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抱く女
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抱く女の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.28pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全10件 1~10 1/1ページ
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1972年の学生運動などが盛んな時期の 女性大生の話。 特に何かに励むわけでのなく、雀荘に入り浸り、バイトしてみても店長がムカつくという理由で直ぐやめてしまう。 男にだらしなく大体どんな男ともすぐ寝てしまう。 そんなダメ女子大生の典型のような主人公が、バンドマン見習いのドラマーを好きになって、3週間ほど男の家に入り浸りセックス 三昧の日をおくり、初めて本当に男を好きになったといって、大学を辞めてその男について行ってしまうという話。 小説はそこで終わっているが、主人公はこのドラマーとは確実に破局するだろうことは容易に想像できる。 正直、バカな女のバカな日常話で、殆ど共感できなかったが、そんな話でも、ちゃんと最後まで読まされてしまうのがこの作者の文章の力なのだろう。 ただ、男に求められることが女の価値なのだ的な世界観の話が多かった今までの話と対局的というか、そこから抜け出すというのが、本作のテーマなのだろうが、正直バカ女の勢いだけの選択に見えてしまう部分が大きく、あんまり伝わって来なかった。 やっぱり、桐野夏生作品は、差別とか貧困か、そしてアジア系外国人がでてこないと物足りない。 | ||||
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この「抱く女」単行本の評判も散々です。文庫版のキャッチコピーが本日の朝刊に出ていました。 内容とあまりにもかけ離れたいわゆる「宣伝文句」に驚きを禁じえませんでした。そのキャッチ『狂おしい恋。大学生・直子の鮮烈な日々。(中略)現代の混沌を生きる女性に贈る、永遠の青春小説』 内容と全く異なる宣伝文句。どなたが書いたのでしょうか?〈(直子の)狂おしい恋〉なんかありません。〈(直子は)鮮烈な日々〉なんか送っていません。=ただ、怠惰に無目的に学生時代を過ごしているだけです。問題意識のかけらもありません。これをして〈永遠の青春小説〉といえるのでしょうか?このキャッチコピーを書かれたライターの方の反論をお聞きしたい。 | ||||
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あー、この話ね。っていうような学生運動の話を盛り込んだ当時の生活や雰囲気を味わう小説って感じでしょうか。 帯に恋焦がれるような事が書いてあったので、恋愛小説のようなものかと思い読み始めたら、 これがなかなか相手が出てこない。 終盤に入り始めてやっと出てきて、気づいたら激しい恋に落ちているんですよね。 そこまでの過程が皆無なので、何も共感できない。 桐野氏得意の悪意も特に強くは出てこない。 テーマだった女性蔑視の世間から抜け出すというものも何かぱっとせず。 桐野氏の長編にある、読み終えたあとにえもいえぬ気分になるというのが無くて ただ読了っていう。 期待しすぎなのかなぁ。 この後の猿の見る夢は男の馬鹿馬鹿しさが物凄く前に出ていて一貫していて 内容は決して重くは無いけど楽しく読めたのですが。。。 あと、他の方で「ヒリヒリするような・・・」って書いていた方がいましたが、 激しく共感します。 グロテスク・柔らかな頬の頃のような魅力があると嬉しいんですよね。 とはいえ、あれだけの方ですから考えてこのようにされているんでしょうね。 | ||||
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荻窪にある酒屋の末っ子長女(兄二人)、二十歳の三浦直子は、自宅から吉祥寺のS大学(著者が成蹊だから、モデルは成蹊だろう)に通っている。 彼女を主人公とし、1972年9月から12月までの3ヶ月間を綴った小説。 中央線吉祥寺駅で降り、北口のハモニカ横丁へ入る冒頭の地の文は、悪くはない。 実在した飲食店(後に、ぐゎらん堂も名前だけ登場するが、有名な西洋乞食は1年後の開店なので出てこない)や施設名を出しつつ、直子は近頃講義も休みがちで、自堕落に雀荘、ジャズ喫茶へ通い、酒も飲めば、煙草も吸うというキャラも手際良く紹介される。 彼女の男友達、女友達も、連合赤軍事件後、内ゲバを繰り返す少数の過激な活動家を除き、急速に醒めた“シラケ世代”の人々らしく、皆、無気力で、その日その日を刹那的に生きている。 