ルパン、最後の恋



※タグの編集はログイン後行えます

※以下のグループに登録されています。


【この小説が収録されている参考書籍】
オスダメ平均点

4.50pt (10max) / 2件

4.25pt (10max) / 4件

Amazon平均点

4.27pt ( 5max) / 37件

楽天平均点

0.00pt ( 5max) / 0件

みんなの オススメpt
  自由に投票してください!!
1pt
サイト内ランク []D
ミステリ成分 []
  この作品はミステリ?
  自由に投票してください!!

5.00pt

44.50pt

13.00pt

10.00pt

←非ミステリ

ミステリ→

↑現実的

↓幻想的

初公開日(参考)2012年09月
分類

長編小説

閲覧回数3,119回
お気に入りにされた回数2
読書済みに登録された回数6

■このページのURL

■報告関係
※気になる点がありましたらお知らせください。

ルパン、最後の恋 〔ハヤカワ・ミステリ1863〕

2012年09月07日 ルパン、最後の恋 〔ハヤカワ・ミステリ1863〕

父レルヌ大公が自殺し、一人娘のコラは悲しみに沈んでいた。そんな彼女への遺書の中で大公は、こう記していた。コラの身近には正体を隠した、かのアルセーヌ・ルパンがいる。彼を信頼し、頼りにするようにと。やがて思いがけない事実が明らかになる。コラは大公の実の娘ではなく、母親が英国のハリントン卿との間にもうけた子だったのだ。高貴の血をひくコラは、にわかに国際的陰謀に巻き込まれる…永遠のヒーローと姿なき強敵との死闘が幕を開ける。著者が生前執筆しながら封印されていた幻の遺作、ついに解禁。 (「BOOK」データベースより)




書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.50pt

ルパン、最後の恋の総合評価:8.33/10点レビュー 39件。Dランク


■スポンサードリンク


サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
全2件 1~2 1/1ページ
No.2:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

老いらくの恋と思いきや、まだ40歳!

本書にはつい最近になって発見された未発表原稿からなる表題作と短編2編が収録されている。

21世紀になってルブランの伝記を著したジャック・ドゥルアールの調査によって発見されたタイプ原稿が本書『ルパン、最後の恋』。正真正銘のルブランの手による最後のルパン物語だ。
なんと作者ルブラン没後70年経ってからの発表である。

そんな出版をされた物語は何ともロマンティック。これだよ、これがルパンだよとかつてルパンシリーズを読んで胸躍らせた読者の期待を裏切らない展開の速さとルパンという男の懐の大きさに満ちている。

高貴なる女性と彼女を守る四銃士。その中の一人こそがアルセーヌ・ルパンであるというドラマティックな設定だ。

しかし予想に反して4人のうち、誰がルパンかは物語の2/5に満たないところで早々に判明する。

つまり今までのルブラン作品では、明らかにルパンと思われる人物が最後の方で正体を明かして、あまり興趣をそそらなかったが、本書では4人のうち誰がルパンかという複数の候補を用意しながら、早々と正体を明かすという読者の予想を裏切る演出を採っている。

これはその後に続くコラ嬢とルパンことサヴリー大尉とのそれぞれが惹かれ合いながらも将来を考えて―特にサヴリーが―遠慮し、本心を隠しつつ幸せを願うという、フランス人らしからぬもどかしい恋模様を描くことを主眼しており、あくまでルパンが誰かなどはその恋愛劇の添え物にしか過ぎないことが解る。このルパンが自らコラ嬢に惹かれていることを自覚しながらも一介の快盗である自分と結婚するよりも正統なるイギリス王家に嫁いでロイヤルウェディングを実現させる方が女性の幸せと願って止まないという、なんとも恋知らぬ男のような純情さとストイックさを頑なに持っているのはちょっと違和感があった。

なんせルパンと云えば彼と一緒に時間を共有した女性なら惚れてしまう男であり、過去の作品でもそのプレイボーイぶりを存分に発揮している。
どの作品か忘れたが、眠っている女性を全身を軽くキスしてあげてリラックスさせるという、21世紀の今でも顔を赤らめてしまうような行為をするのが彼なのだ。

そんな彼がコラ嬢の求愛を悉く拒むのは身分の違いという引け目と、文中で語られる年齢にあるようだ。

本書でのルパンは既に怪盗業(こんな言葉があるとは思わないが、ルパンはやっぱり泥棒稼業と書くよりもこちらの方が合う)を引退し、世界各地にその膨大な財産を保管しては、世の役に立つ事業や運動に100億単位の金を融資するという慈善家となっている。年齢40歳。まだ40歳なのだ。
しかし既に心持は引退した事業家のそれとなっており、若くて活発な眩しいほどの美しさを放つコラ嬢に遠慮をしているようなのだ。

