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何者



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【この小説が収録されている参考書籍】
何者
何者 (新潮文庫)

何者の評価: 3.95/5点 レビュー 389件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.95pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全389件 341~360 18/20ページ
No.49:
(1pt)

着眼点。ただそれだけ

ちいさくまとまりすぎていて全く面白くない。
ツイッターという題材がなければ、見向きもされなかった小説だと強く思う。審査員のオジサマ方が、「たまには若いもんへの理解を示しとくか」とか言って、若者文化の物珍しさを評価しただけなんじゃないかな。
それくらい、誰にでも書ける文章。引き込まれもしない世界観。ヤマナシ、オチナシ、意味なし。
ラストにどんでん返しが!!ってふれこみだったけど普通に予想できるレベルのもの。
これだけページ数を使って、ツイッターと「今どきのシュウカツ」を書いてるだけ。しかもその「シュウカツ」自体的外れ。
作中で何度も「意識の高い学生」って言ってるけど、ほんとに意識の高い学生はツイッターなんてしないよ。
全く面白くありませんでした。いやはや若いだけだねえ。ほんとに。
何者 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:何者 (新潮文庫)より
4101269319
No.48:
(3pt)

中古品でもいい

新刊はやりの読書、もうこれからはキンドルで十分ですね。 読書内容はいまの就活生の気持ちにふれていいですね
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No.47:
(4pt)

「これ、ただの俺の日常じゃん。」

新大学3年生というタイミングで本書を読んだ。率直な感想は「これ、ただの俺の日常じゃん。」

僕のTwitterのタイムラインにも、本書の登場人物と同じような人達がツイートを重ねている。
「意識高い」格好良い言葉を並べる人がいる。
格好良さげにツイートをする人の中にも、「本当に格好よい」と思って書いている人もいれば「精一杯背伸びして」書いている人もいる。
そのツイートを見て「あいつ意識たけーw何が『本質』だよw」と冷めた目で俯瞰して物を言う人がいる。
そんなこと気にせず「すごい!すごい!」と純粋無垢に相手を問わず感動できる人がいる。

本書では上記のような性格を持つ就活生達が、就職を目指す中でお互いをどのように見ているかがリアル、Twitterの2世界を通して描かれている。

本書に描かれている人物はどの人にも共感してしまう。
一人に共感するのではなく、様々な登場人物に共感し、どの登場人物にも自分自身が内包されている気分になる。
そのため、僕にとって本書の感想を記すことは、自分自身の言動、振る舞いを振り返ることと同義である。

そこで、僕自身のツイートを振り返って思うのは
1つ1つのツイートに込められた本当の自分の思いを考えると、思いとは逆行する結果に向かってしまっている、ということである。

誰かに会いたいなら、会いたいと言えばいい。「今日の午後暇だー」なんてツイートせずに。
頑張ったことを認められたいなら、何も言わなくても相手から認められるまで頑張ればいい。「うわーもう3時だ、寝ないと」なんて言わずに。

ツイートをすることが、自分の思いに対して解決策を打ったこととしてすり替えられているのである。
自分の思いから逃げた結果がツイートであり、ツイートはもはや原因であるとも言える。
Twitterが日本で流行っているのは「情報収集」としてのTwitterではなく「自分から逃げる」ためのツイッターなのかもしれない。
一方でこのような批判は
「つぶやきなのに、演じなくてはいけないの?」「見たくないならフォロー外せばいいだけの話。自分がつぶやきたいことをつぶやける場所がTwitter」
という意見に内包されているTwitterの良い面をも見逃していることもまた事実。

結局Twitterは無意識に使われやすく、無意識から生まれるツイートは本当の自分なのか自分自身でも判断できないからこそ、惰性で使われ続ける。

ただ、これらはTwitterのユーザー誰しもが思う、今更長文を書いて主張するまでもないありきたりな意見である。

本書の特筆すべき点はこのような「ありきたりな意見」を「身に迫る事実」として読者に訴えかけることに成功している点ではないのかな。

それにしても本書を読んだ後のツイートのしにくさといったら。
何者 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:何者 (新潮文庫)より
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No.46:
(4pt)

