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三年坂 火の夢
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三年坂 火の夢の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.08pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全13件 1~13 1/1ページ
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舞台は明治。2組の主人公が交互に現れて進んでいくミステリー。 歯切れのいい文章・斬新な発想・スケールの大きさ。 それから、トキちゃんというキャラのアクセントが抜群で構成もうまい。ずいぶん書き慣れた作家さんだなーと感じた。じわじわじわじわ謎に迫っていくタイプのミステリですごく丁寧に作られている。 最後、どうなるのか楽しみで楽しみで絶賛のレビューを書こうと思ってた。 それが最後の最後であれだもんな・・・ 468p.の小説で裏切られるのがp.427から。そこまでは完璧だったのに・・・違う着地点いくらでもあっただろうに。そこから後は別人が書いたんじゃないかと疑うくらい。 あのねーーー!!、1人称の小説ではもちろんのこと、「これ」をやったらもう成り立たないの。 神視点の3人称の小説だろうが読者は、 「紅潮していた」 とあったら そう捕らえるの。 「彼女に会いたいと思った」 とあったら そう捕らえるの。 「疑わしげな目を向けていた」 とあったら そう捕らえるの。 これを疑ってかからないとしたら信じるべきひとつの決まりごとさえない。 人間が人間の表情を読み間違えるなんてないの。少なくとも小説の中では絶対にやってはいけない。 ぜんぶ演技だった?人格まで変わってしまっているじゃないか。 それがひとりじゃなくて複数いるんだとしたら読者は何を信じればいいの?今まで読んできて誰かに肩入れしてたのはなんだったの?ほんとひどい。 トキちゃんがいい味出してたから彼女に免じて★2にしとく。 | ||||
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ユニークなミステリーとして、こういう作品がもっと出てくればいいと思いました。知る楽しみを十分に味わえる秀作だと思います。 ただ、どなたかも書かれていましたが、東京の地理についての予備知識が必要なところがネックだと思います。ガイドブック風に写真や地図がふんだんにあれば楽しめたかもしれませんが、そこまでユニークなミステリーを乱歩賞に応募することは、現時点では無理でしょうね(笑) それと、人物の出会いが唐突というか、偶然すぎるきらいがあると思います。例えば、探索の途中にたまたま見かけた女学生や頭巾の女性が重要な役割を果たすのですが、どういうきっかけで彼女たちに注目したのかが腑に落ちませんでした。 また、登場人物が大げさに坂の秘密を論じているほどには、読者にとって重要な問題と受け止められない点、今ひと押し、説得力を加えたほうがいいように思います。人物だけが大騒ぎして、読者が白けるシーンが多かったようです。一工夫を。 | ||||
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明治の東京を舞台に繰り広げられる青春ミステリー。この時代の東京の「坂」の多さと「火事」を、作者の視点で見事に平明な文で面白く描いて巧に読ませてくれる独創性溢れる佳作。いつの時代の学生も庶民は、経済的に大変なのが実感できます。少しだけ推理に滑らかさが無いのが、イマイチ戴けませんが、全体で観ればお勧めの乱歩賞作品です。これがテーマが違っても、現代を描いた作品であれば・・・・・・。 | ||||
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実兄が死ぬ間際に残した「三年坂で転んでね」という言葉、その三年坂について調べていたらしい父の後を追い、受験生の主人公が密かに調査を開始する。読んでいて自分も二十世紀初頭の東京を探索している気分になる。タイムスリップ感満点で時代考証も確からしく、なかなか楽しい。もう一人予備校の講師が、江戸・東京で次々に起こった大火には<発火点>が関係しているという面白い説を元に調査を始める。 二つの物語は、それぞれの目的の元進み、物語の端々で物凄く自然に謎が少しずつ深まっていく。 後半になって、数々の謎がどんどん繋がっていき解き明かされていくが、その進行の仕方が素晴らしく淀みない。ページを捲る手が止められない。そして最後は怒涛の展開。意外な犯人とその逮捕劇、父の行方、三年坂とは何か、その全てが明らかになり、救いもある。 ものすごく爽やかな読後感。そして名作と呼びたくなるようなどっしり感。読んで損は無いと思う。 | ||||