しかしそれでもルパンはルパン。タイトルにあるように最後の恋をして物語は終わる。

従って本書はやはりルパンの人生の終の棲家を得るための最後の恋物語というのがメインなのだが、それを通奏低音としながら本来の物語はコラ嬢へイギリス王侯が贈った400万ポンドの金貨とコラ嬢自身を巡っての悪党とルパンの攻防戦という図式。

かつてのルパン譚には彼の万能性を以てしても窮地に陥る難事件が数多くあったが、それに比べれば今回の敵は彼にとっては掌上の何とやらで、実に容易い相手であった。

しかも彼には世界中に彼を慕う部下が何千人とおり、無尽蔵とも云える財産もあるが、イギリス側の敵と対峙するのはルパンと飲んだくれの親から引き取った才気煥発な兄妹2人という人員構成。
そんな手薄な人員でイギリス政府からの刺客を撃退するのだから、ある意味胸躍る活劇を期待する分にはいささか物足りなさを感じるかもしれない。

しかし今回の邦題がそういった先入観を軽減する一助になっていると私は思う。この題名があるからこそ、本書の方向性が読む前から見え、冒険活劇よりも恋愛劇がメインであることを許しているのだと思う。
こういうのを訳者のいい仕事と云うのだろう。

そして本書には表題作に加え、ルブランのルパン物第1作の短編「アルセーヌ・ルパンの逮捕」、ルブランによるエッセイ「アルセーヌ・ルパンとは何者か?」、そして文庫化に際し、ボーナストラックとして幻の『バーネット探偵社』の1編である「壊れた橋」が収録されている。

正直「~逮捕」は既読であり、ネタも解っていたのでそれに関する新鮮味はなかった。
しかし現在流布する短編集『快盗紳士ルパン』の収録作がアレンジヴァージョンであるようだが、それを比較して批評するのは好事家の方々に任せることにしよう。

エッセイについてはルブランがどうしてこれほどまでに自身が生み出したピカレスク・ヒーローが世界中の読者に親しまれることになったのかを第三者的立場で批評した物。
やはりそこには先達の生み出したヒーロー、シャーロック・ホームズに対してのライバル心が窺えて興味深い。作者自身はホームズ作品は読んだことなかったので全く関係ないのだと述べてはいるが、ホームズとルパンとの比較を2ページ半に亘って記述し、更には自身の作品には事実をも取り入れた謎解きが含まれているのだとその優位性を述べるくだりもあり、言葉とは裏腹にかなり意識していたことが窺える。

そして本書の目玉であるのが長く埋もれていた短編「壊れた橋」の収録。仲のいい隣人同士だったが、お互いを結ぶ橋が壊れ、一方の家主が死ぬに当たり、隣人夫婦間の裏に蠢く泥沼劇が明るみになるという物語。
上のように書くと実に陰険な物語のように思えるがルブランの筆致はあくまで明るく、特にルパン=ジム・バーネットの天真爛漫とも云えるあっけらかんとした謎解きのプロセスが物語に暗さをもたらしていない。逆に同作の概要をまとめるに当たり、ああ、こんな物語だったのだと読書中には感じなかった重さを知らされたぐらいだ。

さてルパンが怪盗でありながら、実はフランスと云う国をこの上なく愛しており、国のピンチであればスパイのように他国へ侵入して自国への害を未然に防ぐことを厭わないヒーローであると最近のルパンに纏わる書評で読んだ記憶があるが、本書ではルパン自らが愛国者であることを宣言している。そして残りの余生を世界平和に役立てるために私財を擲つとまで述べている。
ルパンは元々アンチヒーローとして生まれたが、最後となる本書ではルパンがヒーローであることを作者が強調していたのが興味深かった。

数年前、早川書房はルパン作品を全編訳出すると意気込んでいたが、現在ではその動きは停滞し、半ば消失したかのように思われた。
が、この未発表原稿の訳出が大体的に各書店で行われたのは実に喜ばしいことである。この余勢を買って、再度新訳でのルパンシリーズの訳出に拍車がかかることを願って、筆を措きたい。


▼以下、ネタバレ感想

※ネタバレの感想はログイン後閲覧できます。[]ログインはこちら

Tetchy
WHOKS60S
No.1:
(2pt)

悲しいくらいつまらない本でした

こんな本を人に薦めてはいけません。

わたろう
0BCEGGR4
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

No.37:
(5pt)