スマホ就活術では「何者」(大人)になれない若者の生態がわかる

就活という試練をうけている50万人を超える、同世代の過半の大学生の生の声がよく集められて小説にしている。読んでいると、学生の就職相談をキャリアアドバイザーとして傾聴しているときに聞かされるフレーズが、次々に出てくる。巧みな表現ではある。内々定をとろうとする過程で悩み苦しんでいる姿を20代の若者はこのような言葉で会話しているのかと知る上では大変興味深い。ノンフィクション表現としては秀逸なのかもしれない。
厳しい言い方をすると、採用する側からは限られた時間の中で採否を決める仕事をしているので、このような大人になっていない何者としての学生は「欲しくない人材群」として見えるだろう。スマホというツールのリテラシーを高めることは就活では必要であるが、人間対人間という生のコミュニケーション力をもっと磨いて欲しい。この小説は反面教師としての教訓も与えてくれるのではないだろうか。何者という問いかけの原点には、何のために働こうとするのかの思いが深くなければと思って読んでいたが、その答えはこの小説には見えなかった。就活モラトリアム時代の若者論としては良い作品なのかもしれないとも思った。
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4101269319
No.45:
(4pt)

すごい

作者の作品は初めて読みました。 中盤までは、え?これが直木賞?ただ学生の生活の羅列じゃん・・・なんて思いましたが、ラストはすごかった。 舌を巻くとはこのこと。 気味の悪さが後を引きました。 女学生の描き方もリアルですよね。 こういう人いるもんね。 文章がすごく上手いと思います。 流れるように読めますし、携帯やネットを頻繁に使う人は面白いと思います。 ただ、それらを使わない年配の選考委員からも褒められたということは、この作者には力量があるんでしょうね。
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4101269319
No.44:
(5pt)

ユージュアルサスペクツ

就活をしたばかりの作者(桐島、部活やめるってよ)が描いた就活のリアル。 石田衣良「ワタクシハ」とは比べ物にならないリアルさ。 ラストに理香が、結局の所、「ユージュアルサスペクツ」のカイザーソゼ的な存在であった拓人へ繰り出す言葉のパンチが、特に生々しい。 作者は、会社員生活をどういう視点でとらえているのか、次作が楽しみだ。
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4101269319
No.43:
(3pt)

就活とは?

主人公たちは、就活を行っている大学生たち。
その内の1人(拓人)の眼を通し、現代の就活のあり方や、大学生たちの人間関係が描かれる。
また、現代らしく、ツイッターやフェースブックを活用している姿が見られる。

物語は、拓人という俯瞰者を通し、悲喜こもごもの就活状況を描き出す。
積極的な者が居れば、傍観的な者も居る。
彼らは、彼らなりに自分を納得させ社会人になるべく、エントリーシートを書き面接を受ける。

私には、若者たちが就活のストレスから友人を傷つけているように感じた。
もちろん、皆、真面目に就活に取り組んでいるのも分かる。
しかし、「内定者」イコール「成功者」という認識の前には、現代の友人関係はあまりにも脆かった。
そこには、現代社会の友人関係における希薄さや危うさを感じることとなった。

俯瞰者でるはずの拓人が最後に受ける仕打ちに対しては、少し可哀想に思った。
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4101269319
No.42:
(4pt)

これから就活を始める人に

既に就活が始まっている人は忙しくて読めないか、読んでもあまりプラスにはならないかもしれない。一番読んで欲しいと思うのは大学1年生か2年生の人。

新卒者に限らず、とにかく、就職活動というものは特別な繋がりやコネが無い限り理不尽に満ち溢れたものです。若干名の求人に何十倍という応募者が群がり、企業はとにかく何らかの理由を付けて選ぶ。落とされた側は、その理由も明確にされず、ただ自分を否定されたような気持ちだけが残る。

