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騎士団長殺し



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騎士団長殺しの評価: 3.46/5点 レビュー 721件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.46pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全721件 301~320 16/37ページ
No.421:
(3pt)

地味

20年来のファンで、出版されている本はほぼすべて読んでいます。

特に好きな作品は『世界の終わりとハードボイルドワーンだーランド』、
『ノルウェイの森』、『納屋を焼く その他短編』、『回転木馬のデッドヒート』、
『ねじまき鳥クロニクル』、『海辺のカフカ』、『1Q84』あたりです。

一貫して一番好きな作家ですが、『海辺のカフカ』以降の作品には違和感
を感じていて、やっぱり初期~中期の固有名詞の出てこない頃の方が
好きです。

この作品はなんだか地味で、ユーモアも比喩も全然楽しめなかった。登場人物
たちも魅力に欠けるし、女の子のキャラクターの喋り方も不自然。 セレブな
暮らし描写や食べ物、セックスシーンなども今までと比べると生々しさというか
引き込まれるような魅力を感じられませんでした。

色々な伏線を散りばめつつ、後編に続きます。
騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編Amazon書評・レビュー:騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編より
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No.420:
(3pt)

ポップさが希薄

第1部の終盤から物語が徐々に盛り上がって来たのだが、それでもやっぱり
地味な印象。 人妻のキャラクターがちょっと魅力的だったけど、それでも
今までの作品の登場人物たちにに比べると全然面白みがないと思う。 

あえてその辺の表現を押さえているんだと思うし、なんらかの深い意図が
あるんだと思うけど、ぼくは楽しめなかった。

『ねじまき鳥クロニクル』と結構似た流れで、あれを地味にした印象。
『海辺のカフカ』のナカタさんみたいなキャラクターが出てくるのだが、それも
中途半端というか、好きになれない感じだった。

最後まで引き込まれる箇所がほとんどなくて、そのまま終了してしまった。
とにかくポップさが希薄な作品です。

最後が「第2部終わり」となっているし、今までの流れからしてほぼ確実に続編
が書かれると思います。

現在68歳の春樹さんが、精力的に新作を書かれているのはとても嬉しいです。
次回作が楽しみです。
騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編Amazon書評・レビュー:騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編より
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No.419:
(5pt)

部屋

一気に読み上げた感じです。
第一部、第二部ととても有意義な読書世界を官能した。

今回の作品にも、村上節はありありで、
一つの物語の幹から枝分かれしたいろいろな、テーマでなりたっていた気がします。
メンシキの家でいうなら部屋かな。

いろんな部屋(テーマ)

だからそのテーマが読み手に記憶に強くのこっていればその一テーマに対して、変態かもしれんし、哲学かもしれんし、ファンタジーかもしれんし、、、、人それぞれだから賛否は分かれる作品かと思う。
わたしはいろんな部屋部屋に共感や食いつきもありで★5!

いろいろな警告もあったんかな~

今の世の中、0か1かみたいなはっきり答えを求める志向にあるし、ネット、検索があればなおさら・・・・

人は知らなくて、知らない方がいいことは世の中いっぱいあるような気もする。でもパナマ文書でもそうだけど、人は、好奇心あるわけで・・・

いろんなテーマな部屋がいっぱい。

みみずくのように、鳥瞰的にいろいろ感じ、考えられる本だった。

安易に駄作なんてとてもとても言えないし、ファンタジーや一話題小説なんて軽々しく言いたくない!
騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編Amazon書評・レビュー:騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編より
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No.418:
(3pt)

難解な本

村上春樹の本は初めてですが、ちょっと難しいですねー
マニア向けなのでしょう!
騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編Amazon書評・レビュー:騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編より
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No.417:
(5pt)

どんなに時間がなくても

育児と仕事でほんとに時間も体力もないはずなのに、この本は私のあらゆる時間を集める力がありました。
待ちに待った新作長編、もったいないから味わってゆっくり読みたいのに、猛烈な勢いで読み進めざるを得ませんでした。村上春樹らしい、まさに村上春樹な物語。
騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編Amazon書評・レビュー:騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編より
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No.416:
(3pt)

