■スポンサードリンク


カラマ-ゾフの兄弟



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!

カラマ-ゾフの兄弟の評価: 4.26/5点 レビュー 681件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.26pt


■スポンサードリンク


Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全681件 641~660 33/35ページ
No.41:
(5pt)

疾走する中巻 

上巻で動き始めた物語はこの中巻でそのスピードがグングンあがり、物語の核となりうる事件が起きる。
 アリョーシャの尊敬するゾシマ長老の死。そして、ドミートリィの事件。
 そんな中で、登場人物の一人一人が少しずつ何かに目覚めていくように物語は進んでいく。
 アリョーシャ、ドミートリィ、グルーシェニカは確かに何かを掴みつつあるようです。
 気になるのはイワン、上巻の「大審問官」のある意味では完璧ともいえる哲学を持っている彼がこれからどうなるかが物語の鍵になっていきそうです。
カラマーゾフの兄弟〈中〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:カラマーゾフの兄弟〈中〉 (新潮文庫)より
4102010114
No.40:
(5pt)

カラマーゾフとは?

この大作もこの巻で完結です(もっとも作品自体は未完のようですが・・・)。
 この小説のテーマはロシアそのものではないだろうか?部分的に宗教観も含まれそうです。
 物語のスピードがやや失速するドミートリィ裁判の様子こそが当時のロシアというものを強く表しているように思いました。当時のロシアがどんな国だったのか詳しく知っているわけではないので、感覚的にですが・・・。
 アリョーシャの生き方とイワンの「大審問官」にロシア正教のあるべき姿のようなものが窺えます。
 またカラマーゾフの三兄弟はロシアという国を形作っている要素(三つの「セイ」)をそれぞれ投影しているのではないでしょうか?
 すなわちドミートリィ=生(人間)、イワン=政(政治)、アリョーシャ=聖(宗教)。この三つの国を形作っている要素を持つのが「カラマーゾフ」なのではないでしょうか?要するに「カラマーゾフ」=ロシアなのではないでしょうか?
 最後にコーリャが言った「カラマーゾフ万歳!」というセリフに何か強い愛情表現を感じました。
 それにしてもすごい作品でした。
カラマーゾフの兄弟〈下〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:カラマーゾフの兄弟〈下〉 (新潮文庫)より
4102010122
No.39:
(5pt)

思想描写の臨界点

この物語の中心人物となるカラマーゾフの三兄弟は次のように記すことが可能だ。
 
 長男ドミートリイ
情熱と行動の人物
 
 次男イワン
知性と思想の人物
 
 三男アリョーシャ
愛と優しさの人物 全ての人はこの兄弟のいずれかのタイプに大別することが可能である、故にあらゆる思想はこの物語の中につめられてるといえるだろう。
 また彼らは良く喋る。数ページにわたって喋り続けることさえある。この理由は簡単だ。それは彼らが通常語られることのない心の深層部分まで語ってるからだ。
 最近の作品は、否、古今東西を問わず全ての作品はこんなことはしていない。登場人物の心理は行動に託したり、行間としてぼかしたり、抽象的な表現で曖昧にしたり、などなど様々な手法がとられているが何のことはない。心の底など表現できないのだ。人は感じたことを全て表現できるほど言葉を持っていないのだから・・・
 それをこの巨匠はやってのけている。あらゆることを登場人物達の言葉で巧みに且つ完璧に表現している。これがこの小説の偉大いたる所以であろう。
 下巻ではその記された思想の詳細及びこの小説の総括を行いたいと思う。
カラマーゾフの兄弟〈中〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:カラマーゾフの兄弟〈中〉 (新潮文庫)より
4102010114
No.38:
(5pt)

最高傑作

胃に、もたれても読むべき。人間に関するほとんどのことが書かれている。思うに、この人に対抗できるの、英国最大の劇作家か。
カラマーゾフの兄弟〈下〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:カラマーゾフの兄弟〈下〉 (新潮文庫)より
4102010122
No.37:
(5pt)