社会に出て、採用や人事に関わるようになると、初めから採用できる人の数も期間も決められており(それも、人事担当者の預かり知らぬ所で)選べなかった人たちのその後を思って苦悩することもあるということがわかるのですが、本書ではそこには触れられず、企業の人事や就職活動というものはとにかく理不尽なものとして描き貫かれています。

本書が本当に伝えたいのは、どうやって就活の苦しさを乗り越えるかということではありません。

日本の若者にとって就職活動は一番わかりやすい自立への入口であり、そこに立つまでの幾人かの若者の物語が綴られています。

Twitterに親しんでいる人には、あるあると思わせる描写が多いのでより楽しめるはず。

青春物っぽい進め方をしながら、主人公とヒロインの関係が煮え切らずに終わってしまったこと、伏線を張って回収するという技巧的な部分が見えすぎてやや大雑把なところで、今後の期待を込めて☆-1としました。
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4101269319
No.41:
(3pt)

この本のレビューをネットに書くということが、この本の提示した罠に嵌っている証拠

テクノロジーとか就活とか、他人の設定した条件によって、不自由になってしまっている人たちの話。 でも、この本のレビューをネットに書くということが、この本の提示した罠に嵌っている証拠なので、批判はできない。 その意味で、こういったことをSNSに書き込むことでこの本の読書は完了する、その構造が面白い。
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4101269319
No.40:
(4pt)

直木賞の審査員の想像力が高まった!?

作者が直木賞を獲得した時、随分と驚いたが、私はこの作品に直木賞を送ったオッサン達を高く評価したい。

この作品、社会風刺的な意味合いも強い。現役就活生の私のように、読後の脳みそ停止状態になるこの感覚は、就職システムの現状の理解に乏しい世代には分からない。だが、これを直木賞というステータスを与えたことで、幅広い世代の方にこの本は読まれるだろう。その時、「最近の若者は〜」の、「若者」の真の姿を想像してみて欲しいと思う。多分審査員も、その中身を垣間見たと感じたのだろう。微細な若者特有の表現や言い回しが、現実の匂い嗅ぐことが出来る。

個人的だが、私も以前は、飲み会では端っこで、鳥のごとく高い視点で周囲を観察する立場を格好いいと思っていたクチである。

つまり、「体育の授業で本気出す奴とかマジダセェ」←(いやお前のがダセェよ)←だが口には出さない、これが以前の私であり、この本の主人公だ。

ちなみに、この「以前の私」という言い方も、「今はそうでもないから、そんな人間じゃないからアピール」を含有している。twitterの様な、簡単な言葉で自分の気持ちや状況を発信出来る時代に、人の言葉の真意を想像することは難しい。だが、言葉の真意を、裏の部分をこのようにいちいち詳細に説明していては埒があかない。だから、想像してあげること。これはこの本の最大のメッセージであると私は感じた。
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4101269319
No.39:
(4pt)

きっとボンクラで痛い自分に出会える。

今をリアルに伝えるための口当たりの悪さというか、不愉快な文章の列挙にうんざりさせられながらも最終的にはこの作品の持つトリッキーな構造に嘆息させられるという上等なエンターテイメント。
とても緻密に計算されているにもかかわらず、上質であるが故におそらくは誰もが登場人物の誰かに寄せて身につまされてしまうエモーショナルな小説。その手管はミステリー並。
どこを向いても、何をやっても、何を考えていても「痛い」存在にしかなりようがなくなってしまった、どこにも辿りつく事のない日々を送らざるを得ない現代と全てのボンクラが身悶えするラストに戦慄する快感。
と、こんなレビューを書いている自分にもゾッとするサド・マゾ娯楽小説最新型。恥の上塗り。
軽く痛い思いをしたい方、ぜひ。
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4101269319
No.38:
(1pt)

