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八日目の蝉



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【この小説が収録されている参考書籍】
八日目の蝉
八日目の蝉 (中公文庫)

八日目の蝉の評価: 4.06/5点 レビュー 425件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.06pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全425件 81~100 5/22ページ
No.345:
(5pt)

解説がひどい。

涙ぐみながら読みました。
繊細な描写や感情の書き方がとてもよかった
巻末の解説が残念すぎる。
なぜこんなの載せたのか疑問。
作品の余韻ぶちこわしです
八日目の蝉Amazon書評・レビュー:八日目の蝉より
4120038165
No.344:
(5pt)

はじめての角田光代

表紙を見て、つまらなそう。 でも、はじめの1ページ目から、希和子に感情移入してしまった。あかちゃんが、まさに私の目の前にいるような気持ちになった。かわいい。自分の子どもを中絶しなければならなかった希和子の気持ちが痛いほど伝わってくる。世の中全てを敵に回しても、この子を守り育てよう。一緒に生きてゆこう。なんか涙がでてくる。
逮捕される時も、自分のことより、あの子は朝ごはんをまだ食べてないの。あぁ、おかあさんなんだ。
希和子はちいさかった薫とすごした、小豆島での生活に思いをはせる。秋山恵理奈になった薫も、幼児期仲良しだったマロンちゃんと一緒に小豆島へ向かう。エンディングもすばらしい。
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4120038165
No.343:
(5pt)

It's fabulous beyond description!

筆舌に尽くし難い程、素晴らしいです。たいへん有難うございます。
八日目の蝉Amazon書評・レビュー:八日目の蝉より
4120038165
No.342:
(4pt)

スリルに満ちた面白さ

愛人の赤ん坊を盗むというとてつもない犯罪を犯して、逃亡生活をする主人公. それはスリルがあってとても臨場感があってあっという間に読み終えた。以前にあったホステス殺しで逃亡して時効寸前で捕まった事件を思い出した。
八日目の蝉Amazon書評・レビュー:八日目の蝉より
4120038165
No.341:
(5pt)

母性

いかがわしい設定ですが、小説なんでぶっ飛んでる方が良いわけで。
逮捕されるシーンでの一言がヤバいのだ。母性って凄いやと思わされた。
八日目の蝉Amazon書評・レビュー:八日目の蝉より
4120038165
No.340:
(4pt)

目眩がするほど深くて暗い、罪と愛。

自ら罪を選んだ女の、だからこそ手に入った至福の時間と
自ら罪を招いた女の、憎悪と渇望にまみれた時間を
罪も愛も執着も無関心も醜さも美しさも全部混ぜこんで
何一つ選べなかった少女の人生に刻み込んだお話
*****

だいぶ前に壇れい主演のドラマを観て、
その後、永作博美主演の映画を見て、その後に原作を読んだ。
やっぱり私は本が好きなんだなあと再認識。
文字から、コトバから、文章から、行間から、
匂い立って溢れだして迫りくる情景や心情は
映像が直接的に見せてくるそれよりも
ずっとずっと濃ゆくて深くて目眩がした。

家族とは、母性とは、愛情とは、我欲とは、男とは、女とは、罪とは、道徳とは。
それらの根底にある価値基準に、ゆらーりゆらりと揺さぶりかけてくるよな話。

一貫したテーマは「母親」であろうけれど、
それぞれが、手も足も出せぬような人生の網目に絡み取られながら
なんとか生き抜こうとする、その足掻きぶりが描かれている。
ただ足掻きながら進もうとするのは女ばかりで、
本書に登場する男はあまりに情けないダメ男ばかりなので、
主人公への共感しづらさも含め全般的に男性は読みにくいであろう。
そして様々な事情で、人生で母親として過ごす時間は無いだろうなと
予感したり腹をくくったりしている女性には、かなり精神的拷問のような小説かもしれない。

ー以下レビューというより個人的雑感。

不倫の末に、夫婦の赤ちゃんを誘拐した女を突き動かしていたものは、本当に母性だろうか、愛情だろうか。
自分の元へ取り戻した娘とうまく向き合えず、
自分の想いとかけ離れたところにいる娘にヒステリックに自我をぶつける実母は、
やはり母親と呼ぶに値しないのだろうか。