これこそドフトエフスキーの面白さ

何故こんなにも長いのか。それも未完と言う。
 著者の作品には、このエピソードは何の為に?と読んでいて思う時がある。しかも本筋から逸れているように思えて
退屈とさえ思ってしまう時がある。しかしそれが読み進めていくに従って、意味合いを変えるのだ。必要だから書かれ
ているのであり、もしこれがなかったら登場人物の人間性や奥行きがどれほど薄くなることか。作品自体がどれほどつま
らなくなるか。そう思えてくるのである。
 著者の書く人間は、これこそ人間である!と思わせてくれる。この作品も当然ながら、人物誰をとっても人間!と思
わせてくれる。カラマーゾフの三兄弟、そして私生児とされるスメルジャコフ。個性のまったく異なるこれらの人間
を、創り、絡ませ、物語の中で生きさせる。人間を描いた著者の集大成と言えるのではないか。
 未完ではあるが、読み終わった後に「そうか、未完だったんだ」と暫くしてから気づいて、作品の完成度に驚いた。
 星は五つであるが、その倍でもいい。著者の作品で、「罪と罰」が私にとって最も好きで、影響を与え、面白い作
品なら、これはもっともドフトエフスキーを感じさせ、好きにさせる作品であろう。
カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫)より
4102010106
No.36:
(5pt)

ミーチャこと

ドミートリイが茫然自失のままグルーシェニカを追い求める場面はとても好きです。深く心に残りました。
カラマーゾフの兄弟〈中〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:カラマーゾフの兄弟〈中〉 (新潮文庫)より
4102010114
No.35:
(3pt)

クライマックスで失速

ゾシマ長老の死後(中巻)から俄然面白くなりますが、クライマックスの裁判で失速。読者は裁判が始まる前に真犯人が分かっているので、的外れな論告を延々と読まされると辟易してしまう。この小説は、『大審問官』をめぐる問題などテーマについては讃えられるが、小説そのものの出来は『罪と罰』に劣る。
カラマーゾフの兄弟〈下〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:カラマーゾフの兄弟〈下〉 (新潮文庫)より
4102010122
No.34:
(5pt)

作家:ドストエフスキーの完成

「白痴」に圧巻、「罪と罰」に感動。そして、この著作を読む。
「白痴」では、在りし日のキリストを知り、「罪と罰」では人間の良心を知る。いずれも、最期の一幕でドストにやられた。この著作もさもありなむと、構え臨んだ。
 しかし、あっさり交される。じっくり読ませ、作者の世界にどっぷりと浸らせ、僅かな言葉で読者に語りかける技こそ、ドストの術と知った。一般に、世界近代文学の幕開けをドストと位置づける方が多いが、私はドストによって、それは完成されたものと信じます。勢い良い子・悪い子・普通の子という図式は、「カラマーゾフの兄弟」なくしては普遍化しないと考える。
 また、反面教師となった親父は気の毒な存在ではあるが、近代文学の世界では歴史的重要人物の一人と数えたい。
カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫)より
4102010106
No.33:
(5pt)

驚きの連続です!

著者の未完の最高傑作であり、必読文学書のトップレベルにあるものとして有名なので、迷わず読むべきものだと思います。私も10代で2回、20代、30代で1回づつ計4回読んだくらいこの作品が好きです。登場人物が現実離れしていてフィクション性が強すぎる作品ではありますが、そのことがかえって人間業とは思えない魂を揺さぶるような美しいエピソードやこんなおぞましいことよく作者は思いついたなというような事をたくさん盛り込ませていて、読者は未体験の感動に襲われます。ただし、普通に家庭を持ち、社会の中で自分の幸せを見出すことができる成熟した現代人にとって、この作品の悪魔的な暗黒面は毒にも感じるし、社会的な大人という面からみると規範になるというものではないかもしれません。しかし、強い感動で私たちの感受性が一皮むける体験をすることには間違いありません。それゆえ、なるべく早い時期に読むことをお勧めします。
カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫)より
4102010106
No.32:
(4pt)

逃げられない運命

カラマーゾフ家という複雑な家庭事情において殺人事件がおこり、カラマーゾフ的な不幸を背負って人々が翻弄される。僕は運命論者では無いが、人が背負ったものの運命において、結局は向き合って生きていくより仕方が無いということなのであろうか。本人の意思があってそういう行動に出たのだということもいえるのだが、そういう行動をとらざるをえなかったとも考えられる。それが物語だといわれればそれまでかもしれないが、真実というものは必ずしも理解されず、誤解のまま受け入れなければならない場合もあるのかもしれない。ある意味では人は時代に翻弄される。平時にあっても、革命家の資質があるような人物なら時代に合わなかったということがいえるだろう。何も歴史的な転換期でなくとも、そういう意味では、多かれ少なかれ影響を受けない人は無いということである。
その時代のようには人を理解できないかもしれないが、こうした格闘した人たちを経て現代があることを思うと、小説でも感慨深いものがある。この作品が現代に残っているということはどういうことなのか。ひょっとすると小説というものの完成は、おわっているということなのだろうか。なるほど、それで完璧な小説というわけか。今から新しく作り出されると考えられる小説は、反カラマーゾフ的小説なのかもしれない。
カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫)より
4102010106
No.31:
(4pt)

