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テンペスト
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【この小説が収録されている参考書籍】
テンペストの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.59pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全152件 101~120 6/8ページ
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沖縄好きを自認する人たちは多いが、その中で琉球の歴史に詳しい人はおそらく少数だろう。 大戦中の沖縄戦のイメージが強すぎて、特に本土の人々にとって沖縄は歴史的には語りにくい事柄である。 ところが、それをひっくり返したのが本作である。 沖縄の、しかも琉球の歴史、豊かで色彩に満ち、湿気や料理のにおいが身体にまとわりつくような感覚で、沖縄の歴史の転換点を描き出した。 あんなにちっちゃい島なのに、こんなにすげえ国だったんだ、とおそらく読んだ誰もが思うことだろう。 しかも、現代に通じる独特のユーモアが満載で、悲しくてつらいエピソードが多いのに、お笑いを見ているような心地よさ。 本書を手にした人に、これから第4巻を読み終えるまで、ジェットコースターのような興奮と新鮮な驚きをお約束します。 | ||||
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19世紀の琉球王国の話。 隣接する清国と日本(薩摩藩)はもとより、ヨーロッパ諸国の干渉を逃れ、独立国家を維持し続けようと、外交手腕を駆使し、もがき続ける王府。 侵略の危機、経済の危機にさらされているにも関わらず、城では、賄賂、横領、見栄と意地が横行し、贅沢の限りを尽くしていた。 腐りきった政府を立て直すため、王族の血をひく少女が立ち上がる。 ひとことで表現すると、琉球王国を舞台とした韓国ドラマ風小説 恋あり、死あり、笑いあり、涙あり・・・・急激な展開。 ワクワクさせる設定も、いっぱい散りばめられています。 主人公は、歴史の闇に葬られた王族の血を引く娘。 しかも、かなりの美少女(性を偽り、宦官になる。) さらには、13歳で、行政官試験を突破できるほどの神童 この娘が、嫉妬と憎悪が渦巻くドロドロの琉球王国のなかで、ほんの一握りの賢者(国王や伝説の参謀)の後押しを受けながら、知力と情熱で、外交の危機を乗り越え、政府の膿を出し、あんなことも、こんなことも・・・・それはそれは、痛快です(笑) 娘を取り巻く、男性二人の存在も見逃せない! もちろん、超イケメン(笑) 一人は、親友であり同期のライバル。 もう一人は、薩摩藩から交渉に来たイケメン武士。 宦官(男)だと信じきって、あついこころざしに共鳴し、 男同士の友情を築く一方、たまたま、女性にもどった娘と、同一人物とは知らずに出会い恋に落ちる。 あまりにも波乱に満ちて、速すぎる話の展開なので、ハラハラドキドキのまま、すべてのことをねじ伏せて、いつのまにか終わっている作品。 よくよく考えると、つじつまが合わないような・・・(笑) いやいや、そこが、いいんです! たまには勢いに身を任せて、ちょっぴりバカバカしいようなエンターテーメントの渦にのまれてみて下さい。 やめられない、止まらないのお話。 ぜひ上下巻いっぺんに揃えて読んでください。 | ||||
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おもしろかった、物凄く。ただし、これを読む時には、ライトノベルだ!と思って、エンターテイメントとして割り切って読まないと、肩透かしを食らってしまう。僕は、「そここそがいいんじゃあないか!」と思うけれども、歴史大河小説を期待すると、その「軽さ」とエンタメ重視の姿勢に、つまらなく感じてしまう人もいるだろう。けれども、こういう味付けをしないで、だれが、琉球王国の歴史なんて言うマイナーな部分を小説化してくれるだろうか?、そういう意味では、著者の戦略と功績は大きいと思う。もちろんある程度戯画化(カリカチャアライズ)されているとしても、なるほど、琉球王国というのはそういう存在で、そういう「美」があったのか!と思わせる、知らしめさせる物語世界の美しさには、感動します。ライトノベルの萌え小説として「も」読める、というところにこの小説の素晴らしさがあると僕は思います。これが売れれば、次があるもの。 | ||||
