自らナポレオンの生まれ変りと信じ切っている男、はたまたナポレオンの遺品を完璧にそろえたいコレクター。

郁子が頼まれたアルバイトの内容は、別人になりすまして横浜元町へ行きワンピースを一着買い求め、さらに店で小物入れを忘れて帰ることだった…(「奇妙なアルバイト」より)。

事業に失敗して精神病院に逃げこんだ男が退院してみると、妻はいきいきと働いていた。巨額の借金も返済したという。

アンブラッセという言葉を教えてくれたのは、相沢さんだった。フランス語で「抱擁する」という、その意味も――。

もともとの反社会的な要素に加えて、狂気の笑いでもあるのがブラック・ユーモア。

深瀬和久は平凡なサラリーマン。唯一の趣味は、美味しいコーヒーを淹れる事だ。

長く辛い不妊治療の末、自分たちの子を産めずに特別養子縁組という手段を選んだ夫婦。

毎年冬のひと夜外泊をする妻に疑念を抱く夫「女系家族」など、人間の裏の顔を描く11編。

N大学理論物理研究所助手の野々村は、ある日、研究所の大泉教授とその友人・番匠谷教授から一つの砂時計を見せられる。

吹雪のアルプス山中で遭難機が発見された。傍には引き裂かれたジュラルミン製トランクの破片。

男に赤道を見に行こうと誘われた人妻「赤道奇談」など。

こんなにしっかりしたアイディアを原稿用紙五枚ぽっちにしちゃうなんてもったいない。

「イソップ物語」って、本当はこんな話だったの?「アリとキリギリス」「狼と狐」をはじめ超有名な寓話から無名の寓話まで、安土桃山時代と江戸時代に日本語に翻訳されたイソップ物語をもとに、130余のストーリーを紹介。

一九九八年、和歌山市内の夏祭りでカレーを食べた住民六十名以上が中毒症状を呈し、四名が死亡した。

人間と他の生物とのいちばんの違いは何か。それは、笑いと想像力である──。

人間の妄想を取り扱うエフ博士の妄想銀行は大繁盛! しかし博士は、彼を思う女からとった妄想を、自分の愛する女性にと……。

新鮮なアイディア、完全なプロット、意外な結末―三要素そろったショートショートの傑作。

軽井沢にほど近い、別荘と住宅が混在する静かな森の一画。

マイホームを“マイ国家"として独立宣言。

“新潟市一家溶解事件”そして謎めいた“手記”―。

ふとした気まぐれや思いつきによって、人間を残酷な運命へ突きおとす“悪魔”の存在を、卓抜なアイデアと透明な文体を駆使して描き出すショートショート３６編を収録する。

文明の亀裂をこじあけて宇宙時代をのぞいてみたら、人工冬眠の流行で地上は静まりかえり、自殺は信仰にまで昇華し、宇宙植民地では大暴動が惹起している――人類の未来に待ちぶせる悲喜劇を、皮肉げに笑い、人間の弱さに目を潤ませながら、奇想天外、卓抜なアイデアをとりまぜ

一つになれない家族を猫だけが見つめ続けた――「すずの爪あと」。

こんなはずでなかった結婚。捨て去れない華やいだ過去。

新築・格安、都心に位置するという抜群の条件の瀟洒なマンションに移り住んだ哲平一家。問題は何一つないはずだった。

親友が屋上から落ちて、死んだ。自殺と思えない「俺」は当時の様子を探り始めるが…。

恐怖は人間の最も古くからの感情だと言われている。真っ暗闇の中で野獣に襲われる恐ろしさを想像してみれば、容易に納得がいく。

猫を飼うふりを続けていた男の謎。

義母の葬式で男は思い出す。22年前に、義母の起こした事故のこと。

“ビストロ・パマル”のシェフ・三舟の推理が、思わぬ温かな真相を導く「割り切れないチョコレート」、息子から恋人がストーカー被害に遭っていると相談された探偵が、事件に立ち向かう「鏡の家のアリス」。

文筆生活６０年。生み出した小説は900篇超。

名だたるミステリ作家があなたを仰天させる! 物語の最終盤で読者の予想をひっくり返す、どんでん返し。

平凡な家庭で育った小学生の圭輔は、ある不幸な事故をきっかけに、遠縁で同学年の達也と暮らすことに。

助産院に勤める紗英は、不妊と夫の浮気に悩んでいた。彼女の唯一の拠り所は、子供の頃から最も近しい存在の奈津子だった。

二十九歳の桐子は、求婚してきた吉森と萩の温泉に来ていた。だがその夜、桐子は宿を抜け出し別の温泉宿へと向かう。

「神楽坂を舞台に怪談を書きませんか」突然の依頼に、作家の〈私〉は驚愕する。

コーヒーを片手に読みたい、喫茶店にまつわるショートショート・アンソロジー。

懸賞で当たった映画の試写会で私が目にしたのは、自分の行動が盗撮された映像だった。

先生、ごめんなさい…。痛みと後悔に苦しむ少女が知らぬ“真実”(「痛み」)。

横浜で、ミッション系のお嬢様学校に通う、野々原茜(のの)と牧田はな。

密室で殺された画家が遺した手記には、六人の処女の肉体から完璧な女=アゾートを創る計画が書かれていた。

サラダ工場のパートタイマー、野菜生産者、学校給食の栄養士は何を見たのか? 会社の不祥事で故郷に逃げ帰ってきた元広告塔・栄実、 どん詰まりの地元農業に反旗を翻した野菜生産者・剛、 玉の輿結婚にやぶれ栄養士の仕事に情熱を傾ける聖子。

人間たちは、テングとブタに二分されている。鼻を持つテングはブタに迫害され、殺され続けている。

「こんにちは、章子。私は20年後のあなた、30歳の章子です。

十七歳年下の女性と結婚した助教授。妻が恐るべき運命を告白する…。

1年前に離婚した大槇辰男は、息子・俊也との面会の帰り、かつて故郷のO村に住んでいた曾木美禰子を駅で見かける。

色とりどりの恐怖をどうぞ召し上がれ。あのとき、目をそらしていたら。

楽して簡単にお金を手に入れる方法はないものか。子どもを誘拐して身代金。

加賀友禅についての資料を集めに金沢を訪れた男が、かつてこの地を一緒に旅し、翻弄された女性に思いを馳せる(「鳥瞰図」)。

人間の愚かさ、残酷さ、哀しみ、業――これぞ江戸怪談の最高峰! 塩断ちを機に次々と家族を襲った身も凍るほどの怪異、妖を呼び寄せる声をもった女中の奉公話、世にも奇妙な写本の話……人間の愚かさ、残酷さ、哀しみ、業――清濁すべての感情を併せ呑む、

直木賞作家の真骨頂! 笑って泣ける人間讃歌。

『僕には、きみの僕への想いが手に取るようにわかる。

異界と現し世を自在に行き交い、読者を迷宮へ誘う極上の語り。「結ぶ」―問答無用で縫われ、丸められていくからだ。

離婚した杉村三郎は私立探偵事務所を設立。

親友のS君が、とびきりの美女を射止めた。余りのねたましさに私は、これはよくないことの前兆ではないか、とすら考えた。

才色兼備の姉と正反対の妹。しかし姉は、母の死、恋人との別離から過食に走り、見るも無惨な姿に変貌していく。