■スポンサードリンク
テロリストのパラソル
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
テロリストのパラソルの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.95pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全176件 141~160 8/9ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
史上初の江戸川乱歩賞・直木賞のダブル受賞作品。 輝かしい功績を残した作品だけに、さすがにすばらしい作品だと感じる。 審査員の意見が全員一致で江戸川乱歩賞を受賞したことは、おおいにうなづける話である。 何よりもまず、文章センスのよさに驚かされる。 読み出してすぐに作品の世界に引き込んでくる。本当に出だしの一行目は美しく魅力的だ。 藤原伊織の文章は、本当にどの文を切り取っても名文だと思う。 藤原伊織の綺麗で流れるような文体を一度は体験してほしい。 ストーリーも魅力的である。 詳しくは書けないが、新宿の街で起こった爆弾テロ事件が主人公の過去に上手く絡んでくる。 伏線もなかなかよく働いている。 また、登場人物がとても生き生きと描かれており、本当にそれぞれのキャラクターが作品の中で呼吸をしている。 主人公以外の脇役にも手を抜かず、通行人一人ひとりが生きている。自分がまさに新宿の街に存在しているのではないかと思わされるほどだ。 リアリティーとはこういうことなんだと感じさせられる。 全共闘時代を話題にしているため、拒否反応を示す読者も多いようだが、実際のところ全共闘は物語の芯や軸ではない。 重要なのは『彼らが戦っていたものは結局何だったのか?』という一方的な問いである。 もちろん、答えは提示されないままだが。 日本ハードボイルド界に新たな世界を拓いた作品だといえるだろう。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
私はおそらく作者や主人公とほぼ同じ世代なのだが、本作に描かれている登場人物(=作者)の考え方は到底理解できない。本作は全共闘世代の自慰とも言えるもので、他の世代には理解できないものである。実は私が大学に入学した当時、紛争は続いていた。私の知人(政治的な偏向なし)で暴力沙汰に巻き込まれた者もいる。それだけに私は本作の背景が見える。 作者がそれをハードボイルド・タッチで描いているのは、滑稽さを通り越して、醜悪感させ覚えさせる。本作をハードボイルドの傑作等と呼ぶのは浅薄過ぎる。これを仲間うちの同人雑誌に投稿するならともかく、公の刊行本として発表するところにこの世代の怖さがある(勿論、出版側にもこの世代がいるのであろう)。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
そもそもハードボイルドなんてあまり読まないし、酔っ払いがかっこいいとも思った事がない。でも、このお話はとても切なくて、何度も読みかえしてしまいました。 第41回江戸川乱歩賞 もう、10年も経つのに、今読んでもぜんぜん色あせない本物の小説です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
公園で酒を飲むのを日課とするアル中。 いつものように過ごす、ゆったりとした時間は突然の爆音によって壊された。 久々に読書の楽しさを感じた一冊。 するすると物語は展開していき、内容がすんなりと頭に入ってくる。 計算された物語構成だと思う。 アル中のオヤジに魅力を感じるとは不覚…っ!とも思うけれど 頭脳派ヤクザも文句なく格好いいから、もう何も言いません。 事件の真相にあなたはどこで気付けるか? (…私は結構驚かされた) | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
刊行当初から全共闘世代の願望充足小説めいている、という批判があったそうだが、まったくその通りだと思う。 登場する人物が皆そろいもそろって、妙にスカしたり、キザったらしい台詞を連発するので読んでいてウンザリしてくる。主人公の臆面もないハードボイルドヒーローっぷりははたして作者の確信犯なのかどうか。チャンドラー、「長いお別れ」の構図をそのまま持ち込んでいるのにも唖然とさせられる。直木賞の選考委員の見る目のなさがモロにでた作品だろう。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
新宿の公園で起こった、テロ。当然、疑われる人物。何の脈略もないけど、「食べてみたいと思うホットドック」・・・読んでいない人には何の噺家と思うかも知れないけれど、まずは、こんな調子で、この壮大な物語は始まる。 ネタバレになってはならないので、割愛するが、外国のテロリズムや拷問の恐ろしさとか、良くぞここまで書いたというのが、率直な感想である。 わずかに救いになる男女の場面〜普通、この種の小説では、将来の映画化を目的とした濡れ場の設定になってるが、そうではない〜が、最期までキーポイントとなっている。 テンポの速い小説で、一気に読んでしまうので、翌朝仕事がある場合は、一晩我慢した方がいい。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
