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なおひろ さんのレビュー一覧
なおひろさんのページへレビュー数572件
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著者初読み。光文社文庫で最近始められた「昭和ミステリールネサンス」の1冊であるが、本書収録作品が書かれたのは昭和30年代。企業がらみのネタが多く、経済ミステリーとでも言う感じでしょうか。今も昔も企業間の競争は厳しく、読んでいて身につまされる物が有りましたね。流石に時代の違いは感じるものの、当時の流行作家だけ有って、ひねりが効いていて読ませる作品集でした。
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タイトルは「絶叫」。クライマックスで確かに絶叫してますね、ダークヒロインが。子供が出来なくて離婚し、職を失って転落してしまった女性(陽子)の死亡について、子供が出来た為に離婚し、復職して刑事に戻った女性(綾乃)が捜査して行くお話。両者の共通点は一人で生きている事。決定的な違いは…特に無いのかもしれません。絵に描いた様な転落人生、どこかで止められただろうか?。最後は真っ黒。結婚すれば上がりの幸せな人生、とは行かなくなった現代女性の壮絶人生を描いた作品、出て来る男はみんな自由で、馬鹿で楽しそう。男で良かった。
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「警官の血」の続編。前作は親子三代に亘る警察官一家の話だったが、今回はその最後の主人公だった安城和也と上司で有った加賀谷仁の二人の視点で物語は進む。麻薬密売組織の捜査と同時に、警察内部での手柄争い、縄張り意識についても子細に描かれ、警察小説として良く出来た作品だった。和也の心情は結構書かれているものの、加賀谷の内心は書かれていない。なぜ警察に復帰したのか、病院の描写に意味は有るのか、そして和也の事をどう思っていたのか。事件 の内容は割と単純で、本作は推理物では無く人間ドラマである。濃密な時間を楽しめた。
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主人公は、漫画家を目指すものの挫折し、似顔絵描きなどして小金を稼ぐ日々。ひょんなきっかけで「法廷画」を書く事になるが、直後に命を狙われる事に。序盤は良かった。何が何だか分からない中更なる事件が起き、サスペンスとして牽引力が有ったと思う。しかし途中からは、フラグが立つと想定される方向へ向かう感じで、ラストの山場までやや凡庸な展開で緊張感に欠けて終わった印象。メインの謎も分かった様な分からない様なオチで、ミステリーとしても微妙な出来かと。「法廷画家」のお仕事小説としては興味深く、そこは面白かったですけどね。
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何とも珍妙な作品。結婚式当日に挙式会場から花嫁がウエディングドレスのまま失踪する。姿を消した妻を探し、主人公は日本各地を訪ね歩きます。そこに絡んで来る人達も癖のあるキャラが多く、感情移入出来る人物は居なかったかと。事件の真相が全て分かった後、首をかしげてしまった。発表は1988年、新書版ノベルズの全盛期。2時間サスペンスの原作になる様な物を、と言う発注だったのかも知れません。いずれにせよ、とても成功している作品とは思えないですが、女性達の過酷な過去や少女の残酷さに作者の特徴は感じる事は出来たかな。うーん。
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著者デビュー作であるが、中々思い切った内容。色々不満はあるが、一番は主人公のキャラでしょうか。こんなに独善的で周りの迷惑を考えない人は好きになれない。終盤の出来事も自業自得と思えてしまう。まあ分かりますよ、主人公の設定を素人にした場合、犯罪捜査に絡ませる為には強引じゃないと無理だからね。それにしても酷い事件で救いが無い。障碍者への性的虐待では、エンターテイメントとして楽しめないでしょ?。社会派としては、問題提起は良いが苦悩が伝わらない、雑なんだな。「佐方シリーズ」や「孤狼の血」には有った品格が無い、残念。
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「葉村シリーズ」四作目。前作から13年振りとの事ですが、かなりの力作。次から次へと謎が増えて行き、同時に葉村の体の傷も増えて行きます。登場人物もどんどん増えて行き、展開について行くのが大変でした。前作も詰め込み過ぎだと思いましたが、今回は気分の悪い事件が3つも並行して起きてしまいます。どれもこれも酷い話で、面白いとは言い難い。悪意の人に狙われる、家族間の問題、これらの共通点は、逃げられない、と言う事でしょうか。立ち向かう葉村も大変ですよねぇ、これから良い40代が過ごせると良いな、陰ながら応援します。
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私が生まれた年に起きた歴史に残る大事件、三億円事件。ミステリー作家5名(下村敦史、呉勝浩、池田久輝、織守きょうや、今野敏)による競作アンソロジーです。初読みさんは、池田氏、織守氏の2名。事件に真正面から行ったのは下村氏のみで、呉氏は斜めから、他はスカしばっかりで好みでは無かった。未解決事件になったのが不思議な位、目撃者や証拠が多く有ったのですねぇ。何か裏が有りそうだ、と想像できるのがこの事件の魅力なのでしょうが、流石に50年も経つと諸説も出尽くした感が有るのかな?。結構気に入ったのは、呉氏の作品でした。