直木賞とは。

種々意見があると思います。 ですので単純に好きか嫌いかで判断したいと思います。 僕は、嫌いです。 確かに心理描写の方法など、いいと思える部分はあります。 ただこれは「文学」なのでしょうか。 妙に軽いタッチの、例えて言うならば西野カナのような軽さを感じます。 そしてストーリー云々よりも、その軽さのせいで、読むのに携帯小説を読むときと変わらない苦痛が伴います。 そういう「苦痛」という意味では難解な哲学書といい勝負をしていると思います。 綿矢りさ然り、この作家然り、文学っぽい比喩表現を使って文学の体をなしている、携帯小説。 だと思っています。 食べ物で言うとスナック菓子
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4101269319
No.37:
(3pt)

年齢的なギャップが・・・、でもタイトルは秀逸。

登場人物達が、学生と社会人の狭間で流されないようもがく様は興味を持って読めたが、内容は特に響かない本だった。
登場人物達と年齢が離れすぎているのも一因かも。

だが、ネットとリアルの表裏に加え、ネットの中にも表裏があり・・・というあたりが伏線になって導き出されるラストは好きです。
主人公が評した似ている二人の違いも実にうまく解き明かされていきます。
他人のセリフと主人公の考えがクロスする書き方とか結構よかった。
登場人物達と同世代の時に読めれば心に残る作品となったかも。

もう一点。タイトルについて。
社会人になってからの時間(仕事をして、遊んで、結婚して、子どもが生まれて・・・)で自分は何かをこの世に残せたのだろうか?何かを成し遂げられたのだろうか?と考える時に、自分は「何者」になれたんだろう?と、歳を重ねてからの自分の今いる位置を考える機会を与えてもらった。作中の人物はこれから自分が何者かになっていくスタートにいるわけで、無限の可能性と無限の分かれ道に立っている事になる。自分にもそんな時代だあったわけで、その時に十分考えていただろうか?などと読み終わった後、本の表紙を見て思わされた。
含蓄のある秀逸なタイトルです。
何者 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:何者 (新潮文庫)より
4101269319
No.36:
(5pt)

何者

新進気鋭の作家の作品であるし、私の子ども達が直面している就活の辛さ、若者がそれをどう捉えどう乗り越えようとしているのか垣間見ることができました。 作者が考えぬいたような一文一文にも感動しました。 次の作品も期待しています。
何者 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:何者 (新潮文庫)より
4101269319
No.35:
(3pt)

あ〜〜〜それも青春

最初の20ページぐらい こういう書き方に慣れなくて 一度挫折した あ〜〜私も歳をとったのかなって でも 数日経って 続きを読み始めたら その後は一人称の独白と観察 その間に挟まれるTwitterが癖になる味というか いつの間にかはまってしまっていたようで そして最後に あ〜〜こういうどんでん返しがあるんだ 何者っていうタイトルは こういう意味があったんだ あ〜〜〜それも青春 (って昔々吉田拓郎が歌ってたなあ・・・)
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4101269319
No.34:
(4pt)

''全人格評価''の恐ろしさ

「桐島、部活やめるってよ」でデビューした著者の6作目。

ルームシェアをきっかけに知りあった学生達の、
シューカツを通した友人関係や自己像の設定に四苦八苦する物語。
本書のコアは、タイトルの「何者」というとおり、設定した自己像との剥離や他者からの承認にある。

元々劇団サークルで脚本を書いていた拓人、留学から帰ってきた瑞月、海外ボランティアやインターンに熱心に参加した理香、バンドのボーカルの光太郎、読書家で就活に興味を示さない隆良を軸に話は進んでいく。
物語の中心に置かれるのは、就活での合否そのものの葛藤ではなく、就活の渦の中で巻き起こる人間関係だ。
例えば主人公の拓人は、ルームメイトの光太郎が使っていたPC画面に成績証明書映っていることから、光太郎が最終面接に進んでいることを推察する。拓人は成績証明書の画面を見た瞬間、手が止まってしまう。
理香は、自己アピールのためにインターンやボランティアなどの経歴をこれでもかと載せた名刺を作成する。主人公の拓人はそれを「イタイ」と思いながらも口には決して出さない。