誘拐犯・希和子と薫(本来は恵理菜)が過ごした時間は、とても温かく愛情たっぷりに描かれる。
対して実の家族の元へ戻ってからの時間は、苦痛に満ちた時間として描かれる。
その苦痛の種を撒いたのが希和子だったとしても、
希和子と共に過ごした時間は断罪すべきものばかりではなかったと、
母親らしかったのはむしろ希和子の方だと、感じさせるような描き方。
でも親子ってそんな綺麗でヌルイもんじゃない。
ざらざらしていて厄介で、だけどもだからこそ、
温かいものが通う瞬間を、愛おしく抱きしめたくなるような、
そういうものなんじゃないかと思う。
恵理菜が息苦しくていたたまれなくて、
早く出たいと思っていた実の家族との間には、
家族特有の、親子だからこその、厄介なざらつきがへばり付いている。
それは希和子と薫のクリーンルームみたいな関係では存在しなかったもの。

私には希和子が薫と共に過ごした時間は、薫を愛した時間には思えない。
希和子が薫を通して己を愛した時間だ。
希和子の母性とは、むしろその手を薫から離した瞬間に芽生えたものではないか。
薫を失ってからの長い長い歳月こそが、薫を愛する為に与えられた時間。
一方、実の母親の方はと言えば、
自分の元に愛する娘が戻ってきた瞬間に、自我に母性を奪われてしまった。
希和子とは対照的に、長い長い歳月をかけて、母性を取り戻す業を強いられる。
いずれにせよ、過酷な時間。

ただ言えるのは、醜く逞しく愛を掲げる女たちも、
無責任で情けない男たちも、
なんにせよ大人は自分で選んだ結果だった。
だけどこどもは何も選べなかった。
後半部分は、何も選べず翻弄されてきたこどもたちが、
自らの人生を自分で選び取りながら進もうとする姿が描かれる。
この後半部分のリアリティが私はとても好きだ。
結局、どちらの母親へも感情移入できず、恵理菜に一番共感できた私は、
母性の薄いオコチャマだと言うことなのかもしれぬ。

そしてドラマ・映画全てのキャストの中で一番素晴らしい配役だったなと思うのは、
映画の千草役、小池栄子かな。ぴったり。

ーそうだ、どこかにいきたいと願うのだったら、だれも連れていってなんかくれやしない、
私が自分の足で歩き出すしかないのだ。
八日目の蝉Amazon書評・レビュー:八日目の蝉より
4120038165
No.339:
(4pt)

誘拐犯ではあるのですが愛すると言う選択をした女性の物語

矢川澄子著、失われた庭を読んでから八日目の蝉を読みました。

矢川さんは全ての妹たちへ、と言う遺言を残して自殺されてしまっているのですが、遺族の意向により遺言の内容は公表されていないため、矢川さんが私達に伝えたかった事はなんだろう、そういう疑問を私は心の片隅に置いて生きてきました。

八日目の蝉は矢川さんの遺言の内容にかぶっているような気が私はします、矢川さんは人間性を否定するのではなく肯定する事、人を傷つけるのではなく愛すると言う選択があると言う事、そんな事を私達に伝えたかったのではないかと。

角田光代さんの著書と矢川澄子さんの遺言をごっちゃにしてはいけないのですが、人間性を失ってはいけない、愛すると言う事が私達に出来る唯一の選択ではないか、神や悪魔ではない人間はそれ以外の選択(人を傷つける、貶める、殺す)をしても苦しむだけで、自分の心の中の憎むと言う感情ではなく愛するに苦しくても焦点を当てる事が結局は相手だけでなく自分自身を守る事、生かす事につながるんじゃないか?。

八日目の蝉は、ありえない、かなり珍しい事例をタイトルにしているのですが、ありえない、めったにない事を私達は選択して別の未来を見る事ができる、今までとは違う結末、世界を知る事ができる、(もしかしたら矢川さんの遺言も家族の意向で見れる可能性も将来あるわけで)、八日目の蝉は大変ツラい経過を辿ってはいるのですが、人間性を尊重した選択、世界と言うものをほんの少しですがかいま見えた、そういう結末を迎える内容です。

矢川澄子さんの冥福を私は祈る事は出来ないのですが、矢川さんが私達に伝えたかった内容について、私はいつまでも忘れる事は出来ないので、別の物語の中に矢川さんの心情も反映して読んでしまうかもしれません。
八日目の蝉Amazon書評・レビュー:八日目の蝉より
4120038165
No.338:
(4pt)

