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抱く女



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【この小説が収録されている参考書籍】
抱く女
抱く女 (新潮文庫)

抱く女の評価: 3.28/5点 レビュー 32件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.28pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全16件 1~16 1/1ページ
No.16:
(5pt)

色んなの書いてて、全部成功してる、、、。フツーに凄い。

桐野さんの持ち味である冴えわたる毒と辛辣さが感じられるだろうか、このテーマで、というのは杞憂でした。今回もページをめくる手が止まらなかったです。
抱く女 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:抱く女 (新潮文庫)より
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No.15:
(5pt)

1970年代を描く異風な小説

私は桐野夏生さんの大ファンで、殆どの本は読んでいます。この本は青春小説であり恋愛小説であり、また、心理劇の小説だと感じました。
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No.14:
(4pt)

私はリアルだと思った

女は男に「抱かれる」存在でしかないのか。1972年、革マルと中核が抗争を繰り返す時代の、20歳の「ノンポリ」の女子大生・直子が主人公。桐野流自分探しの青春小説。みずみずしい。

わかってるのに感情を抑えられなくて、両親と傷つけ合う。対立するセクトに襲撃され重体なった兄よりも、恋人を優先してしまう直子。でも、そういう気持ちってあるよなあ、と思いながら読んだ。思想の時代は遠景にあって、物語の要素ではあるけれどテーマは若者の生き方。解説で村田沙耶香さんは「直子の物語は、私たちの痛みを覚醒させてくれる」と書いた。そう「痛い」。もっとスマートに生きられたら、と思うけれども。
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No.13:
(4pt)

あの時代の気分を甦らせてくれる

抱く女とは、当時のウーマンリブ・ムーブメントの1つのスローガンだった「抱かれる女から抱く女へ」から取られたものだ。

1972年の吉祥寺を舞台に、女子学生の主人公を描く。

大学に通う気にもならず、雀荘とジャズ喫茶に入り浸る。

実家は荻窪の小さな酒屋。

友人の元恋人は赤軍派シンパで自殺し、主人公の次兄は早稲田の革マルで川口君事件後に中核派の襲撃で死亡する。

どう生きていくのか、将来など描けない。

親も、そうした子供たちにどう接していいのかわからない。

作者と同世代だからわかるのだが、そんな時代だった。

現代も子供たちは、どう生きていいかわからないのはある意味では共通しているが、もっと時代の急激な変化の中で立ち尽くしてしまうような感覚があった。

親もしかりだ。

本作はそんな時代と気分を的確に描いているとは思う。

ただ、どうして桐野夏生がいま、こんな小説を書いたのだろう。

帯には「この主人公は、私自身だ」とある。

本作の中で、主人公は「抱く女」にもなり切れない。

ぼくは、作品をそのものを読むというスタンスで、あまり作者の背景を忖度しないのが常なのだが、今回はそんな疑問を感じないでもない。

というのも、桐生と同世代の女性作家である小池真理子などは、『無伴奏』という作品では彼女の高校時代の1970年の仙台を描き、その中で東北大の第4インター派の学生を登場させつつ、当時の時代と気分を描いたし、『恋』では軽井沢の別荘地を舞台に連合赤軍事件を遠景とした作品を書いた。

また、篠田節子も、出身の東京学芸大を舞台に第4インター派などを登場させた作品を書いている。

桐野夏生は、そうした体験を生のままではなくフィクション化して描いてきたという印象がある。

やはり彼女にも、自分語りをしなくてはおさまらないものがあるのかもしれない。

そんな詮索はともかく、あの時代の気分を自分の中に甦らせてくれた作品ではあった。
抱く女Amazon書評・レビュー:抱く女より
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No.12:
(5pt)

すばらしい!

私も60年代後半、大学生活を送ったので、大変興味深かった。主人公の直子が語るように、革命的な言葉を吐く男たちも、また男尊女卑的な料簡でいることが多かった。そうそう、私もそう思う、と同感の思いしきり。「抱かれる女」ではなく、「抱く女」である。このタイトル、誤解を招くこともあるかもしれないが、エロティックな話が中心なのではない。女が如何に自由に、自立的に生きるか、だと思う。中ピ連、など、懐かしい言葉も出てきた。
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4101306389
No.11:
(4pt)

別視点なだけで根本は同じ女の戦い

あまり書評がよくないようですが、本著も根本はグロテスクなどと同じく女の戦いの表現です。
背景になっている時代も、それから40年以上経っている現代社会もさして女性というものの世間的生きづらさは代わり映えしてない。
学生運動とか愛とかそんなんではなく、女性として生きることというメッセージを強く感じて私には刺さりました。
自分はフェミニストでもないですし、男性差別する意図はありませんが、この手の本は男性が読んでも面白さが伝わり辛いだろうなと思います。
そういう作品をあえて書いた著者の新たな挑戦を感じました。
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4101306389
No.10:
(4pt)

