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三十棺桶島
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【この小説が収録されている参考書籍】
三十棺桶島の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.35pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全17件 1~17 1/1ページ
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「学恩」という言葉があり、この字義は「学問を教わる上で師から受けた恩義」ということだが、私のような、普通の社会人をしていて、何事も独学で勉強し、師にあたる人がいなくても、いつの間にか学恩らしきものを感じている人がいる。中条省平は、その一人だ。 というのは、まず映画批評であり、日経新聞に時々掲載される、映画史を俯瞰した中条の批評を、私は大変楽しみにしている。そして、「教養としてのフランス映画220選」(祥伝社黄金文庫、2023年)を眺めては、この220の映画を全てを見切れていないことに、ため息をついている。いったいいつ、見切れるというのだろうか。 次に、マルセル・プルースト「失われた時を求めて」のフランスコミック版の2冊(祥伝社)で、この中条訳のおかげで、私は難解なプルースト作品を少しイメージする手がかりを得た。この続編は出ないのだろうか。 最後に、カミュ「ペスト」の光文社古典新訳文庫から出ている新訳で、これについては、思い入れたっぷりのレビューを書いたので、関心ある方は、レビューのみならず、中条訳も読んでほしい。 そして、モーリス・ルブラン「三十棺桶島」の新訳が出されると知って、予約して、読むのを楽しみにしていた。ちょっと、訳者あとがきから引用すると、「そんなわけで、二年ほど前に光文社古典新訳文庫の編集者の今野哲男さんから、カミュの『ぺスト』の次は何を翻訳しますか、と尋ねられたとき、思わず、 ルブランのルパン物の一冊、なかでも 『三十棺桶島』をやってみたいと答えていました。ルパン物のなかでもいちばん荒唐無稽な作品を、違和感なくスピーディな現代文に移すことは、翻訳者としてやりがいのある試みだと思ったからです」(596頁)とあるとおり、訳者として張り切って訳した感じが、この訳文にはあって、とても読みやすく、生き生きした文章だった。 また、小学生以来、本当に久しぶりに、アルセーヌ・ルパンのシリーズ作品を読んだが、ルパンは、シャーロック・ホームズでもエルキュール・ポワロでもなく、どちらかと言えば、ジェームズ・ボンドとかイーサン・ハントのような活劇中の人物で、フランス的な洗練が加えられている。本格的ミステリーとは少し違うし、冒険活劇というジャンルだからこそ、小学生の私は熱中したのかもしれない。 そのほか、第一次世界大戦の影響、横溝正史との関連や、江戸川乱歩の分類などは、読み応えのある訳者解説を読んでほしいが、私が個人的に関心を持ったことは、モーリス・ルブランが大のドイツ嫌いだったことである(453頁注釈)。そして、次のルパンの言葉は、後々のナチスの到来を予見させるようである。深読みしすぎだろうか。「彼は何よりもまず、ドイツ民族の神秘的な衝動に従っていたのです。ドイツ民族は自分の運命があらかじめ定められていると思いこみ、つねに運命のあたえる使命に従うことを誇りに感じます。 その使命が、民族を再生させることであっても、強奪し、焼きつくし、皆殺しにすることであっても、まったく同じことなのです」(496頁)。「素晴らしい小説の基準点」として☆を4つとした。また、「アルセーヌ・ルパン」シリーズの翻訳と出版に期待したい。これは私の書いた69番目のレビューである。2025年5月28日読了。 | ||||
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光文社古典新訳文庫で『三十棺桶島』が出るなんてちょっと驚きました。怪盗ルパンの新翻訳というだけでもびっくりですが、『奇巌城』でも『813』でも『八点鐘』でもなく、僕の中ではちょっとマイナーな『三十棺桶島』ですから意外ではありましたが嬉しい驚きでした。実は……、ルパン物は、小学生の頃南洋一郎翻案(?)の物を読んだだけで、大人向けに翻訳された創元やハヤカワのものは読んだことがありません。当時出ていたポプラ社の怪盗ルパンシリーズは全巻読んだのですが、南洋一郎さんが子ども向けに超訳していたと分かったのはだいぶあとになってからです。その中でも『三十棺桶島』はインパクトのある題名だけは覚えていたのですが、面白かったという印象があまりありませんでした。それが今回、中条省平さんの翻訳で読んだところ,こんな面白い話だったんだと改めて思いました(逆にこれを子ども向けに翻案した南洋一郎さんは素晴らしい!)。本書には、あの怖かったポプラ社版の挿絵よりはちょっと上品(?)な挿絵が24点も入っていて楽しく読めました。お薦めです。……中条省平さん、光文社さん、その他のルパン物の新翻訳もお願いします。中条さんの翻訳で『奇巌城(空洞の針)』『813』『カリオストロ伯爵夫人』等が読みたいです。 | ||||