96年度版このミス6位 1995年文春ミステリーベスト10 1位 週刊文春二十世紀傑作ミステリーベスト10 19位 第41回江戸川乱歩賞 第114回直木賞受賞 この作品を読まずに、日本のハードボイルドを語ることはできないであろう傑作。 作品のテンポ、主人公や登場人物の造型、そしてmysteryの要素等、発表から10年以上たっても色あせることのない作品である。作者の他の作品にもいえることだが、特に会話文の使い方がうまく、全編を通じ、よく練り込まれたストーリーに緊迫感を与えており、読書をあきさせない。 絶対にお薦め出来る作品である。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
史上初の乱歩賞と直木賞のW受賞作。 通称テロパラ。 それほど御大層な作品かな、と言うのが素直な感想です。 正直なんでこんな作品が乱歩賞や直木賞取れたのか理解出来ません。 全共闘がどうこう言われても、なにそれ?って感じ。 一部に熱烈なファンがいるようですが、あたしには作品世界に入り込めませんでした。 ストーリーは都合の良い話ばかりです。 加害者グループも被害者グループも偶然がありすぎます。 重要な情報も都合良く手に入れてるし。 ホームレスに元大学教授の法医学者が都合良くいるなんて、普通考えられますか? きらびやかな帯に惑わされてはいけません。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
独特のリズム。 すぐに気がつくのは一文の短さ。 それが「私」のクールで言い訳をしない、時としてつきはなしたような冷めた生き様を演出するのに花を添える。 「私」の正体いや名前すらも50ページを越したところで始めて明かされるのだが、それすら何の違和感もなく受け取ることができる。 「ケチなインテリ」である「私」と「スマートでキレるヤクザ「浅井」の会話のかっこよさときたら。 意を解することができる、筋の通った者同士の会話というのは こうまで余計なものがなくこうまで透き通っているものなのか。 説明調の記述が一切ないにもかかわらず、登場人物や背景がスムーズに理解できるのには、驚かされる。 上手な人の文章というものはこうも見事なものなのかと。 もちろんストーリイもまたかっこいいのだけれどせつなく 組織というものに属さない者達がまっとうに生きることがいかにシビアであるかを、日本の中でも最高の組織の一つに属していた作者がここまで書けてしまうのにもまた驚愕。 間の悪い人は必ずいる。 運が悪いといってもいい。 そしてたいがいはその不幸は誠実で正直な人の元へ訪れる。 それでもその生き方しかできないのがそういった人たち。 それが世というもの。 飲めないのにウイスキーが飲みたくなる 好きでもないのにホットドッグが無性に食べたくなる 男がかっこよく生きるということはこうも難しくこうもかっこいいことなのか。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
衝撃的な事件からこの物語は始まる。軽快なテンポで話が進み、読み手を ぐいぐいと作品の中へと引き込む。二重三重に絡む人間関係が、この作品に さらに面白さと深みを与えている。それにしても、人間の思いというのは 歳月を経ても色あせないものなのか?それが恨みならなおさらなのだろうか? ラスト、失ったもの以上に得たものがないことに、むなしさを感じた。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
と直木賞ダブル受賞ってのも伊達じゃないってくらいの好評価でして、今なお伝説となりつつある本。 アル中の中年のおっさんを主人公なんですが、すごいですよ、主人公が光るひかる。 その技術には舌を巻くばかりで、ばりばりのハードボイルド好きが読んだら狂喜乱舞しそうなお話。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
アルコール中毒のバーテン島村は、中央公園で死者50人以上の大きな爆発にまきこまれる。 自身は無事だったが、爆発で、大学生時代の友達と恋人が死亡したことを知る。 犯人は?そして目的は?友人達が巻き込まれた理由は? ヤクザの浅井、恋人の娘塔子、などの協力で謎を追いかける。 主人公が、あまり暴力的な気持ちをもっていない人物なので、展開が速くて事件が次々起きるのに、どこか静かな雰囲気の小説です。 登場人物が全員とても頭の回転が早い人ばかりで、特殊です。 とても面白くて、長い小説なのに中だるみもまったくなく楽しみました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
~ 乱歩賞&直木賞W受賞の名作。スピード感もあり、あっという間に読めるおすすめの一冊。 島村は、20年以上もアル中となり、過去を隠し暮らしていた。その日も、いつもの晴れの日のように、公園で昼寝しながらウイスキーの口開けを楽しみ、手の震えが止まってから働くという、いつもと同じ一日となるはずだった。しかしその平穏は、1発の爆弾によっ~~て崩された。 爆弾で動き出したのは、隠していた20年前の過去。学生運動・全共闘時代のあの日のことだった… かつての仲間、死んでしまった恋人、そしてその娘や怪しげなヤクザたち。流れるように展開する物語は読みやすく楽しめる。文は職人技で素晴らしく、特に冒頭は美しい。さすがは乱歩賞&直木賞受賞作。 ただ、ミステリーとしてのテ~~クニック、あるいは文学としての思索は、やや薄い印象。少なくともあの時代を描いた作品なら、もっと「哲学」が欲しかった。~ | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
