■スポンサードリンク
三年坂 火の夢
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
三年坂 火の夢の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.08pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全6件 1~6 1/1ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
明治の東京を舞台に繰り広げられる青春ミステリー。この時代の東京の「坂」の多さと「火事」を、作者の視点で見事に平明な文で面白く描いて巧に読ませてくれる独創性溢れる佳作。いつの時代の学生も庶民は、経済的に大変なのが実感できます。少しだけ推理に滑らかさが無いのが、イマイチ戴けませんが、全体で観ればお勧めの乱歩賞作品です。これがテーマが違っても、現代を描いた作品であれば・・・・・・。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
実兄が死ぬ間際に残した「三年坂で転んでね」という言葉、その三年坂について調べていたらしい父の後を追い、受験生の主人公が密かに調査を開始する。読んでいて自分も二十世紀初頭の東京を探索している気分になる。タイムスリップ感満点で時代考証も確からしく、なかなか楽しい。もう一人予備校の講師が、江戸・東京で次々に起こった大火には<発火点>が関係しているという面白い説を元に調査を始める。 二つの物語は、それぞれの目的の元進み、物語の端々で物凄く自然に謎が少しずつ深まっていく。 後半になって、数々の謎がどんどん繋がっていき解き明かされていくが、その進行の仕方が素晴らしく淀みない。ページを捲る手が止められない。そして最後は怒涛の展開。意外な犯人とその逮捕劇、父の行方、三年坂とは何か、その全てが明らかになり、救いもある。 ものすごく爽やかな読後感。そして名作と呼びたくなるようなどっしり感。読んで損は無いと思う。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
しばらくご無沙汰している江戸川乱歩賞受賞作品を検索した折、ノスタルジックな感覚のタイトルに惹かれて読もうと思った。 多くの本を読んでいると、タイトルだけで内容の傾向のようなものが、おぼろげながら判るような気のする時もある。そういう時には自分の勘を信じることにしている。 だから、作家諸氏も多分作品のタイトルには、充分に気を使っているのではないかと思うが、どうだろう? こういうタイトルに郷愁のようなものを感じるのは、本格的にミステリーを読むようになった、僕にとって原点とも言えるのが、シャーロック・ホームズだったから、古き良き時代を連想させるようなミステリーに惹かれるのかもしれない。 まあ、そういったところで読み始めると、まさしく本書の舞台は維新後の間もない明治初期の東京だった。 メインのキャラクターは二人。帝大進学を目指し奈良県S市から東京へ出てきた内村実之、と、大学進学のための予備校(この頃から予備校はあったのだと、初めて知った)、開明学校で英語の講師をつとめる高嶋鍍金(めっき)先生。 物語はこの二人の視点、“三年坂”と“火の夢”ということで進行する。 貧乏士族・橋上家の次男坊である実之は、父親の橋上隆が家を捨てて東京に出てしまったために、母親、兄・義之とともに母親の旧姓内村になって、母親の実家で暮らすことになった。成績の優秀な兄は帝大に進学していたが、ある時怪我をして実家に戻ってきた。大学も辞めてしまっていたようだが、その理由も判らないまま怪我から入った菌に犯されまもなく死亡してしまう。 義之は東京で父親探しをしていたらしいが、死の直前に口走った「三年坂・・・」の謎とは何か? アルバイトでためた金と、友人の援助もあって、実之は帝大進学を目指すという口実で、東京へ出ることを決心する。 一方、高嶋鍍金は出版社天命館の編集者鷺沼の依頼で、書いた都市火災についての原稿が好評だったということで、再び原稿の依頼をされる。同じ開明学校で、物理学を教えている立原との間で、東京を焼き尽くしてパリ並みの都市の再開発をするには、どこに火をつけるかという話になるのだが・・・。 このストーリーの見事なところは、内村実之という青年の、受験を控えた中での“三年坂”探しのもどかしさと、一方の高嶋鍍金の東京を焼き尽くすための複数の発火点探し、そして、失踪した実之の父親が、どのように繋がっていくのかが終盤まで混迷の度合いを深めていくところだ。 東京の坂の名前の由来が、解明されていくのも面白い。 '09/8/6付 ブログ(http://pub.ne.jp/suminoroujin/)より転載 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
あまりミステリー小説という感じはしなかった。 が、明治時代の東京における坂の謎という設定が面白かった。 火事で全焼した東京の再開発計画・・・この話は昭和になってからも実は存在しており、東京で直下型地震が起こった後、大手ゼネコンが中心となり新たな東京の町作りを行う極秘の計画がある。 こんな話が昭和の終わり頃には随分と囁かれていました。 さて、星が5つでない理由として、アイテムを少し詰め込みすぎたきらいがあると思います。 できたら鍍金先生を主人公とした探偵ものにしたほうがすっきりしたのではないでしょうか? | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
私にはミステリーとしても十分におもしろかったですが、 江戸から東京に変貌しようとしている街の姿、そしてそこに生きる人々を いきいきと描いているところに惹かれました。 いかにも「乱歩」っぽいオカルト色を入れたりするだけでなく、 筆者が予備校を経営していたこともあって、今日とも十分接点のある 過酷な受験事情をからませているなど、ただの”ノスタルジー”には終わらせない 構成もなかなかの力作だと思います。 それにしてもこの本のキーにもなってくるトコロですが、 幕府開闢以来、ずっと江戸に住まっていた御家人、旗本など 将軍家直属の幕臣だった人たちの怨念は一筋縄ではなかったと 思いますね・・・。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
「三年坂で転んでね」と言い残した兄の死の謎を解くべく、上京して一高受験の準備をしながら、三年坂を探す主人公の実之のストーリー『三年坂』と、東京大火災と三年坂の関係を探る英語講師の高嶋鍍金のストーリー『火の夢』とが交互に平行して進展し、最後に両者が結びついて事件の真相が明かされます。 事件の展開は面白く、最後まで一気に読めましたが、結末はちょっと唐突で、全体との結びつきや動機が弱く、がっかりしました。その反面、舞台となっている明治時代の東京という都市の謎の描き方が興味深く、この作品のミステリの本当の正体はむしろ、東京という都市のような気がします。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!