いつかは読みたい大作

これまで本書に関する言及にしばしば出くわしており、予てから興味を持っていました。描かれる人間模様の醍醐味を期待しながら年末年始の休暇を利用してこの大作に挑戦しました。
物語は地主フョードルの三男アリョーシャを主人公として、カラマーゾフ家の家族の人間及びその周辺の人々が織りなす様々な人間関係や感情の営みを描写しながら展開します。親子、男女、主従、師弟、愛憎、自尊心、信仰、放蕩など。彼らは各々独特なキャラクターの持ち主です。
上巻には有名な「大審問官」の章が収められています。自分なりには自己決定に伴う負担や不自由さのことに言及しているのだと理解しましたが、率直なところ期待していたほどの感動は得ることが出来ませんでした。やや不満を抱えつつ中巻へと読み進みました。
カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫)より
4102010106
No.30:
(4pt)

事件発生、物語は終盤へ。

中巻ではゾシマ長老の死とフョードル殺害事件の発生が主な出来事です。アリョーシャが書き取ったゾシマ長老の遺訓の部分は退屈な印象。しかし、それ以降は物語が流れ始め、楽しめました。特にゾシマ死後の「事件」や長男ドミートリイが愛人グルーシェニカを追う狂気じみた行動などは面白く読めました。
上巻にも共通しますが、登場人物はキリスト教(または信仰)に関し多くを言及しており、この物語の大きなテーマにもなっているようです。ただ、キリスト教に関する対話中の比喩など良く理解できない部分もあり、読むのにやや骨が折れました。ドミートリイの公判の展開を期待しつつ下巻へと進みました。
カラマーゾフの兄弟〈中〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:カラマーゾフの兄弟〈中〉 (新潮文庫)より
4102010114
No.29:
(4pt)

奥行きの深さは、間違いなし

下巻では中巻の後半でフョードル殺害の容疑で逮捕されたドミートリイの公判の模様が描かれます。公判の内外で次兄イワン、ドミートリイの新旧二人の愛人カテリーナとグルーシェニカとカラマーゾフ家の召使スメルジャコフたちが事件や自分自身について語り、やがて陪審の評決が下ります。
本巻だけに限りませんが、フョードル、ドミートリイやグルーシェニカ達の、時に狂気染みた、大袈裟でそしてうつろい易い言動には、正直なところ読者として終始困惑させらました。また、登場人物は数々の論争をしますが、それによって彼らは一体何を分かり合ったのだろうか?という疑問が拭えませんでした。それとも人間の「判り合えなさ」が物語のテーマなのでしょうか?私にはやや消化不良気味のカラマーゾフ初体験でした。それを補う意味で「謎とき『カラマーゾフの兄弟』」(江川卓著)を読んでみるつもりです。
それでも、全編にわたって繰広げられる数々の論争の中には人間に対する豊富な洞察が含まれており、ストーリーはともかくこれらに着目して読んでゆく読み方もあると思います。
カラマーゾフの兄弟〈下〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:カラマーゾフの兄弟〈下〉 (新潮文庫)より
4102010122
No.28:
(5pt)

極限の人間模様@ロシア

ドミトリー、イワン、そしてアリョーシャと個性豊かな3兄弟が母なる大地ロシアで繰り広げる壮大な煉獄の絵図。愛、欲望、親子の憎しみ、そして神への誓い。
 読む者の思考をギリギリまで追い込む「大審問官」の章は世界文学史上に例を見ない迫力。
 文学の極北に位置する巨編。
 未完に終わっているが、実は、続きはアリョーシャ率いる少年たちが
皇帝の暗殺に走るという、驚天動地の展開がもくろまれていたらしい。
おそるべしドストエフスキー。
カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫)より
4102010106
No.27:
(5pt)

