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イン・ザ・ブラッド
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イン・ザ・ブラッドの評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点4.10pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全7件 1~7 1/1ページ
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この物語でカーリイが試みたことは 全人類の希望を描くことではないか。 最終頁を閉じて、そう考えてみました。 このレビュー欄で、本作を面白く読み終えて満足した各位と ヨロコビを分かち合いたく思います。 シリーズ第5作目で、 なんと壮大なテーマが盛り込まれたことでしょう。 「ほほう。これか。今度のテーマは」 と冒頭で読者はぼんやりと気づくことができる仕掛けです。 それでも物語全体にぶちまけられた数々の事件やエピソードが どう関連しあってテーマに結びついていくのか、 相変わらず、わからない。 残りの頁を考えつつ読み進めていくと、 終盤に入りかけてからの畳み掛けが 笑ってしまうほどに見事。 ちょっと都合よすぎる点もあるけれど、許しましょう。 残りの頁を気にしながら 「ストーリーは決着しかけているようなのに、 まだ、こんなにページが残っている」のがジェフリー・ディーヴァー。 「このとっちらかった状況を、わずかなページで、 どう決着させるのか」と、はらはらさせられるのがジャック・カーリイ。 全人類の希望とは、 遥か彼方の地球の未来に存在するかもしれない楽園。 その楽園への道筋は気が遠くなる距離であり、 向かう方向もぼんやりと暗示されるのみです。 それでも、その未来に向かう道筋は、 汚物だらけで忌まわしい、この現在と繫がっている。 などと考えることで、 読後感は、暗雲満ちた空の遠くに 幽かに陽の光が射し込んでいる光景を眺めるかの心持ちになりました。 大仰ですか。そうですね。 この物語にエンドロールがあるとすれば そこでBGMが流れるとすれば、 「I Shall Be Released」は相応しい1曲ではないでしょうか。 | ||||
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個人的意見ですが、このシリーズを本格的なサイコスリラーと捉えていないためか、 本作もすんなりと読めました。 ジェレミーが出てこない作品も良いできです。 今までが、ジェレミーに焦点が当たっていたので、 本作で本主人公に焦点が当たった作品になってます。 カーソンとハリー…この二人の相棒具合が何とも言えません | ||||
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モビール市警察刑事の<僕>、ことカーソン・ライダーが主人公の「精神病理・社会病理捜査班(PSIT)シリーズ」も、今作で早くも第5作目となります。 あまりに奇想天外なメイントリックばかりが目立った第1作「百番目の男」から一転、第2作目「デス・コレクターズ」で、伏線の妙と緻密な構成で、本格ミステリの旗手として、脚光を浴び、以後、次々と読者を満足させる作品を生み出してきた本シリーズ、今回は、奇抜な設定の兄、ジェレミーが全く作品に関与していない点で、前作までと様相は異なります。 冒頭は、若い男女が海辺の家で襲われるシーン。 その思わせぶりな書き方から、ミステリの定石として、意外な結末につながっていくだろう、と誰でも考えるのでしょうが、「何が起きているのか」全く分からず、興味を惹きます。 そして、次のシーンでは<僕>、カーソン・ライダー刑事が、相棒のハリーと釣りを楽しんでいる最中に、小舟に乗って運ばれてきた赤ん坊を発見。 これは一体何者? そうこうするうち、怪しげな宗教家や、人種差別主義者とそれに対抗する反差別団体が登場する中で、次々と起こる怪事件、一体「裏」で何が起きているのか? さらに、時折、三人称で差し挟まれる科学者の行動も意味ありげ…。 一体、これら、一見バラバラに起きている出来事が、どのように収斂していくのか、その興味で、読者はページを繰る手が止まらなくなることでしょう。 シリーズものは、第1作から、というのが一般的ですが、今作については、前4作を読んだことのない方でも全く問題なく楽しめます。 一番にオススメするのが、「本格もの」が好きな方です。 「伏線の妙」と「緻密な構成」に、感心させられる作品に仕上がっていると思います。 もし、本作品を気に入ったなら、これまでの4作も読んでみてください。 全く別々の趣向で、楽しませてくれる良作揃いです。 | ||||
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ジャック・カーリーさんを知人に紹介されて、期待も持たずに読んだのですが・・・はまりました。 コナリーやコーンウエルのような重厚さはないかもしれません。が、です。が、面白い!私は「ブラッド・ブラザー」から手を付けたのですが邦訳されている彼の全5作、全てが輝きを放っています。アメリカ南部を舞台にしたミステリーはねっとり蒸し暑い疫病的な風味を放つ物が多いですが、この方の作品、ナゼかモビールという名称を解き放つと西海岸で起きている事件のような爽やかな風がを撫でることも。とにかく読んで頂きたい。特にこの作品を読み終わると「ヘイトクライム」の馬鹿らしさが骨に浸透してきます。人類は雑種を試行錯誤してここまで生きのびてきたんだ。雑種万歳!って自分を褒めたくなります! | ||||