寓話性が後退して、残念ながら、小説として楽しめなかった。

村上春樹は「これからは大きな物語を書いてみたい」というようなことを言っていたので
本書がそういう作品に該当するものなのかどうかは分かりませんが、話題が広くなった
ことだけは確かだと思います。
 
明らかに、「古代ギリシア哲学」が小説世界内に入ってきていることを考えても、村上春樹が
本作で意図的な変化を導入したことは間違いないと思いました。
 
しかし、おそらく村上春樹自身の考えだと思われる、登場人物による政治的・思想的発言が
どうも不自然さを感じてならないのというのが私の本音です。
第2部でもそれは同じでした。
 
やはり村上春樹という作家は、「個人の悩み」から発生するような展開の「私小説」はいいですが
複雑な社会的要素が絡む内容の小説は、ひょっとしたら現時点では向いていないのかもしれない
と思ってしまいました。
 
単刀直入に言って、読み進めるのが苦痛でしたし、私にとっては楽しめない作品でした・・・。
騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編Amazon書評・レビュー:騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編より
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No.415:
(5pt)

ハルキストではない人にも、村上春樹がなぜすごいのか解らせてくれる久々の名作

僕は「風の歌を聴け」に始まり、村上春樹の作品は全部読んでいますが、好きな作品とそうでないものに大きく分かれます。いわゆる初期のねずみ三部作と、「ハードボイルドワンダーランド」は好きでしたが、「ノルウェイの森」などは何度読み返しても、面白いとは思えませんでした。「1Q84」も星三つと行ったところです。そんな中、ある意味、村上春樹本来の持ち味を発揮しているのが、この作品だと言えるでしょう。
舞台を風の歌の芦屋から伊豆高原に移し、「ねじまき鳥クロニクル」に出てくるノモンハンの歴史観を、ナチスの歴史観に置き換えただけで、彼の持ち味である現実へのコミットメントを最小限に抑えたスタイルで存分に楽しませてくれます。失われた13歳の少女へのオマージュ。独特の比喩を用いた春樹節が炸裂しているので、ハルキストには大満足な長編です。ハルキストでない人も、第1部を読んだら、第2部をすぐに読まずにはいられない、久々の長編での成功作だと思います。前編はあくまで後編への布石にすぎないと思ってください。
騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編Amazon書評・レビュー:騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編より
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No.414:
(5pt)

ハルキストじゃない人にも、村上春樹がなぜすごいのか解らせてくれる久々の名作

僕は「風の歌を聴け」に始まり、村上春樹の作品は全部読んでいますが、好きな作品とそうでないものに大きく分かれます。いわゆる初期のねずみ三部作と、「ハードボイルドワンダーランド」は好きでしたが、「ノルウェイの森」などは何度読み返しても、面白いとは思えませんでした。「1Q84」も星三つと行ったところです。そんな中、ある意味、村上春樹本来の持ち味を発揮しているのが、この作品だと言えるでしょう。
舞台を風の歌の芦屋から伊豆高原に移し、「ねじまき鳥クロニクル」に出てくるノモンハンの歴史観を、ナチスの歴史観に置き換えただけで、彼の持ち味である現実へのコミットメントを最小限に抑えたスタイルで存分に楽しませてくれます。失われた13歳の少女へのオマージュ。独特の比喩を用いた春樹節が炸裂しているので、ハルキストには大満足な長編です。ハルキストでない人も、第1部を読んだら、第2部をすぐに読まずにはいられない、久々の長編での成功作だと思います。前編に比べると、布石を解決するためにストーリー展開を急ぎ、やや荒削りになっていますが、十分に満足のいく後編でした。
騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編Amazon書評・レビュー:騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編より
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No.413:
(3pt)

苦痛

海辺のカフカやネジ巻きが好きで、何度も読み返している程のファンです。
今回も久々の長編という事もあり、かなり期待して読んだのですが…
やはり、途中からかなり苦痛になりました。
パターン化する登場人物など、皆さんのおっしゃる通りで、読むのに時間もかかります。
ネジ巻きなどは、先が気になりどんどんページを繰って行けるのに…
何が変わってしまったんだろう。
何十年とファンだったので、残念です。
騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編Amazon書評・レビュー:騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編より
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No.412:
(1pt)

