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何者
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何者の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.95pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全389件 381~389 20/20ページ
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どうも今回は芥川賞のほうに食指が伸びないので、直木賞のほうを読むことにしてみた。個人的には読んでみて正解。朝井リョウという才能を十分に味わうことができた。他の作品も読むつもり。 ただ、読むのに結構疲れた。青春の苦さを感じさせる作品というか、自分の性格の悪さを見せ付けられてしまうというか。 ***************以下、ネタばれありで*************** 登場人物は6人。就職活動に悪戦苦闘する若者を描いた群像劇、というのとはちょっと違って、就活開始時期に出会った(再会した)、主人公の拓人、光太郎、瑞月、理香、隆良、ギンジ(+拓人の先輩)の織り成すドラマといったところ。スポコン的な展開はなく、他人や自分に対する向き合い方、といった部分がテーマになってちょっと湿っぽい。 時間軸としては就活生の11月〜5月くらい。演劇っぽいというか、会話主体で物語が進むのでわりと演劇にできそうとも思った。 作者の意図としては、ちょっと内向的な主人公の「俺」に共感させて、最後にどんでん返しということだろうか。主人公の「俺」はわりとシニカルに周りを観察していて、会話をゲームのように見たりと冷めている。前半〜中盤は、ルームメイト光太郎の、元彼女の瑞月に対する淡い恋心が物語を引っ張る。切ないです。 後半(3月くらい)からは、内定が出る出ないで人間ドラマが出てくる。瑞月から隆良に対する、生き方というかその人間性に対する批判(説教)があり、そこで「ざまーみろ」なんて考えて主人公にシンクロしていた読者は、最後に手痛くしっぺ返しを食らう。なんと主人公はミステリーで言う「信用できない語り手」で、叙述トリックが待っているのだ。他人を「痛い」「お前は何者にもなれない」と論評していた主人公こそが、何者にもなれないという苦悩を抱えていた、と。 ****************************** 受賞会見で、「ニートの方に応援メッセージを」というニコニコ動画からの問いに「上から目線になると思いますので、何も言えません。」と著者は答えていた。ニートと言っても色々だが、自分を安全地帯に置いて、他人を論評する「批評家」であることに対して作者は厳しい。(そして、少し優しい) それは、自分に自信を持てないがゆえの行為だろう、と。 就活というライフイベントにだけありうる話でもない。また、対象が身近な人間か、有名人や小説か、という違いがあるだけで、ネットで「書く」というのは麻薬性がある。誰もが評論家になれる、そんな現代社会に対する批評性を持った一冊であるとともに、カッコ悪い姿を晒す「クリエーター」なり、人と違った何かをして「何者」かであることを目指す人、あるいはそういった道を諦めたにしろ、何とか自分の道を見つけて生きようとしている人への応援歌となっている一冊だ。 | ||||
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直木賞受賞作品ということで手に取りました。 昨今の就活事情がよくわかる本です。 ES(エントリーシート)?就職サイト?WEBテスト?知らない言葉ばかり。 面接まで行き着くのがこんなに難しいことになっているなんて初めて知りました。 ブログ、フェイスブック、ツイッター短い言葉で自分を表現しなければならない現代。 特に、就活の面接で、自分が「何者」であるかを語るとき、限られた時間で、どんな言葉を取捨選択するのか本当にすごく難しいと思います。 自分が「何者」であるかを端的に話せる人などいるのでしょうか。 友人の子どもたちの何人かが、就活真っ只中。 話を聞くと、その厳しさ、辛さが垣間見えてきます。 「落ちる度に、自分が全否定されたような気持ちになり、落ち込む」と口々に言います。 高校や大学を出た若者が彷徨い、漂流しなければならない。彼らを受け入れることのできる社会が構築されていないということに、じくじたる思いでいっぱいです。 若い人たちが、職業に就ける。家庭を持つ。子どもをつくる。等々、普通の暮らしが当たり前にできる世の中になってほしいと切に思いました。 後半は、かなりイタく、えぐられるような気持でした。 もう一つのアカウント。匿名社会の象徴ですね。 人間不信になりそうです。 | ||||
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一気読みできた。 この作家には才能があると感じた。 ただし主人公が痛すぎる。 観察者ぶってる暇があるなら真面目に就活しろよと思った。 ツィッターやスマホなどが出てきて、デジタルに疎い自分にはあまりピンと来なかったが、若い世代にはどストライクな内容なのかなとは思った。 | ||||
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羽田圭介さんも自身の就活体験を元に本を書いていますが 共通するのは「企業に就職することで何か今までと違う自分になれるかもしれない」と思っていること。 そして主人公の周りに同じような大学生しか出て来ず、違う視点を持った大人もいない、とても小さな世界で生きていること。 就職することは変身ベルトで変身するのとは違うと思う。 何故そんな妙な考え方をするのかと言えば他人を見ているようでよく見ていないから。 SNSで本心を別アカでさらけ出す描写は、あぁこういう人いる、と思った。 作者自身もついこの間まで大学生だったからか、大学の雰囲気がとてもリアルに感じられる。 | ||||