私は純粋にイワンに惚れた・・。だからイワンの言動が気になり、ほとんど夢中で最後まで読んだ。
その難解さや宗教色などが話題にされがちだが、私はエンターテイメントとしてこの作品を読んだ。
「場違いな会合」という章はフョードルの喜劇役者ぶりが爆笑ものだし、マクシーモフのまぬけぶりも笑える。にやにやせずには読めない章である。ドミートリイのせっかちぶりは自分を見てるようで、ちょっと恥ずかしくなるが、彼の純粋さには感動したりする。イワンは初めはインテリで、無口で、愛想もないし、ちょっと取っ付きにくいが、アリョーシャに飲み屋で自分の思想を告白するシーンで「少年のように笑う」のである・・。ここで私はやられた・・。多くの女性はこのシーンで彼にやられるのではないか・・笑。だって、少女漫画の王道パターンを踏襲してるんだもん・・ギャップが魅力だなあ・・。笑。アリョーシャは、かわいい弟キャラである。たしかに純でかわいいが、絶対に彼は何かを内面に隠している・・と思わせるところが、兄弟の中で一番印象が薄いとさえ思える彼を主人公にしている所以だろう・・。
ちなみに彼の活躍は後半が描かれなかったこの小説では読むことは出来ない・・(ちなみにこの小説は未完である。念のため)。私生児とも言われるスメルジャコフはなんとも複雑なキャラである。幼いころの趣味はネコ殺し・・。癲癇の発作に、執着心の強い性格・・。昨今の少年犯罪を思い起こさせるようなキャラである・・。でも私は彼が好きだ。理由は・・とここまで書いたが、長くなりすぎるのでやめます。では乞うご期待!!!
カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫)より
4102010106
No.26:
(5pt)

とにかく面白かった

ドストエフスキーの最高傑作にして、集大成的作品。
カラマーゾフの3兄弟に人間の全てがあるとまで言われます。
世界文学屈指の傑作ということでためらう方もいるでしょうが、ミステリー小説的な楽しみもあるので素直に楽しめるはずです。まあ、なんといっても食い入るように読んだのはプロとコントラの章、そしてその中でも特に大審問官ですね。作者に目の前で説き伏せられているような迫力を感じました。
まあそういった神の問題を別にしても、長兄ドミートリィの話などは大爆笑ですし、ギャグなどではなく、人間の誰もが持っているリアリティに笑かしてもらえます。先ほども言ったミステリとしての面白さ、息を呑む審判のシーンなど、小説のあらゆる面白さが詰め込まれています。そして最後には感動が・・・。
長編小説なのにあっという間に読了してしまう面白さ。後悔はないはずです!!
カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫)より
4102010106
No.25:
(5pt)

読了後の達成感がたまらない

内容に関してはほかのレビュアーさんが優れた書評をしていますので、ここではどうやってこの大作を読破するかの方法について述べたいと思います。まず買って読んで下さい。人からタダでもらったものと、自分が懐を痛めて買った本とでは読書意欲が違って参ります。お金を払ったからには元をとらなければと読む姿勢ができあがります。とりあえず上巻だけ買って…ではダメです。上・中・下と初めから揃えてください。まとまった時間がある学生時代に読まれることをお勧めします。とにかく一気に読むことです。上巻だけ読んで安心してはいけません。途中で間が空いてしまうともう続きを読む気が失せてしまいます。挫折したも同然です。ほかの本を読むのも止めて集中しなければいけません。テレビもしばらくおあずけにしてください。「罪と罰」よりは登場人物が少ないので読みやすさでは本著のほうに軍配が上がります。ですから初めからベラボーな大著だなーと、ひるんでしまうことはございません。とにかく世界文学屈指のの名作なのですから、これを読んだのと、はなから眼中になくコミック文庫に明け暮れていたのとでは、その後、旺盛な読書意欲が身に付くかどうかの大きな差になって現れます。ご健闘をお祈りします。
カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫)より
4102010106
No.24:
(5pt)

