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オランダ靴の謎



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オランダ靴の謎の評価: 6.80/10点 レビュー 5件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点6.80pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全4件 1~4 1/1ページ
No.4:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

初級問題と中級問題に分かれていたような感じ?

『国名シリーズ』の第三弾にして、シリーズ内でも名作として名高く、作家クイーンの評価を一気に高めた作品でしょうか?
もはや説明不要な徹底したロジカルさが特色のクイーン作品の中でも、とりわけその傾向が強い、まさに大作パズル問題のような一作です。

ストーリーは事件が発生した病院内での捜査にほぼ終始し、余計なドラマやサスペンス要素などは差し挟まない、非常に正統派かつストレートな推理小説となっています。
(まだヴァン・ダインの影響が強かった頃のためか、台詞まわしにやや衒学趣味が強いのは個人的にややハナにつきますが。あとクィーンと少年給仕のジェーナのBLっぽいやり取りは、今ではそういう層の人に目をつけられそうです)

第一の殺人に関する靴のロジックによる犯人の絞込みは大抵の読者が答えに到達できるでしょうが、第二の殺人の戸棚のロジックは難易度が高く、作中内で初級問題と中級問題に分かれていたような印象を受けました。ちなみに私は初級はクリアしましたが中級でつまずきました。

余談ですが、メモ用に余白が取られていた章で本当にメモ取った人なんているんでしょうか?
しかもあの部分、さして重要じゃないクイーン警視の誤った推理でほぼ埋まっていた気がするのですが、むしろどうでもいい部分だから暇つぶしに落書きでもしてろっていうジョークなんでしょうかね。


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マリオネットK
UIU36MHZ
No.3:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

クイーン・ミステリの読み方がようやく解った

国名シリーズ第3弾。
本作に至り、クイーンの推理小説というのは、本当に純然たるロジックゲームなのだなと理解した次第。つまりここに書かれている犯罪の捜査方法というのは実は全く皆無で、犯行が行われた現場に残された証拠―これは痕跡と云った方が妥当かも―、各登場人物のアリバイ、そして各登場人物の過去や人間関係を推理する材料として与え、さあ答えを出しなさいといった類いの純粋な頭脳ゲームなのだ。

だから前作『フランス白粉の謎』で感じた違和感もここでは踏襲されたまま。つまり、本作においても通常警察が犯人を断定すべく行うであろう、指紋の採取、血痕の採取もしくは唾液、髪の毛の採取などの鑑識による捜査が全く行われないのだ。
通常ならばこれほど犯人が犯行の痕跡を残すお粗末な犯行も珍しい。犯行に使った白衣、ズボンならびに靴、そして決定的なのはマスクまで残しているのだ。これだけあれば犯人は明らかになったも同然である。当時指紋による犯罪捜査、血液型検出による犯罪捜査方法は既に確立されていた。つまりこれらの衣類から指紋を採取し、更にはマスクに残った唾液からも犯人の血液型も検出されるので、もう犯人は解ったも同然である。あとは容疑者と目される人物を逮捕して、自白を強要するか、犯行が行われた事実を補完する更なる証拠集めに執心すればいいのだから。

しかしクイーンの推理小説では決してそういうことをしない。前にも述べたように、これはクイーンが考え出した頭脳ゲームの問題であり、読者に対する挑戦状だからだ。この姿勢を受け入れるか否かでこのクイーンに対する評価というのは大きく変わるだろう。
とにかく探偵クイーンが手に入る全ての事実を読者に提供し、その中で唯一犯行が可能であった無二の犯人を絞り込む事に特化しているため、犯行に至る動機が薄弱なのは否めない。よく考えてみればこれは前2作もそうだった。

そしてこういう小説だからこそ、チャンドラーやハメットが、およそ現実味の無い小説だと非難したのが大いに理解できる。
確かに今読むと、これはそれほど犯罪捜査科学が進んでいない、どこか別の世界で行われている犯罪なのだろうと首を傾げざるを得ないからだ。アンチ本格が出てくるのに十分なほどの非現実さがここにはある。

しかし個人的にはこれも是とする。『フランス白粉の謎』では納得行きかねたが、3作目にしてクイーンの小説に対する姿勢という物がわかったからだ。
恐らくそれはクイーン自身も自覚的だったのだろう。作中、クイーン家の召使いであるジプシー少年ジューナがクイーン警視にゆで卵を作ってやったらゆで過ぎて固ゆで卵になってしまったので、捨ててしまい、もう一度作り直した、なぜならクイーン警視は固ゆで卵(ハードボイルド)が好きではないからという件がある。このエピソードは作中では一度作り上げた推理をもう一度最初から作り直したらという意味で挙げられているが、それを示唆するのになぜ固ゆで卵を持ち出したのか。そう考えると思わずニヤリとしてしまった。

いやあ、クイーンは本当、面白い。


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Tetchy
WHOKS60S
No.2:
(7pt)

視点がさすがです

コンパクトにまとまった佳作でした。

わたろう
0BCEGGR4
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

オランダ靴の謎の感想

相変わらずロジック一本槍で、動機であるとかトリックに関してはおざなりな印象ですし、そのロジックのひも解きに全く到達しない警察の描き方も少しご都合主義的かなと思いますね。
そのロジックですが、(私には)正直納得のできるものではありません。
ただ、(納得できないにしても)作者の意図は何となく読み取れるので、その思惑にわざと嵌って読み進めれば、この作品に関しては犯人の特定はある程度可能ではないかと思います。
この分かり易さが高評価の秘密なのかなとも思いますが、登場人物が余りにも多いのは、その容易さを隠蔽して意図的に複雑にしようとしたのでは・・・という穿った見方をさせてしまいますね。


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梁山泊
MTNH2G0O

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