八日目の蝉の未来

1章の希和子の逃走劇も2章の薫(恵里菜)の現況もすべて「私」で語られる。それを読んでいる読者も「私」と一体になるが、同時に全体を俯瞰し個別のことがらを行ったり来たりするいわば「神」の目を持ってこの物語を追うことになる。
薫と希和子、恵里菜と恵津子/秋山の関係は一体化している。とてもエゴイスティックな人たちだ。自分の延長線上でないと人を愛せないという皮膚感覚の愛、というより愛着。それをさらに延長すれば嬰児殺しにまで行き着く。哺乳類である人間の本能だ。「動物」としての非常に強い縛り。これを克服するにはなにか超越的なものを持たないと難しいことは容易に察しが付く。だが一方で、希和子の薫への愛情は本当に親の愛情なのだろうかと思う。その反面、作者が母親でない実の母恵津子と偽の母希和子という設定は上手く機能していて、薫と希和子、薫と恵津子を見ていると親子といっても血統より皮膚感覚で成立するのではないかと考えさせる。薫は千種とも岸田とも恐ろしく危険な形をとることでしか信頼関係を築けない。とても危うい関係の築き方だが、こんな子はいまきっとたくさんいるのだろう。
「母親」という社会から期待され役割を演じるのは恐ろしくたいへんなことだ。この小説は解説で池澤夏樹がいっているようにフェミニズム小説だ。ろくでもない男しか出てこない。女の闘いとは現代の社会に組み込まれた暴力性といかに闘うかということだろうし、一方、男とは一体何者なのか。

出所後小豆島に渡る勇気がなく、休日や勤務の合間に岡山の港のフェリー乗り場で乗客を眺めることを喜びとする希和子と、岸田の子を身ごもって親に積年の恨みを晴らして、青い空と美しい緑の待つ小豆島に渡ろうとする薫はすれ違う。どんなになろうとも人間には最後には生きていく力がわき上がる、ということがこの小説の基底部をなしているが、その一方でとても憂鬱なトーンに支配されている。いわば、すべてが「後の祭り」の世界なのだ。これでよかったのだという感想も持ちうるが、薫は今後とてつもない困難を背負い込むだろうし、希和子も祭りの後の憂鬱さの中で少し輝いて見えるだけだ。日本社会は益々この憂鬱な色彩を濃くしている。
果たして人間がやり直すということはできるのだろうか?過去を振り返る形でしか未来に顔を向けられないというのではなく、希望を持って未来を切り開くということができるのか?

この小説は現在の日本のこの憂鬱な状況を見事に描いた。善悪というものははっきりしない。目に見えぬ何かのほうが見える何かよりもずっと大事なのだ。
八日目の蝉Amazon書評・レビュー:八日目の蝉より
4120038165
No.337:
(5pt)

タイトルとは裏腹に

角田光代さんのお話は好きなのですが、タイトルの八日目の蝉とはやはり死をイメージしてしまい、長い間手を出せずにいました。
しかし読み始めたら、一気に読み進めていました。
タイトルの死のイメージとは裏腹に、読み終えた時には生に繋がっています。長いトンネルを抜けたように、重々しいテーマを潜り抜け読後感はスッキリとしていることに感動しています。
八日目の蝉Amazon書評・レビュー:八日目の蝉より
4120038165
No.336:
(4pt)

私にとって薫としてではない、恵理菜が主人公でした。そして恵理菜の何もかもがまるで自分の姿でした。今度ドラマ化されるそうです。みようかどうしようか、少し考えています。

私にとって薫としてではない、恵理菜が主人公でした。そして恵理菜の何もかもがまるで自分の姿でした。今度ドラマ化されるそうです。みようかどうしようか、少し考えています。
八日目の蝉Amazon書評・レビュー:八日目の蝉より
4120038165
No.335:
(3pt)

