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宝島
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宝島の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.05pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全118件 101~118 6/6ページ
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沖縄は文化、歴史、全てが特別な場所だと思う。御嶽(ウタキ)聖なる祈り場がたびたび登場します。戦後沖縄から返還までつまびらかに描写されています。引き込まれる文体は私が沖縄好きだからでしょうか。ジャンルは歴史恋愛小説になるのかもしれません。もう一度沖縄に訪れたくなる一冊です。 | ||||
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「この網の目からは、農作物を荒らすイナゴの大群のように悪いもの(ヤナムン)が湧きだしてきて、島の暮らしのひだにまではびりこり、平穏を脅かして、島民たちの魂すらも蝕んでしまう」(p.344)。 基地の金網から、悪霊がつぎつぎと飛び出していく。けれども、それを迎える者たちもいる。 「歳月にも朽ちずに土地に息づくウタキ。それはすばらしく頼もしい、この島の祈りを一手に引き受けてくれるような存在だとは思わんかね」(p.348)。 「過去の出来事(サチユヌー)は、すぐそこにある現実(ユーヌサチ)として立ち現われ、島民の生は明転と暗転をくりかえす。あの日からずっと響いているその声に、だれもが知らず知らずのうちにその身をさらしている。空はどこまでも青く、死者たちが帰ってくる」(p.350)。 かたや米軍基地、日本政府・日本政府の暴力。かたやウタキ、ユタ、ノロ、ニライカナイという沖縄の民衆世界、宗教世界。 日本軍の支配、米軍の侵略、沖縄戦、県民の四分の一の死、土地・資源・生活の略奪、兵士に襲われ殺される少女たち、米戦闘機墜落により焼き殺された小学生たち、教公二法阻止闘争、全軍労(全沖縄軍労働者組合)ストライキ、コザが燃えた夜、カメジロー・・・。沖縄近代史。 「自分がこの房で、なにを渡すまいとしているか。アメリカーや日本人(ヤマトンチュウ)が、この島のなにを欲しがっているのか」(p.88)。 「おれは最近思うんだよな。ほんとうに目の仇にしなきゃならんのはアメリカーよりも日本人(ヤマトンチュ)なんじゃないかって。デモで声を上げるのが民主主義の基本だなんて復帰協は言うけど、この島の人権や民主制はまがいものさ。本物のそれらはもうずっと、本土(ヤマトゥ)のやつらが独り占めにしてこっちまで回ってきとらん」(p.239)。 日本の人権や民主制もまがいものだが、日本が沖縄に対して、人権を蹂躙し、剥奪し、沖縄の「民」の「主」権など一顧だにせず、廃棄してきたことは事実だ。 日本に復帰すべきか。独立すべきか。主人公の一人である青年が出した答えに、驚いた。けれども、当然の考えであった。 沖縄の歴史を背景にした幾重もの苦悶の青春とミステリー。もっとも深い意味でのミステリー。 | ||||
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それなりに沖縄のニュースを注意して見聞きしていたけれども 私は沖縄の事を何も知らなかった。 ヤマトンチュは何も知ろうとしなかった。 辺野古の問題だけじゃない。 沖縄は未だに見捨てられた地。 沖縄旅行に行ったときに 「パラシュートの生地で作ったウエディングドレス」とか 基地から捨てられたものを工夫して生活用品にしていたものとか 見ましたが 日本に復帰しても沖縄は アメリカー世からなにも変わってないと 改めて頭を殴られました。 沖縄出身の政治家が首相になるしかない?! 日本から独立するしかない?!?! 必読の書です。 | ||||
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胸の奥の、そのまたずっと奥の部分(そこには作中の言葉を借りるなら「どんなときでも淘汰できないもの」が宿っています)が「ギュイン、ぎゅっ、いーん」と揺さぶられっぱなしでした。 わたしにとっては、オーティス・レディングや忌野清志郎の歌声を聞いた時に「揺さぶられたもの」と同質のものです。歌であり(踊りでもあるよー!)、叙事詩でもある熱い小説でした。 あきさみよう! | ||||
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沖縄近代史をベースにしたエンタティメント。届いたとき「分厚い」と思ったのですが、2日で読み終えました。ぐいぐい引き込まれて、テンポがいいし、紙面にちりばめられた沖縄方言のルビが雰囲気を醸し出して効果的だと思いました。ユタとノロの違いとか、洞窟の存在の意味とか、ウタキの神秘的な説明など、学校で学んだだけでは知り得なかった沖縄近代史とその周辺、沖縄に住む方達の言いしれぬ苦悩とそれをはじき飛ばす音楽や踊りの圧倒的なパワー。新しい知識も増えて脳が活性化されました。ミステリー形式だったのも魅力的です。 | ||||
