「―― 大きい俺や小さい俺、青空に円形に展開、みな、くわっとした格好で中空に軽くわなないている ――」。

人はなぜ人を殺すのか――河内音頭のスタンダードナンバーで実際に起きた大量殺人事件＜河内十人斬り＞をモチーフに、永遠のテーマに迫る渾身の長編小説。

三年前、ふと働くのが嫌になって仕事を辞め、毎日酒を飲んでぶらぶらしていたら妻が家を出て行った。

金がない、仕事もない、うるおいすらない無為の日々を一発逆転する最後の秘策。それはメルヘン執筆。

第28回川端康成文学賞を受賞した「権現の踊り子」ほか「鶴の壺」「矢細君のストーン」「工夫の減さん」「ふくみ笑い」「逆水戸」の全6編からなる短編集。

日々の生活の中でたまった鬱を、日々の生活の中でいかに散ずるか。 「物」を買い、使い、また買い、使う。

頭のなかに雨が降る。 小説という名の異世界。

生きているだけ。ただ、生きているだけで負い切れぬ罪障が積み重なっていく。

劣化する感性を粉砕する、破壊力抜群の傑作長編! こいつを潰すのは俺の使命。俺の勇気。

最高ってなんて最高なんだろう。僕らはいつも最高だ。

家に不具合が生じたとき、「我慢する」と「リフォームする」の選択肢がある。

ひょんなことから跋丸への復讐をすることになった「自分」と帆一。

ホサナ。私たちを救ってください。

人を殺し、育った修道院兼教護院に舞い戻った青年・朧。なおも修道女を犯し、暴力の衝動に身を任せ、冒涜の限りを尽くす。

世界にあふれる「真実」を疑え! ストーリー、つまり嘘、を書き続けることに疲れた作家の「僕」は、本当のことだけを書く「真実真正日記」をつけはじめる。

千年の時を超え、現代に生きる源義経が、自らの怒涛の生涯を語り出す。

公園にひとりで座っていると、あなたには何が見えますか?スターバックスのコーヒーを片手に、春風に乱れる髪を押さえていたのは、地下鉄でぼくが話しかけてしまった女だった。

長谷川初実（ハツ）は、陸上部に所属する高校1年生。

ある町の銀行の支店で起こった、現金紛失事件。

1972年夏、キクとハシはコインロッカーで生まれた。

友人に部屋を貸した翌朝、見知らぬ女がベッドで寝ていた。その上、彼女はとある理由で「俺」の部屋に居座り始め…。

今から100年前、殺人は悪だった。10人産んだら、1人殺せる。

金欠、妄想、愛憎、暴力。救いようもない最底辺男の壮絶な魂の彷徨は、悲惨を通り越し爆笑を誘う。

隣に座った女性は、よく行く図書館で見かけるあの人だった…。片道わずか15分のローカル線で起きる小さな奇跡の数々。

二〇〇四年の暮れ、北町貫多は、甚だ得意であった。

雪深いホテル。古いダンスホール…地方でくすぶる従業員カザマは、梅毒と噂される盲目の老嬢ミツコに出会う。

夢想家のお嬢様たちが集う読書サークル「バベルの会」。夏合宿の二日前、会員の丹山吹子の屋敷で惨劇が起こる。

八年後に小惑星が衝突し、地球は滅亡する。そう予告されてから五年が過ぎた頃。

人類の進化の果てで起こる驚愕の事態。

深夜、東京の閑静な住宅街に一台のトラックが突っ込んだ。やがて起きる二つの殺人事件。

殺人事件の時効成立目前。

薄紫の香腺液の結晶を、澄んだ水に落とす。

星野一彦の最後の願いは、何者かに〈あのバス〉で連れていかれる前に、五人の恋人たちに別れを告げること。

現実に打ち勝つって、どうやって? 伊坂マジック最前線にして最高点! 「予言の書か?」とネットで話題を呼んだ長編、待望の文庫化。

人はなぜ、罪を犯すのか? 本作を原作にした映画『楽園』2019年秋公開! 出演 綾野剛 杉咲花/佐藤浩市 監督・脚本 瀬々敬久 人はなぜ、罪を犯すのか? 『怒り』『国宝』の著者、最新文庫化! 田園に続く一本道が分かれるY字路で、一人の少女が消息を絶った。

愛したはずの夫は、まったくの別人であった。 「マチネの終わりに」から2年。

公団住宅で三つ子の姉と、両親、祖父母に愛されて暮らす「こっこ」こと渦原琴子は、口が悪く、偏屈で硬派な、孤独に憧れる小学三年生。

秋田の貧しい小作農に生まれた富治は、伝統のマタギを生業とし、獣を狩る喜びを知るが、地主の一人娘と恋に落ち、村を追われる。

五つの時計／白い密室／早春に死す／愛に朽ちなん／道化師の檻／薔薇荘殺人事件／二ノ宮心中／悪魔はここに／不完全犯罪／急行出雲／の十編を収録。

妻に出て行かれたサラリーマン、声しか知らない相手に恋する美容師、元いじめっ子と再会してしまったOL…。

雅子、43歳、主婦。弁当工場の夜勤パート。

9マイルは遠すぎる ｱｰﾑﾁｪｱ・ﾃﾞｨﾃｸﾃｨﾌﾞ・ｽﾄｰﾘｰの定番。

友人の死に導かれ夜明けの穴にうずくまる僕。地獄を所有し、安保闘争で傷ついた鷹四。

さらなるテロの危険に日本政府は福岡を封鎖する。いまや九州は反乱軍の占領下となった。

一番近くにいるのに 誰よりも遠い。 海釣りに出たまま、二度と帰らなかった夫。

優秀な介護人キャシー・Hは「提供者」と呼ばれる人々の世話をしている。

笑う月が追いかけてくる。直径1メートル半ほどの、オレンジ色の満月が、ただふわふわと追いかけてくる。

男にだまされた母・肉子ちゃんと一緒に、流れ着いた北の町。肉子ちゃんは漁港の焼肉屋で働いている。

膨大な書物を暗記するちから、遠くの出来事を知るちから、近い将来を見通すちから―「常野」から来たといわれる彼らには、みなそれぞれ不思議な能力があった。

才能豊かなパティシエの気まぐれに奔走させられたり、犬のボランティアのために水商売のバイトをしたり、難民を保護し支援する国連機関で夫婦の愛のあり方に苦しんだり…。

小説家・マッツ夢井のもとに届いた一通の手紙。それは「文化文芸倫理向上委員会」と名乗る政府組織からの召喚状だった。

精神医学研究所に勤める千葉敦子はノーベル賞級の研究者/サイコセラピスト。だが、彼女にはもうひとつの秘密の顔があった。

懸賞で当たった映画の試写会で私が目にしたのは、自分の行動が盗撮された映像だった。

27歳のタクシードライバーをいまも脅かすのは、親に捨てられ、孤児として日常的に虐待された日々の記憶。