ただの読みもの

村上春樹は、大好きな作家です。 でもこの作品は、普通の小説。 ただそれだけ。 (ただし日本人として許せないのは、”南京事件を取り上げたこと。この小説のストーリーとは全く関連性がないし、しかも事実ではないことをなぜ書いたのか。。。大好きな作家だが、この記述だけは許せない・・・) 
個人的には、この小説然り、1Q84然り、とてもノーベル賞を取れるような作家には思えない。 皆さんもう少し冷静に評価してもいいのでは。。。
騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編Amazon書評・レビュー:騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編より
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No.411:
(3pt)

なぜにまたレイプ?

視点が変わらず時系列で物語が進行するので、すごく読みやすかったです。「これからどうなる?」とページを繰る手が止められない面白さもありました。免色さんは明らかに著者が大好きなギャツビーの焼き直しというわかりやすさもよかったです。
 が・・・・。
 もうレイプシーンはいい加減にしてほしい。どうしてこの著者は(たとえ夢の中とはいえ)レイプにこだわるのか。しかも、今回のお話しではレイプにする必然性がまったくない。ひょっとして著者にしか見えないイデアが、「ここはレイプでいかんとあらないかね」と命じるのでしょうか。フェミニストではない男性読者ですが、もううんざりです。
 3.11も最後に駆け足的に混ぜましたという感じで、ビッグネームの影響力を考慮すると凡作としか言いようがない読後感でした。
騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編Amazon書評・レビュー:騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編より
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No.410:
(4pt)

1Q84と騎士団長殺し

「ハックルベリーファンの冒険」の冒頭でマークウェインは深読みするなと警告しますが
本作は暗喩とわざわざ副題を付けているので試みました。

騎士団長を殺さなくてはまりえは助からないと決断して
訳の分からに暗闇で苦労している間にちゃっかりまりえは想定と違うところから無事帰宅する。
いろいろ茶々を入れた免色とは疎遠になり、結局は離婚したつもりでいた妻との生活に戻る。
(冒頭に書かれていたことをすっかり忘れていました。)

青豆もユズも受胎する。

1Q84では主を「正しいこと」と信じて殺害した青豆と天吾が逃走して終わりますが
今回は後日談的なところまで書かれているのが、意外でした。
ここは無人爆撃機を操作して定時には帰宅して家族団らんといったところでしょうか。

大量破壊兵器があるからと地球の反対側の国が攻め込んでみたものの、何もなかったが
しっかりその国家は崩壊させた。
二人は口を閉じるしかないでしょう。

四角い穴から入り丸い穴に出てくるまでが珍しく退屈だったので☆4つ。
騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編Amazon書評・レビュー:騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編より
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No.409:
(5pt)

複雑に絡みあっているように見えてピンと張ればどこにも結び目が出来ない紐のような感じ。

複雑に絡みあっているように見えてピンと張ればどこにも結び目が出来ない紐のような感じ。
これがこの小説を読んだ感想です。

そしてアンチは、この結び目がないことに怒るのです。

「あれだけ複雑に絡みあっていたのに結び目がないのはおかしい!」「もっと他に紐の使い方があったんじゃないの!例えばここをこうして…」etc.

いやはや、彼らは一体何を期待しているのでしょうか。何かを期待しなければ小説を読めないのでしょうか。

「騎士団長殺し」は何も期待しなくても読める小説です。どうぞ下巻も楽しんでください。
騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編Amazon書評・レビュー:騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編より
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No.408:
(5pt)

輪があればそれは閉じられるべきだ

非現実的な比喩と現実が溶け合う瞬間があって、村上春樹はそれが上手い。
それをたった一行で表現していたり、小説全体で表現していたりする。
だから今回の騎士団長のようなファンタジー的な要素もすんなり受け入れられるし、妙にリアリティを持たせる料理や車やセックスの描写も何かのモチーフとして処理できる(できない人には読めない)。

にしても彼は、万物はメタファーと言うが、果たしてその事を自分でどこまで理解しているのだろう(若干投げやりな発言のようにも思える)。
出てくるモチーフには全て暗喩を与えているのであろうが、意識的なのか無意識的なのか読む限りでは分からない。