1972年の女子大学生の虚無

親の金でフラフラしているだけのように見える
主人公の行動についていろいろ批判もあるようですけど
足を踏んでる方には足を踏まれている状態は分からないんだと思います。

抱く女になれたかといえば
おそらく主人公はなれなかったと思われ

それでも1972年の虚無について書かれていて
それは、残されるべきものだと思いました。

P151
なぜ男は女をさげすむことで自分の性をかくもみにくくゆがめられるのだろう。
これでもいつまで経っても男たちと共闘することなどできない。
そして対等な恋愛もできない。
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No.9:
(5pt)

面白い

とにかく面白い本です。桐野夏樹のファンになりました。推奨します。
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No.8:
(4pt)

時代の空気

いまの団塊の世代が学生だったころ、学生運動盛んな時代、1972年の3ヶ月を切り取って、主人公、二十歳の女子学生、直子の日常を描いている。
 多少、現在からの目線が入っている感じもあるが、同じ時代を生きたものとして、概ね当時の空気がきちんと描かれていると思った。
 雀荘、ジャズ喫茶、内ゲバ、同棲、高橋和己などなど、そんなものがアイテムとして日常にあったあのころ。著者はこの作品で、何か高邁なものを書きたかったのではなく、当時の空気を描きたかったのではないか?
 絶望と高揚を同時に抱きながら生きていた若者たち。今の世界とは、こう見てみると、様々な技術の発達以上に、心の有り様がずいぶん変わってしまったということを思った。
 ラストに、直子の恋をどう始末するのかと思ったが結末は描かれていない。描かなくとも読者には容易に推測できると、著者は思ったに違いない。
抱く女Amazon書評・レビュー:抱く女より
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No.7:
(4pt)

愚かな者の生き様を愚かしく描いた作品

本書を読みながら途中で気付いたのだが、1972年に大学3年で「S大学」で武蔵野在住というのは著者と同じで、帯広告でも「彼女は私」といった文字があったわけだが、別に私小説ではないようだ。

実に愚かで浅薄で救いようのない女が主人公であって、彼女の関わる友人・知人も男女を問わず、愚かで浅薄で、無頼を気取っては時代や社会に流され飲み込まれてる。
この時代や当時の学生を題材とした作品の多くが、社会性や人間性を肯定的に描こうとしているのに対し、本書では徹底して否定的、いや肯定否定以前に愚かと見定めた上で、その愚かさを実に見事に描いていると思う。

共感しようもないし、己を重ねる気にもならない主人公だが、それ故に本作品自体が愚かで共感できないものではないだろう。
既に半世紀近くが過ぎ、忘れられる中で、下手をすれば本人達の中で美化されているこの時代(いわゆる団塊の世代の連中の「俺は昔はやったもんだぜ」や「いまの若いやつは」をみるだに、その傾向は進んでいるように思える)について、同時代人からの辛辣な作品化は案外と楽しめた。但し、そこまでの作品ではあったと思うので、星は4つ。
抱く女Amazon書評・レビュー:抱く女より
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No.6:
(5pt)

