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ある男
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ある男の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.97pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全264件 221~240 12/14ページ
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主人公の弁護士が在日3世の設定でヘイトスピーチや関東大震災直後の朝鮮人虐殺が繰り返し語られるため、過去を改ざんした男と、それを知らずに男を愛した女の心の葛藤や悲哀への興味や共感が途中で分断されてしまう。 異質な過去をも乗り越える愛と、異質なものを排除しようとする偏狭な憎しみの感情が対比的に描かれているが、中途半端で消化不足の感。 平野啓一郎は本作が初めてだったが、人工的で硬質な文体で、感情移入しづらい作風という印象を受けた。 | ||||
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芥川賞作家の文学作品でありながら、松本清張『砂の器』あるいは宮部みゆき『火車』のように、 謎の人物を追いかけていくことで同時代の問題意識を浮き彫りにさせる、社会派ミステリの側面を 兼ね備えた良作。平野啓一郎の筆は、弁護士と妻の関係、調査対象者との間に生じる共感や距離感 など、繊細なひだに分け入っていく思索敵場面でこそ恐ろしいほど冴え渡り、象徴的でありかつ 日常的であったりする場面のさりげない書き方がべらぼうに巧い。 在日三世であることと、調査対象の抱えた過去というのは、また別ベクトルの問題であると思うので、 この点はいくらかもやもやするところもあったけれど、とはいえ、偏狭な民族意識や差別感情の あふれる現代に「暮らしながら」「悩みつづける」私たちが読んでおくべき逸品であると思う。 | ||||
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以前、王様のブランチで平野さん特集をしてました。すぐにこの方の作品を知りたいなと思い、初購入。 落ち着いた感じから始まり、結構ドキドキしてみています。 | ||||
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これからの小説はどうあるべきか、ラジオで話されているのを聞きました。前作もそうでしたが、生きることに真剣に取り組んでいる作家は信頼して読むことができます。 | ||||
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泣けました。素直に面白かったです。事件の加害者家族たちの生活について、考えさせられました。 前作のマチネの含め、この作者は過去をどう捉えるかということをテーマにしているようです。ある男は、他者になることによって自分自身をリセットしてしまいましたが、マチネで蒔野が言ったように、過去は変えられるというテーマで書いても欲しかったなと思いました。でもやっぱり最後は泣けました。 | ||||
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当事者、合理性、被害者と加害者…それらをどう捉え考えるのか、あらゆる角度から読者へ挑戦状を出してくるような作品。 単なるエンターテイメントの読み物ではなく、個人的には、ちょうど読んだばかりであった「社会学はどこから来てどこへ行くのか」(有斐閣)の小説版のような感覚で、読み進めた。 | ||||
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まず、死んだ後で戸籍と死体が異なっていると判明した男性 「大祐」の正体や、戸籍が変わるまでの過程に関しては悲哀を感じる物語であり、 それなりの読み応えはありました。 また僕自身も、後追い自殺から生き延びた後に生まれ変わりたくて『救えずに自殺で亡くした婚約者』の苗字を名乗っていた事があり、今も結婚で姓を正式に変えたので、戸籍を変えた人物の思いも少しは分かり共感しました。そこが唯一評価出来る点ではありますが、人生の悲哀物語という内容で言えば他の多くの作家が遥かに優れた作品を書いており、目新しいものもなく凡庸な物語といえましょう。 逆にマイナスな点が主人公(プロローグで『立派な人だから主人公に選んだ』と紹介された弁護士の城戸 )に幾つかあり、 愚かに感じます。 ①貧困層で育った男が所帯を持ち、子供を授かった後に昔の先輩が縁でギャンブル狂となり、借金を返すため子供会で知り合った息子の同級生の父親=工務店社長に金の無心。断られて激怒し、社長夫妻と子供を殺して放火した後で逮捕された、屑一辺倒の犯人に対して、 『犯罪に至った背景には犯人の子供時代の貧困家庭環境が大きい。それを救えなかった国家が、立法と行政の失敗を司法が死刑にする事で帳消しにするのは欺瞞だから、犯人の死刑に反対』という考えを述べますが、 同じ家庭環境でもギャンブルに狂わない・借金地獄にならない・強盗殺人しない人間の方が圧倒的に多いのに、貧困から救えなかった国家の立法と行政にも責任はあるというのは、愚か過ぎる主張に思います。 ②自分が原因で奥さんとの仲に溝が出来、奥さんが嫌いではないのに、修復したり仲を取り戻す努力や改善もないまま他の女性にときめく……という状況を生み出し、 家族関係をより良く改善するという当たり前の事が出来ない主人公の姿は愚かに感じます。 ③主人公も作者(音楽に詳しいらしい)も僕自身も同じ1975年生まれで、主人公は音の良さに拘る音楽好きのように書かれていますが、 まずはライブアルバムを聴きながら楽器の良さに心地よさを感じるシーンに関して『ライブ音源よりも録音機材が圧倒的に優れたスタジオ収録CDの方が100%音が良いのに、劣化してるライブ音源の良さに痺れる様が意味不明』に感じ、 ライブ音源がスタジオ音源に音の良さで勝るとしたら『楽器やアレンジが極端に違う場合、ライブ音源がスタジオ音源よりも十年以上後で機材や演奏力表現力が進化した場合等々』の特殊な理由がある時のみですが、そういう記述はなく、調べたらそのライブアルバムは1979年録音のもので、 他に主人公が聞き惚れるアルバムも1975年録音だったり、他の音楽好きと『それが好きなやつに悪いやつはいない』と言い切る音楽も1980年代のものであり、 今の音楽機材よりも圧倒的に劣る演奏環境&録音環境の、音質が悪い30~40年前の音楽をどや顔で、素晴らしい音と語る音楽好きの主人公に対して、正直『耳がおかしいの?』と思うし、 30~40年前の音楽から飛躍的に進化してきた以降~現代の音楽に触れずに、音表現の進化を聴こうともしない・感じようともしない感性のなさには愚かさを感じるばかりで、 加えて1975年生まれの僕には人生で1度も作品内の音楽やアーティスト名を聞いた事がないので、小説で音楽の固有名詞を出すなら、せめて日本で国民的な人気を誇った音楽にして欲しいとは思います。 以上の理由で愚かの極みに感じる主人公にマイナスしか感じず、謎の男の物語の悲哀も凡庸なものであり、 同じ2018年出版&同じ『死んだら実は違う人間だった』という内容の作品なら、篠田節子『鏡の背面』の方が圧倒的に優れて深い内容であり、そちらをオススメします。 今作品の作者の文章の特徴『常に思わせ振りに書く』に関しては、時おり深みを感じる事もあり、夢中になる読者もいるであろうとは感じましたが、 普段は読書しないライト層が読む機会も多い本屋大賞ノミネートに、この程度の作品を選ばないで頂きたいです。 | ||||
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マチネの終わりに が、とても感情移入して読めたので、 期待が膨らみすぎたのかもしれない。 それとは違う、と思って読んだ方がいい。 ただ、深いお話ではある。 はじめは、ストーリーに沿って、 ある男の妻となり、 夫を失った妻の気持ちに寄り添う。 やがて、相談を受けた弁護士、城戸の、ある男を探すストーリーとなる。 徐々に真相に近づいていくが、 その合間あいまに、城戸自身のさまざまな状況が絡んで、 ある男 を追うというより、求めていく、といった雰囲気が強くなる。 ある男の事情は、辛い。 ただ、真相を告げられた妻と、 その息子のシーンは、胸が熱くなる。 しっかりこれから生きていって、とエールを送りたくなった。 | ||||
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誰にでもある、自分からの逃避。 理由はともあれ、考えさせられた。 ただ、本質の部分が非現実的でした。 | ||||
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人間存在(あるいはアイデンティティ)、家族、愛について、いかに不安定ものかということが、様々な登場人物やそれを取り巻く人間関係を通じて複線的に描かれ、時として交わることで、重厚な物語となっています。 冒頭から引き込まれ、あっという間に読了しました。 スッキリとした読後感はありません。 私自身は、自分の家族やパートナーとの過去の記憶が頭をよぎり、冷汗が背筋を流れ落ちる感覚を覚えました。 設定はやや特殊ですが、問われているのは普遍的でもあり個々に異なる「自分」、「家族」、「愛」の存在です。 答えは簡単に見つかるものではありませんし付き合うには重すぎる問いですが、この問いと大事な人に真摯に向き合い続けるしかない、そう感じました。 | ||||