アルセーヌ・ルパンシリーズの最終作

原作者ルブランの死後70年もたってから刊行された作品です。
ルパン最後の恋 (単行本)Amazon書評・レビュー:ルパン最後の恋 (単行本)より
4591131912
No.36:
(5pt)

アルセーヌだ

アルセーヌ・ルパンらしいお話で、楽しむことがらできました。
翻訳モノは想像しにくい、分かりにくい部分があるのは仕方ないかと思っています。いつか、漫画やアニメ化、映画化されたら、視覚的な補完がされる事を楽しみに待ちたいです。
私が盛んに読んでいたのはもう三十年くらい前になり、久しぶりにルブランの小説を読みました。
できるだけルパンの他の作品を読んでからの方が楽しめる作品だと思います。
ルパン、最後の恋 〔ハヤカワ・ミステリ1863〕Amazon書評・レビュー:ルパン、最後の恋 〔ハヤカワ・ミステリ1863〕より
4150018634
No.35:
(5pt)

ルパンはルパン

小学生の頃学校の図書室にあった「七つの秘密」を読んだのをキッカケにアルセーヌ・ルパンはずっと憧れのヒーローでした。勧善懲悪の特撮ヒーローがTVでやってる横で、一般的には悪でも信念を貫く姿にグッときたあの感覚をまた感じられました。良かった〜
ルパン、最後の恋 〔ハヤカワ・ミステリ1863〕Amazon書評・レビュー:ルパン、最後の恋 〔ハヤカワ・ミステリ1863〕より
4150018634
No.34:
(5pt)

幻の名作

ルブランの死後70年後に原稿が見つかった、幻の名作ですね。100年以上の年月を得てようやく出版されたそうです。
物語は、コラを中心にイギリス諜報部員と戦っていきますが、最後は婚約者コラと共に、最大にして最強の敵・・・文明の裏側、貧困と対峙する内容です。
義賊であるルパンにふさわしい最終回と思います。
正義感に火がつく内容ですね。
ルパン最後の恋 (単行本)Amazon書評・レビュー:ルパン最後の恋 (単行本)より
4591131912
No.33:
(3pt)

最後の恋の行方

ルパン・シリーズの未発表作品だった「ルパン、最後の恋」、ルパン・シリーズの第一作「アルセーヌ・ルパンの逮捕」の初出版バージョン、作者自身によるエッセイ「アルセーヌ・ルパンとは何者か?」、「訳者あとがき」、バーネット探偵社の未収録作品「壊れた橋」が掲載されている。

「ルパン、最後の恋」
ルパンと令嬢コラのラブストーリーを絡めながら、物語は進行していく。ルパンの父親であるルパン将軍にまつわるエピソード、レルヌ大公の自殺とその遺書の内容、金貨400万ポンドの盗難事件、さらわれたコラと金貨の追跡劇、ジョゼファンとマリ=テレーズによる尾行、レルヌ邸での捕獲劇、真の犯人との対決、最後の決断など、ルパン・シリーズらしいスピーディーな展開。追跡劇でのルパンの意外な登場の仕方や、事件の背景にある真の犯人の存在とその思想対決など、楽しめる要素もある。しかし、「訳者あとがき」にもあるように、展開が唐突すぎて、推敲不足という印象を強く受ける。恵まれない子供たちのために力を尽くす教師であったり、資金難に苦しむ科学者のパトロンであったり、「わたしの夢は、世界平和を打ち立てる助けになること」と発言するなど、新たなルパン像を示している点が興味深い。最終章で、ルパンは一大決心をする。

「アルセーヌ・ルパンの逮捕」
ミス・ネリーが最後に取った行為が印象的であり、謎でもある。
クルスティーの某有名作品のトリックを先取りしていると言える作品ではないだろうか。

「アルセーヌ・ルパンとは何者か?」
処女作の発表経緯、ポーに影響を受けたこと、主人公を泥棒とするうえで心掛けたこと、ホームズとの違いなどが書かれている。

「壊れた橋」
2つの家をつなぐ橋から老人が転落して、死亡。その橋には、のこぎりで切れ目が入れられていたという事件。フーダニットとホワイダニットの問題で、事件の様相が最後に反転するのが面白い。バーネットは相変わらず、ちゃっかりと私腹を肥やしていた。
ルパン、最後の恋 〔ハヤカワ・ミステリ1863〕Amazon書評・レビュー:ルパン、最後の恋 〔ハヤカワ・ミステリ1863〕より
4150018634



その他、Amazon書評・レビューが 37件あります。
Amazon書評・レビューを見る     


スポンサードリンク