そして、この騎士団長殺しを語る上で、この意識-無意識の問題はとても重要に思える。

他のレビュアーも指摘しているように、今回の小説にこれまでの設定をまるっと移植しているのにも何か意図があるのだろうが、それが読者に向けたものなのか自分自身に向けたものなのかが本当に謎であるからだ(フォーマット化して手抜きしているなんて邪推するような人もいるみたいだが)。

「分かってもらいたい」のか「分かろうとしている」のか、とっても大きな違いではあるが、いずれにしても、村上春樹の創り出す世界の輪が閉じられる日も、そう遠くないのではないだろうか。
騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編Amazon書評・レビュー:騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編より
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No.407:
(5pt)

<騎士団長殺し>ナゾを読み解く

不機嫌な人がはしゃいでいるような、どこか既視感があるような独特のハルキ・ワールド。
登場人物のテンションの低さはこの物語の通奏低音として異様な風景を暗示します。一見面白いがなかなかやっかいな小説です。ハルキストとアンチ・ハルキストのどちらにも与しない立場なので、このまがまがしいタイトルに惑わされずあまり興奮しないで読めました。筋書を書くことはこれから読む人のために遠慮しておきます。ただ村上小説の骨格になる道具立てを並べて見たいと思うのです。

○ここに登場する<イデアidea>とは何か:イデアは古代ギリシャのプラトン(前427~347)の「見られたもの」から転じて「そのもの」「心の目によって洞察された真の姿」といった意味があります。小説の中で擬人化したイデアが話す言葉のなかで<君>を<諸君>と複数で表現するので、この<イデア>が必ずしも主人公個人の問題ではなく、<普遍的>あるいは<一般的な>な意味を持つことがわかります。さらにこの<イデア>こそが本来主人公の画家としての真の資質を顕わすことの出来るはずの力でした。

○<メタファーmetaphor>とは何か:メタファーの価値を明確にしたのはプラトンの弟子のアリストテレス(前384~322)。ある実態を別のもので喩えること。暗喩。この小説の中には実に数多くのメタファーが存在します。村上小説にはメタファーは欠かせないでしょう。しかし著者があえて<メタファーにうつる>と云っているので、ある特定な事柄を指すと思います。また<還る(うつる)>と言う言葉は帰ると同じですが還という字は物理的なものではなく根源的な帰還を意味します。ではこの場合のメタファーとは何のことでしょうか。ここでは主人公が借りている雨田具彦の庭の雑木林にある丸い石室です。つまり妻と別れた主人公の<人生の空白>をこの穴がメタファーしているということです。後になって主人公が<イデア>を刺殺した後、地中を這ってメタファーの川を渡り、大変な困難に遭遇しつつ、この雑木林の中の穴に遷(うつ)るストーリーと完全に一致します。

○隣に住むメンシキワタルという男はどのような意味を持つ人物なのでしょうか。彼はこの小説の中で舞台回しのような役割を担います。つまり<私>の家の雑木林の中にある鈴の鳴る<穴>を発掘して<イデア>を蘇らせ、<イデア>と会うことによって<私>は肖像画の中にその人物が持つ深い人格を表現する力を得ることができたのです。その最初の肖像画がメンシキ自身の肖像画でした。そして終わりにメタファーであるこの<石室>から<私>を助け出し、もとの人生に戻すのがメンシキの役割です。

○川を渡してくれた<顔のない男>が重要な役割を果たしていることは、この男が小説の冒頭に出て来ることから分かります。川を渡す条件として顔のない男の肖像を書く約束をし、それまでの間<少女まりえ>から預かったペンギンのマスコットを渡したが、後になって約束を果たすためにやってきたこの男の肖像を<私>はどうしても書くことが出来ませんでした。肖像画家が肖像を書けないということは主人公の画家としての限界を暗喩していると思われます。それは<少女まりえ>を救うために<イデア>を刺殺してしまったからでした。この地中の川はプラトンの云う忘却を象徴する<レテの川>であろうと思われます。つまり<私>の8ヶ月の人生の空白を忘却し、もとの平凡な道に戻るということを、同時に<イデア>の出現によって芸術的な画家になるチャンスもその死によって永久に失われるといった意味を持つのではないでしょうか。