というような調子で、まさに現代のほとんどの大学生、特にそれも就職活動に熱心な層が陥りそうな「シューカツレース」の様子が描かれている。
そこにあるのは、就職という言葉が本来表すはずの職業や業界への現実的な理解、職業能力の開発といったとこからかけ離れた「シューカツ」だ。

昨年それを経験した自分としては、彼らの視野の狭さや思考の浅はかさがなんとも開けたくないアルバムをのぞかれているような気味の悪さを感じてしまう。

レビュータイトルの全人格評価の話だが、登場人物がシューカツに必死になるのはどこの企業に内定をもらえるか、面接を突破できるかがまるで「潜在能力」の証明のように感じられるからだろう。企業に内定して初めて、「何物」かになれる。自己実現できると思いこむ。

個々にそのような意図はないにしても、企業が紹介するデキる若手社員、新卒求人の広告業者、内定までのテクニックを喧伝する出版社や著者、学生内定者アドバイザー、キャリアコンサルタントと呼ばれる就活業者、あまりにも労働社会に無知な就活生、さまざまなアクターが自己実現レースとしてのシューカツの舞台を作り上げていく。
シューカツ市場の舞台では、有名企業の内定者はヒエラルキーのトップに立ち、潜在能力「A」の扱いを受ける。なんとも不毛なレースが行われている。

就活生がかわいそうだから新卒採用は廃止しろ!などと浅はかな批判はしないが、これが現実の一端であることを多くの世代の人に知っていただきたいとは思うところである
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4101269319
No.33:
(1pt)

明日の作家

全く読み間違えているのかもしれませんが、
残念ながら、あまり良い読者にはなれませんでした。
『桐島』を読んで、この著者の力量には驚いたのですが、この作品には処女作にあった輝きを感じられませんでした。
話自体は面白く、登場人物もしっかり描かれていて、次にどうなるのか楽しみながら読み進めました。
けれども人間の持つ悪意や二面性をこのテーマで描いたところで、
リアリティ以上のものは立ち上がってこないように思います。

終わり近くの女性登場人物の独白に近い感情の吐露も、やや稚拙に思われました。
重要な場面なので、もう少しやりようがあったかもしれません。
選び抜かれたとは思えない表現も散見されます。
また、登場人物にとりたてて感情移入しないで、相対化して読む読者にとっては、
そもそもどんでん返しが成立しません。

それでも人間観察の鋭さや、小説を仕立て上げる企みには目をみはらされます。
並の作家であれば、それ以上を望むことはないのでしょうが、
これだけの力がありながら、なぜこの作品を書くのか、
という違和感が最後まで拭えませんんでした。
このテーマで書く以上、世代や感性などを超えて、
読む者全てに刃を突きつけるような普遍性に挑んで欲しかったように思います。

いずれにせよ、この著者の小説を書く力量は驚嘆すべきものだと思いますが、
それに値するテーマを見つけられていないのかもしれません。
十全に力を発揮した作品を読みたいと思いました。
「十点でも二十点でもいいから、自分の中から出しなよ」
という台詞は著者自身にも向けた言葉であると信じております。
何者 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:何者 (新潮文庫)より
4101269319
No.32:
(4pt)

今度は孤独のみならず、ストーリーの冴えも素晴らしく

『桐島、部活やめるってよ』で交わりそうで交わらない高校生の心を描いた朝井リョウも実生活で大学を卒業し、今度は就職活動に挑む大学生の交流と葛藤を描いて直木賞に輝いた。デビュー当時から見せていた非凡さ、同時代性ゆえの新鮮さ。今回はツイッターを小道具に配し(『桐島〜』ではウォークマンだった)、孤独の描写に止まらず、ストリーテラーとしての冴えも見せてくれた。他の方もコメントしているけど、朝井リョウは成長した、と実感させてくれた。