悪い夢を見ていたかのような

不倫の後の幸せなど決してないと思ってはいましたが、それにしても作中の2人の主人公には、報われてほしかったと思いました。希和子も恵理菜も後先をもっと考えてほしかった。じゃないと結局、恵理菜の子供まで希和子と同じような運命を辿ってしまいそうで見ていられない。恵理菜はやっぱり4歳までの希和子からの愛情を小豆島で思い出したんだし、出所した希和子に一目会って欲しかった、いや、最後は読者のご想像にお任せするのが、この作品の魅力なのでしょうか? 八日目の蝉はどのような世界をみたのでしょうか? 読み終わった後に悪い夢でも見ていたかのような、暗い気持ちが残りました。
ですが「その子は、ごはんをまだ食べていません!」のシーンには希和子の薫への最後の愛情が感じられて感慨無量でした。
八日目の蝉Amazon書評・レビュー:八日目の蝉より
4120038165
No.334:
(4pt)

展開が気になる小説

360ページくらいあるし、字もびっしり書いてあるから、読むのに時間が掛かるかと思ったが、
すごく読みやすい文章で、難しい表現も少なかったから、3時間くらいで読めました。
あと、赤ん坊の誘拐という逃亡劇で、どういう展開が待っているのか気になるので、ついつい読めたっていうのもあります。
だいたいは、こんな展開になるんだろうなって思うと、ホントにその通りで、期待通り進んでくのが読んでて心地よかったです。

名古屋で、謎のおばさんのところに滞在していたエピソードは不気味だったけど、正直何を言いたいのか、エンゼルホームとか小豆島での
生活と比較すると分からなかったです。
小豆島のところも、ちょっと長くてダレた感じがして少し退屈なとこはありました。
あと、主語が無くてちょっと文章が分かりにくかったところや、ポエムみたいに情景が単語みたいに並べられてて、もっと全体が繋がるように
表現されてたら、そこに居る感じが出て良かったかなと思いました。

赤ん坊を育てる喜びとか、愛おしさは、すごく伝わりました。
女性の人しか描けない部分だなと思いました。
ただ、不倫した男を好きだったとはいえ、その男の妻が産んだ子を、なんで可愛いと思ったのかが、今一つ伝わらなかったです。
その誘拐した女の子が大人になって、好きな男(これも不倫男)の子供を可愛いと思い、一人で育てようと思ったのは、合点がいくのですが、、、
八日目の蝉Amazon書評・レビュー:八日目の蝉より
4120038165
No.333:
(5pt)

最初の一ページからハラハラドキドキ、一気に読ませる

私は普段はあまり小説を読まないのですが、以前角田光代さんの「紙の月」を読んで非常に面白かったので
この本を選んでみました。

最初の一ページ目から凄いサスペンスで本を手放すことができなくなってしまいました。
本書にはわずか二章しかありません。

第一章は一人称で語られる嬰児誘拐。
犯人の女性の心の動きが手に取るようにわかる。
誘拐に成功して友人・知人の好意にすがり転々と居所を移す私。
そして、なにやらカルト集団のような女性ばかりの組織に身を隠す。
この集団はいったいなにものなのか。
オウム真理教のようにも思えるし、昔あった山岸会をも思わせる。
これ以上、詳細を書いてこれから読む人の興趣を削ぐようなまねはしたくない。
集団の正体は、私はこれからどうなるのか。

第二章は誘拐された嬰児が成人した後の話。
これまた一人称で語られる。
主人公は最後はどうなるのか。
息もつかずに一気に読んだ。

本書は「紙の月」のような犯罪小説ともいえるし
女性小説ともいえる。
というのは、本書の登場人物に男性は2~3人しかいず、それも脇役に過ぎない。

子育ての喜びと悲しみ
犯罪者の心理
カルト集団の組成etc
そして最終章の最後で読者は、「ああよかった。」と安どの吐息を漏らすことだろう。
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4120038165
No.332:
(5pt)

「紙の月」と読み比べて

主人公が健気で応援したくなる。
読んだ後、すぐに小豆島に行ってみた。
海も山も穏やかで綺麗だった。
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4120038165
No.331:
(4pt)

八日目の蝉

読み始めは延々と逃げるだけかと思うと、少し滅入っていたが、読み進めるにつれ、物語にひきこまれた。
誘拐は許されることではないが、登場人物像全員の幸せを願わずにはいられなかった。
不甲斐なく、女にだらしない男しか出てこないのは残念だったので、星4つ。
八日目の蝉Amazon書評・レビュー:八日目の蝉より
4120038165
No.330:
(5pt)

切なく、あたたかく、複雑な思いの残る作品

ドラマを見てから本を読みました。
ドラマも感動的でしたが、本はもっと詳しい、描写が描かれています。
犯罪は重くいけない事だけど、せつなく母親の愛情の気持ち母性など複雑だけど
心に何か残る、色々考えさせられる作品でした。
八日目の蝉Amazon書評・レビュー:八日目の蝉より
4120038165
No.329:
(5pt)