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著者初読み。第27回鮎川哲也賞受賞作。ミステリランキング四冠。幸いほぼ予備知識無しに読むことが出来ました。称賛の嵐の本作ですが、個人的好みではまあまあと言うレベル。単純に、登場人物が多い割に気に入ったキャラが居なかった(ラノベ的?)、建物が複雑で何処に居るのか瞬間的に理解し辛かった、と言う感じ。閉鎖空間の作り方は斬新、第一の殺人の真相はビックリした、その辺りは評価出来るけどね。ここまでやるには、動機が弱いのが小説をドラマと捉えれば、少し淋しく思ったかな。パズルとしては上々です、本格はそれで良いのでしょう。
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ノベルズ版発売時に読んでいるので、23年振りの再読。当時余りに衝撃的だったので、犯人は忘れられない。しかしそれ以外はすっかり忘れていたので、動機、その他トリックは初読の感覚で楽しみました。ユーモア交じりに書かれてあり、ページ数の割にはスラスラ読めます。ただ、最大のオチを知った上での再読はやはり勿体無いかなぁ。フェアかアンフェアか?、犯人、トリック、動機に納得出来るか?。初読の皆さんの感想が聞きたい。
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警視庁文書捜査官シリーズ第1作。このシリーズを読むのは始めてだが、警視庁殺人分析班シリーズと何となく感じが似ているのは、作家性と言う事なのかな?。やはり本格推理のテイストは無く、地道な捜査と強引なこじ付けでストーリーは進みます。ただ、文章は読み易く、キャラクターにも好感が持てましたので、出張のお供にには丁度良かった。ドラマは未見なので、機会が有れば観てみたいですな。
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作家アリスの国名シリーズ第一弾。最近本格ミステリーの短編集は余り読まないのですが、短編ならではの楽しさが有った。事件が起きると、ごちゃごちゃ捜査せずにすぐ解決。これはこれで良いもんですが、短いページ数で必ずひとネタ入れるんだから書くのは大変ですねぇ。そう言う意味ではシリーズキャラクターは重要、設定の説明が短くても世界にすぐ入れるからね。各篇それぞれ楽しめました、いっぱい持ってるんで、作家アリスもボチボチ読んで行こう。
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阿南シリーズ第三作。作中で6年が経過し、更に性格も生活も変化が見られる阿南ですが、まだまだ普通の人にはほど遠い(笑)。前作で出会った探偵事務所の面々から遠く離れて、北陸でコンビニの店員をしております。そして、今回は事件に巻き込まれたと言うよりは、自分から積極的に関わって行った感じかな?。やはり親子の問題が根底にあり他人の介入が難しく、阿南は事件を通して自分の家族に思いをはせる。シリーズの色合いが鮮明に付いていると感じた。舞台はいつも冬だなぁ、本作がシリーズで一番好きな作品、出来れば多くの方に読んで欲しい。
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阿南シリーズ第二作。前作より3年後の阿南の姿を描く、ハードボイルドミステリー。阿南の少し変化(成長?)した性格は少し受け入れやすくなっていた。読み易くなった原因は、所長と藤森凉子の存在も大きい。前作は余りに陰鬱な人物ばかりで、読んでいて疲れてしまった。ただ、今作は「Jの少女たち」と言う意味深なタイトル、その意味が分かった時、残念ながら正直うんざりしました。個人的に全く共感も理解も出来ない世界(まあ、男性はほとんどそうじゃ無い?)、20年以上前から有ったんですねぇ。まだまだ続く阿南の人生、更に追いかけるよ。
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阿南シリーズ第一作。何気なく読んだ「無伴奏」が凄く良くて、遡って読んでみたいと思った。が、売れて無いんだろなぁ、古書で探すのに丁度1年かかりました。内容は青春ミステリー(成長譚と言う意味で)、もしくは変格ハードボイルド(主人公がブレるんで)、と言う感じであるが、いずれにしても雰囲気が暗い。何せ阿南が変人過ぎて怖いよ、考え方が独特過ぎる。ミステリーとしては結構派手で結構ざっくりしてる、本格では無いかな。つまり本作の魅力は、阿南のキャラに尽きる。気持ち悪いが目が離せない男、シリーズを追いかけ変化を見てみたい。
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見事な連作短編集。被害者は特に出ていないが、やっている事は完全に違法で有る為、クライムノベルの範疇に入るかと思います。こういった設定ですので、短編をそれぞれ独立させて長くシリーズを続ける事も出来たはず、ところがラスト2話での幕の引き方は本当にお見事!。家族関係がテーマの人情話みたいなのが多くてしんみりとして良かったが、余り犯罪集団が主人公の設定は好きでは無い事も有り、丁度良い「潮合い」だったと思います。スタートからラストまでの流れが気持ち良く、連作短編集のお手本の様な作品でした。面白かったです。
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著者初読み。第22回日本ホラー小説大賞<大賞>受賞作。各章で視点が変わり、登場人物の印象がどんどん変わって行く構成が面白かった。ホラーは普段読まないので比較出来ないが、本作はミステリー風の感じでも有るのかな?。ただ、ぼぎわんの造形が想像し辛く、ちょっと画が浮かばなかったからでしょうか、余り怖く無かったとも言えるかも。出て来る人がみんな裏表が凄いので、イヤミスっぽい感じも受けたけど(私はイヤミス超嫌い)、ギリギリ耐えられる範囲かな(笑)。いずれにしても、デビュー作でこのクオリティはヤバいねー。続編も読むよ。
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