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第160回直木賞受賞作品。 546ページがノンストップ。 怒涛のごとく、前へ前と突っ走る小説。 小説が息をしている。 その切り口はとてつも斬新だ。 青春のアツい思いがぎゅっといっぱいに詰まっている。 その行動が眼前に迫ってくる。 仲間との固い絆。 立ち上がっていく勇気。 激動の中で魂の叫び。 読んでいて、心が動き、目が血走ってくる。 読後の余韻は半端なく、涙腺がゆるみ、無口になってしまった。 ぜひ読んで欲しいオススメ本。 | ||||
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真藤さんの作品は、「墓頭」、「畦と銃」を読んだことありますが、はるかに良い作品です! | ||||
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『コインロッカーベイビーズ』と中上健次的世界が、激動の戦後沖縄史とともに展開される。小説ならではの力みなぎる傑作! | ||||
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沖縄が日本であることに間違いはない。 しかし本州に住んでいる私には、沖縄の抱えている現実、歴史、立ち位置など、よくわかっていないのだと思った。 沖縄の人々が向かい合っているのはとても大きな問題なのだ。 この小説は、小説の形で沖縄の人々が知っている沖縄の悲劇を描いているのではないかと思う。 沖縄に対して都合のいい捉え方をしているだけではならないんだと思った。 知らずにいたとか、忘れていたとか、昔の出来事だから知る必要がないとかではなく、きちんと知った上で沖縄の諸問題をとらえなければならないと、あらためて感じた。 戦果アギー。悲劇だ。 オンちゃん、リー、グスク、ヤマコ、そしてウタ。 それぞれの生き方がとてもいとおしく思えた。 最終章は、なくてもいいような気はした。 無理矢理なような、ご都合主義で丸く収めたような感じだったので。 | ||||
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初めてこの作者の本を読みました。戦後の沖縄の雰囲気が分かる、大変興味深い本でした。 方言を懐かしく感じました。 | ||||
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沖縄の戦後から本土復帰までが時代背景です。 キャンプカデナ周辺で起きた婦女暴行殺人事件に始まり、米軍基地から物資を盗む「戦果アギャー」の英雄、オンとグスクとレイと金網の外で待ったヤマコに、婦女暴行事件の遺体の第一発見者の米軍人とウチナンチューとの間に産み落とされたウタが主な登場人物で話は進みます。 ヤマトンチュウである著者が作り出したウチナンチュウの内なる戦後史です。 主題はとても好いのですが、陳腐な場面遷移と全くリズムが取れない文章には閉口しました。 理屈では分かっている筈の沖縄でしたが、読む価値はありました。 | ||||
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1950年から1972年頃まで、アメリカ統治下時代の沖縄を舞台にした男女3人の青春群像小説。オンちゃんとグスク、レイ、ヤマコは、アメリカの軍陣地から食料などを略奪する戦果アギヤーだ。嘉手納空軍基地襲撃に失敗したその日、われらが英雄のオンちゃんがいなくなった。 警察官になったグスク、地元ごろつきの元締めのレイ、そして教師になったヤマコは、戦後混乱期の沖縄で精一杯生きながら、オンちゃんの行方を追い求める。何故、オンちゃんは消えたのか、徐々に明らかになっていく過程はミステリーのようです。 一方、沖縄の戦後史の物語として興味深く、そちらの方が大きく印象に残りました。改めて沖縄が歩んできた歴史を認識します。 | ||||
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大好きな馳星周の「弥勒世」と同じ沖縄が一番熱く燃え上がっていた頃を題材にした物語。沖縄の言葉がたくさんルビられていたり(沖縄:ウチナー、面影:ウムカジとか独自の単語かと思ってたら、なまりだったんですね)、土着の文化が盛り込まれていたので、沖縄世界にどっぷり浸かれて面白く読めました。戦争はダメですね。 一気読みが終盤に失速しましたが、理由は勝手に抱いていたラストにはならないんだと分かっていったからです。ありえなくても、由緒あるウタキの神聖な力を信じ込ませてくれるような話にして欲しかったなぁ。でも納得の1冊です。 | ||||
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沖縄戦や返還後ではなく、米軍統治下にある沖縄の20年を舞台にした青春小説。 日本が悪い、米国が悪い、という単純な話ではない。人間ならざるものの力でファンタジー的に解決させるわけでもない。 どこまでも人間の悲しみや怒りや歓喜に寄り添って書かれた作品。 とても感動しました。 | ||||
