■スポンサードリンク
罪の轍
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
罪の轍の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.15pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全149件 141~149 8/8ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
という帯を見て、心が動かないミステリファンはいないでしょう。 実際、一軒目の書店は売り切れで、二軒目は残り二冊でした。 今まで過大広告の帯にどれだけ裏切られたことか。 でも、これは買いです。 まだ途中ですが、現実世界がストーリーに引き込まれるほどの臨場感。止まりません。久々のページをめくる手が止まらないというヤツです。 オススメです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ずっとファンです。 奥田英朗はシリアスなものより、エッセイとか軽い中編が上手なんだろうと思っていましたが気持ちよく裏切られた。 緊迫した警察官たちのやり取りの中に、独特なキャラクターの犯人の描写が入るとふっと緊張感が抜ける そのギャップが素晴らしい。これは奥田英朗しか書けない世界でしょう。 いいもの読ませてもらいました。ありがとう奥田英朗(サン)。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
なぜ、今まで読んでこなかったのか? でも、これほど興奮させられた作家に巡り会えたことの喜び。 東京オリンピックの前年、北海道の昆布漁師の上京。 自分と重なるこの二点だけで、初めて手にした奥田作品。渡部雄吉のカバー写真と、吉展ちゃんならぬ、吉夫ちゃんという誘拐事件に、「安易だな」というファーストインプレッションは、在日二世の町井キミ子の登場あたりから、すっかり払拭され、「これはとんでもないストーリーテラーに出会ったものだ」とぐいぐい引き込まれ、鷲掴みにされたまま、一気に読了した。 高度成長期の日本の表と裏。 警察、ヤクザ、左翼、マスコミ、そして市井の人々の描かれ方。 ピュアな落合昌夫と達観した町井キミ子の正義。 ケレン味なく、ど直球で、犯人を追いかける警察小説にここまで興奮したことはなかった。 初めて奥田英朗を読んだことは、この夏の至福だ! | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
昭和38年に実際に起きた、某誘拐事件がモチーフとなっている今作。私が生まれる遥か前の“事件”であり、より本作にのめり込むべくネットでこの事件について調べながら、知識を蓄えながら読み進めていった。その行為がもたらした結果として、著者・奥田英朗氏の圧倒的描写と、目眩く動くストーリー展開とが相まり、読後には非常に重たい感情がより一層残ったのは言うまでもない。また、モチーフとなった某事件における真実と、フィクションを見事に絡ませた物語の構成の巧みさに脱帽せざるを得ない。そこには事件被害者への哀悼の意も汲み取れる。 もちろん、前情報無く読むのも当然良いですよ。 事件の首謀者・それを取り巻く友人や家族ら・犯人を追う警察、彼らのキャラクターの個性や心情描写の濃さが、本作での事件とそれに纏わる一連の流れをこれまでもかと明白に浮き彫りさせていく。まさに「罪の轍」そのタイトルに相応しい。その時代、その時間の流れをまるで映像で見ているかのような、スリルと緊張が味わえる。 読後感までも含め、読書をして“面白い、のめり込む”とはまさにこのことだろう。約600ページにおける長編だが、ページは次々と捲られていって、止まらない。奥田英朗ファンの私は今作も読書における恍惚を感じたのでした。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