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例によって小学生の時に図書館に歴代小学生が読みふけってぼろぼろになったルパン全集のなかにこれがあったのでございます。 この様にルパンに接した日本人は、その後の時代であれば尾田栄一郎「ワンピース」や岸本斉史「ナルト」、青山剛昌「名探偵コナン」を読んだ人と同じぐらいいるのではあるまいか。 と、いう訳で何冊か読んだあとで数十年が経過し、ふとしたきっかけでかつてのルパン全集(今の20巻本の怪盗ルパンシリーズではなく、20世紀に刊行されていた30巻本の方)の11巻の古本を手に取った。 最初、ヒロインでるドミニク・デルジュモンが自分のサインと老人の死体を発見するくだりからもうルパンワールド炸裂で、ここでおどろおどろしい江戸川乱歩横溝正史系統の話になるかと思いきや、モーターボートで悪い悪人(笑)が三十棺桶島から逃げ出そうとした純朴なる島民の船に爆弾を投下、逃げ惑う島民を景気よく銃撃して30人ぐらいあっさり殺される所でモードが変わり、その後も隠されていたヒロインの息子フランソワとの冒険だの、元夫(これが絵に描いたようなDV夫であった)が出て来たりと入り組んだ人間関係にも関わらず物語は物凄いターボがかかっており、250ページは1時間もしないで読み切ってしまった。 謎を秘めた「神の石」はキュリー夫妻の発見した当時最先端の科学をアイデアにしており、モーリス・ルブランは「まぼろしの怪盗」でも見られるのだが、また20世紀初頭という時代の性格なのか、当時の人間はとくにジャンル横断的にそうした発想を持つのか(コナン・ドイルもチャレンジャー教授に「ロストワールド」で恐竜を登場させているし)、科学的な知見がミステリ(というよりも寧ろサスペンスに近い)の中核になる作品を見ると、SFとミステリが現代よりももっと地続きで接近していた時代の息吹を伝えていた。 当然、善は栄え悪は滅び、児童向け怪賊にふさわしい勧善懲悪の物語の快楽に陶酔できたのであった。 もちろん子どもの時の視点と同じではないが(同じだったらそれはそれでスゴイが、それはそれでヤバイ)物語のドライブに身をまかせて疾走していく、天空が開けていくような快楽を感じさせるのはやはり天才南洋一郎で、その魔術に身をまかせ、手に汗握る幸福でノスタルジーな現実逃避を満喫できました。 | ||||
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ルパンの長編は ルパン自身がのっけから活躍する事件と、 その話限りの主人公のドラマが展開され ルパンが途中から加勢する事件に 分けられると思うが、 本作ではルパンが登場するのは 最後の1/3くらい。 それまではヒロインであるベロニックを中心に 恐ろしい殺人劇が展開されていく。 本作の悪役のとある信念が さまざまな事件を起こしていくのだが、 最後にルパン(ドン・ルイス・ペレンナ)が語るように、 本シリーズの第1巻から第11巻に至るまでの中で言うと 確かに想像を絶する凄まじい事件だと言える。 それまでにも『奇岩城』や『813』や『水晶の栓』など 結構劇的な展開を含む作品はあったし 特に『水晶の栓』の悪役の極悪ぶりは 目を見張るものがあった。 しかしそんなのまだ甘いと思えるほど 本作の事件は痛ましい。 タイトルともども読者に恐怖を感じさせるような おどろおどろしさはあると言える。 しかし、どれだけ凄惨な事件であっても そういう生々しさをグロテスクに描くことは ルブラン(ルパン)の趣味ではないらしく 一部の江戸川乱歩や横溝正史に見られるような 恐ろしさとは異なる。 ルパンは登場とともに 事件を解決し、解説するのは いつもお決まりのパターンだが、 ルパンがそんなに短時間に解決できる事件なのに なぜどの登場人物たちも 一切事件が解決できないのだろうと 思ってしまう。 だが、ルパンには超人的な力があって 彼が登場することで 事件が大団円を迎えるという安心感を 読者は必ず感じさせられる。 ルパンが物語のクライマックスで 登場するというのは ルパンならではのお約束で 途中出場とはいえ 彼が出てくることで どの作品もルパンものだなと 感じさせられてしまう。 ルパンものは読者の期待に応えるように 設計された物語だといえるだろう。 比較的短編の多い シャーロック・ホームズと比べると ルパンシリーズは 推理ものと呼ぶよりも 冒険ものと呼ぶほうがふさわしいくらい 話のスケールが大きい。 本作には、前作『金三角』に登場した 主人公も友情出演している。 ルパンシリーズを読むなら できれば第1巻から順に読んでいくほうが 楽しいと思う。 | ||||
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懐しかった | ||||
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犯人の正体が分からずじまい弟子たち。 | ||||
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この文庫版を読んでいて違和感を感じたので所有している同じタイトルの単行本版(昭和61年の第83刷)と交互に読み比べてみたのですが、翻訳や挿絵が変更されていました。 印象深い挿絵や南洋一郎さんオリジナルの特徴ある軽妙な言い回しの表現などと違う所があるので、昔読んだものと同じと思っているとがっかりするかもしれません。少なくとも私はとてもがっかりしました。 南洋一郎さん訳の怪盗ルパンシリーズは不朽の名作なので変な変更をせずにそのまま文庫本化して欲しかったです。 | ||||
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子供の時に読んで最高でした 娘に読んでもらいたくて買いました | ||||
