三十棺桶島
評判
三十棺桶島の評価:
4.28/5点 レビュー 18件。 D ランク
Amazonレビュー一覧
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全22件 1〜20 1/2ページ
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三十棺桶島の評価:
4.28/5点 レビュー 18件。 D ランク
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というのは、まず映画批評であり、日経新聞に時々掲載される、映画史を俯瞰した中条の批評を、私は大変楽しみにしている。そして、「教養としてのフランス映画220選」(祥伝社黄金文庫、2023年)を眺めては、この220の映画を全てを見切れていないことに、ため息をついている。いったいいつ、見切れるというのだろうか。
次に、マルセル・プルースト「失われた時を求めて」のフランスコミック版の2冊(祥伝社)で、この中条訳のおかげで、私は難解なプルースト作品を少しイメージする手がかりを得た。この続編は出ないのだろうか。
最後に、カミュ「ペスト」の光文社古典新訳文庫から出ている新訳で、これについては、思い入れたっぷりのレビューを書いたので、関心ある方は、レビューのみならず、中条訳も読んでほしい。
そして、モーリス・ルブラン「三十棺桶島」の新訳が出されると知って、予約して、読むのを楽しみにしていた。ちょっと、訳者あとがきから引用すると、「そんなわけで、二年ほど前に光文社古典新訳文庫の編集者の今野哲男さんから、カミュの『ぺスト』の次は何を翻訳しますか、と尋ねられたとき、思わず、 ルブランのルパン物の一冊、なかでも 『三十棺桶島』をやってみたいと答えていました。ルパン物のなかでもいちばん荒唐無稽な作品を、違和感なくスピーディな現代文に移すことは、翻訳者としてやりがいのある試みだと思ったからです」(596頁)とあるとおり、訳者として張り切って訳した感じが、この訳文にはあって、とても読みやすく、生き生きした文章だった。
また、小学生以来、本当に久しぶりに、アルセーヌ・ルパンのシリーズ作品を読んだが、ルパンは、シャーロック・ホームズでもエルキュール・ポワロでもなく、どちらかと言えば、ジェームズ・ボンドとかイーサン・ハントのような活劇中の人物で、フランス的な洗練が加えられている。本格的ミステリーとは少し違うし、冒険活劇というジャンルだからこそ、小学生の私は熱中したのかもしれない。
そのほか、第一次世界大戦の影響、横溝正史との関連や、江戸川乱歩の分類などは、読み応えのある訳者解説を読んでほしいが、私が個人的に関心を持ったことは、モーリス・ルブランが大のドイツ嫌いだったことである(453頁注釈)。そして、次のルパンの言葉は、後々のナチスの到来を予見させるようである。深読みしすぎだろうか。「彼は何よりもまず、ドイツ民族の神秘的な衝動に従っていたのです。ドイツ民族は自分の運命があらかじめ定められていると思いこみ、つねに運命のあたえる使命に従うことを誇りに感じます。 その使命が、民族を再生させることであっても、強奪し、焼きつくし、皆殺しにすることであっても、まったく同じことなのです」(496頁)。「素晴らしい小説の基準点」として☆を4つとした。また、「アルセーヌ・ルパン」シリーズの翻訳と出版に期待したい。これは私の書いた69番目のレビューである。2025年5月28日読了。