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あまりに分厚かったので、 後回しにしてました。 意を決して読み始めたら、 おもしろいこと、おもしろいこと。 この作家の知識の豊富さと、 その史実をベースにした創造力に脱帽。 半端じゃない。 舞台は琉球王国。 時代は日本で言えば幕末。 琉球は清国と冊封体制を結びながら、 薩摩藩にも従属国として扱われる。 南の島の小さな島国にとって、 王国体制を維持しながら、 生きていくとは、そういうことなのだ。 その属国としての従順さを示すために、 一切の武器を持たずに、 美と教養でこの国は世界に類を見ない、 特殊な王国体制を維持していた。 清の科挙よりも難しいといわれている科試という、 官僚になるための試験があり、 琉球中の男は、科試に受かるために必死に勉強していた。 それでも、1年に1人か2人しか受からないため、 科試浪人も珍しくない。 清がイギリスにより支配されつつあり、 世界地図の色が変わろうとしていたこの時代に、 科試合格最年少記録を塗り替えた一人の宦官が、 琉球王国を守ろうと、 王国府官僚への道を踏み出した。 【ネタばれ】 宦官の名前は、孫寧温(そん・ねいおん)。 実は彼は、宦官ではなく、 第一尚氏復興という望に命をかけた父を思い、 知識よりも美を極めたい兄を思い、 そして何よりも、あふれる知識欲に抗いきれない自らのため、 真鶴という女を捨て、 男の姿となり、科試に受かり、官僚となったのだった。 妖艶な美しさと、 誰をも寄せ付けない知識によって、 数々の難題を解決していく。 イギリス難破船問題、 王府の巫女である聞得大王の謀略、 薩摩藩からの無理難題、 王府には陰謀渦巻く、 あらゆる勢力が集まっている。 貴族、王族、そして、巫女や、女官たち、 清国の役人、薩摩藩の役人。 なかでも、紫禁城を追われた宦官により、 犯されてしまった孫寧温は、 最も自分を守ってくれていた理性を捨て、 自らの尊厳のために、その宦官を殺してしまう。 それがばれたがために、 八重山へ流刑となってしまうのだった。 | ||||
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【ネタばれ】 八重山に流刑になった孫寧温。 流人のみでありながら、 同志として王国府に上がった喜捨場朝薫により、 比較的不自由しない生活が用意されていた。 そんな寧恩のいる八重山に、 ふたたび、外国船籍の船がやってきた。 無理難題を押しかけられた八重山官僚に助けを求められ、 鮮やかに問題を解決する。 そして遠くない将来に、 琉球王府のある沖縄本島そのものが危ういことを予見し、 そのことを王府に知らせようとするが、 逆に流刑を受けてないことがばれてしまい、 新しい八重山官僚に、 王府時代に逆恨みを受ける寧温。 そして、チフスにかかってしまう。 山奥に捨てられた寧温は、 病気に苦しみながらも一命を取り留める。 そして、寧温の姿を捨て、 真鶴となって、暮らすこととなった。 そんな彼女は、 ふとしたことから、王府へ行くチャンスをえることとなる。 首をもたげてくる寧温としての自分。 一刻も早く国を救いたい思いから、 そのチャンスをものにする。 ところがそれは、王の側室候補としての集団試験への参加だった。 複雑な思いを持ちながらも、 真鶴は、側室となることになる。 そこでは、かけがえのない親友となる同じ側室の真美那と出会い、 これまでとは違う“性”で王府に生きる真鶴がいた。 そんな折、 ついに黒船がやってくる。 絶体絶命の琉球王府を救うために、 王が白羽の矢を立てたのは、 八重山に流刑となっている孫寧温だった。 かつてない恩赦によって王府に呼び戻される寧温。 鮮やかに、ペリーを口説き落とし、 有名無実な条約を結ばせることに成功する。 