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刑事カーソンを主人公に据えた本シリーズですが、 第1作から第4作までは、 サイコサスペンスを基調に、 カーソンの恋愛および連続殺人犯の兄との関係を中心おいた刑事ミステリーであったのに対し、 第5作目である本作「イン・ザ・ブラッド」は、 色恋沙汰も兄のエピソードも登場しません。 更に言えば、 サイコサスペンスの要素は薄くなっています。 シンプルな刑事物になっており、 カーソンの刑事としての活躍がより強調されているようです。 第五作目にして路線変更したようです。 そこに意外性を感じました。 同時期に発売されたディーバーの新作「シャドウストーカー」が、 伏線を張りすぎ、 殺人のアイデアが空回りしていたのに対し、 本作「イン・ザ・ブラッド」は、 すいすい読める文章、 ぐいぐいと惹き込まれるストーリー、 刑事物ミステリーとして完成度が高いと思います。 テンポのよさには脱帽します。 ひとりの赤ん坊をめぐるストーリーに、 白人至上主義者の集団、 カリスマ説教師の殺人が絡みます。 物語が進展するにつれ、 それらの物語が徐々に絡み出し、 最後には事件の全貌が明らかになります。 この重厚で福雑なプロットが面白いです。 とは言え、 個人的にはもう少しサイコの要素がほしいなあというところです。 | ||||
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常に良い意味で読者の予想を裏切り続ける天邪鬼な魅力に溢れた期待の本格サイコ・サスペンス・ミステリー、刑事カーソン・ライダーシリーズの第5作です。前作は舞台を都会に移してスケール感をアップし著者が自らを追い込んだ様なある種入れ込み過ぎの気負いと少し行き詰まりの様な重い終息の雰囲気が感じられましたが、幸いにも本作は元のホームタウン・モビールに帰ってすっかり何時ものペースを取り戻し肩の力の抜けた丁度良い仕上がりになっていると思います。 カーソン刑事が相棒ハリーと朝釣りを楽しんでいる途中で偶然見つけた漂うボートの中の女の子の赤ん坊はその後収容先の病院に現れたクレイジーで自棄気味の男によって奪われかける。一方で赤ん坊が流された源流にある焼け落ちた家で見つかった銛で刺された男の死体と有名なカリスマ説教師の不名誉な状況の死の謎を追うカーソンはやがて人間の欲が絡んだ複雑怪奇で意外な接点へと辿り着くのだった。 著者の作品は読み進むにつれて実は殆ど何一つ確かで見かけどおりではない事に気づいて何時も愕然とさせられますね。お金が大好きそうで奇矯なカリスマ説教師の隠された裏の顔、その横暴な夫に虐げられしょっちゅう怪我を負って生傷が絶えない貞淑な妻、今回は何処か怒りっぽく切れ気味のカーソン刑事、そして怪しげな遺伝子学者が登場して禁断の領域に踏み込む危ないストーリーなのか?と思わせておいて・・・・。それぞれの真相は本書を読んでお楽しみ頂くとしまして、今回は久々におぞましくショッキングな狂気のシーンが描写されておりましてあまりの恐ろしさに容易に忘れられそうもない凄まじい衝撃に打ちのめされましたね。こんなのを読むと人間の美に対する飽くなき執着も程々にしないといけないなと痛感しましたね。それからハリー刑事が今回思わぬ受難となった白人至上主義運動を信望する者達の思い上がり常軌を逸した粗暴なふるまいの数々に非常に情けなく浅ましい人間の醜悪な一面を見せられて心が強烈に痛みましたね。そして今回は珍しくカーソン刑事の恋愛模様に進展はありませんでしたが、ハリー刑事と共に赤ん坊ノエルの幸福を心から願う熱い想いが伝わって来て世の中の醜悪な面に反して真面目に活動する人々が確実に存在するという人間の善意を感じ取れて幸せな気持ちになりましたね。私はシリーズが今年久々に翻訳再開された事を本当に喜んでおりまして、来年からも残された数々の話題作がこの調子で順調に紹介される事を心から願いたいと思いますね。 | ||||
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刑事カーソンが相棒ハリーとともに次々に起こる怪事件に挑んでいく話だ。 船で流れ着いた謎の赤ん坊。その赤ん坊を誘拐しようという動き。海辺の家の焼け跡から見つかった銛で腹を刺された男の死体。白人至上主義のカリスマ説教師の怪死。そして、途中で差し挟まれる謎の博士の行動…。説教師の周りで怪死事件はまだ次々と起こり、事件は複雑な様相を見せていく。 いつもならカーソンは、事件に行き詰ると、連続殺人事件の犯人として刑務所に収監されている兄のジェレミーに会いに行き、そこでの会話からヒントをつかんで突破口を開いていくのだが、ジェレミーが前作で脱獄し、どこにいるかわからない今、カーソンは自分の力で謎に立ち向かっていかなければならない。プレッシャーがかかる中、カーソンは次第に追いつめられていく。カーソンはこの事件を無事に解決することができるのか…。 読み終わって、白人至上主義と最新の遺伝科学をも取り入れ、ひねりも効かせて、よくもこの大がかりな話を着地させたなあと感心した。でも、登場人物は多いしあまりにも次々に事件が起こり人が死ぬので、最後の方では誰がどうなったんだか頭がごちゃごちゃになった。「この事件の犯人は○○」とはっきりしない部分もあるし、重要な登場人物の最後がよくわからないままだし、ちょっと読み疲れた。 でも、ひねりのきいた大風呂敷の話が好きなら、この本はお勧めだ。 | ||||
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