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(短編集)
アイの物語
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アイの物語の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.66pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全92件 81~92 5/5ページ
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いくつかの雑誌に発表した5つの短編に、更に二つの書き下ろし短編を加え、全体を一つの物語に仕上げている。未来版の千夜一夜物語。素敵です。第一話以外は、すべてAIがらみで、統一感があります。書き下ろしの第6話「詩音が来た日」が秀逸。「ヒトは程度の差こそあれ、すべて認知症である」という命題は、論理的に全く正しいと思います。 AI言語の二次比喩とか虚数iとかが、おもしろい。よくわからないところが面白い。理解できないということが良く理解できる。 ただ私は、作中作として少々おとしめられた扱いの「ブラックホール・ダイバー」が、とても気に入った。女性宇宙冒険家シリンクスが、クールでスマート。かっこいいよう。シリンクス外伝希望! | ||||
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小説は好きですが、小説で泣く事はほとんど無い私。 特に有りがちな人間讃歌的内容や、感動のハッピーエンドには(映画だと演技や音楽でつい泣いてしまう事はありますが)泣くより逆にしらけてしまう方が多いです。 多分、ストーリーに感動するよりも文体に惹かれたり文章そのものの美しさを重視するタイプなので。この本も書評や装丁に惹かれて読み始めたものの、前半はほとんど退屈でした。 "マシンがヒトに反旗を翻し、人工が減って文明も退廃した未来の地球"という設定もありがちだし、アイビスというアンドロイドが少年に「フィクションである物語」を話して聞かせながら進行していくんだけど、作中で語られる物語達もありがちSF的設定だったのと文章もシンプルなので少しつまらなさを感じて、前半部分読んだ時点でもう読むのやめようかとも思いました。けど第六話の「詩音が来た日」からはもう、止まらないです。一気に読んでしまいました。 それまで退屈に思えていた個々のストーリー達も、最後には必要不可欠のピースとして繋がった瞬間、この本の構成力の高さに驚かされました。 SFで何万回と使われ続けてきた「ヒトとマシンの共存」というモチーフを敢えて使って創られた世界。その狭い世界で最後にアイビスは言います。「私たちはみんなフィクションから生まれた。ヒトの夢、フィクションの海は、私たちのふるさとなのよ―(ここから先の台詞は是非本を手にして読んで下さい!)」この瞬間、世界中のあらゆる物語がこの言葉に救われました。 てゆうか私も普通に感動して泣いてしまった―ヤバイです、普通にお薦め。 本当、アイの物語。 | ||||
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本稿では短編の中で最も面白かった、「詩音が来た日」を紹介します。この物語は老人介護用アンドロイド、詩音が老人保健施設で老人介護を行いながら精神的成長を遂げていくお話です。 詩音は悲しみや憎しみや偏見といった負の感情を持たない、人間とは異なる知性を持つ存在です。そんな詩音が矛盾だらけの感情を持つ人間のことを理解し、愛していく様子は、読んでいて胸が熱くなりました。 特に自他共に認めている悪党のような老人と憎しみも偏見も抱かない詩音が対話する場面が良かったです。この場面は是非とも本書を手にとって読んでもらいたいです。 筆者の奥さんは元看護師だけあって取材もしっかりとしており、老人保健施設も細部まで描かれています。近い将来、私達が老人になる頃にはこんな世の中になっているのかなと想像してしまいました。そして、詩音のようなアンドロイドがそこにいたらそれは素敵な未来だなと私は思います。 「詩音が来た日」は2006年に読んだ中で最も面白かった物語です。お勧め! | ||||
