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テンペスト



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テンペストの評価: 3.59/5点 レビュー 152件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点3.59pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全152件 141~152 8/8ページ
No.12:
(5pt)

大河ドラマの風格!

第1章の主人公誕生の場面からエキサイティングである。神話的な背景にとぼけたユーモア、歴史には忠実だがファンタジックな世界観。琉歌や沖縄言葉に満ちながら現代語の台詞まわし。
 定型的で、なおかつ絶対にいなさそうなアニメチック、メルヘンチックな登場人物たち。昔どこかで見たような、韓流ドラマの再現のような荒唐無稽な物語展開。
 それらすべてに説得力を持たせ包括しているのは沖縄という土地の力に他ならない。沖縄の祭式、儀礼、歴史とその舞台こそが、この物語の要である。
 過去にも沖縄を舞台にブッ飛んだ物語を描いてきた作者は、その集大成としてこの時代劇を書いたにちがいない。今最もドラマ化したい本、ナンバー1である。
テンペスト  上 若夏の巻Amazon書評・レビュー:テンペスト 上 若夏の巻より
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No.11:
(5pt)

見事、大団円!

宦官として王宮に入った寧温の八面六臂の活躍を描いた上巻に対して、下巻はその表紙の色、紅型の赤の示す通り真鶴の運命を描いている。
 圧巻なのは最終章である。琉球王国の滅亡は誰もが知るところだが、それを悲劇に終わらせないところがこの物語の優れた点である。
 国の終わりとともに身を投げた登場人物たちは、まるで沖縄戦で自決した人たちの心を代弁し、魂までも浄化したような錯覚に陥る。
 琉球の死は、日本にとってもウチナンチュにとっても意味ある死として現代までつながっていることを、陰にも陽にも訴えている。
 実際の歴史をもとに突飛なフィクションを融合させた本書には読み終わってもなお、もっとこの世界に浸っていたいと思わせる中毒性がある。
 間違いなく池上永一の代表作と言える。
テンペスト 下 花風の巻Amazon書評・レビュー:テンペスト 下 花風の巻より
4048738690
No.10:
(3pt)

スラップステッィクな歴史大河コメディ

いわゆる「歴史大河小説」を求めている人にはつらい小説だと思う。
軽い。地の文もセリフもすごく軽い。
登場人物や設定は、漫画でよく出てくるようなものばかりで、
やたら大げさに繰り返される審美的な描写は、なんだかありきたり。
でも、そのキッチュな文体と琉球詩の取り合わせが、
なかなか楽しいリズム感を作り出してもいる。
傑作ではないけど、渾身のB級大作。
「HERO」とか「LOVERS」とか、
チャン・イーモウ監督の武侠映画を楽しめる人にならおすすめできます。
テンペスト  上 若夏の巻Amazon書評・レビュー:テンペスト 上 若夏の巻より
4048738682
No.9:
(3pt)

時代も、登場人物もダイナミック

龍の交合という超自然の嵐の中で誕生したヒロイン・真鶴は、タイトル通り「嵐」を背負った子である。彼女が性を偽って存在することによって起こる宮中の混乱、男女問わず相手を惹きつけずにいられない魅力的な容貌によって引き起こされる心の嵐、そして現実に起こる嵐による外国船の漂流など、物語中にはさまざまな「嵐」が幾重にも重ねられていく。作中に散りばめられている琉歌はいかにも美しく、作者が渾身の力で琉球王朝という題材に向き合ったのだろうと推測できる。
ただ、ヒロインが全然魅力的でないのは池上作品のお約束なのでいいとしても、今回も破天荒で傍若無人なオバアやサマンサ・オルレンショー博士のような女が出てこない。結果として池上作品最大の魅力であるハチャメチャで漫画ちっくな(「コミカル」という表現が追いつかないくらいの)脇役がいないのが私としては残念だった。中でも宦官の徐丁垓が常識はずれすぎて、読んでいても映像として浮かんでこないのが辛い。去勢しても性欲がなくならないのは本当らしいから、ここは常識的に張型など使ってくれればまだ理解できるのに、この人物造詣によって作者が自家薬籠中のものとする「マジック・リアリズム」の範疇すらも逸脱してしまい、荒唐無稽の一歩手前まで行ってしまったのが惜しまれる。
テンペスト  上 若夏の巻Amazon書評・レビュー:テンペスト 上 若夏の巻より
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No.8:
(3pt)

