■スポンサードリンク
何者
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!
何者の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.95pt |
■スポンサードリンク
Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全389件 201~220 11/20ページ
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
この就活で語られる「自分」はバイトと部活とSNS。 若者たちは学問からは何も学び取ってはいないのだろうか。 そんなことだから自己が形成されていないし、自分を語れない。 間違ってはいけない、企業の採用担当者が見るのはESの修辞でも採用試験の点数でも面接態度でもない。 大学4年間で何を学んできたかだ。 どのような課題を自分で設定し、苦労をし、締めくくりをしたかである。 そのコアが抜けているのでは、大学生活の充実は得られないし何時まで経っても「何者」の答えは出ない。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
ここまで読んで来て、あとの10ページでこれか~…。とちょっと残念な気分。就活ってそんなに続けるものなの?って私も何者になってしまっている感。ちょっと非現実かな。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
「やっと誰かが言ってくれた」。そう言う思いに包まれました。私自身も2年前に「今の就活」を経験したものです。この物語は「今の就活」にピンポイントでフォーカスされているので、少しでも世代がズレると極めて退屈な物語になると思います。ターゲットはスマホ世代の今の22歳〜27歳くらいでしょうか。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
自分が主人公と同じ感じで後半きつかったです。ほんとすみませんでしたと土下座したい気分です。 何もしてない自分に気づいてました。人を見下したくて仕方ないことも気づいてました。悪口言う理由がほしくてあら探ししてました。他人に気づかれなければいいかな~♪って逃げまくってました。頑張ったことないくせに人をバカにする最低人間はこの私です。ほんとに申し訳ありませんでした。 これ読んで何か変わるよ。とかでなくて、油断してるとこ隠し撮りされて全国放送された気分になれますよって感じです。途中までは余裕こいてヘラヘラ読んでたのに。もしかしてこれが狙いか? 叱ってくれる人がいない人は読むといいかも。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
長々と感想を書きたいものだが、文章力のある方々が書いてらっしゃるので簡潔に。 就活は1人でしましょう。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
全体的に文章表現が稚拙かなと思います。テーマも内容もまずまず良いですが、中学生向けの本かな?みたいな感じが否めません。同じテーマで、他の作者の方が書いたものを読みたいという感じ。もっと掘り下げて、もっとドロドロしたものを描けたのでは。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
読んでて気持ち悪くなりました。 登場する人物の心境も分かってしまいましたし、読んでて恥ずかしくなることもあったからです。 どの登場人物の考え方も、自分も突き抜けて考えていたらこうなっていたかもしれない、と思える性格でした。所謂”痛い人間”というのでしょうか。 隆良のように斜に構えていた時期もありましたし、主人公のように冷めた目で人を見てしまうこともありました。 自分が真に受けない方が良いと思うのは、この物語の人物描写は、現実的に見えるようで非現実的であると思うからです。 現実はここまで酷くないと思います。 考えてる人は本当に人間関係や進路について考えてますし、考えていない人は全然考えていません。そこに良い悪いも無いです。人の生き方ですから、他人がどうこう言えるものではないと思います。 誰も他人の心境なんて、話してみなければ分からないものです。それに対して、他人を疑ってしまっても答えは出ないですし、拗らせてしまうこともあります。 この本は露骨に人の嫌な面が出ていますが、人はここまで醜くありませんし、例え醜かったとしても弁えているところはしっかりと弁えています。皆、完全な人間ではないし、それぞれのベクトルを持って生きているわけで、みんな矛盾を抱えながらも生きていると思うし、何が正しいというものはないと思います。 この本を読むことで、人間不信になってしまうことは避けた方が良いし、「自分は自分、他人は他人」ということを考えた方が良いです。 あくまで「こういう考えもあるんだ」というように捉えた方が良いと思います。 色々言いましたが、この本を読まないほうが良かったとは思いません。 知らないよりも知っている方が経験として分かることができているので、勘違いして不意に相手を傷つけることは少なくなると思うからです。 この本は凄いです。 多くの若者に響くのではないでしょうか。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