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さすがにレベルが高い 愛に過去は必要なのだろうか、という普遍的な問いと 現代の諸問題を包括する作品 構成に無駄がない 大半の日本人は在日の弁護士には共感できないだろうが、 代わりに悠人という登場人物がその機能を担っていた とても文章がキレイで読みやすいのだけれど、三人称の限界なのか、小説風のレポートみたいで、正直心に染み込んではこず、再読もないので星4つ | ||||
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平野さんの本は何を読んでも密度が濃く納得させられます。 今回もやはり素晴らしかった。 | ||||
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途中でなんかまわりくどいなーと思ったところもありましたがが、後半は一気に読みました。明るい話ではないけど、最後は暖かい気持ちで読み終えました。 | ||||
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平野啓一郎による純文学とエンターテイメントの融合。 ミステリーの仕掛けを盛り込むことで、物語の速度が速くなり、次へ次へと進まされてしまう。彼の文体は純文学畑の、耽美で衒いのあるものだが、その文体とストーリーテーリングの力が見事にマッチした良作。 あと、他のレビューに在日三世である必要はないとありますが、帰化した在日であることは有効にこの小説で機能しているし、必要な要素であると思う。 ヘイトスピーチの問題もストーリーの中で決して浮いていない。要素が詰め込まれ過ぎだという主張も分かるが、あくまでストーリーの中で必然性とともに描かれている。 | ||||
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俳句”蛻(ぬけがら)にいかに響くか蝉の声”とは。 ミステリー、不安なきもち、淡いきもち、変えたいきもち、今置かれているきもち、愛、自問自答、主義、思想。 そして、流れるような文学を感じる旋律。 事象を間接的に捉えていき、本質に迫っていく遠近感。 新たな人生に飛び出すのもいいのかも。 それとも、仕切り直して歩んでいく人生もいいのかも。 ある時、自分自身を振り返ってみる。 「本当にこれで満足なのか」自問自答し、見つめ直し、その答えを見つけていく。 その答えが自分の歩むべき人生。 | ||||
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ストーリーは複雑で登場人物の人間関係をよく押さえておかないと途中で分からなくなる。従って、本書を二度読む必要があると思う。 ブローカーに金を払って別人に成りすます意味はどこにあるのであろうか?自分の過去の人生をデリートしたいと思う「ある男」。しかし、成りすましの人生は必ずしも幸福な人生とは限らない。宮崎県で文房具屋を経営する出戻り女店主が再婚した「ある男」は、死刑を科された殺人者である父親の息子であり、ボクサーとして頭角を表し、新人王を取るも自分の過去が暴かれるのを怖れ、失踪し、旅館の跡取り息子の次男を装い、文房具屋の女店主と結婚し、子供を二人儲け、幸福に暮らし、林業に従事するが、伐採中の事故で死亡する。この「ある男」の過去を調べる弁護士城戸は在日朝鮮人であった。この過去を否定せず、過去と向き合う城戸の人生と暴かれていく「ある男」(過去を消した男)の半生が対比的に述べられる。著者はどちらが幸福なのか、結論は出さない。あくまでも読者に結論を委ねる。 特異な人生と平凡な人生(妻や子供の愛情に支えられる人生)。想像もつかない人生が本書に書かれている。何が幸福なのか、著者は読者に問いかける。問題提起の本だ。 | ||||