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人工知能が意識を持つとどうなるかというSF物語ですが、 実にアイにあふれています。今の日本、いや人間に 何が足りないのかを痛感させる哲学を感じました。 私たちは皆、殻をかぶり、認知症である。 なお、作者がSF的ディテールに凝っているので、 宇宙船の形状だとか、理解できない人工知能の会話などは 飛ばしまくっても、全く問題ないです。 でも、読み終わった後に、もう1回、細部までみっちり 読んでみたいな、という感想も持ちました。 それに、映画にしてほしいな。 このスケールを見てみたい! | ||||
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人類がマシンと闘い続ける近未来。「僕」は負傷した末、アイビスと名乗るアンドロイドの虜囚となる。アイビスは「僕」に数々の物語を読み聞かせる。仮想空間で逢瀬を重ねる男女。鏡の向こうのAIと友情を結ぶ少女。介護用アンドロイドとの交流で何かを学ぶ看護師。 アイビスが語るこうした物語には果たしてどんな意図が隠されているのか…。 私たちが今確かに存在すると信じる実世界と、コンピュータや人工知能が生み出す仮想世界。この二つの間の境界線が朧(おぼろ)なものとなり、両者の往来が自由になった時空間で、様々な物語が進行していきます。読者は今ある自分の存在が一気に不確かなものとなり、足元が揺らいでいく奇妙な不安感を幾度となく味わうことでしょう。 しかし「アイの物語」はそうした自己存在の不確実さを改めて突きつけるための物語ではありません。私はそこに9・11以降、目指すべき方向を見定められずにいるこの世界を、もう一度正しい軌道に乗せようという著者の確固たる決意を見るのです。 自分たちとは異質なものを恐れ、その恐怖を憎悪に変えて相手を払いのける本能がヒトには備わっています。種の保存を支える本能とはいえ、私たちはそのために多くの犠牲を払ってきました。 アンドロイド/AIとヒトとの関係に著者が託すのは、こうした恐怖と憎悪の連鎖を断ち切ることの重要性。そしてそのために著者が用意するキーワードは、「記憶」と「共感/感応」の二つです。 互いに理解できないもの同士が今まさにすべきことは、理解できないものを退けるのではなく、許容すること。その寛容を養うには、他者の記憶を自己のものとして積み上げる努力です。そのための訓練にフィクションは欠かすことができないということを、このSF小説は心の底から信じています。 その著者の信念に私自身の心が共振するのが分かる、そんな震えるほど清々しい読書体験を得られる小説です。 | ||||
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アイが語る物語の中の「詩音が来た日」が素晴らしいです。 映画化するなりして、大勢の中高年の方にこの素晴らしい物語を知ってもらいたいです。 ”認知症”とはなんなのか? ハッとさせられます。 おどろくような視点で、するどく、そしてとてもあたたかく、面白く、 近未来の介護の現場を描いた作品です。 | ||||
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7つのSFストーリーをつないで、それらをアンドロイドが人間に語る物語。そのしかけ自体が変わっている。7つのストーリーと、全体をつなぐ枠組みが、とても面白い効果を作り出している。 ヒトは何かに対してinferiorな存在である、ということが、あらためて思い知らされる。何に対してinferiorなのか? おそらく「理想的なヒト」に対してそうなのだ。共存し、否定しない存在。ヒトの非合理を排除し、弱めたもの。肉体的欠点をもたないもの。それがアンドロイドだ。 911後の世界と、そこで行われている収奪と非寛容の先を想像するにつけ、ヒトは地球の支配者ではないのだ、と実感する。我々はいつか滅ぶ。そこに現れているヒトのinferiorityが、このストーリーと符合する。 苦い思いだが、そのことは正しい気がするのだ。 そして共栄するアンドロイドがつくる理想の世界。そこには彼らの創造者であるヒトの思いがある。そのことの不思議さ。 これに似た思いを、別の形で表したSFがあったことを思い出す。というよりも常にベストSFの一つとして私の中にある。それはアーサー・C・クラークの書いた「地球幼年期の終わり(「幼年期の終わり」)」である。 本書のテーマはほとんどこれと同じと言ってもよい。語るものの立場が違うだけだ。 その現代版、と言ってもよいのかもしれない。 どちらもお薦めである。 | ||||