昼は宦官として、夜は側室として、 寧温と、真鶴の二重生活が始まった。 そしてついに、 真鶴が王の子を身籠ることになる。 これまで、琉球王府を守ることを第一としてきた、 真鶴=寧温だったが、 母となることにより、いよいよ真鶴>寧温と変わりつつある。 しかし、 嫉妬に狂った兄により、 真相が明かされてしまう。 琉球王国史上、いまだかつてない大事件となってしまった!! 確かな史実をベースに、 ダイナミックな展開により、 まったく飽きることなく、大長編を一気に読んでしまった。 読後にネットで検索してみると、 史実と重なることがあまりにも多く、感動。 また、沖縄独特の“神”についても、 物語の底辺を支えており、 主人公のみならず、 あらゆる登場人物たちが魅力的に描かれている。 ひとえに作者の、琉球愛以外の何物でもない。 作中の孫寧温の言葉を借り、 何度も出てくる“琉球独立論”は、おそらく作者の本音だろう。 それも、目に見える、明らかの独立ではなく、 現在の体制を維持しながらも、 実質的な自立を訴えるものである。 そしておそらく、 その願いや、あり方は、 ずっと昔からの“沖縄”の姿そのものなのだろう。 そこまで見透かして、 過去の史実を題材に、 未来を語る作者の筆力に、脱帽しました。 | ||||
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池上作品は既に何冊か読み、そのカルさも、フザケ具合も、登場人物の(ある意味)お行儀の悪さも、奇想天外なストーリーも大好きで「ウ−ン!これぞエンターテイメント!」と面白がってきました。よって『テンペスト上・下』も期待を持ってひもときましたが…ウ〜ン、ちょっと満足出来なかった。なんかねぇ、濃度が薄い(他の小説に比ると)。および力が弱い(特に、後半から終盤)。「ページを増やしすぎた弊害では…?」ファンとしてはそう感じます。 まだ池上作品を読んでいない方の1冊目には『テンペスト』はお薦めしません。 あなたが女の人なら1冊目は『バガージマヌパナス』か『風車祭』がお薦めです。 あなたが男の人なら1冊目は『レキオス』か『シャングリ・ラ』がお薦めです。 また『テンペスト』のみ読んでがっかりした人にも、上記4作お薦めします。 …蛇足ですが、池上作品はハチャメチャ・エンターテイメントです。どんなものにも(エンターテイメントにさえも)“マジメな世界”を求める方には合わない作家と思います。 | ||||
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「これはプロットかい?」と思ってしまうような文章。 あまりに稚拙。 これを読んで面白いっていうのは違うんじゃないでしょうか。 これがプロットで、ここから話を膨らませるというなら、分かるんですけどね。 | ||||
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「これはプロットかい?」と思ってしまうような文章。 あまりに稚拙。 これを読んで面白いっていうのは違うんじゃないでしょうか。 これがプロットで、ここから話を膨らませるというなら、分かるんですけどね。 と、上巻でレビューしたけど、下巻になると、突飛というか矛盾が多すぎて、コメディーかと思ってしまった。 | ||||
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タカラヅカの沖縄モノをハリウッド映画にしたようなエンタメ歴史小説で、 とにかく面白いジェットコースター・ストーリーだ、と友達が言うので、 えー沖縄も歴史物も興味ないしな〜、と思いながら手に取った本書。 結論から申せば、面白うございました。 でもこれは、エンタメの皮をかぶった現代社会(文明)批判なんだなと、私は読みました。 琉球を我が物にしようとする列強の間を、美意識と教養を武器にして、 外交の力だけでかいくぐり、琉球王朝を守ろうとする寧温。 小国ゆえに矜持と知恵をもって大国にあたらねばならぬのは、 現代日本とて同じでしょう。 これを読んでハッとする政治家や役人の一人や二人、いなきゃおしまいですよね〜。 私は胸が熱くなりました。 