朝井リョウさんの「桐島」はあまり合わなかったけど、これは面白かった!あまり長くないし、読みやすい。SNSを使う世代なので、ギクッとすることが多くて、大きなドキドキはないけれど、終始どこかハラハラするような、そんなお話。 映画化のキャストも、自分が想像してた通りで、楽しみ。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
自分は就活未経験で社会人になったし、大丈夫だろう!客観的に読めるだろう!そう思って軽い気持ちで読んでみた。 わかるわかる、痛い、痛いよね、カッコ悪い。 知ってる、こういう人いるいる。 というか自分もこういうところある…。 う…無理。 なにこれ、無理無理、えっウワッ!? アッーーー という間に、素っ裸にされて、路頭に放り出されて、すげーカッコ悪いじゃん。でもそれでいいんだよ。 みんな一人で立つのに、足をガクガクさせて、これでも精一杯なんだよ。 自尊心を保つために、誰かに肯定してもらわなきゃ生きていけない…。 この作品に出会えて良かったと思うし、読んで欲しい人が周りに沢山いる。読んで自分と同じようにのたうち回って欲しい。 自分はこれを読んで、自分のツイッターアカウントを消してしまいました…。 恥ずかしくて耐えられなかった。 まさに拓人そのものだったから。 もう少し時間が経ったら、カッコ悪い自分とちゃんと向き合ってあげたい。 滅多刺しにされながらも、自分を好きになってあげよう、と前向きになれる、そんな作品でした。ちょっと不思議な心地です。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
本当の自分と、こうありたい自分、かけ離れていると自分が一番分かっているのに、 誰にも知られたくなくて足掻いちゃうよね。 で、ますます、距離が広がっていくという…自分にも思い当たるフシがいっぱいの話。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
何より、こんなに次々と読み進めることができた小説は初めてでした。 自分は30台のサラリーマンであり、就活してた頃からはもう10年も経過してしまってますが、それでもあの頃の想いが思い出されました。 そして多かれ少なかれ、登場人物の考えの全てが自分にもあった想いだったりして、あーあんなこともあったなぁと思いながら読んでて、クライマックスでリカに一気に今の自分のことを言われてるような展開になって、さらに読み進めるスピードが速くなってしまいました。 自分はSNSには疎く、ツイッターはやってないし、Facebookも登録してる程度ですが、それでも拓人みたい気持ちになるときも結構あるし、リカの説経は読んでて耳が(目が?)痛かったです。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
途中で読むのをやめました。、、と以前書いたものです。 最後まで読み、星3つ増やしました。 これは、最後まで読むべき小説でした!震えました。 頑張って読んで良かったです。 以下、私の以前のコメントです。 ーーーーー 私自身が隆良と全く同じ考え方をしてるからです。 友人が私の話聞かずに相槌打たなくなる理由、この本のおかげで分かりましたが笑。なんかごめんね、って思うけど。 いや、でも、隆良の話に自分の意見をぶつけられない若者が就活すれば必ず壁にぶち当たりますよね笑。 かわいそ、とも感じました。 私は27歳で、就活にSNS使われだした時代の人なので楽しめるかな、と期待したのが間違いでした。 何にも共感できないし、固定観念にしばられた若者の戯言読んでるの疲れるのでやめました。 これに共感する方多いんですね、、日本もつまんなくなったもんだなあ、、 ーーーー 最後まで読まずに書いてごめんなさい。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