○<騎士団長殺し>といったタイトルや<離婚の苦悩>といったテ暗いテーマをカモフラージュするいろいろな賑やかで瀟洒な道具立てはいつもの春樹ワールドの真骨頂です。美しい高級車、最上級のフランス料理、ワインと葡萄酒、その時の時流を行く衣服、世界的な文学、そして際立つクラシックとジャズ音楽。その中で最も多く出てくる音楽が<騎士団長殺し>の原型であるモーツアルトの<ドン・ジョバンニK527>の殺人場面(1幕3場)とリヒアルト・シュトラウスの<バラの騎士>どちらもオペラです。瀟洒な雰囲気のこの小説を読みながらのBGMであれば<バラの騎士の円舞曲(ワルツ)>がふさわしいかも知れません。

○続編への予感:続編を期待出来る幾つかの予兆があります。それは登場人物にまだミッションが残されているからです。
1.小説の冒頭に出てきた<顔のない男>は「いつか再び、お前のもとを訪れよう」と云っています。また<私>も「いつか無の肖像を描くことができるようになるかもしれない。ある一人の画家が<騎士団長殺し>という絵を描きあげることができたように」と思う。ここで大画家雨田具彦が<私>にとってのメタファーであることがはっきりすると同時に将来の<私>の姿が浮かび上がってきます。

2.しかし将来の<私>が現在の自分を超えた画家になるためには<イデア>またはそれに替わる<何かの力>が必要になるはずです。しかし<イデア>以外の力についてはここで思いつかないので、まず<イデア>の復活を考えたいと思います。<イデア>が偽装した騎士団長の絵は雨田家の火事で焼失いたという設定ですが、もしかすると生き残っているのではないかという想像は可能です。誰かが<騎士団長殺しの絵>を火事の前に持ち出していたら?それが出来るのは誰?可能性があるのは2人、メンシキワタルと秋川まりえです。しかし実行できるのはまりえに絞られます。彼女は<私>と一緒にその絵を天井裏に仕舞うのを手伝っているのですから。どこへその絵を隠したのでしょう?シンメンワタル邸の母親(まりえは母親とは知らないが)の洋服が格納されている部屋あたり?もちろんメンシキには内緒で・・・。

3.登場人物のミッションまだ残っており、想像はいくらでも膨らみますが、作者の題名の中にある続編への期待は本の番号のふり方でしょう。上下ではなく、1部、2部ですから3部、4部があるのは必然だと思います。あるいはもう脱稿している?

4.説かれるべき謎は沢山あります。最終的に<石室>はどうなるか。メンシキワタルと秋川まりえの親子検証は。<顔長>とは誰なのか。つかの間の彼女が何気なく口走る<白鯨の主人公エイハブ船長>はこの小説のメタファーなのか。<私>の潜在意識のメタファーである<白いスバル・フォレスターの男>の絵は完成するのか。<まりえ>の肖像は完成するのか。<私>にとって12歳で死に別れた妹<こみち>のメタファーである妻<ゆず>、不思議な少女<まりえ>、そして娘の<室>(意味深なネーム)の意味あるつながりとは。<メンシキワタル>と<秋川笙子>の行く先は。等々。この謎はやがて明らかになるでしょう。新潮社2017/2
騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編Amazon書評・レビュー:騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編より
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No.406:
(5pt)

今までの作品<騎士団長殺し1.2

村上春樹の最高傑作です。1部で読むのをやめないで下さい。あなたの心に響く部分がかなりあります。アンチ村上もしくは、文脈を理解していないレヴューがたくさんあり、残念です。
間違いなく傑作であり、今までの作品と別格です。この作品は村上春樹の歴史を変えたのかもしれない。それゆえ、私は何回も読み返している。
ひとつの文脈から、「こういうことを書くからきらい」、それは政治的なものとか性描写のたぐいだが、それで全体を俯瞰的に見ることのできない頭のわるいレヴュアーは、読むのをやめてほしい。きちんと2部まで読んでほしい。
騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編Amazon書評・レビュー:騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編より
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No.405:
(5pt)