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江戸が色濃く残る東京の地図を追うのは楽しいが、ミステリとしてはいかがなものか。 プロットが弱いというか、謎の核心が時代劇じゃあなあ、と。 読了したけど、ブックオフ行きだねえ。 | ||||
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しばらくご無沙汰している江戸川乱歩賞受賞作品を検索した折、ノスタルジックな感覚のタイトルに惹かれて読もうと思った。 多くの本を読んでいると、タイトルだけで内容の傾向のようなものが、おぼろげながら判るような気のする時もある。そういう時には自分の勘を信じることにしている。 だから、作家諸氏も多分作品のタイトルには、充分に気を使っているのではないかと思うが、どうだろう? こういうタイトルに郷愁のようなものを感じるのは、本格的にミステリーを読むようになった、僕にとって原点とも言えるのが、シャーロック・ホームズだったから、古き良き時代を連想させるようなミステリーに惹かれるのかもしれない。 まあ、そういったところで読み始めると、まさしく本書の舞台は維新後の間もない明治初期の東京だった。 メインのキャラクターは二人。帝大進学を目指し奈良県S市から東京へ出てきた内村実之、と、大学進学のための予備校(この頃から予備校はあったのだと、初めて知った)、開明学校で英語の講師をつとめる高嶋鍍金(めっき)先生。 物語はこの二人の視点、“三年坂”と“火の夢”ということで進行する。 貧乏士族・橋上家の次男坊である実之は、父親の橋上隆が家を捨てて東京に出てしまったために、母親、兄・義之とともに母親の旧姓内村になって、母親の実家で暮らすことになった。成績の優秀な兄は帝大に進学していたが、ある時怪我をして実家に戻ってきた。大学も辞めてしまっていたようだが、その理由も判らないまま怪我から入った菌に犯されまもなく死亡してしまう。 義之は東京で父親探しをしていたらしいが、死の直前に口走った「三年坂・・・」の謎とは何か? アルバイトでためた金と、友人の援助もあって、実之は帝大進学を目指すという口実で、東京へ出ることを決心する。 一方、高嶋鍍金は出版社天命館の編集者鷺沼の依頼で、書いた都市火災についての原稿が好評だったということで、再び原稿の依頼をされる。同じ開明学校で、物理学を教えている立原との間で、東京を焼き尽くしてパリ並みの都市の再開発をするには、どこに火をつけるかという話になるのだが・・・。 このストーリーの見事なところは、内村実之という青年の、受験を控えた中での“三年坂”探しのもどかしさと、一方の高嶋鍍金の東京を焼き尽くすための複数の発火点探し、そして、失踪した実之の父親が、どのように繋がっていくのかが終盤まで混迷の度合いを深めていくところだ。 東京の坂の名前の由来が、解明されていくのも面白い。 '09/8/6付 ブログ(http://pub.ne.jp/suminoroujin/)より転載 | ||||
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あまりミステリー小説という感じはしなかった。 が、明治時代の東京における坂の謎という設定が面白かった。 火事で全焼した東京の再開発計画・・・この話は昭和になってからも実は存在しており、東京で直下型地震が起こった後、大手ゼネコンが中心となり新たな東京の町作りを行う極秘の計画がある。 こんな話が昭和の終わり頃には随分と囁かれていました。 さて、星が5つでない理由として、アイテムを少し詰め込みすぎたきらいがあると思います。 できたら鍍金先生を主人公とした探偵ものにしたほうがすっきりしたのではないでしょうか? | ||||
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文章が平坦で、なかなか事件の核心に行き着かない。読んでいて少しイラついた。明治時代に興味があったのでなんとか読み切ったが、この時代に興味がない人にはどうなのだろう…。と思い、☆二つ。 | ||||
