たゆたえども沈まず
- ゴッホ (7)
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たゆたえども沈まずの総合評価:
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全1件 1~1 1/1ページ
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著者は史実とフィクションを巧みに織り交ぜた作品創りが実にうまい。架空の人物である加納重吉が実在していたかのように存在感を示している。 | ||||
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思うように進まない、進めない。 重い空気を吸いながら、懸命に辛抱強く生きる人々の姿が丁寧に描かれている。 たゆたえども、沈まず。まさに、この物語。 二度読み返して、三度泣いた。 | ||||
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本の状態も大変よく、前から読みたい本でしたので、満足しています。内容も面白いです。 | ||||
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扱ったテーマに興味が湧き読み始めましたが、全ての文に修飾語を散りばめてある、とにかくキラキラさせたい感がすごくて、しかも同じ表現が繰り返し使われているのでだんだん気になってくる。漢字の間違いやキラキラ表現が気に掛かったりで、ストーリーがすんなり頭に入ってこず何度も同じ箇所を読み返すことが多かったです。 書かれている文章から読み手が登場人物の心情を想像するのが小説の醍醐味かと思うのですが、そういう余地が一切なく、登場人物の心情も全て書き出されている、主人公でない人の心の中の声(分かるはずがないのに)まで長々書かれていて違和感があり、あまり好みの本ではありませんでした。もっとシンプルな文体で書かれていればスーッとストーリーに入り込めただろうにと残念でした。 | ||||
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原田マハの卓越した手腕は、歴史の流れを軽く超え、その生きた時代へと読者を誘い込み、詳細に描写を行う点にある。そのリアルさとタイムマシンの感覚が独特の魅力を放っている。その時代背景のもと、芸術家の葛藤、挫折、孤独、狂気を巧みに描き出している。ヴァン・ゴッホは孤独と狂気を身体の中に抱え、それゆえにその芸術性を発揮した。 『ゴッホの足跡』で、ゴッホのことがよく理解できたが、テオからみたゴッホが浮き彫りになる。テオにとっては、ゴッホを深く理解していた。しかし、テオにはテオの人生がある。テオが結婚し、子供も生まれて、経済的な負担が重くのしかかり、兄の経済的な支援もせざるを得なかった。そして、兄のゴッホの精神的な不安定さ、さらには、兄の絵が評価されないというその当時の現実が、さらに苛立たせた。また、そのことが、兄のゴッホをさらに苦しめることになった。ゴッホとテオの共存性がより鮮明になる物語だった。それにしても、テオの悩み方は、日本人的でもある。 本書の舞台は1886年、19世紀後半のパリ万国博覧会である。主人公であるゴッホとその弟テオ、そして同時代を生きた二人の日本人、林忠正と加納十吉を軸に物語が展開される。 「たゆたえども沈まず」(Fluctuat nec mergitur)の言葉は、パリの紋章にも刻まれ、その精神性を象徴している。いかなる苦境に追い込まれようとも、パリはたゆたい続けるが決して沈まない。すなわち、「嵐の中でも揺れ動くが、決して沈むことはない」「困難に直面しても、それに打ち勝ち、屈しない」という、不屈の精神やレジリエンス、回復力を表現しているのである。 物語は、東京開成学校において語学の才能に秀でた加納重吉が、パリで画商を営む先輩の林忠正に呼ばれてパリへ渡るところから始まる。重吉は学校からイギリス留学を勧められたが、それを断った。林忠正はその理由を尋ねると、重吉はイギリスにパリがないと答える。重吉は、パリにいると世界の中心にいるような気分になると言う。