成長の物語 成人編

先日、米国出張に合わせて、機内で読ませて頂きました。緻密な情景の描写に毎度驚かされます。リアルワールドとパラレルワールド(精神世界)の設定、騎士団長、かおなが、免色など、村上ワールドを彩る名前、すぐに没入しました。登場人物との会話を通して、主人公の心情が詳細に語られます。亡くなった妹に対する思慕から逃れられなかった主人公が、パラレルワールドの中の川や洞窟を越えることによって、次のステップへと成長する。この物語では、結論が語られています。最後の場面で、娘の室の話が出てきますが、春樹さんは、子供を作っておけば良かったかなと思っているように感じました。
騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編Amazon書評・レビュー:騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編より
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No.404:
(1pt)

Sキングのパクリかしら

基本ストーリーに、村上春樹らしい、と思われる味付けがされてる、だけ、のように思えます。でも、異世界で人を救う、絵画が力を持つ、とか、神様もどきの小人とか、全部、Sキングの小説からインスパイアかな、と、思いました。
騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編Amazon書評・レビュー:騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編より
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No.403:
(1pt)

残念だが、人生で傑作は何冊も書けるものではないのかも。(ネタバレ)

私は20年来村上春樹を読み続けているファンです。が、この新作は全く惹かれる部分がなく、1回読んでヤフオクで売ってしまいました。まず、他の多くの方が指摘している通り、過去の作品のネタの使い回しが多くて目新しさが全くありませんでした。妻が居なくなる、井戸へ篭る、10代前半の少女、孤独な男性、奇異なキャラクターの登場人物、全て以前出てきたモチーフばかり。過去のネタの使い回しでも心に響くものがあればいいのですが、この作品からは全くそれが感じられませんでした(言うなれば作者の魂の叫びみたいなものが)。またキャラクターも中途半端で、例えば私は免色は「ダンスダンスダンス」の五反田君を連想したのですが、免色は五反田君ほど心の闇を抱えているわけでもないらしく、キャラクターとして凄みがありませんでした。騎士団長も、「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」の博士や羊男や加納クレタ的な存在なのかもしれませんが、なんとなくすべっている感じがしました。
ストーリーも薄味で、まりえの失踪場面もクローゼットに隠れて叔母と免色のセックスシーンを目撃する、とか勝手に期待していましたが、私の想像の方が刺激的に終わってしまいました。ゆずと復縁して子供と幸せに暮らす、というエンディングに至ってはもう勝手にしてくれ、こんなしょぼい痴話喧嘩でわざわざ小説にするなと思いました。そもそも、ゆず、簡単に復縁OKし過ぎだし、ただのかまってちゃんにしか見えなくて、この女のどこがいいのか理解不能でした。
タイトルに書いた通り、多くの人に衝撃を与える傑作は、作家人生のうちに何度も書けるものではないのかもしれません。特に、「ノルウェイの森」「世界の終わり」「ダンスダンスダンス」「ねじまき鳥」のような傑作は、千駄ヶ谷でジャズバーを経営したり世界中を旅したりして蓄えてきた経験から出てきた作品なのかもしれません。作家として成功し、世界的にも認められVIPになってからは、おそらく周りにもイエスマンしかおらず、マラソンぐらいしか熱心にしておらず、傑作を書くために必要な人生経験がずっとできていないのでしょう。私はこれからも彼の作品を読むと思いますが、心が掴まれるような新作をもう一度読みたいと願うのは贅沢でしょうか。
騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編Amazon書評・レビュー:騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編より
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No.402:
(3pt)

小説に託した村上春樹の芸術論

恐らく主人公の絵の制作過程が、小説のそれとかなりの部分共通しているのでしょう。芸術論としては面白く読めました。ただし、小説としての完成度はこれまでの長編に比べて低いと思います。ネタバレは避けますが、主要人物の中に、結局あの人は何だったのという人物がいます。人物描写がイマイチ。魅力的ではありません。話は複雑に絡み合っていきますが、厳しい言い方をすればあちらこちら破綻しています。そのような瑕疵はもはやどうでも良い域に村上文学は昇華したと考えたい。何となくワンパターンの感もあり、あえて星3つとさせていただきます。
騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編Amazon書評・レビュー:騎士団長殺し :第2部 遷ろうメタファー編より
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