題材と不似合いな表現方法が気になる

物語が長すぎて、個々のエピソードが繋がっていない感じがする。たとえば、話の都合と歴史の都合上で仕方がないとは思っても、こんなにもあっさりと宦官「孫寧温」が蘇ってしまっては、せっかく夢枕に立って男物の帯と簪をあの世へ持ち去ってくれた父君の立場がないではないか。そんな風に、細かいところで物語の辻褄があっていない。また、この人の作風はもっとあっけらかんとエロで変態なのに、強姦とか輪姦とか、やたら性を食い物にしているようなエピソードが出てきて、しかもその事件がそれぞれの登場人物において、いともあっさり受け流されてしまうことも、女性の読み手としては疑問と不快感を誘われた。
近代直前の琉球王朝という題材に、語りの表現方法が追いついていないのも気になった。変に今風なカタカナ語や作者の造語まで飛び出して、なんだか物語のダイナミズム「だけ」でさまざまな瑕疵をごまかしているような気持ち悪さがつきまとう。せっかく、まだ日本人作家が誰も手がけていない場所と時代を書いているのだから、歴史小説好きにもアピールできるような文章であればもっとよかったのにと思う。作者はいったいどんな読者層を予定してこの物語を書いたのか。
本人の志向とは別に、この人は短編の方が上手な気がする。
テンペスト 下 花風の巻Amazon書評・レビュー:テンペスト 下 花風の巻より
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No.7:
(1pt)

これは酷い

宣伝文句に惹かれて購入しましたが・・・
正直なんでこんなに高い評価がされているのかわかりません。

まず文章力が携帯小説レベルです。
明瞭でわかりやすいと言えば聞こえはいいですが、
語彙数が少なく表現がありきたりなだけです。
日本の作家はここまで文章が書けなくなったのか、
と嘆かずにはいられませんでした。

せめて宣伝文句にあるように設定が斬新であれば、と期待したのですが
内容は上下を通して一昔前の設定(男装美少女、運命の子など)の詰め合わせで、
読み終わる頃には疲れました。

以上の理由から、私は高い金を払って買う価値はないと感じました。
テンペスト  上 若夏の巻Amazon書評・レビュー:テンペスト 上 若夏の巻より
4048738682
No.6:
(5pt)

嵐の中でつい立ち止まってしまいます

とにかく先が気になりどんどん読み進みたいと思う一方で,文章から伝わってくる光景の美しさ・人物のおもしろさについ立ち止まって余韻に浸ってしまい,なかなか先に進めない・・・そういうジレンマに陥りながら,結局上下巻を一気に読んでしまいました.
 立ち止まったところで読み返してしまうので,上下で約8時間程かかったかと思います.

 心にひっかかりを感じることも途中でありましたが,それは1つには自分が現代に生きる女性だからではないかと思います.この違和感について考えることもまた楽しみの一つです.

 正直,写真で首里城を見たことがある程度で琉球に対するなんの予備知識もなく読んだことを少し後悔しています.実際にみたことがあり,空気に触れたことがあればもっと楽しめたかもしれません.
 このようなすばらしい小説の土壌となった琉球に感謝と尊敬の念を抱きました.
テンペスト  上 若夏の巻Amazon書評・レビュー:テンペスト 上 若夏の巻より
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No.5:
(5pt)

「ページを繰る手が止まらない」は、掛け値なしかもしれない

著者は沖縄那覇出身、石垣島在住である。これまで沖縄、琉球を題材に、
ファンタジー大賞を受賞した「バガージマヌパナス」などの話題作を発表してきた。
著者の魅力は、何というか、突き抜けたように明るい「土着性」とでもいおうか。
土着というと暗さを連想しがちだが、著者の描く沖縄は、独特のファンタジアであり、
たとえば東北あたりの土着性とは完全に一線を画す。