当時、自分はまだガキだったが、兄妹で、教授のボディガードを務める大学院生、小田実にかぶれた少々左派気味の女子高生が、正月早々論争するなど、政治の季節末期に、こういう雰囲気の親戚がいっぱいいた。 特に好きでもない男から「欲せられる」ことにより、自らの存在意義を感じ、同禽してしまう若い女の子たち(文中、“公衆便所”という懐かしい言葉を使用、ならば、確かに、男はクソ小便)も、この頃、目立ってきたのかもしれない。 これも、実名で出てくる中ピ連(中絶禁止法に反対しピル解禁を要求する女性解放連合 代表は榎美沙子)の会合に参加し、軋轢が生じる場面も、なかなか。 当時、リヴ運動の真の敵は、旧態依然とした男連中と言うより、女性同士で足を引っ張り合っていた感がある。 確かに、1970年代前半あたりまでのサントリー・オールドは旨かったらしいし、登場人物を語る上で、必ず出てくる服装の説明も、一部(P53、“ロンドンのバンドみたいな細身のパンツ”・・・モッズか? ザ・フーでさえ、1969年のウッドストックでは穿いていなかったぞ)を除き、自分が、知り得る限り、まあまあリアルではある、と、思う。 それなのに、途中、会話が多くなるあたりから(会話に逃げていないかなあ)、首を捻らざるを得なくなってくる。 著者自身の内面の葛藤を、複数の人物に語らせているのだろうが、どうも、しっくり来ない。 複雑で、渾沌とした1972年を、咀嚼、消化して、作品に結晶させろというのは、無理だろうが、例えば、村上龍は、『69 sixty nine』で、当時の意識的ではあるが単純な男子高校生の視線から、1969年の喧騒を、それなりに浮かび上がらせたように思える。 自分が男だから共感を得易かったのだろうか。 倉橋由美子、高橋たか子、吉田知子、富岡多恵子などの作品を、「へー、小母様方って、こういうふうな物の見方をするのか」、と、中学生の頃から、結構、興味深く読んできたつもりではあったのだが、何か、夏生姉さんの今回の小説は、イマイチ、よく理解出来ない。 直子の友人である宮脇泉のボーイフレンドに触れた「死は最強」を、さらに補強しようとしたのか、早稲田の学生で革マル派の次兄にまつわるエピソード、それに絡め新たな出発を意味する深田健一郎の存在にメロメロになる描写も、違和感がある。 直子、あんたは、もう少しクールだったんじゃないの? 昔から、女優岸田今日子の姉、岸田衿子みたいな、“抱かれる”のではなく、“抱く女”というタイプの女性はいたが、直子のようなスケールの小さなタイプではないし、だからこそ、それを目指してのタイトル? 所属女性タレントに、「やられるのではなく、やる女になれ!」、と、叱咤したイエローキャブの元社長野田義治さんを想起させ、きわめて1990年代的だなあ。 やや後追いながら、当時、書かれた小説と無意識の裡に比較してしまうのか、文体が気になるなあ。 高村薫と熊谷達也との対談で、高村が、「私の文章と、純文学の文章とでは、何かが違うような気がする」と、熊谷に投げかけていたのを憶い出した。 それに、確か、某季刊文芸誌に掲載されていた、安岡章太郎と大江健三郎との対談。 大江が、トドロフの文体論を引きながら論を進めるのに対し、安岡は、トドロフを読んでいなかったが、「小説を読む時、大切にしているのは、個性的な文体を有しているかどうか」みたいなことを、言っていた。 山田美妙の“デスマス体”、文章の神様と言われた志賀直哉じゃないんだから、そんな新文体の発明を現代の多くの作家に求めるのはおかしい、と、思ったものだ。 でも、本書のように、読み易いことは、悪くはないが、題材にそぐわない文体って、あるのかなあ。 文体ではなく、使用語の問題で、少なくとも、1972年を舞台にした小説において、 ”逆ギレする(P137の1行目)”は、いくら何でもないだろう。 各文学賞に塗れ、紫綬褒章までもらった(同じ大学の安倍晋三首相による根回し?)夏生姉さん、次は、「参った!」と平伏してしまうものを、是非、書いてください。 | ||||
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私は1972年に大学入学したから、この小説の主人公(桐野氏?)とほぼ同世代である。しかしまったく面白くなかった。主人公がどうしようもない甘ったれで共感できないのもあるが、まぁ20歳の学生なんて、今から見ればあんなもんだろうからそれはいいとして。 題材かな。1972年らしい材料、学生運動、ジャズ喫茶、高橋和巳なんかを適当に散りばめて結局何を描きたかったんだろう? 題名からすると自立していく女性? だとすると最後まで主人公は変わってないんじゃないの? 結局好きな男と暮らしたい為に家を出て大学中退するだけ。実家の酒屋から売り物であるウィスキーくすねたり、働くことも決めずに衝動的に男に会いに行くだけ。 ま、恐らく1年も経たないうち男に捨てられてスゴスゴ家に戻ってくるのだろう。主人公の父親が言った「俺たちが酒屋やって働いた金でお前たちに自由な時間を買ってやっただけなのか」という言葉が一番心に響いた。 