江戸川乱歩賞と芥川賞の両方を受賞した史上初の作品。 映像化もされたそうですが…私は見ておりません。ただこの作品「狙って」作った作品らしく(講談社の「IN ポケット」中のインタビューにあり)、派手なカーチェイスが入っているのはそのせいらしいです。映像化したときに派手だし迫力があるだろう…と。 さてこの話ですが、冒頭のつかみが物凄くうまい。 中年のアル中バーテンが、土曜の昼間に新宿中央公園で酒を飲んで寝ていたとき、噴水広場で爆発が起こる。数十人の犠牲者を出したその事件に、彼は22年前の事件を思い出す。 やがて彼の前に浅井と名乗る奇妙なやくざや、かつて共に学生運動をし、3ヶ月間だけ共に暮らした女の娘が現れる。そして現場に残してきてしまった酒瓶から、彼の指紋が検出され、彼は指名手配されてしまう…。 冒頭からラストまで一気に読ませてしまう筆圧の高さ。 そして緻密に計算された伏線と、登場人物たちの過去。 面白いです。読んでいてわくわくします。 私は「シドニィ・シェルダン」は読んだことがありませんが、まさに怒涛のジェットコースター小説の感覚。 この方、昼は会社員(たしか電通の社員だったっけ)、夜は執筆活動をなさっているとか。 さすがW受賞するだけのことはある逸品ですので、ぜひご一読あれ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
アル中の男が公園にねそべっている。少女が近づき、少し仲良くなる。男親が心配してやってくる。男は弁解する。「二人で世の中の真理について話していたんです」冒頭のこの場面を読んでわたしは誰にも聞こえない声で『ビンゴ』とつぶやいた。初めて読む小説家で、最初から魅了してくれる小説にであえる可能性というのは、喫茶店でたまたま隣り合わせになった女性と付き合いに至る可能性よりは大きくはない。期待通り、アル中の男はアル中のまま、ノーテンキに、粘り強く、男の魅力を振りまきながら、新宿中央公園爆破事件の犯人を追い詰める。途中の展開に少し無理があるのではないかと心配したが、最後は見事に着地した。まさかこれがミステリー小説第一作目だとは。主人公と同じく著者は東大卒の中年のおじさんである。冒頭、宗教勧誘らしき若者が主人公の中年と一言二言交じわしたあと、肯いて言う。「やるじゃん、おっさん」 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
私はこの本を5回は読んでいる。何度読んでも、感銘がこみ上げてくる。派手さはないけれど、主人公とヤクザの友情、亡くなった女性への愛情など、男の生き様を見せてくれます。セリフも抜群に良い。ミステリーファンならば絶対に避けては通れない。必ず読むべし。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
内容はいかにも乱歩賞!なもの。それにしても人物描写のうまいこと。よもやアル中の半ホームレス中年をここまで輝かせる筆力は圧巻。 素直に面白いな、と思える作品だった。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
先日、同じ著者の『ひまわりの祝祭』を先に読んだのだが、確かにこちらの方が遥かに面白い。他人と隔離していきる主人公であるとか、主人公を取り巻くヤクザであるとか似ているパターンは多い。が、それらの魅力は段違いにある。会話がどうこう、というのは置いても主人公でありアル中のバーテン・島村、元警官のインテリヤクザ・浅井、ホームレスのタツやハカセ、かつての仲間の娘・塔子・・・それぞれのキャラクターが立っており、早いテンポでストーリーが進みつつも魅力が十分に伝わってきた。この作品に限らず、乱歩賞の持つ欠点なのだと思うが、ラストがちょっとゴタゴタしてしまったのは残念。それでも、十分に楽しめるものだったことは確かだ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
この本で初めて著者を知りました。これ以外の作品も読みましたが、やっぱり本書が最高傑作だと思います。その他の作品もそうですが、文章に余分な装飾がありません。脳にすんなりと文章が入ってきて、読んでいて退屈せず、イメージも描きやすいです。ハードボイルド作品としても一級品。主人公のキャラに誰もが惹かれることでしょう。まさに読んで損なしです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ナントカ賞&ホニャララ賞W受賞!!ダレダレも大絶賛!!・・・・とかいう、過剰とも思われる好評価を聞いてから読む本というのは、おのずと読む者の「期待値」はMAXとなり、しかし読後は必ず溜息まじりに本を閉じることの繰り返し。「テロリストのパラソル」も例外ではなかった。もちろん、前知識も無くフラットな精神状態で読んでいたとしたら間違いなく「面白いね!」となるくらい、この小説は完成度が高いと思う。ただ、あまりにも期待が大きすぎたというだけです。推理小説として読めば肩透かしを食らうけど、1人の男の生き様を描いた物語として読めば悔いない。そう・・・。自分はただ単純に、読み方を間違えてしまっただけなのです。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!