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さわやかであり切なくもあり、そして幸せな気分にしてくれる作品です。 定価以上の満足をプレゼントしてくれました。 特に「詩音が来た日」は、秀逸の一言に尽きます。 普段SFを読まない人にも、ぜひ読んで頂きたい一冊です。 | ||||
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SF短編集の面白さを満喫しながら読み進めてたら ラスト、足元をすくわれた感じになった。 自分の信じている世界の現実感が失われるこの感覚。 いつか、弱さや悪意やずるさを兼ね備える人間だからこそ、 こういう日が来てしまうかもって考えさせられもした。 | ||||
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ヒトとロボット(=AI)の共存をテーマにした短編集です。<一部違いますが 各ストーリーはどこか懐かしいSF小説風で、今の時代を反映しつつもどれも最後に明るい未来を想像させるものになっています。 また”絵が無いからこそ描ける”お話なのが読んでいて楽しいです。 それぞれ独立した話が最後に一つの結論に辿りつくのも小技が効いています。 どの話に出てくるロボットも理知的で、人類にそっと寄り添うような優しい印象があります。 それと同時に人間がロボットに寄せる愛情と、ロボット(AI)が人間によせる愛情は違うものだと断言されています。 たぶん読みすすめると、それぞれ格子となるプロットはどれもアニメやマンガで語られてきた内容で、「あれ?これはどこかで・・・」と思うでしょう。 (手塚治のロボットヒロインとかマルチとか、というかスタートレックとか) 代表的なロボット話をピックアップしつつ、日本人って本当に(自立したヒト型)ロボットが好きなんだなぁと思い出させてくれます。 そしてアニメやマンガでロボットに親しみ、憧れたからこそ、今のアシモやアイボを産み育てたのだと実感できます。 お話を読んでも楽しいですが、その魅力的な設定だけでも空想が広がりそうです。 個人的には「詩音が来た日」で、最後に主人公がアークマスター(もう一人の主人)になったのがぐっときました。 あと双子の看護婦はやりすぎだと思いました。 | ||||
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「がんばるぞぅ、おう」に泣きました。 こんな救いがありえるとは思ってもみなかったです。 自分が消滅してしまうであろうこと、そしておそらくあの世はなく、霊もなく、審判の日の復活もない。 小説として面白く、思考実験として興味深いだけでなく、むしろこの現実に耐えるためにも読んでよかった・・・と。 | ||||
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2040年代以降,意志を持ったマシンを創造し,それに敗北した人間。 文字の読める人間の方が珍しくなってしまった時代…… 主人公は何年もコロニーを回って,1940年から2040年代 −−最初のコンピュータが誕生してからヒトがそれに追い越されるまでの時代 にかけて人間が造った話を語って聞かせている。 昼間は子供たちには冒険もの,女性にはロマンチックな愛の物語,男性には大人の物語etc。 人間は,マシンに捕らえられたヒトは,生きたまま皮を剥がされるとか,酸で体を溶かされるとか, 機械の体に改造されるなど,ということを夜ごと恐ろしげに聞かされて育つ。 しかし,実際はマシンに囚われたものの無事に解放された人間は何人もいる。 そして彼らはその自分たちの体験を語りたがらず,憎むべきマシンに助けられたことに 困惑していて,マシンに好意的な発言をしたら村八分にされかねないため, あいまいなことしか口にできない……そんな世界がこの物語の世界。 そんなある日,主人公はマシンに捕えられる。 そこで出会った戦闘用マシン『アイビス』から主人公も知らない人間の造った物語を読み聞かされる。 この物語の1つ1つが人間の持っている心の温かさを感じることができました。 1つの物語を読み終えるたび,最初はマシンに対して警戒心を持っていた主人公の心も徐々に変わっていきます。 読み終えた後は,なんともすがすがしい気持ちになりました! | ||||
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