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大学生男女5人の就活をベースに、人間関係が描かれています。 拓人という男子学生の一人称でストーリーは進んでいくので、 彼の主観からみた周辺の登場人物の諸々が描かれます。その人間関係の描かれ方が多面的! 彼の主観からしか見てないのに、どうして多面的といえるのか、それは読んでからの(特に終盤残り30ページくらいからの)お楽しみです。 別の言い方をすると、拓人は信頼できない語り手なのか? いや、無数に出版されている他の小説の一人称の主人公たちと比較して、彼が格別信頼できない、というわけではないと思います。 だからこそ、終盤残り30ページくらいからの展開にずどーんとやられてしまうのです。 就活の描写が軽妙かつユニークで、数年前の自分が就活していたころの記憶を引っ張りだしながら読み進めました。 こんな会話しないよな、という小説が多いなか、会話だけ読んでいてもリアリティがあり、会話文以外にも、 地の文とツイッター上の文が絶妙に組み合わさっていて、読んでいて飽きません。 作者の作品を読むのは『桐島、部活やめるってよ』『少女は卒業しない』に続いて3作目です。 上記2作に比べて、本作は作者の主張というか、日々考えていることがよりダイレクトにあらわれているかなと感じました。 もちろん、作品はあくまで作品で、そこに作者の主張なんてない、すべては読者の解釈、という考えもありですが。 本作で直木賞を受賞。現在は会社員生活1年目ということなので、会社員生活5年目の私にとっては、会社が舞台&20代会社員が主人公の本を ぜひ書いてほしいです。 | ||||
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大学2年生ももう終わりそうにある今日このごろ。何やら就職活動についての面白い本が新刊にあると聞き、就職活動に備える身として、早速一読してみました。正直、読んだ後、胸が締め付けられるようで、熱くなってしまいました。本書を読む前、「何者」というタイトルからは、あまりにも漠然としたイメージしか浮かばず、疑問符を頭に残したまま読み始めることになりました。しかし、本を読み終えた今、「何者」という言葉が頭の中で残響のように響き渡っています。ここでは「何者」そのものについては書きません。しかし、あなたがこれから就職活動を通して「何者」かになろうとしつつも不安を抱えているのなら、本書は今の自分を見つめ直す力強い助けとなってくれると思います。 | ||||
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『桐島、部活やめるってよ』を読んだとき、僕は高校生でした。そして『何者』を読んだ今は就活生。89年生まれの朝井さんと、91年生まれの僕。新刊小説の登場人物が自分と同じ学年、同じ境遇というのは、それだけで幸せなのかもしれません。 朝井リョウによる就活小説です。待ちに待った、といった感じです。就活に関する記述は『星やどりの声』や『学生時代に〜』にも少し登場します。いつか就活生の話を書くのだろうなと思っていました。でも『桐島』のときほど共感はできず、星三つです。 共感ができないのは多分制度的な部分の影響でしょう。高校のときはなんだかんだで「みんな一緒」だったのに対し、就活は個人によって動きが異なり、感じることも違います。もちろん共感するだけが小説ではありませんが、僕と朝井さんは同世代で、どうしても朝井さんには共感を求めてしまいます。『桐島』読んだときは、綿矢りささんの『インストール』『蹴りたい背中』読んだときの共感を軽く超えてしまって、それに比べるとインパクトは弱かったです。 「共感」以外のことについて。 作中のインターネットの使い方は、平野啓一郎さんの「分人主義」を思い出しました。ネット上での〈多重人格〉。 それに伴って登場人物の悪意が前に出るようになりました。朝井さんの小説は比較的善人が出てくることが多いので(悪い意味ではなく)、それについては新たな兆しかなと思いました。 あと、個人的にはラストシーンが今ひとつでした。そのラストシーンに行くまでが良かったので、最後にも何か刺さるものが欲しかったです。 いろいろ書きましたが、就活生は(暇があれば)読んでおいて損はないと思います。 | ||||
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『桐島、部活やめるってよ』ならぬ『みんな。 就活はじめるってよ』。 Twitter、スマホ、Facebook・・・物語中に登場するアイテムや描写が紡ぎだす「リアルさ」「現代感」がたまらなく好きです。 まさに等身大の青春。 爽やかなだけじゃない、それがステキ。 | ||||
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私は、おそらく読者対象ではない40歳を軽くこえた中年ですが、 読みはじめてからページをめくる手を止めることができません でした。 この作品のすごいところは、私には3点あるように思います。 1.読み物としての完成度の高さ 練られ切った構成(ラスト十数ページに到達した段階で、つい 叫び声を上げてしまいました)、つっかえるところのない 読みやすさ、そして作者お得意のキャラクター造形の巧みさ。 おそらく作者は、この作品に相当の熱量と時間を注いだのでは ないでしょうか。 ただ、それは他の作者による傑作たちにも言えるところですし、 プロとして当然の仕事なのかも知れません。 2.誰にとっても他人事ではない感じ 就活って大変だろう、という皆が漠然と共有している前提を、 次々と具体的な切り口で見せてくれる手際が素晴らしい。 「もう勘弁してください」と思ってしまうほど、「内定が出ない こと」「自分を差し置いて他人に内定が出てしまうこと」の たまらない感じを、SNSという小道具を存分に駆使して 読ませてくれます。 別に誰かが死ぬ話ではないのに、ここまで登場人物を理詰めで 追い詰めることができるのか、と深く感じ入りました。 3.「恋愛」の料理の上手さ 私自身は、最近の売れ線小説にある、「感受性豊かさ自慢」 みたいな恋愛描写なんかクソだ、と思っておる人間です。 要は劇画とかそういうのが好きなわけです。 しかるにこの本、そんな私が恋愛パートを斜め読みしても 大丈夫なように作られています。 「いやあ、このキャラクター、イタい奴っちゃなあ」と愉快に 読んでいてもいいのです。 が、読後にそんな読み方をしていた自分に痛烈なしっぺ返しが 来るように、見事に作り込まれているのです。 もしや、これまでこの作者が得意としていた「恋愛パートの 上手な感じ」が嫌いな人間を、今回は読者ターゲットとしてる のでは? そう疑ってしまうほどです。 ネタバレになってしまうので具体的なことは書けませんが、 本当に驚いた小説でした。 「面白い」と断言したい作品です。 | ||||
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