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’06年、「第52回江戸川乱歩賞受賞作」。同時受賞の『東京ダモイ』とは異なり、明治時代の東京を舞台にした歴史&青春ミステリーである。 内村実之(さねゆき)は18才、奈良県のとある町の旧制中学5年生である。ある夏の日、5才年上の帝大生の兄が突然帰郷した。それも、帝大を勝手にやめて、下宿を引き払い、渡されていた残りの学資も使い果たし、さらには腹部に傷を負って・・・。やがて兄は「実は三年坂で転んでね」と、謎の言葉を残してあっけなく死んでしまう。実之は、兄の死の謎を解くため、旧制一高進学を決意、単身上京する。彼はさまざまな人たちと出会いながら、“坂の町”東京で「いくつもある三年坂」を探して歩き回るのだが・・・。 ストーリーは、この実之の物語を「三年坂の章」として、そして予備校の鍍金(めっき)先生の東京の大火事についての推理行の物語を「火の夢の章」として、このふたつの章が交互に描かれて進んでゆく。 普通のミステリーが持っていない、奇妙だが、魅力的な“謎”を持つ小説だった。特に明治期の東京を「坂の町」としてみるという着眼点はユニークだと思う。 難をいえば、実之の「三年坂」探索行が、注釈が多くて、私のように東京以外の住人で東京の地理に詳しくない人にはつまらなかった事だろう。 今回の乱歩賞受賞作は2作品とも比較的厳しい評価がされているが、私は本書にはギリギリ及第点をあげてもいいのではないかと思う。 | ||||
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江戸から東京へ、激動の時代を背景にした幻想的な雰囲気のあるミステリ。当時の東京の雰囲気などの描写はとてもうまいと思ったのですが、物語自体の起伏が乏しく、最初に提示される魅力的な主題が、構築された世界を牽引し切れてないような所があって少し残念です。しかし、当時の社会の有り様や、東京の変化なんかは読んでて面白かったですね。でも土地勘がないので、ちょっと苦しかったですけどね。東京を舞台にした幻想譚として読めば楽しめるでしょう。 | ||||
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私にはミステリーとしても十分におもしろかったですが、 江戸から東京に変貌しようとしている街の姿、そしてそこに生きる人々を いきいきと描いているところに惹かれました。 いかにも「乱歩」っぽいオカルト色を入れたりするだけでなく、 筆者が予備校を経営していたこともあって、今日とも十分接点のある 過酷な受験事情をからませているなど、ただの”ノスタルジー”には終わらせない 構成もなかなかの力作だと思います。 それにしてもこの本のキーにもなってくるトコロですが、 幕府開闢以来、ずっと江戸に住まっていた御家人、旗本など 将軍家直属の幕臣だった人たちの怨念は一筋縄ではなかったと 思いますね・・・。 | ||||
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「三年坂で転んでね」と言い残した兄の死の謎を解くべく、上京して一高受験の準備をしながら、三年坂を探す主人公の実之のストーリー『三年坂』と、東京大火災と三年坂の関係を探る英語講師の高嶋鍍金のストーリー『火の夢』とが交互に平行して進展し、最後に両者が結びついて事件の真相が明かされます。 事件の展開は面白く、最後まで一気に読めましたが、結末はちょっと唐突で、全体との結びつきや動機が弱く、がっかりしました。その反面、舞台となっている明治時代の東京という都市の謎の描き方が興味深く、この作品のミステリの本当の正体はむしろ、東京という都市のような気がします。 | ||||
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前半の導入部など、すごく惹かれる部分もあるのだが。 後半になると、どうもダメダメになっていってしまう。 特に、文章の出来が今一つというか、平坦でありながらムラがあるような、おかしな具合。 今年の乱歩賞は2作とも、平年より出来が悪い印象が残った。 | ||||
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