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沖縄の戦後1952年から1972年の本土返還まで、20年の物語である。3人の若者を軸に激動の時代を描く。彼らは米軍基地に忍び込み、略奪した物品を住民に分け与える「戦果アギャー」のメンバーだった。奪うのは食料、医療品だけではない。盗み出した建築資材で小学校が建った。そのため戦果アギャーのリーダー「オンちゃん」は住民から英雄視されていた。そのオンちゃんは嘉手納基地を襲った夜に米兵に追われて行方不明になってしまった。オンちゃんの親友グスク、弟のレイ、恋人のヤマコは、片時もオンちゃんのことを忘れず、その姿を追い続ける。 3人の若者が激動の時代に対峙し、一歩も引かず熱く行動する姿が生き生きと描かれる。20歳をすぎて、彼らの道は、琉球警察の警官、やくざ&テロリスト、小学教師と分かれるが、その思いは「オンちゃん」の志を受け継いで沖縄の人々を守り、沖縄に尽くすことで共通している。その行為を通して地元の「英雄」になろうとする。たとえば、女給をしながら勉強して小学教師になったヤマコは、教職員組合の本土復帰の活動をしながら、地域の浮浪児を集めて本を読んで聞かせる。浮浪児は文字を知らず、読み書きができないのだ。強さ、賢さ、優しさを備えたヤマコは沖縄の女性の象徴なのだろう。 彼らの物語はフィクションだが、背景に沖縄の戦後の実際の事件が次々に現れる。頻発する米兵による暴行事件、交通事故、米軍機の小学校への墜落、毒ガスでの住民被害、等々。沖縄の人々が米軍基地の存在により、どれほど人権を侵され、犠牲を強いられ、悲しみを背負って生きてきたか。沖縄人の怒り、悲しみ、抵抗、戦いを、沖縄人の視点で生々しく記述する。沖縄人民党瀬長亀次郎や、のちに琉球主席になった屋良朝苗も登場する。米国は沖縄を蹂躙し続け、対米追随の日本政府は沖縄を見放した。したがって、本土復帰が実現しても米軍基地がある限り、沖縄にとっては「戦中」が続き、「戦後」はやってこないのだ。 一方で、著者は沖縄に古くから伝わる海への帰依、神への祈り、土着の風習について繰り返し言及する。沖縄は豊かな自然と古くからの伝統文化と温かな心を持った人々が住む「宝島」である。その「宝島」を何人も侵すことは許されない、と私は作家の意図を理解した。この540頁の作品は、胸にずっしり響く熱い青春小説であり、本格ミステリーであり、優れた沖縄現代史である。この傑作を多くの人に読んでいただきたいと私は切に願う。 | ||||
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現代にも地続きで繋がっているセンシティブな沖縄戦後史を、これだけ詳らかに、果敢に、真正面から堂々と描き切って いるのはとてつもない蛮勇ではないか? 池上冬樹氏の推薦文にも納得。あたかもこの地にかねてからある昔話や伝承の類を(現代的 なアップデートを経た上で)読ませて貰ったような心地がしてくるのだ。 この本にはそういう同時代性、土着性などを踏まえて必然的に書かれるべきだった物語、という手触りがあるのだ。 現地の人達がどんな風に読むかは判らないが、少なくともナイチャーの私には読後そんな風に感じられた。 政治や戦争の背景、近現代史であの島が置かれた悲劇性にばかり目が行きがちだが、中々どうして、運命の抑圧によって押し潰されそう な若者たちの成長と冒険を描いた青春小説としても、光り輝くダイヤモンドのような一級の物語世界。眩しくて、格別で、朗々として、 消えた英雄の行方を追うミステリの着地点も極めて上質。なんと言っても読んでいる間中ずっとずっと興味の持続が尽きず、 歳月をまたいだストーリーはグスク、レイ、ヤマコという三人の主要人物の視点から拡散的に、多層的に、ユーモラスに描かれていて、 読めば読むほど面白くなるという美点がある。米国の信託統治、基地絡みとなると手に取るハードルが上がってしまう傾向があるかと思うが、 どうかこの本だけはその例外にしてほしい。あの「墓頭」に続いて他に類例のない傑作が世に送り出された。 真藤順丈は、彼の世代で最も有望なエンタテイメント作家のひとりだと思う。 | ||||
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戦後から返還までの沖縄の20数年の若者たちの物語。 この時代の沖縄は日本であって日本じゃない。 アメリカに統治され、庶民は貧困を極め、 泥棒する(米軍から)のをやめたら生きていけないくらい。 米軍から受ける暴力に抗うこともできない。 それでも立ち上がり、声を上げ、前を向いて生き抜く人々。 沖縄のアツい空気が満ちみちてます。 主人公は英雄オンちゃんの親友グスク、恋人ヤマコ、弟レイ。 彼らの人物描写がとても魅力に溢れてて、 読むスピードが早くなっちゃうほどでした。 | ||||
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ハイリズムで本土復帰前後の沖縄の市井の人々を描いた素晴らしく面白い本。悲しみをこらえ、精いっぱい生きる沖縄の人に対する愛情に満ちている。沖縄の深層に興味ある方、必読。 | ||||
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