後味の悪くない小説

映画化された小説。
私は映画を見ていないので、純粋に本の内容のレビューを。

あらすじは、とある誘拐事件で犯人である女と誘拐された娘?の心情を描いた物語。
前半は誘拐した女の目線から、後半は誘拐された娘の心情を日記と主観で物語が進む。

分量もそこまで多くなく、読みごたえもそこそこ。
何より人間の心情がリアルに描かれており、読んでいて退屈しない。

あえて批評点を書かせてもらうなら、1章と2章のつなぎ目が少し分かりにくかった。
女の視点から急に娘の視点に変わるため、若干混乱するが、読んでいくうちに分かるので、大した問題ではない。
また、結末がもう少し別の展開があったのではないかなと思ってしまう。
もちろん本書の結末も、これはこれでありなのだとも思う。

人それぞれ感じ方は違うのだろうが、個人的には良作だと思う。
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4120038165
No.328:
(5pt)

無償の愛の物語

小説を読む際に何を気にするか? 僕は『なんで?』と違和感を持った文を大事にする。
普通ではないコト、そういう部分にこそ作者の書きたい事が現れると思うので。

この小説で一番違和感を持ったのは、岸田さんに対して『困らせてもいけない、気の毒な目にあわせてもいけない。』というシーン。
『何にも役に立ってくれない男に対して、なんでそこまで思わないといけないのか??』と。

この小説は『母と子の物語』だと思われているようだ。
でも僕はそうは読まなかった。なぜ誘拐犯と子の物語を選択したか?それは『血のつながりを持たない隣人から子供への愛』を表している、と思うのだ。だからこそ、僕のような”男”でも涙が止まらない普遍的な物語になっている。

そして、上記の恵理菜から岸田さんへの一方的な見返りを求めない愛が出てくる。
これは、希和子から薫への愛と同じだ。つまり見返りを求めない『無償の愛』。
そして『無償の愛』はそれを差し出す側にこそ、しっかりと『なにか言葉にできない大事なモノ』を残してくれる、という事をこの小説は示しているのだ。

ただ、最後に1つ指摘しておきたいのは、『恵理菜を救ったのは岸田さんである』っていう事だ。
岸田さんは『ただ愛を受ける』というそれだけで恵理菜を救ったのだ。『頼りにならない男』にもちゃんと使い道がある、って事ですね。
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4120038165
No.327:
(5pt)

悲しい話ですが・・・・

犯罪と言えば明らかに犯罪ですが、主人公の気持ちになってみると、悪い事をしているのはわかっているのですが、一生懸命に子供を育てているのは間違いなく、最後は少し悲しくなってしまいました。主人公の中に入っていけるという所は面白かったです。
八日目の蝉Amazon書評・レビュー:八日目の蝉より
4120038165
No.326:
(5pt)

主人公に共感させられてしまう。

日本人作家の中では一番好きな作家が
角田さんです。作品はほぼ読んでおりますが、これが一番好きな作品です。読んでいるうちに主人公に逃げ切って欲しいと切実に願っている自分に気づきました。薫が警察に保護されるシーンは何度読んでも泣きます。だって薫にとっては主人公がお母さんなんですから。幼い子供をもつ母親としては、母親から引き離された子供と母親としての主人公に同情してしまいます。母親だと思わせるに至ったことこそが主人公の罪と思います。普通に法に触れる罪かどうかは別の問題として。主人公に共感し過ぎる余り、秋山夫妻が世間から誹謗されるくだりで爽快感さえ抱いてしまいました。下世話な心理を見事に操られました。計算づくだとしたら角田さんウマ過ぎます。実際にあった事件が題材だったことを後で知りましたが、レビューの中に、当事者の身になったら書けないはず、不謹慎、みたいなものがあり、ある意味びっくりしました。それだけ描き方がリアルだったということでしょうか。三面小説記事という作品も実際にあった事件をモチーフとして描かれておりますが、角田さんの小説を読むと、ニュースで報じられる事件の裏にも報じられることのない様々な事情があるのだろうなと想像してしまいます。
八日目の蝉Amazon書評・レビュー:八日目の蝉より
4120038165

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