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なおひろ さんのレビュー一覧
なおひろさんのページへレビュー数61件
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昭和ミステリシリーズ二作目。2020年の年末ミステリーランキング3冠に輝く作品。昭和24年を舞台とした物語は、主人公が高校三年生と作者と同年齢に設定されており、ある種自伝的青春ミステリーの側面も有る。しかし本作のどこが素晴らしいのか?、それは作者自身が知る当時の社会風俗や人々の考え方が非常にリアルに感じられ、近過去時代小説として優れているからだと思う。また、伏線と回収、構成の妙、心情描写には読み所があり、トリックや犯人の意外性のみで評価をするべきでは無いのだ。推理小説は推理クイズでは無い。良い小説だった。
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古典ミステリーとして超有名作ですが、幸い何もネタバレを知らずに読めました。かなり面白かったです。序盤はイヴの言動にイライラして感情移入出来ずストレスでしたが、段々と可哀そうになって来て(男を見る目が無い、と言う意味では自業自得ですが…)最後は応援していました。そして真相が明らかになった後、数々の伏線が張って有った事に気付き素直に感心、アンフェアとは思わなかったです。メロドラマ、家族のドラマとして面白く読め、シンプルかつ大胆に仕掛けられたトリックに驚く事も間違い無し。訳文も読み易く、絶賛でおススメします。
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「後妻業」と言う言葉を世間に知らしめた作品。強烈な内容でとても面白かった。とにかく金、金、金、の人物ばかりが出て来ますが、大悪党も小悪党もそれぞれ必死で圧が凄い。お金持ちで独り身の老人男性が、子供や孫では無く、最期を共に過ごしてくれる女性に財産を残す。金を持っては死ねないので、使いきれない分どうするか、は自分が好きに決める事だ。人間だれしも、志半ばで突然最後の日を迎える。この被害者の爺さん達が、多少でも幸せな気持ちで最期の日々を過ごしていたなら、まあ有りかも知れない、と思わんでも無い。ンな訳無いか(笑)。
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半沢直樹シリーズ第三弾。めちゃくちゃ面白かった、一気に読了。かなり多い登場人物なので、人物相関図を確認しながら読み進めました。古き良き時代劇ドラマの様な勧善懲悪の話ですが、むいてもむいても中身がまだ出て来ない様な練られたプロットで、最後まで楽しめました。しかし、こんな人は組織で上手くやって行くのは難しいよなぁ、なのに成功する。そこにサラリーマンの夢や憧れが向けられるんだろうな。同じなのはバブル世代と言うだけの私ですが、仕事は何のためにやるのか、この歳になってもまた教えられた気がする。
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素晴らしい。すこぶる素晴らしい作品集でした。葉村シリーズは、タフでクール、シニカルでへこたれない、そして不運な探偵の物語であるが、イヤミス的な後味の悪さも特徴的で有った。本作も色々な事件に巻き込まれ葉村は心身ともにへとへとにはなるが、最後はスッキリしたりホッとしたりで、うんざりした気分で終わる物が少なかった。葉村と共に著者も歳を取ったのか(失礼)、丸くなったのかもね。ミステリーとしても、伏線から回収まできれいにオチが付き、非常に楽しめた。初出を見ると、半年余りでこれだけ書いてるんですね。これからも楽しみ。
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各章毎に主人公が入れ替わり、複数の視点で物語は綴られるが、そこに一本貫かれたストーリーが隠されている。それは、仕事とは、会社とは、また生活とは、家族とは、そして正義とは、と読者に対してずんずんと突き付けられる太い刃でした。どうすべきなのか、は分かっています。しかし、それが出来るのか?、重い選択を迫られ深くため息をつきました。読む方の置かれた立場に寄って、感想は様々じゃ無いでしょうか。商売の基本はお客様に喜んでいただく事、私にはそれが一番刺さったかな。物語として非常に良く出来ていると思います、これぞ傑作。