そもそも、就職活動に協力とか情報交換なんてあるのだろうか。四人の主人公たちは無邪気にもアパートの一室に集い、模擬エントリーシートに取り組み始める。しかしモラトリアムの最中にある高校生とは違い、彼らは通過儀礼の出口に立つ大学四年生。始めて大人社会から受ける否定の嵐に耐えながら、『桐島〜』では剥がれなかった無邪気さのメッキが、少しづつ剥がれ始める。そして迎えるクライマックス・・・。

もやもやと見えなかった感情が見えるようになる。ならなければ大人になれない、とすれば、朝井リョウは次作以降で社会に出て「何者か」になった同世代をどう描くのだろうか。同世代人ならずとも将来の楽しみを感じさせる、直木賞受賞作でした。
何者 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:何者 (新潮文庫)より
4101269319
No.31:
(4pt)

痛さを繊細に表現した小説

ツイッターのアカウントや文章が文章のあちこちに登場し、ネットでつながる若者文化をベースにした、
まさに若い人でないと書けない、現代のあたらしい小説だな、と思った。

この不況の中で就職活動に挑む学生たちの日常と、社会人になる前のジレンマを題材にした小説。

ネット社会を当たり前として受け入れ、便利なモノがあふれた世界を生きている若者たちは、
のっけからノリが軽く、人生の舵をとる大切な就活にもどこか「生活を賄うための必死さ」みたいなものがなくて、
社会人が読むと、学生時代特有の甘さの出た世界に、最初は辟易とするかもしれない。

私も、読み進めて中盤以降くらいまでは、あー、いやだな、いやな感じの人たちだな。
海外で留学を経験しただの、バンドをやってるだの、舞台をやってるだの、
なんだかきらびやかに学生生活をエンジョイしている感じが、
学生たちの自己顕示欲を次々と見せつけられている感じがしたからだ。

主人公も好きになれないし、周りの人たちもお互いを牽制し合っていて、
誰の「本気」も見えないような気がしていた。

それは痛くて、いたたまれなくて、見ていられないような、こっちが恥ずかしくなるような感じを引き起こした。

しかし、後半以降、この小説はそれだけじゃないな、と思った。

自分の能力や、今までやってきたことの努力の過程を、結果は無くても認められたいと思うこと。
人と同じ、ひかれたレールの上を走るんじゃなく、自分だけの個性で生きていきたいと思うこと。
必死にあがいてもがいている同世代の友人を、分析してこきおどすことで、自分が一段上みたいな気持になること。

お互いの本当の気持ちが、会話からむき出しになるにつれて、痛いように見えた人たちが、
たまらなく切なく思えて、「分るよ」って言ってあげたくなった。
今はしれっと社会人の顔をしている私も、同じような痛さがあったし、今もあると思った。

人間として若者から大人へ変わる瞬間、下手したら大人になってもひきずるような類の、
あえて言葉にしないような自己顕示欲のもがきを、すごく上手に表現していると思う。

他人と他人がてんでばらばらの目的で交差している社会の中へ、
複数で決められた方向へ進んでいた学生たちがぽんっと放り出される時の、
自分が動かなければ何も始まらない、何も注目されないあの感じ。

著者はリアルタイムで感じてきたその瞬間を、今しかない、そのかけがえのない若い感性で、
切り取るみたいに正確に作品にしている。

少なくともモラトリアムに浸る余裕があり、それぞれの生き方が自由で多様化した時代に
就職活動をした世代までは、共感することも多い小説ではないか。

「直木賞」という箔がつくと、いろんな世代や立場の人が読むことになるから、評価は二分するだろう。
作品は多少荒削りで、痛い、見たくない感情が起きる小説だけれど、それでも就活生のみならず、
多くの人の気持ちに、すいっと食い込むとても優れた何かを持っている小説だと思う。
何者 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:何者 (新潮文庫)より
4101269319
No.30:
(4pt)

面白かったです

娘と一緒に読みました。 作者らしい内容で面白かったです。 次回作も期待したいです。
何者 (新潮文庫)Amazon書評・レビュー:何者 (新潮文庫)より
4101269319

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