「テンペスト」は琉球王朝時代の物語。
これが、とにかく面白い。スイスイと読みやすい面白さではなく、
急流を流れ下るようなダイナミズムが満ちあふれている。
わくわく感、どきどき感、てんこ盛りだ。

書店などに行くと、そうそうたる評論家、作家の「推薦文」がずらり。
よくぞまあ、ここまで集めた、さすが角川と最初は思っていたが、
いかに角川とはいえ、これだけのメンバーがお義理で絶賛の推薦文を書くわけもない。
額面通り、「血湧き肉躍る」物語だ。
ファンタジー的な要素も含まれており、物語としての整合性となると疑問符をつけたくなる
部分もないでもない。しかし、そんな細かいことどうでもいいぐらいに、
どんどんページが進んでいく。

最近は長編小説を読むエネルギーも少々なくなりつつあるが、
上下段800ページ以上、一気読みだった。
まるで「元気」を与えてくれたようだ。
私としては間違いなく今年の「ベスト1」である。
テンペスト 下 花風の巻Amazon書評・レビュー:テンペスト 下 花風の巻より
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No.4:
(5pt)

歴史と個のダイナミズム/両義的重合

始めに言っておくと
この小説のおもしろさは異常だ。
あまりにも魅惑的で、文章から離れることができなくなる。
読めば読むほど、この世界に魅せられ、酔わされる。
物語性、つまり世界観の設定がそうさせるのだろうか。

この話は19世紀初頭から末、実在した王国、琉球王朝末期を舞台とし、孫寧温(=真鶴)という女性を主人公とし、第三者的な語りで話が進められている。
琉球王朝が持っていた、宗教、文化を元に、そこでの精神性、思想、人々の世界認識が表れており、国家間の外交問題、国内の情勢・政治的問題、また男と女、両方の性を生きることとなった主人公を中心とした人間関係、出世、失墜、性の反転という稀有な人生を描きながら近代化によって、王国が崩壊するまでを描いたものである。

歴史事実を背景に持ちながらも、個の歩みを通しながら、それを追ってゆくことで、また現代的感性で語ることによって生きた文章と、歴史小説とはくくれないほどのリアリティを持つ。
しかし、ここでのおもしろさはそんな理由では記述できないのだ。
史的事実とフィクション、宗教的精神性と合理主義的理性が重ねられ、ファンタジーでもありリアルでもある。
そうここでは両義的性質が重ねられた、アンヴィバレントな現象、人物達が恐ろしいほどに読む者に想像力と妙な現実感を感じさせる。

巧みであるのは、この両義性を数々の事象や登場人物に反映させている点にあるといえる。

主人公の孫寧温は女性として生まれながらも、ここでの制度的問題により、男性でしか登用されない国の役人に性を偽ることでそれとなり、男性的で女性にはないとされていた理性的知性を天才的に持ち国のトップまで登りつめ、またその稀有な美貌から王の側室としても王宮に入るという、二重の人生を歩んでしまう。男として国家に仕え、同僚達と友情を交わし、女として恋をし、想いを交わす。男としての寧温は公人として理性をもってして生き、女としての真鶴は私人として情感をもってして生きる。

そして、中世・近世から近代への移行
これにより、国家は解体され、国家を前提にする社会は崩壊し、ひとつの個となった主人公はその両性が幸福に融合する。国家から解き放たれたひとつの個は、しがらみを越え、想いを交わした人と生きることが可能となり物語は終わりを告げる。
国家を愛し、命を捧げた主人公であったが、悲しくもその国家の崩壊により、個として幸福に生きることができたのである。それは新時代への希望を力強く描くものだ。