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葉村シリーズ「悪いうさぎ」と「さよならの手口」の間の時期を繋ぐ作品2点を含む短編集。30代後半から40代に入り体も少々お疲れ気味の様子ですねぇ、とは言ってもまだまだ若いけど。そして表題作は、日本推理作家協会賞短編部門受賞作となっております。どの作品も悪意に満ちていて(まあ犯罪小説なんで当たり前かも知れんが)、結構読後感が悪い。しかしながら、すこぶる面白かった。葉村シリーズしか読んでいなかったので、シリーズ物の予定調和の中での安心感が有ったが、単発作品でこんなに良く書けるとは失礼ながらビックリした、凄い!。
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著者初読み。1956年に発表された、コールドスリーブ、タイムマシンにより時空を超えて行き来するSF物語。舞台は1970年と2000年なので、書かれた時点からはどちらも未来の話だった訳ですね。とにかく面白かった。熱い主人公が逆境に負けず、知恵と行動力を駆使してハッピーエンドへ向けて突っ走る。科学的な整合性とか、ご都合主義に過ぎる展開などはどうでも良い。応援したくなる、上手く切り抜けて欲しい、と強く思う、最後まで一気に読んで幸せな気持ちになる。それ以上に何か必要ですか?ただ読めば良いのです。猫好きで良かった。
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地味な話、しかし私にとっては物凄く面白かった。主人公は47歳の介護士。自分の父親の過去を調べるエピソードと、高校時代の恋人の旦那さんを探すエピソードで物語は進む。ハードボイルドタッチの文章も読み易く好感が持てるが、何より出て来る人物たちが作品の中で皆生きていた。介護の現状のやるせなさと主人公の頑なな性格のせいも有り、全体的に重苦しい雰囲気では有る。そしてまた、ミステリーとしての驚きは主眼では無い。が、人間ドラマとして素晴らしいと感じた。余り苛烈な設定だと引いてしまうんで、この位が良い塩梅です。おススメ。
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佐方シリーズ第二弾であり、若き検事時代のエピソードを描く短編集。ミステリー要素も有りますが、人間ドラマに重点が置かれている感じがします。横山秀夫を彷彿とさせる世界観ではありますが、謎と推理の部分、人間関係の逃れられない濃密さの部分で、少し及ばないかも知れません。しかしながら、読み易い文章の中で印象に残るフレーズが連発され、小説を読む楽しさを本当に感じる作品です。いや作家と言うべきか。「借りを返せば、恩が返せるわけじゃない」、「人間性に年齢は関係ない」。痺れるなぁ、もっと読みたいなぁ、人に勧めたくなるなぁ。
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自分にとっての、伊坂作品ランキング第1位が更新されました。先日読んだ「砂漠」も気に入ったのですが、本作が断然良かったですね。まあ、後書きで本人も書いてますが、普段の著者の本に抵抗がある人にも楽しんでもらい易い作品、正にそう言う感じでとても読後感が良かった。爽やかな話も書けるんじゃないか。登場人物が多く、作品ごとに時間があっちこっち行くんで、少々混乱するかも知れないです、今回は一気に読めたのでまだ良かったけど。連作短編集としての全体の構成も良かったですが、何より各話がそれぞれに凄く楽しかった、おススメです。
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著者初読み。素晴らしかった。バタバタと記号的に人が死んで行くミステリーも良いが、こう言う人間がきちんと書かれている作品を読むと、余韻で暫く動けなくなる。作中に描かれた理不尽に憤りを感じ、またそれがどれも自身に起きないとは限らない、と言う事に慄然としてしまう。「最後の証人」が放った最後の一言に込めた想い、その覚悟には胸が詰まりました。作中のセリフに、「誰でも過ちは犯す。しかし、一度ならば過ちだが、二度は違う。二度目に犯した過ちはその人間の生き方だ」と言うのがあった。ああ、何とも心に深く刺さる作品。傑作です。
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30年振りの再読は大変楽しめました。覚えていたのは犯人だけだったので、改めて展開を確認しながら読みましたが、あの1行には分かっていながら鳥肌が立ちました。当時「新本格」の作品はかなり読みましたが、内容を少しでも覚えているのは本作のみです。それだけインパクトが有ったんですねぇ。余りに名作として名が通っているので、期待外れとの感想も見かけますが、それでも初読の方が羨ましい。こんなに衝撃的、かつ読み易い作品は無いですよ。ミステリー初心者の方、お若い方のレビューも多いですね、昔からのファンとしては嬉しい限りです。
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