次に読み返すのはいつになるだろう

今回、縁があって新潮文庫版でカラマーゾフの兄弟を読むことが出来た。前に読んだのは、いつ頃だったのか忘却の彼方だが、今回、読んでいて、いろいろ思い返すこともあった。決定的に違ったのは、その頃と比べてキリスト教に関する予備知識が今の自分に十分にあったということだろう。以前のつたないキリスト教の知識で、自分がこの本をどれだけ理解できていたかはあやしいものだが、それなりの感慨はあったはずだ。だから数十年過ぎたいま、読み返す気になったのだろう。活字が大きいのもその気にさせたのかも知れない。間違いなく言えることは、一度や二度読み通したくらいでは字面を読んだことにしかならないし、キリスト教と当時のロシアの歴史的知識が無ければプロットは追うことが出来ても、ドストエフスキーの言いたいことは理解できない(はずだ)。私は数十年かかったが、本質的なことを理解するには、まだまだ数十年は必要かも知れない。とにかく、いつ読んでも読んだことが無駄にはならない希少な本だ。 今回、新潮文庫のあとがきで初めて知ったことだが、ドストエフスキーはカラマーゾフの兄弟を2年で脱稿したそうだ。やはり、世界一の文豪だけのことはある。評価をするなど烏滸がましいにもほどがあるが、星5つ付けさせて頂きたい。
カラマーゾフの兄弟〈下〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:カラマーゾフの兄弟〈下〉 (新潮文庫)より
4102010122
No.23:
(5pt)

苦悩し、格闘する登場人物たち。感動。。。

登場人物たちが、こんなに人間的に描かれているなんて思いませんでした。
読む前は、もっとずっと哲学的、高尚深遠な感じで描かれているのだと
ばかり、思っていたから。ドミートリイ(ミーチャ)、イワン、アリョーシャのカラマーゾフ三兄弟を
始めとする本書の登場人物たち。メダルの表と裏のように、高潔さと低俗さの両面を併せ持つ彼ら登場人物たちが、歓喜したかと思えば絶望し、この世の
終わりかという位おいおい泣き、鬱憤をぶちまけ、わめく姿に仰天しました。
そして、そんなどうしようもなく矛盾した存在である人間をまるごと受け入れ、
慈愛に満ちた眼差しを彼らに注ぎ、描き出していく作者の筆致に胸が震えました。上巻、アリョーシャと二等大尉スネギリョフ(イリューシャの父)が、
道を歩きながら対話する場面。
中巻、敬愛するゾシマ長老の死に接したアリョーシャが、長老の幻に出会い、
大地を抱きしめる場面。
下巻、病床のイリューシャを少年たちが見舞う場面。
そうした個々のエピソード的シーンが鮮やかだったこと、印象深かったことも
忘れられません。しかし何と言っても、本書で最高の読みごたえを感じたのは、下巻、
大詰めの「誤審」の章。父親殺しの嫌疑をかけられたドミートリイ
(ミーチャ)の裁判の章。
前半の検事論告と、後半の弁論の息詰まる攻防戦。
とりわけ、被告の行動に鋭い心理分析を加えていく検事論告が見事。
ミステリのとびっきり面白い法廷シーンを読むような迫力があり、手に汗握りながら夢中で頁をめくっていきました。1878年から書き始められ、1880年に完成したドストエフスキー渾身の大作
『カラマーゾフの兄弟』。今読んでもちっとも古さを感じさせません。
キリスト教の神と悪魔の問題など、分かりづらいところもありましたが、
苦しみ、悩む人間たちが実に生き生きと描き出されていたところ、
本当に素晴らしかった。ベートーヴェンの第九が今も多くの人の胸を打つように、これは
人類の財産とも言うべき作品。
生きてるうちに読むことができて良かった!
カラマーゾフの兄弟〈下〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:カラマーゾフの兄弟〈下〉 (新潮文庫)より
4102010122
No.22:
(5pt)

書かれなかった幻の完結編…(上巻)

この長篇については注意すべきことは、巨大で複雑な構成を持っているにかかわらず、本作はあくまでもアリョーシャが成人になる十三年前の事件を述べており、アリョーシャが主役になる幻の完結編の準備的存在だということである。これは本作の序文で文豪自らが言及していることである。江川卓氏の新潮選書『謎解きカラマーゾフの兄弟』では完結編のアリョーシャの姿が想定されている。本書の最後で少年たちの支持を得たアリョーシャは、様々な体験を経て、彼らが結社した皇帝暗殺サークルの黒幕となって処刑されるとしているが、実際に文豪が亡くなった同年に、農奴解放で有名なアレクサンドル二世が暗殺されるのである。世界史上最初の爆弾テロであり、それをこの文豪が「現代の預言者」と呼ばれる所以である。イワンとスメルジャコフの合作による実父殺しは「ロシアの父」たる皇帝暗殺に収斂されていく。文豪がもう少し長寿であったならば、幻の完結編を読むことができたかもしれない。
カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:カラマーゾフの兄弟〈上〉 (新潮文庫)より
4102010106

スポンサードリンク

  



新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!