僕も現在3年。就活を本気で考え始めなけれいけない時期になり、この本を読んでみたくなりました。 まさに、それぞれの登場人物が抱えるダークサイドとかかっこ悪さ、痛々しさみたいなものを持っている自分に気づきました。 たかよしの就活をしている人のことを社会のレールに乗った個性のない人間であると考え、自分はそうはなりたくないなと感じながらオリジナリティーを求める自分に酔いしれる自分。 理香のように肩書きのみに価値をおき、肩書きで語ろうとする自分。 拓人のように自分のことを傍観者、観察者として捉え、己の本当の弱さに向き合えない自分。 すべて自分のことのように感じてしまい 心が痛くなり、なかなか先に読み進められませんでした。 でも、だからこそ自分と向き合うことができた気がします。 それから、最後の理香の言葉 かっこ悪い自分でこれから先もやっていくしかない、自分以外の何者かにはもなれないのだから。といった主旨のことばにはかなり勇気づけられました。 確かに、不完全で、弱点だらけな自分でありながらもそこからしか成長できないんですよね。 これから一生かっこいい、非の打ち所がない自分以外の何者かにはなれないんですよね。 かっこ悪い自分を受け入れて自分を磨く決心、覚悟が少なからず芽生えたきがします。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
今まさに就活をしている大学生です。 リカとミヅキの言葉が自分に突き刺さりました。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
「頭の中にあるうちは、いつだって、何だって、傑作なんだよな」 「何者」は就職活動を舞台にした、 それぞれの個性を持つ大学生5名の人間模様からなる 青春ストーリーであるが、以下の大きく3つのテーマについて 考えさせられた。 ■生き方のスタンス。カッコいい生き方とは ~成長のスタートラインを知る~ 全ての登場人物はそれぞれ欠点を抱えているが、 大別すると性格のタイプは大きく二つに分けられる。 ①自分の実力を知りながらも、その中で成長するためにもがき苦しむもの ※プレイヤー VS②自分の実力をしらずに(本当の自分に目を背け)、正論ばかり話して行動をしないもの ※評論家スタンス これは本書の一番大きなテーマと感じた、 この両者を合わす言葉として、冒頭の文中のこの言葉が心に刺さった。 「頭の中にあるうちは、いつだって、何だって、傑作なんだよな」 理想論は語れる、本来あるべき姿は知っているから人を批評できる しかし、自分がいざ実際にカタチにしてみると全然上手くいかない、 思っていた通りにはならない、 自分はまだまだ未熟である そして本当の意味での自分を知る。 それが、成長のスタートラインに立つということであると知った。 その点からすすと①はスタートラインにたっているので未熟ながらも 今後の成長の余地はある、逆に②は自分の実力から目を反らしているので、 これからも何かあっても自分を見つめ直すまえに言い訳を繰り返し 成長が望めない、もしくは薄っぺらい人間となる可能性を示唆している。 人それぞれであるが、自分は①のような生き方がカッコ良いしそうなりたいと思った。 ■大学生にとっての就職活動 就職活動とは、当事者の彼らにとっては その後の人生が決まるというくらい大きなものであり、 「大企業に選ばれる=自分は選ばれた人間」という錯覚にも陥っているものが大半のように見受けられる。 ※社会人となるとこの点についての意識が大きく変わると思うが、 実際社会に出れば自分の成長という意味では 万人に大企業が向いているわけでないし、新卒で大企業に入ることが 一番とは限らない。中小企業でリーダーシップを学び、専門性を学び スペシャリストとして転職し大企業に入り大活躍という選択肢ももちろんある。 これは、内定=ゴールと考えており みんなが知っている企業への内定、 数多くの内定をとることが全てとの意識が高く 本当の目標を見失っている点が挙げられる。 ■SNS普及によるコミュニケーションの変化 普段は連絡が取りずらい人とも便利に気軽に連絡が取れることを可能にした SNSのネガティブな面も描き出している。 twitterをはじめとする、デジタルツールの普及で 対面でなくても”気軽時間を選ばず”に”多数”の人に情報伝達することが可能になった。 その反面、”気軽”に多数の人に情報を発信するということは ①誰に知られても良い情報しか発信しない →世の中に出る情報は表面的な情報が多くなる、 それを理解しない人は、同じイベントで別の事実があったりすると 本人からするとそこまではWEBに載せるものでないと思っていても 隠しごとをされたというような誤解も生じる。 ②自分の考えのごく一部しかつらわらない。もしくは誤認される。 自分の考えている想いのほんの一部しか伝えられない。 しかも本来コミュニケーションというものは、 言葉の内容だけでなく、相手の表情、声のトーン、テンポなど 複合してはじめて正確に伝わるもの。 ③SNSが現状のステータス共有から、 見栄張り合戦プラットフォームへと変化している。 リア充に代表されるように、自分の日常も充実していると アピールすることが重要なステータスになってきている。 本来の普段連絡が取れない人とのコミュニケーションツールの域を越えて 自分の身近な人との見栄の張り合いとしての側面が増えている。 SNSとの距離感は人それぞれであるが、本作品の登場人物は 「意識高い系」など問わず全体的にその傾向がみられた。 以上、この本は本当に多くの事を考えさせられた名著である。 「頭の中にあるうちは、いつだって、何だって、傑作なんだよな」 この言葉を忘れずに、アウトプットを大切にし 本当の自分を知りながら生きる人間でありたいと思った。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