この移行は
精神性が支配する社会モデルから理性による社会へ
国家が統率する社会から個による社会へ向うものである
宗教的精神性をもつ世界観を基盤にしながらも物語は最後にそれを破壊し、また主人公の両性の融合という、基盤となっていた設定を露わにした。

つまりこれはマジックリアリズムの作風を持ち、自己言及的な作品として位置づけることができるだろう。

僕はこの魔術的で現実的でもあるこの世界から当分離れられそうにない。
鮮やかなのだ。実に。
恋をしてしまった。
テンペスト 下 花風の巻Amazon書評・レビュー:テンペスト 下 花風の巻より
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No.3:
(5pt)

めくるページが段々と速くなる(笑)、一気呵成のエンタテインメント!

「シャングリ・ラ」で読書人たちを唸らせた池上永一、今作もまた負けず劣らずの傑作、筒井康隆に北上次郎、文壇界と書評界の御大が本の帯で絶賛するのも納得の、手に汗握り、熱い魂を感じながらの疾風怒涛の426ページだ。
時は19世紀の琉球王朝、これは、千年の眠りから醒めた龍たちが、雷となって大空を疾駆しながら発情する夜に生まれた伝説の女性真鶴の物語。
百花繚乱、絢爛豪華、艶やかな舞台を司るキャラクターたちが実に素晴らしい。真鶴はもちろん、朝薫、詞勇、雅博、多嘉良、聞得大君、麻真譲と正に千両役者に魑魅魍魎が揃い、物語を動かす。
待ち構える驚くべき真実、謀略、思慕、活劇。薫りたつロマンティシズム、そこはかとない色気、冴え渡る知慮。これもまた紛れもなく冒険小説、若き血潮の青春小説、そして正真正銘の大エンタテインメント!
阿片戦争後、清国への列強の脅威と薩摩の干渉が強まる中、生き残りと自主独立、かって隆盛を極めた琉球王国を復興を賭けた者たちの、熱い思いと信念が伝わってくる。
文学でありながら、チャン・イーモウ映画の爛熟な歴史絵巻劇を想起させるし、世にも美しい男装者と女装の踊り子たちの絡み合いが宝塚歌劇のようでもあり、登場人物たちにより詠まれる琉歌が、まるでオペラの如き情感を醸し出す。
男として生きる事を受け入れた真鶴の、その凛々しさと高潔さ、高邁な精神と、時折垣間見える女らしさ、健気さ、愛しさに涙、涙。
一刻も早く後編へと進みたい衝動に駆られる事確実、秋の夜長のお供として格好の1冊と言っておきたい。
テンペスト  上 若夏の巻Amazon書評・レビュー:テンペスト 上 若夏の巻より
4048738682
No.2:
(5pt)

宣伝文句に偽りなし

面白い。とにかく面白い。
ちょっとした暇つぶしのつもりで読み始めたものの
ページをめくる手は止まらず、上下巻850ページ一気読み。
友人との約束を一つすっ飛ばしてしまいました。

多少の誇張が含まれてるものと、宣伝文句は眉に唾つけて接してますが、
この本に関しては嘘偽りなしの100%保証つきですよ。
テンペスト  上 若夏の巻Amazon書評・レビュー:テンペスト 上 若夏の巻より
4048738682
No.1:
(4pt)

続編が早く読みたい

著者が沖縄ものを書くと、とにかく面白い。(沖縄が舞台でない前作にはあまり感心しなかった。)王朝末期の首里城を取り巻く人達の生き様を、虚実を交ぜて描く、大河ドラマ。再建された首里城に、どんなドラマがあったのか、何度も行った割には、想像をめぐらすことができなかったが、これからは、生身の人達が苦悩した場所として見ることができるだろう。琉球王朝がどんなに洗練されていたかは、博物館へ行けば分かるが、本書を読んでから首里城を仰ぎ見れば、沖縄への理解度が深まること間違いなし。明治以降、主人公達がどう生きたのか、明がどうなったのか、続編が待たれるところ。
テンペスト  上 若夏の巻Amazon書評・レビュー:テンペスト 上 若夏の巻より
4048738682

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