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まずは、子供が覚えたての言葉を使いたがるのと同じ感じで一言。 平野作品は初めてだったが、全編通じて衒気が鼻についた。 ちなみに街で無作為に大人100人にインタヴューし、「衒気」の読み方と意味は?と問うたら いったい何人が正確に答えられるのだろう。 少なくとも当方は「衒気」を用いた人と会ったことが無いし、多分これからも無いと思う。 普通にひらがなで書けよ! 何が三島の再来だ! 万人向けの分りやすさを馬鹿にするな! ちっとは池上彰を見習え! などと毒づきながら読んでいたのだが、読み進めるうちに著者の「芸風」を受け入れ始め、 いつしか読めない漢字が出てくるとニヤつく当方が居た。 これでも本作は平野作品の中で読み易い類とのこと。 やれやれ… と言いつつ次はマチネの終わりにをポチっとしそう。 どうやら、この衒気が鼻につく作家の術中にハマったようだ。 社会問題から市井の人の何気ない日常まで、まさに内容てんこ盛り。 いちいち挙げたらきりがないので、少々考え込んでしまった部分をひとつだけ。 主人公が妻の浮気を偶然知ることになるのだが、まるでポストに入っているチラシをポイっと捨てるようにあっさりスルーする。 そこに拘って関係を崩壊させるのか、妻が自分を大事にする「一面」が真実ならそこはスルーなのか。 最初に読んだ時は「何でスルー!?」と思ったが、白黒つけるのが解とは言い切れないわけで。 ちなみに夫婦間でこの話題、話せないよなぁ… | ||||
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自分自身の中にある変身願望をそのまま映したような本でした。正直、読み進むうちにドキッとしました。 変身は是か非か。あるいはその為の方法は。など、登場人物の重なり合いの中から多くの気づきを与えてくれます。 平野啓一郎さんの淀みない文章も印象的です。 | ||||
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在日という、日本では難しいテーマと正面から取り組み、尚且つ推理小説的な面白さを兼ね備えた傑作だと思う。詠み進むうち、高村薫がかつて「レディジョーカー」で描いた世界を、幾度も想起させられた。主人公を始め登場人物達は。いずれも「普通」の日本人社会から疎外された存在である。城戸がこの物語を織りなす人々に共感を覚え、弁護士としての職務範囲を超えて行ったからこそ、この小説は成立したのであろう。 | ||||
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平野さんの本を読んだのは初めてです。「日蝕」でその存在は知っていましたが、どうしても「難しい・・」印象が拭えませんでした。ただ、万城目学さんのエッセイを読む中で、再び平野さんのことを思い出し、そのタイミングで新作「ある男」が書店に並び、読み始めたしだいです。ぱらぱらとページを捲ると、その文章の「読みやすさ」になにか安心して、じっくりと時間をかけて読み込んでみました。もともと読書家でもない私ですが、その表現力には驚きました。例えば、自分と同じ「景色や人物、表情や動作」などを見ても、こんなにも豊かに、奥行きのある言葉で言い表すことができることに、ただ感心して想像を膨らませて楽しみました。特に心に残ったのは、城戸が語る「このままでいいのか?」から「これでよかったのか?」へと考えが揺らぐ中年期の迷いや、花ちゃんが背の高いコスモスと背比べしながら、記念写真をおねだりする場面で、その様子を「その時風が吹いて、コスモスの花がのぞき込むように、右に左に身を揺らせていた。」という表現は、目に浮かぶようで癒やされました。また、物語の登場人物を通して「平野さんの思想や観念」を知ることができて貴重な読書体験となりました。主人公などに、感情移入することはありませんでしたが、全体を俯瞰するような感覚で読めます。そこが物足りないと感じることもあるかもしれません。そして主題の「過去、現在、未来」について。過去は上書きされて現在、未来へと続く。今が幸せなら、辛い過去もその試練だったと思える筈、今が辛い状況だとすれば過去は単純に間違いだった、といえるのか?これは上書きできるのか?人生、仕事、家庭での「最期」にどのような境遇でいられるか。幸せだったか、不幸だったか、意味があったのか、無かったのか。それを判断するのは「自分」ではなく、関わってきた周りの人々なのかもしれない。周りの人々のその人に対する「感情や印象」は様々。それらを組み合わせた結果、「その人」「ある男」になるのかな?なんて考えさせられた作品でした。「マチネの終わりに」は家族が今読んでいるのでその後読むとして、平野さんの2冊目として「空白を満たしなさい」を読んでみることにします。難しい文章でなさそうなので。。 最後に、難解な漢字がたくさん出てきますので電子辞書のバッテリー残量には注意してくださいね… | ||||
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