現代人?若者?の心を的確に表現されている作品。(そう言えるのは自分に心当たりがあるからという小さな理由だが)。物語ラスト〜解説にかけ胸のドキドキがとまらなかった。心の中に隠していているもの、見てみぬふりをしてきたものをここまで痛烈に言葉で表現されてしまうと、圧倒され、この作品が自分の中の一部と化していく。 自分の価値観を変えてくれる本とたまに出会うことがあるが、そんな中の一冊である。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
自分の中のモヤモヤした黒い感情がそのまま表現されていて、時折自分のことかな?と思ってしまった。 知らず知らずに傍観していたり、バカみたい。と思ってしまったり、何か言ってたことをついつい後で調べていたり。 あるある。ただ羨ましいだけなんだけどね。 ツイッターやその他snsでリア充ぶってしまったり。 ただ純粋に天真爛漫や、素直に他人を思うこと、裏を裏を読まないことって大切だなと思いました。気をつけよう(。-_-。) | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
【内容】 2013年直木賞受賞作。映画化もされる。 御山大学の就活生など6人の間の人間模様を描く。 リアルとSNSの間の一貫性のない言動の中で彼らの関係は徐々に変わって行ってしまう。 :就活、twitter、2ch、裏垢、陰口、羨望、留学、演劇、バンド 【感想】 読後感があまり気持ちの良い本ではないが、のめり込んでしまって一晩で300ページ超を読破してしまった。 留学など「意識高い」活動やへアクティブに参加する一方、コミュニティは大学内だけに限られている彼らは典型的な日本の大学生のようで、大学生心理をイメージできて面白かった。(私自身は一つのジャンル以外はあまりやらずそのジャンルを通して大学外の社会人コミュニティにも足を突っ込んでるやや外れ値的立ち位置です。) また、SNSを使う人たちが人間関係で本音と建前をどう使うか、大人になりきれていない自己顕示欲をどう発信するかも面白かった。 | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
あるあるがちりばめられていて面白く最後まで一気に読んでしまいました。 どんなスタイルの就活生も考えさせられる内容になっていると思います。 もちろん就活生以外にもオススメ | ||||
| ||||
|
| ||||
| ||||
---|---|---|---|---|
表題は、最後のページの空白のなかに私が見出した、作者・朝井リョウさんからのメッセージです。 読了後に、私は氏からこのように言い添えられたような気分になりました。 もちろん、それは私の勝手な解釈であり、氏が作品に込めた意図とは異なるかもしれませんが、それでもなお次のような感想は、本作品を読んだ多くの方と共有できるものではないかと自負します。 すなわちそれは、「この『物語』は未完である」、という感想です。 いまから、私は<何者>と名付けられた『作品』(あるいはその小説としての技巧と、氏の小説家としての技量・力量)についての感想と、そのなかに描かれていた『物語』についての感想とを区別して、レビューを書かせていただこうと思います。 まず、商品についての感想ですが、さすがに直木賞を受賞しただけのことはあって、本作は独創性に満ち満ちています。 ところが、たしかにこれは間違いなく『新しい』作品なのですが、その『新しさ』について私の中では、「<常識破り>の素晴らしい作品だ!」と快哉を叫びたいような気持ちと、「ただの<ルール違反>やんけ!」と憤懣をまくし立てたいような気持ちが両方成立しました。 いずれにせよ、それだけ感情を揺さぶられたのだから、やはり私にとって本作が衝撃的だったことには違いないし、そのような大胆さを備えることが独創性の要件なのかもしれませんが、それにしたって少々マナー違反というか、「なんかずるい……」と拗ねたくなるような気持ちが強く残ったことを白状します。 内容について具体的に言及することは控えますが、次のようなたとえ話で説明することで、私の感じたモヤモヤについてなんとなく理解していただけるのではないかと思います。 芸人のショートコントを笑いながら見ていたら、突然その芸人が観客席の私に向かって、「他人を笑い者にするな!」と本気で怒鳴ってきた……みたいな。 どうでしょう? こんなシチュエーションに遭遇したら、「えぇ……(焦)」ってなっちゃうと思いません?