宴後の世代による宴への批判的考察。

昔から嫌いな東京の吉祥寺界隈が舞台であること、ジャズ喫茶はまだしも雀荘のシーンが多いこと、主人公の直子とか云うのが恐ろしく未熟で幼稚で下半身がだらしない女であることに辟易した。しかし「三島由紀夫よりも高橋和巳、高橋和巳よりも高橋たか子が好き」という直子の文学的嗜好、さらには以下に引用する新宿の喫茶店での直子の心象描写-「「死の家の記録」。ドストエフスキーを読むのは初めてだったがすぐに魅了された。獄舎で飼っている犬が、孤独な主人公に走り寄ってくる。「いまこの世の中でおれに残されたのは、おれを愛し、おれになついているたった一つの存在、おれの親友、おれのたった一人の親友」。それがこの犬、と主人公は自分の苦しみを自分に誇るような気持ちになり、甘い喜びを覚える。この場面で、鼻の奥がつんとした。」(P.150)、もうこれだけで星五つを進呈する価値あり。「死の家の記録」の中でも最も好きな場面だ。ロシア(煉獄という意味では、今の日本も徐々に煉獄度を増しつつある)を知りたかったら、まず「死の家の記録」を読むことをお勧めしたい。
桐野夏生の小説は、人物造型が等身大でリアルなうえに、人間心理の暗黒面を露悪的に描いてくれるので、同じ直木賞作家でも、この小説と同じ時代をやたらに甘美に描く作家(三島由紀夫がお好きらしい)、あるいは松本清張と山崎豊子の合成亜流のくせにやたらに堅苦しい文体を駆使して純文学を気取る作家(あの作家を和製ドストエフスキーなどと持て囃す素人書評家がいたのには呆れた。かの素人書評家は、実はドストエフスキーを一冊も読んだことがないんではないのか?)の小説などと比べると、はるかに格が上である。今回は青春メロドラマの体裁の小品だが、決してノスタルジーに流されない点はさすがだ。次回は内ゲバ絡みの長編ミステリーを期待したい。
さてこの小説の背景になる「1972年」は、当時中学生だった私にとっては、夏休み(8月)に京橋のテアトル東京に「ゴッドファーザー」を見に出かけ、超満員だったがゆえに思い切って指定席券を買って見た、ただその一件に尽きる。第1次オイルショック前の、実に平穏な日々であった。世の中全体を見渡しても、1995年、2011年後の現在に比べれば、大した時代でもない。1960年代後半から70年代前半について「あの時代」などと特別視する向きもあるようだが、そんなものは特定世代(あるいはその世代に乗り遅れたことに罪悪感を感じている振りをしているただのミーハー。「流行に参加できなかったこと」ではなく「流行を間近で鑑賞できなかったこと」が残念なだけ。安全地帯に居る分には政治運動もサブカルもすべて「面白そうな流行」で済むからな。)の感傷的ノスタルジー、ナルシシズムの発露に過ぎない。
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No.5:
(5pt)

よくつかわれる時代テーマ

ではあるけども、小池真理子さんにもあったけど、私はリアルタイムではないからあれだけど、やっぱタバコだったり喫茶店だったり、もっとこう、ITが無い時代と言う意味においても電子書籍でなくインクくさい本だったりの時代ではあったからそういう意味ではノスタルジーに浸れるし、昔懐かしいし、こちらの広告のタバコ吸うちょっと悪ぶったつっぱねた表情がこの作品あらわしている。

私は好き。
ありふれたありふれたどこにでもある生活を書く、そこが小説の醍醐味だし、その文字だけで人を惹きつける、年代を超えて読まれる、やっぱプロは違うと、すごいと思う。
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No.4:
(4pt)

なんか悪い酒を飲んだような気分 でもそれが自虐を含めて気持ちいい

1972年、吉祥寺。
2月の浅間山荘事件を経て挫折と混とんと
社会というより自分自身に対する違和感が満ち溢れていた時代
そのまっただ中で女子大生であるということ
私は1958年生まれなので、そのころは14歳
反対に冷めた目で彼らの生態を見つめていた記憶がある
終戦後の価値観がひっくり返ったのを冷めた目で見ていた若者がいるように
1972年の挫折を冷めた目で見ていた中学生だったような気がする
そして所詮はまだ男世界で
女であることで生き難かった時代
たぶん男にはわからない屈辱感を感じながら
女が生きていた時代
ジャズ喫茶 雀荘 ウイスキー
切ないな
消化しきれていない
本も自分の時代の記憶も
なんか悪い酒を飲んだような気分
でもそれが自虐を含めて気持ちいい
やばい・・・
抱く女Amazon書評・レビュー:抱く女より
4104667048
No.3:
(4pt)

テーマは一貫

相変わらずの手加減なしの筆致で最後まで。一貫したテーマは女の自立か。
あの時代を総括しきれていないことへの現代へのメッセージとも受け取れて、どこにでもある切り口で、次は何を題材にするのか期待できる。
抱く女Amazon書評・レビュー:抱く女より
4104667048
No.2:
(5pt)

期待の一冊!

その後の「狂おしい愛」がどんなものか知りたくなりました。主人公がたくさんの人々との交流で様々な気持ちの変化を
感じたり、最近少ない、親密な女性友達との瞬間の出会いなど面白く楽しそうで、まさに青春小説!だと感じました。
直球勝負の言葉遣いや内面、時代背景は、私自身とはズレがありますが再読したい一冊です。これからもずっと期待。
抱く女Amazon書評・レビュー:抱く女より
4104667048
No.1:
(5pt)

洗練さよりも息遣いを味わおう

紙やすりで削って吐露したような、主人公の日常。まさしく桐野さんのライ麦畑なんでしょう。「S大」の数年後輩として、主人公の孤独がわかります。「近鉄裏」と共に消えた、吉祥寺のもう一つの顔を思います。
抱く女Amazon書評・レビュー:抱く女より
4104667048

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