日本に併合されて琉球王朝が滅ぶそのとき、真鶴は日本人の想い人に、 琉球という国は滅ぶけれど、美しく気高かったこの国を愛し続けてほしいと願い 恋人はそれを約束します。 日本人の青年が真鶴と交わした誓いの美しさと、 その後の沖縄のたどった悲運が、実に対照的ではありませんか。 先の戦争で沖縄は甚大な被害をこうむり、首里城は灰となりました。 その後も今日まで、基地の島・沖縄は日本国の捨石のようではありませんか。 寧温はこうした小国の末路を案じていたのですよね。 なんて書いていますが、私は別に何かのイデオロギーを持つ者ではありません。 むしろ歴史に疎いノンポリ(死語?)。 そんな私ですら、読み進むうちに琉球王朝とその歴史について知りたくなり、 なんかケバイわ〜と思っていた琉球の文物に惹かれ始める。 そういう力が、本書にはあります。 リアリティに乏しいとか、表現が軽いとか、皆さんがレビューに書かれている ことは、もっともだと思います。 でもね、たぶんそれはワザとだな。 内容にふさわしい重厚な文体の、ち密な歴史小説であったとしたら、 本書を手に取る人はこれほど多くはなかったでしょう。 作者は、エンタメの姿を借りて、 より多くの日本人にこう問いかけたかったのではないでしょうか。 日本の国家は美しいのか。 日本人に美意識はあるのか。 日本人は、あの誓いを忘れたのか と。 ホントは重い問いかけを、ライトに読ませる。 そういうコンセプトの本だな、コレは。 と思ったんだけど、深読みかなぁ〜。 | ||||
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池上永一の作品は、文芸というよりは「語り」だ。それも破壊的に饒舌な。 映画にたとえて言えば、タランティーノ作品に近い。 だから、そのなりふり構わぬ暴走っぷりに戸惑うあまり、 文芸のフリしてるだけの「騙り」だと決めつけたくなる読者がいるのも よくわかる。というか、僕も正直言って、池上作品を読みながら、 眉をひそめたり、ほとほとあきれたり、バカらしくなって 本を投げ飛ばしたくなることは結構ある。 でも、このめちゃくちゃな語りのスタイルが、沖縄っていう矛盾に満ちた土地の 風土や人を物語るときに、変にぴったりマッチするから不思議。 『テンペスト』は、19世紀の沖縄を舞台にした王朝歴史物語(一応、形だけは)。 池上流の語りがいかんなく発揮されて、バカらしく面白い。 未来の東京を舞台にした『シャングリ・ラ』が、上滑りに上滑って 素寒貧な作品になっちゃってたのとは、ある意味で好対照。 この人はやっぱり、沖縄を書いていけばいいと思う。 本人は飽き飽きしてるかもしれないけど、読者はそんなもの知ったことか。 | ||||
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「壮大な」「歴史大河小説」と表現してしまうのは少々オーバーな気しますが、琉球王朝の変革期を、その歴史や祭祀まで盛り込んで描いた歴史大河作品。 文体はやや軽薄ですが流麗でテンポが速く、また要所要所に思わぬどんでん返しや「こう来るか…」といった展開が仕込んであり、爽快に読み進む事が出来ました。 首里城や沖縄の風景描写は素晴らしく、多少作者の心象風景も含まれているのでしょうが、本当に目の前に珊瑚礁の海や鮮やかな首里城がそびえているような錯覚を受ける程。。 ただ所謂「萌え系」「耽美系」な要素が少々含まれているので、それらが苦手な人は遠慮しておいた方が懸命かも知れません。 また「ご都合主義」というのか、主人公にちと甘すぎな印象を受けました。 勧善懲悪とまでは言いませんが「これはちょっとないよね…」的な展開の個所が多く、主人公や主人公一派に都合が良いように良いように話が進みます。 「下巻で大団円」と銘打っている事もあり、劣悪な環境に落とされた主人公の悲哀・絶望や、悪役とされる人物の心理描写や苦悩・現在に至るまでの過程等をもう少し踏み込んで書いた方が更に物語に深みやメリハリが出たかと思います。 | ||||