また、林忠正は単身で浮世絵をパリに持ち込み、ジャポニズムを流行らせた人物である。ゴッホ、マネ、モネ、ルノアールらは浮世絵の影響を大きく受けている。例えば、ゴッホの作品『雲龍打掛の花魁』には、その影響が見て取れる。 重吉は林忠正の画廊で働き、絵を売る役割を担いながら、ゴッホの弟のテオと交流を深めていく。テオは、パリで最も大きな画廊「グーピル商会」に勤務し、絵の販売に優れた才能を発揮していた。彼は兄のゴッホを敬愛していたが、やがてゴッホは画廊を辞めて絵の道に進む決意を固める。グーピル商会は、パリ万博に出展しており、パリの支配人であったテオはそこに関わっていた。一方、テオは、グーピル商会で取り扱う絵よりも、別の画廊の印象派や浮世絵に惹かれていた。 パリでの『雲龍打掛の花魁』をめぐる熱狂の中、林忠正が執筆した『パリ・イリュストレ』の日本特集が刊行される。これにより、重吉はその浮世絵をテオとゴッホに見せる。ゴッホはその作品を見て、「どうして、こんな絵がこの世にあるのか」と涙を流すのである。 また、タンギー爺さんの画材の店は、売れない絵描きたちの集まりの場となっていた。テオは兄の絵が売れないことに苛立ちを覚え、兄に対して疑念も抱き始める。兄のゴッホの葛藤の中で、煩悶しながらも、重吉が暖かく見守る姿勢が印象的である。タンギー爺さんの肖像画が二枚あり、その背景には『雲龍打掛の花魁』の絵が描かれていた。 重吉は、ゴッホに何かを感じ取り、「この兄には何かがある」とテオに告げる。その言葉に、テオは涙を流す。ゴッホと林忠正の会話も非常に深く、彼らの交流を通して、日本とゴッホの結びつきや、ゴッホの目指すものが明らかになる。このシーンを生み出した原田マハの卓越した創造力が光る。 ゴッホは、アルルへ向かう。アルルでは、ゴーギャンと共同生活を送り、その中で相手の個性や画風の違いから喧嘩も絶えなかった。最終的には、ゴーギャンが耳を切り落とす事件に発展し、共同生活は破綻する。 一方、テオは結婚を決意し、そのことを兄のゴッホには隠す。彼の幸せはひとしおであった。林忠正は、テオに対して、「あなたはもっと強くならなければならない」と諭す。「フィンセントはあなたよりもはるかに強い。それゆえ、あなたももっと強くなり、兄さんを支えることができるようにならなければならない。本当に兄を世界に認めさせたいのなら」という言葉をかける。 その後、テオはアルルに向かい、耳を切ったゴッホに会いに行く。幸い、ゴッホは命に別状はなかった。会話の中で、ゴッホはパリのセーヌ川を描きたかったことを理解する。ゴッホは、「たゆたえども沈まず」の思いだった。 兄のゴッホは、弟のテオのカバンを借りた。そのカバンの下の方に、レボルバーがあったのだ。テオは、全く忘れていた。そして、兄のゴッホは、自分の身体を撃った。レオは、慌ててサンレミに向かった。テオは、リボルバーを忘れていたことを思い出し、兄のゴッホを殺したのはボクだ。ゴッホ、37歳。そして、わずかな期間をおいて、テオも病気で亡くなってしまう。33歳だった。 この物語は、時代や境遇を超えた人間の不屈の精神と、ゴッホとテオ、そして林忠正と加納重吉の芸術に対する真摯な姿勢を鮮やかに描き出している。 | ||||
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ノンフィクション部分であるゴッホ兄弟のキャラクターがやや極端か? 精神障害・アスペルガーを持つが 素晴らしい絵を描く兄と その兄思いで、献身的な弟そのぐらいで良いでしょう。 主人公は、日本人でしょう! どのように、 歴史的な名画を描かせたかを 当時の時代に抗いながら 特にフィクションの重吉が何をしたか、心の機微を混じえて書けば 読者はシゲに感情移入して もっと楽しめたかも? 事実は逸話かもしれないし フィクションの人を リアリティをもって 書ければ これぞ名著と言われるかも。 いつのまにか、 歴史の中に入り込んで しっかりと自分の 仕事をやり、友人関係を築き シゲが、いなければ フィンセントが 星月夜もひまわりなどの名画 を描くことが 出来なかったと 思わせる 小説なら、素晴らしいのに‼️ | ||||
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