この時代をいかにもアウトローが活躍した活気ある時代だったように、必要以上にもてはやす人がいる。しかし、誰もが学生運動や同棲をし、主人公のように奔放に振舞っていたわけじゃない。 ごく普通に学校に通い、アルバイトをし、異性とは不器用にしか付き合えなかった学生たちの方が数の上では多かったと思うのだ、私も含めて。いや、当時は大学進学率は今よりずっと低かったから、同世代では懸命に毎日働く人たちが最も多かったろう。 主人公とその周囲にいる人たちって、1972年でもごくごく一部の恵まれた人たちだよ。そんな人たちと時代を、何かすごくノスタルジックに美化してる印象しか残らない。 桐野氏の描くヒロイン、嘗ては輝いていたのに、「ハピネス」にしろ「だから荒野」にしろ、どうも最近はダメだなぁ。 | ||||
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284ページの作品で、ようやく200ページあたりから主人公=直子に感情移入ができてきた。 新しい恋人=深田との恋愛のはじまり、中核派の兄の内ゲバによる危篤あたりの描写はうまいと思う。 しかし、それに至る当時の風俗描写が、(私にとっては計算が)見え見えで、当時流行した“単語・キーワード”の羅列はいただけない。 連合赤軍事件は、学生運動の衰退へのターニングポイント。 そのあたりの、デカダンスな当時の空気感が弱く、兄の内ゲバによる入院、家族の戸惑い描写がうまくリンクしていない。 ジャズ喫茶にしてみても、アーティストや作品(楽曲名)の羅列で、雰囲気がでていない。 雀荘の描写はまあまあ。 当時の大学生の無目的とはいえ、もう少し、問題意識はみんな持ってたよな。 「主人公=直子が、あまりにも魅力がない」…それがこの作品の致命傷。 作品名の「抱く女」だが、途中何か所もチラチラ「女の自立」の主張が出てきたり、ウーマンリブ主婦の会がエピソードとして出てくる。 しかし、それも中途半端で終わっている。 | ||||
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「抱かれているのではない。私が男を抱いているのだ」 どこかで聞いた台詞。随分昔に、ドラマで篠ひろ子が言っていたのだと思い出した。そっくりそのままを作中で用いるばかりでなく、タイトルに据えている。偶々、発想が同じだったのか。それとも、昔のドラマだから、誰も覚えてやしないだろうと用いてしまったのか。前者である事を切に願う。 | ||||
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そもそもこの年代の、ある程度恵まれた人間の、この手の能天気さが好きじゃないのに手に取った自分の誤りだった。 手を付けたから一応読み通したけど、シラケよりバブルよりゆとりより始末が悪いな。と思った。 | ||||
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桐野氏の作品は好きでほとんど読んでいるが、これは残念ながら、全く違う上っ面な書き物。 当時の空気感を、ファッションや言葉や曲名などの当時の物を使って並べただけ。 そして、この空っぽな主人公とその友人達。 あまりにも何も考えず、あまりにも軽薄で、それでいて利いた風な事を口にする。 当時の皆は、もっと真剣に悩み、議論し、行動し、そして傷ついて行ったのであって、このような疑似行為ではない。 主人公は、行きずりの男と行き当たりばったりにマリファナを吸い、前後不覚になって、偶然知り合うことになるバンドボーイと真剣に恋して、旅立っていくという、あまりにも安易な筋立て。 唯一、内ゲバのバカさ加減だけは書けているが、とにかくファッションとセックスだけで書いてるから理論の理の字もなくこれまた薄っぺらである。 作者には、当時も今も、上っ面なファッションでしか当時の時代と対峙できなかったということであって、この時代を書くには力量がないということだろう。 草間弥生さんの表紙がもったいない。 辛口だが、桐野氏の力量を知っているつもりだからこそ、書けもしないジャンルに良い格好して取りくまず、今まで通りのジャンルで書いてほしいと思ってのこと。 | ||||
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この年代の人はこのテーマがどうしても書きたいんでしょうね。 主人公がどこまで作者なのかはわかりませんが、桐野さんらしい掘り下げ感もなく、どこかで何度も読んだ様なありきたりなストーリー。主人公に聡明さが全くなく、桐野さんに結びつかない。若いがゆえのバカさ、を書きたかったのかしら? 唯一、高橋の遺書にあの当時の若者の思考回路がうまく表現されてる感じがよかったかな? | ||||
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