奥田英朗は新作をいつも待ち焦がれる作家である。 こういう作品こそ、読みたかった。 舞台は東京オリンピックの前年、つまり彼の名作の一つである『オリンピックの身代金』と同じ年代を描いている。 うがった見方をすれば、あの時代について相当に調べ込んだので、同じ時代を舞台にもう1作ということかもしれない。 が、それがせこいとか安易とかを感じさせず、いわばあの時代を円熟して描いているとも言える。 キーワードを挙げれば、礼文島の昆布漁、幼小期に継父から強いられた当たり屋、その結果としての脳機能障害とトラウマ、窃盗、幼児誘拐、山谷、暴力団といったところか。 この作者のジャンルは多彩だが、もちろん本書は『無理』『邪魔』『最悪』『オリンピックの身代金』『沈黙の街で』の系譜に属する犯罪小説であり、警察小説である。 そして読み進めるうちに、途中から、本書に救いはあるのかないのか、ということがずっと気になっていた。 読了して、その答えは見つからなかったとも言えるが、しかし、救いのあるなしを超えてしまっているとも感じたのである。 少し気になったのは、言葉の誤りである。 逮捕されてすぐに釈放されるシーンで「保釈」という言葉を使っているが、これは「釈放」。 「保釈」は起訴された被告が拘置所から住所限定や保釈金という制限を受けて拘束を解かれることを指す。 また、この犯人は指紋を残していないので「確信犯」だという表現も誤り。 確信犯とは、自分の道徳・宗教・政治・経済などの理念を確信して実行される犯罪のことであり、思想犯とも言われる。 それが悪いことだと確信して行う犯罪というのは誤用。 しかし、いつもなら(つまらない作品なら)こうした誤用がひっかかって物語に没入できないのだが、本書ではそんなことは全くなかった。 秀逸である。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
分厚い本である。昭和の有名な誘拐事件をモチーフにしているが時代背景の描写の素晴らしさがノンフィクションを超えた迫力となって全編を引っ張ってゆく。刑事たちの人物像の描きわけも見事であるし、あの頃の日本の風景や彩、においまでもが再現されている。事件の犯人や実際の経過は何度も映像化されたからよく知っているがそれでもこの作品の犯人像が色あせることはない。学生運動、山谷、風俗の女たち、北海道や熱海、新宿、事件記者たち…。携帯もパソコンもないアナログの昭和、テレビも固定電話もまださほど普及していない時代の恐ろしいほどのダイナミズムを改めて思い返していた。夢中で分厚い本を飲み通した夜であった。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
オリンピック前年の誘拐事件の話です。 誘拐は、当時普及しはじめた家電話を使った、新しい犯罪。 いまやコントでも耳にしない 「犯人の電話を引き延ばす」「身代金の受け渡し」「逆探知」が、どれほど真剣で、胸のつぶれるような緊張下で行われていたか。足を使った聞き込み捜査も新鮮です。 スポーツの祭典を翌年に控えても、庶民のくらしはそれどころではなく、ドヤに集まって労働にはげみ、警察は新しい事件に対処できず、テレビの影響に振り回される。 その様子はSNSに疲弊する2019年の人々に重なる。今と切り離された異世界の話ではなく、現代へと轍(わだち)は続いているんだなあ。 また、他の奥田作品にもよく出るモチーフの 「上京する若者」「背伸びしてワルぶる若者」が出てくる。事件と絡むので皆たいへんなことになるんだけど、だからこそ、服を買って得意になったり時間つぶしでパチンコを打っている、なんでもないシーンで青春を感じた。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
まだ第2章的な部分のさわりですが、買ってよかったと思います。地理に明るくないため最初は心が折れそうでしたが、次第にあれっこの人もしかしてあの話に出てきた、みたいな、こういう小憎らしい仕掛けはさすが奥田先生だと思います。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
巻末にこの小説はフィクションである旨の注意書きがあるが、明らかに「吉展ちゃん事件」をベースに書かれています。 この事件を知っているため(もちろん作者もそれくらいは考慮済みのはず)、物語はほぼ予定通り進みます… 派手なギミック、トリックは無く物語自体は単調に進み、もちろんドクター伊良部のようなユーモアもありません。 しかし、奥田英朗が読ませる読ませる… 読ませる技術なら、個人的には村上春樹か奥田英朗か! オシャレカフェで読むには村上春樹ですが、大人の娯楽なら奥田英朗の勝ちです。 なお戦後闇市マニア、70年代までの学生運動マニアにもおすすめです。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!