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舞台は琉球王朝末期,冊封体制下の琉球朝廷で,清朝と薩摩の間を一人の男装の麗人が駆け抜ける! 沖縄県民,沖縄を愛する人のみならず,歴史劇を愛する人全てにお勧めです。久しぶりにページから手が離せないという経験をしました。 ストーリーの面白さもありますが,琉球王朝というものがどういうものであったかという知的好奇心も満たしてくれます。 | ||||
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「グローバリゼーションの荒波の中、理想を求めて必死で舵取りをする 弱小?琉球王国の政治家たち」 という設定は大変面白かった。 しかし 人物像が平坦すぎるように思う。 「強さと弱さを併せ持つ人間」は普通に書けてはいるが、「善と悪を併せ持つ人間」というのが、この物語の中には存在しないのではないか? その一点が、この物語を単なるヒロイックアドヴェンチャーに成り下げて?しまっているようで惜しい… また素朴な疑問なのだが、例え清国人の宦官とはいえ、「舌が地面まで伸び、ミミズのように動かすことのできる男」という人間が実在するだろうか? 例えフィクションであっても、それは行き過ぎだと思う。 | ||||
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琉球王朝自体が歴史小説、時代小説として取り上げられることが少ない中で、著名な作者が手がけたことはよかったと思う。聞得大君のような表現の難しい存在を物語に溶け込ませたのはえらいなぁと思うし、琉歌を織り込んだのもありだと思う。だけど、どうなんだろう? 感動する要素はなかったなぁ。主人公もあまりにスーパーマン&ウーマン過ぎて感情移入できないし。歴史のルールを守りつつ時代小説として成立させてしまう、という点から考えるとつくづく山田風太郎先生が惜しい。ミステリー小説のように伏線を張り巡らせつつその時代特有の空気(狂気?)にまで感情移入させてしまう力が欲しかった。 沖縄人が「日本人」になる過程にはすごい葛藤があったはず。八重山を清(中国)に割譲する話も歴史的に存在した。主人公より喜舎場朝薫にこそいろんなセリフを吐かせるべきだったのでは? 絵巻物語としては〇だけど、小説としては60点だぁ。 | ||||
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すでに宣言してもいいが、私の中では今年度最高の小説といっていい。また池上永一の小説は好きだったけど、中でも一番いい。 中国でもなく、日本でもなく、そして 沖縄でもなく、琉球という国がこんなにも魅力的であったとは。 自分が琉球という国のことをほとんど知らないことに愕然とする。もちろんフィクションだから、主人公のような人物があの当時いたのかは分からないけど、ここに描かれた琉球という芸術・教養の国は確かに存在したのだろう。もっと知りたくなった。 歴史小説としても、そして恋愛小説としても申し分なし。そして上下2冊の分量も文句なし。 いい小説だった。 | ||||
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とことん、エンターティメントに徹した作品です。 宝塚と、大奥と、韓流の純愛ドラマと、チャングムの雰囲気をちょっとずつ拝借してできあがったような印象があります。 「歴史小説の重厚さ」を望む方や、奥深い小説を望む方は、手に取るべきではありません。 また、エンターティメント特有の突飛な人物設定、フィクション小説だからこそのストーリー展開がありますので、リアリティーを求める方も手に取るべきではありません。 そしてストーリー自体、決して斬新ではありません。「いじめられつつも成功の階段を上っていく主人公」「障害の多い純愛物語」「女同士の争い」などなど、いわゆる「よくあるパターン」、どちらかと言えば「ベタ」な内容です。「意外な展開」というのもありません。 また、出てくる言葉も平易なものばかりです。「研ぎ澄まされた言い回しを味わうことで小説を楽しみたい」というような方向けでもありません。 ただ、私自身はこの小説は嫌いではありません。何より琉球王朝や主人公の姿形の美しさは十分に伝わってきて、「映像で見てみたい」と思いました。 しかしこの小説、読み終えるまで何カ月もかかってしまいました。 