(苦笑) もっとも、実のところ芸人と思われた人物は実は芸人ではなく、コントと思われた寸劇は実はコントではなかったわけで、それを「芸人がコントをしているぞ」と勝手に思い込んで笑いながら見てしまった私が浅はかであり、軽率だったのでしょうが、一方では、「いや、あそこまで滑稽なさまをわざとらしく見せつけられたら、そりゃあ喜劇の類だと思ってしまうのも無理はないのでは」と一言愚痴りたくもなってしまうのです(あくまでエンタメ小説である、という先入観にやられたのでしょうか)。 そんなわけで、私は『作品』としての<何者>とその作者の仕掛けた技巧については若干の不満を抱くのでしたが、いずれにせよ新奇な体験をさせてもらったことには違いないということで、「さすがは直木賞だな」と呟いて納得するのでした。 (推理小説のオチに対して、「そんなのアンフェアだよ!」と叫んだ経験のある方は、十分に注意してください) ここまでが、『作品』についての感想です。 次は『物語』についての感想を述べたいのですが、ここにおいても、やはり私の中で感想が真っ二つに分かれてしまいます。 冒頭で述べたとおり、私はこの物語は<未完>だと感じます(もちろん、作者は意図的にそうしたのだろうと推察するのですが)。 この物語はハッピーエンドでもバッドエンドでもなく、そもそもエンドしていないのです。 そのような解釈に立ったうえで、私はその<未完>について「厳しくも優しい」と感じつつも、「いくらなんでも突き放し、ないし丸投げしすぎでは?」と感じてしまうのです。 そして、いずれにせよ、私はその<未完>には、このレビューの表題に挙げたようなメッセージがーーすなわち、「あとは君次第だよ」という言葉がーー 添えられているのだと思います。 結局のところ、<何者>を手に取り、それを読み終えた読者に、作者である朝井リョウ氏は、「さて、君は何者になるのかな?」と問うているような気がするのです。「君は何者か」ではなく、「何者になるのか」です。その問いはあくまで未来形であり、それはつまり、未完の物語の続きを自ら想像せよという課題の提示なのだと思います。 ただ、その問いのニュアンスについて、どう捉えればいいのか判然としないのです。 「君は何者になるのかな? 僕は楽しみにしているよ(温かい微笑み)」なのか、「君はどうなるのかなあ? 僕は楽しみでしょうがないよ(薄ら笑い)」なのか、そこが曖昧なので、物語の<未完『性』>をどう受け止めて良いかわからなくなるのです。 「あとは君次第だよ。さあ、しっかりと考えて、ちゃんと行動してみよう」と励ましつつ促してくれた気もするし、「あとは君次第だよ。勝手にやってね!」と言い捨てられた気もするのです(もっとも、私は他人の言葉に対してあまり感情を揺さぶられるほうではないので、作者の意図がどっちだろうがかまわない、というのが正直なところなのですが……)。 ここで、ふたたび『作品』(小説としての技巧)としての観点に戻すと、そのあたりの作者の意図が読み取れるだけの十分な情報が入っていないという意味では、たいへん不親切な作品であるとは思います。ある意味で、貧困や戦争やセックス(生や性など、迂闊に触れると多くの人を傷つける可能性のある話題)と同程度か、それ以上に繊細なある種のタブーに切り込んでいる内容の作品であるだけに、作者自身がそのなかに込めたメッセージをもう少しわかりやすくして、読者の恐怖心を緩和する必要があったのではないかな、とも思うのです(実際、これを読んだ知人がずいぶんと消沈していたのです。だからこそ、私はこのたび本作に興味を抱き、それを手に取ってみたのですが) もっとも、作者の言葉足らずを感じてしまうのは私の読解力不足に起因する部分が多分にあるでしょうし、、あるいは作者は意図的にそのような不親切な造りに仕上げたのかもしれない(つまり、「君次第だよ」という言葉をどう受け取るかも、「君次第だよ」という……)とも推察します。そして、そのようなある種の野蛮さ・獰猛さこそが、朝井リョウという作家さんの切れ味・持ち味なのかな、とも想像します。 なんだか冗長なレビューになってしまいましたが、このあたりで強引にまとめに入ろうと思います。 この本に興味を向けた方に対して私が一言お伝えするとしたら、次のようになります。 人によっては、読了後にたいへんな不快感・喪失感・孤独感を覚えることになるでしょう。 とくに、「自分は他人の言葉で簡単に傷つく」という自覚のある人にはおすすめしません。 そうでないとしても、この本の後味は愉快なものには決してならないと思います。 所詮はエンタメ小説だとみなして、隙間時間の埋め合わせ程度の気概で手を出すと失敗するでしょう。 読み終えたあと、十分に考察するだけの時間的・精神的余裕がない状況では、読まない方が良いかもしれません。 いずれにせよ、油断ならない『作品』であり、良くも悪くも心に残るーーというより、心に尾を引く『物語』です。 朝井リョウさんはたいへんな<曲者>でした。 | ||||
| ||||
|
■スポンサードリンク
|
|
新規レビューを書く⇒みなさんの感想をお待ちしております!!