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小学校3年生の時、自宅で誕生日会をしました。 その時、お招きした友だちのひとりから貰ったプレゼントが、この本でした。 それ以来、南洋一郎訳のルパンシリーズにはまり、 毎月1冊ずつ、田舎の書店に取り寄せてもらいました。 この本をくれた友、面倒くさがらずに毎月取り寄せてくれた書店、 こうした思い出の詰まったのが、この一冊です。 | ||||
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発送は迅速、本はとてもきれいです。 | ||||
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小学生のとき,びびりながらも読んだ記憶があります。「棺桶」ということばからゾクッとしたような気がします。中身はすっかり忘れていて,ベロニクという女が,家の壁に自分のサインを見付けたというところしか記憶が残っていません。今から35年くらい前の話です。装丁も文庫本ではなくハードカバーでした。 今回,文庫本を買って読みました。表紙絵は当時のそのままです。 大人が読んでも読み応えがあります。しかし,どんなに部屋を暗くして読んでも,ちっとも怖くありません。冷静に読んでしまいました。 当時は,怪人二十面相やこのルパンシリーズが子どもたちのお気に入りでした。次は,当時の最高傑作と言われる「8・1・3の謎」を読んでみましょう。 | ||||
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「三十棺桶島」。このおどろおどろしいタイトルに、小学生の私はまず、ちょっと恐る恐るページをめくりました。 婦人服屋を経営している、美しい謎の女性ベロニク・デルジュモンが、映画館で見た映画の中に、自分のサインがあるのを見て、海辺の街・ブルターニュにやってくる。出会った手の無い老人。ここからベロニクのこの三十棺桶島への旅と、恐ろしいストーリーが展開する。三十棺桶島に渡り、父や可愛いわが子を探し始めるが・・・・そこからの展開は、無差別大量殺人、謎の女性たちの十字架刑、名前も聞きなれずおどろおどろしく響いたドルイド僧の登場。どれもかなり「怪盗ルパン」シリーズの中では、怖い、異色の部類に入るストーリーだと思う。けれど、最も私の心を掴んだのは、「神の石」=「現代のラジウム」の秘密だった。ルパンシリーズの中で、珍しく近代化学のラジウムを用いたトリック。非常に興味深く読んだ。そして最後のルパンの推理。悪人の末路・・・。 海岸や、島をモチーフにしたこのストーリーは、他のルパン作品とはちょっと違う、独特の雰囲気をかもし出しています。 私の中では、怖いけれど、大好きな一冊に入ります。 タイトルの「三十棺桶島」の不気味さとともに、あっと驚くエンディングまで、私がドキドキしたように、皆様もお読みになれる一冊ではないでしょうか。異色の一冊としてお勧め致します。 | ||||
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まずこれから私のアルセーヌ・ルパン人生が始まりました。 今考えるとこれは 「フランス版八つ墓村」ってところでしょうか?謎の暗号文、宝探し、次々と出る死人、洞窟、少年と 純粋な母、骨肉の争い、幽霊・・・ でも本当に一気に読めました。小学校のころ。それからルパンシリーズを次々読破していきました。 今もその本はあります。懐かしい一冊です。 | ||||
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フランス版「八つ墓村」と云った趣きの作品。ブルターニュ地方のいまだドルイド信仰の残る小島を舞台に、数奇な運命に弄ばれるヒロインがドルイドの奇怪な予言の織り成す事件に遭遇する。しかしヒロインが島に上陸する前にドイツの潜水艦を警戒した調査に上陸した前作の主人公ベルバル大尉が、島で何かが起きかけている事を知り、ドン・ルイス・ペレンナを呼んで来る。ドン・ルイスは自らが設計した潜水艦「水晶の栓」号で助手役の大尉や優秀な乗組員たちであるモロッコ人たちを連れて上陸する。 ドン・ルイスの出番は少なく殆ど解決役。 | ||||
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「三十棺桶島」のタイトルでも親しまれているルパンものの1冊。 ドルイドの伝説にかたられる不気味な予言に彩られた棺桶島を舞台に、生き別れになった親子の再会、邪な心を持つ凶悪犯罪者の陰謀が描かれています。 謎に満ちた導入から、狂気の殺戮など扇情的な場面に満ちています。 謎解きと思って読むと、???な説明が多く期待はずれかもしれませんが、勧善懲悪のヒーローものと思えば、現在の読者が読んでも楽しめる水準だと思います。 | ||||
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棺桶島で行われる悪役冒険物 なかなか、棺桶島の描写がどす黒く引き込まれるものがあります 最後にはルパンがやってきて ヒーロー張りに活躍し、事件を丸く治めてしまいます。 | ||||
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棺桶三十島でおきる残忍な殺人や島民の狂信的な行動など、いかにも小説的でありえないと思いながらも話に引き込まれて一気に読みきってしまいました。最初は不思議な内容もルパンが登場すると犯人を圧倒させ、すんなり解決してしまいます。ただルパンを楽しみにしていた私としては登場が話の3分の2過ぎてからというのはちょっと遅すぎるので星3つにしました。 | ||||
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