これは人それぞれだと思いますが、もともとかなりのボリュームがある中に、多種にわたるエンタメの要素が詰め込まれているため、途中で他の本で休みつつ読まないと前に進めませんでした。 そして多くの方が指摘されるように、 「清国の商人たちにキックバックを要求していたのだ」 「被災者によく見られるパニック発作だ」 というように、琉球王朝の時代(日本に薩摩藩があった時代)を表現するのにそぐわない、現代的なカタカナ言葉が多々登場したのは残念でした。格調高い琉球王朝の美意識を表現するにあたり、そんな言葉達が邪魔をしている印象がありました。 また、徐丁垓登場のシーンは、「携帯小説的」と揶揄されてしまうような陳腐さを感じさせてしまいました。もう1人の宦官を登場させるのは、エンタメ的には悪いとは思いませんが、あのように暴力的な描写によりドラマチックさを演出するのは、「軽い」と言われてしまう要因の一つであると思いました。 | ||||
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上巻のレビューでも書いたのですが、私はこの小説は嫌いではありません。 「美と教養を武器にして大国と戦う」琉球王朝の「美と教養」を詳しく知りたいと思いましたし、(人として魅力的かどうかは別として)主人公の、特に側室として王宮に返り咲いた真鶴の美しさは十分に伝わってきました。 そしてラストは急展開ではありましたが、エンタメとして私は嫌いではありません。 ただ、最後まで読んで残念に思ったのが、出だしからこれまでの話の流れで「これは結末に向かう伏線に違いない」と思っていたことが、実は伏線でも何でもなかったことです。どんな内容かはネタばれになるので書けませんが、途中で多々登場するので、ラストで重要な意味をもつに違いないと思い楽しみにしていたので非常に拍子抜けしました。 そして真牛に関する話の流れは、下巻の143ページ目あたりまでは、ドラマによくあるパターンですが私は嫌いではありません。 ただ、その後、真牛に起こるさまざまな出来事は、「携帯小説的で陳腐」と言われても仕方がない内容になってしまっていました。ある意味ドラマチックなんですが、暴力的な表現がないと刺激がなく読者を惹きつけられないのかと思われてもやむを得ないですね。 また、真鶴の周囲の某人物に関し、とことん印象が悪いまま終わってしまいました。 確かにラストは真鶴を助けますが、「そんなに強かったっけ?」と違和感を感じただけでしたし、最後、その人物に関してはドラマ的な終わり方をしますが、「無理やり美談で終わらせようとしている」という印象がありました。 | ||||
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時代物で琉球が舞台っていうのが珍しく、ちょっとファンタジックな感じで面白く読めました。男装してて女だってバレずにいるとか、宦官のキャラクター設定がマンガ的で小説としては無理あるんじゃないかと思うけど、あんまり気にしなければ楽しい物語じゃないかと思います。おかげで、沖縄について海だけじゃなく歴史にも興味を持ちました。 | ||||
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「本屋大賞」とか「桁外れの面白さ!」とかに踊らされ、さらに長編ということで読んでみたのですが はっきり言って期待外れでした。 全体的に軽すぎるし、なんで小説で漫画のようなずっこけが必要なのかがわかりません。 上巻はまだしも、下巻に入るとくだらないギャグとかが多すぎて 途中で読むのをやめたくなりました。もったいないので読みましたけれど。 | ||||
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過去に二度行ったことがある沖縄。それでも首里城の深い歴史にまで思いを馳せることは正直ありませんでした。爽やかな読後感を得た後、改めて首里城の構図や歴史を興味深く調べている自分がいました。真鶴及び寧温の半生と共に琉球王朝最後を描いた素晴らしい作品だと思います。 | ||||
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