい! と諸手を挙げて絶賛するほどではないと感じます。 おそらく、多くの読者とは違った感想になると思いますが、 私は物語の本題とは違う、最終章の恋の部分にやられました。 イーサン・ホークとジュリー・デルピーのBefore Sunriseを見終えて、 その後を想像するような異国でのわずかな恋。 織絵を待つティムに、私は3秒で感情移入してしまった。 ラストがとても、良かった。 それだけで★の数を一つ増やしてみました。 直木賞候補にも挙がったようですが、 個人的には★3つでもいいような気がします。 万人受けするか疑問が残る部分もありますし。 ただ、間違いなく、文庫になればオススメします。 | ||||
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「ダビンチ、上半期一位』のコピーが目に入り、手に取った。 美術ミステリーとカテゴラズしていいのかな。 この手の話は、初めてで新鮮。 話の中心人物である画家ルソーは知らなかったし、 美術にも詳しくはないけれど、 導入部分で引込まれ、 そのまま一気に読んでしまった。 どこまでが史実で、どこまでがフィクションが わからない。でも、わからないからこそ魅力的なのだと思う。 | ||||
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