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逃げる幻



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【この小説が収録されている参考書籍】
逃げる幻 (創元推理文庫)

逃げる幻の評価: 6.33/10点 レビュー 3件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点6.33pt

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(8pt)

逃げる幻の感想

人間消失と密室殺人とあるが、これで興味を惹かれ本を手にした人はまんまと騙されることになる。そんな仕掛けが隠されたストーリーである。登場人物14名でこの中から殺害される人物が2名。わりとシンプルな構成とストーリー。
だが事件の目撃者であり語り手として読者をこの物語に誘う人物には少し問題がある。それはマドンナの存在で彼はこのマドンナにひと目惚れしてしまう。このため結果として彼の眼は少し曇った状態で廻りを、事件を見るようになる。
当然読者も彼の目線になって物語を追うわけだから同様に少し目が曇る。作者の緻密な計算の上での書き方で伏線もさりげなく見せられるため中々気付かない。物語の舞台となる土地や時代背景など興味深い史実など用いながら女性らしい精細な筆致で情景や雰囲気を表わしていてとても読み易い。ことの真相には意外性は充分で二人の人物の態度やもの言いもそれはそのとうりで無理なく筋が通っていて、結果として真相に近づくヒントでもありまた逆の作用にもなっている点が興味深い。心理のアヤなどをうまく使い読者の目くらましになっているところが作者の技を感じる。本国刊行年が1945年であるが今読んでも色あせず楽しめるミステリと思う。語り手のダンバー大尉は精神科医で関係者の格好、顔つき、仕種、経歴、会話の内容などからあれこれ分析するのだがその彼に依ってミスリードされる読者という構図がこの本のすべてだといえる。こう書いたからといってこのミステリの面白さを阻害するとは思えないので興味のある方は一読をおススメ。

ニコラス刑事
25MT9OHA

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