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十日間の不思議



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十日間の不思議の評価: 4.23/5点 レビュー 30件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.23pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全30件 1~20 1/2ページ
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No.30:
(5pt)

日本語訳に問題あり

オチよりも途中がめっぽう面白くなった。これがクイーン後期の特徴だと思った。学生時代にはわからなかった。

ただ前のフォックス家はよかったのに、こっちの新訳は、特に会話文の意味が通らず読むのに苦労した。
会話ではないが第一章より:
「迷信深ければ、これを宿命と呼ぶんだろうな、と思った。
 ・・・二回とも、ある事情のために結論を不本意な憶測にとどめておかざるをえなかった。こんなことになるのは、なんらかの類型、それも大きすぎて人間には見分けられない類型があるからではないか、とエラリイはかつて迷い、いまも迷った。」

迷信深ければ→科学的な人間でなかったら、のほうがいいと思うが、それより後半がおかしい。迷う、という言い方がもうわかりづらいし、そもそもwonder if は「迷う」ではない。patternを類型などという遣われない言葉にして訳した気になれるのもおかしい。patternには、習字のお手本という意味もある。そして、そうは見えないが同じパターンにはまっているという意味なのだから、「見分けられない」もおかしい。

原文と適切な訳はこうなる:
He wondered, as he had wondered before, if there might not be a pattern too large to be discerned by the human eye.
→「当時も考えたことだが、なにか大きすぎて人には見えない図式が隠れていて、同じ結果に自分を導いたのではないかという気がした」

あと、基本的な日本語の問題として、どこかは忘れたけど「来るわ来るわ」とか「いるわいるわ」の「わ」が「は」になっていた。今どきの文庫本は校正がされないのだろうか?

・ミステリとしては、麻耶雄嵩先生が書いた帯はネタバレだと思ったが、そのネタバレがわかる人間にはネタバレしても問題ないくらい、一個目の推理は未熟だった。また本当の解決編に至って、逆に当初からのフックであった記憶の問題が気になりだす。

・後期クイーン的問題って結局、解釈が変わるような弱すぎる証拠を使うなってことな気がしてきた。
十日間の不思議〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:十日間の不思議〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150701547
No.29:
(4pt)

さすが、としか。

シンプルなラインとあれれという気持ちに間断を許さないストーリー展開はさすがです。
十日間の不思議〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:十日間の不思議〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150701547
No.28:
(3pt)

普通には面白かったですが。値段が高い。

エラリークイーンの後期の作品で、普通には面白かったですが、「Xの悲劇」のような時間を忘れてストーリーにのめり込んでいくような緊張感はありませんでした。ストーリーにリアリティが乏しいような気がして、これが緊張感を失わせています。後半は少し読むのが辛かったです。1,430円という値段も高いですね。
十日間の不思議〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:十日間の不思議〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150701547
No.27:
(5pt)

つまり

エラリーにはリッチと愉快な仲間たちがいないとダメってことなんですよ。
十日間の不思議 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-1)Amazon書評・レビュー:十日間の不思議 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-1)より
4150701016
No.26:
(5pt)

最後はやっぱり

NO!NO!NO!NO!YES!が適訳だと思う。青田勝さんの訳の方がかっこいい。
内容は素晴らしいですよ。エラリー・クイーンのベスト1だと思う。
十日間の不思議〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:十日間の不思議〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150701547
No.25:
(5pt)

誕生に10年かかったという壮大なトリックの超名作

全てのミステリーの中でも最高の一つと言われる本書、もちろんエラリー・クイーンの最高傑作とも言われていますは、あとがき書かれていましたが、構想から出版まで10年がかりの難産だったそうです。

エラリー・クイーンの作品は随分久しぶりでしたが、実際はフレデリック・ダネイとマンフレッド・ベニントン・リーという二人が書いたもので、作品のなかに作家兼名探偵としてエラリー・クイーン自身が登場します。

ストーリーは、時おり記憶喪失に苛まれる彫刻家のハワードが、知り合いのエラリー・クイーンに自分のそばにいてほしいと頼み、エラリーがハワードの自宅を訪ねると、ハワードは大富豪のディートリッチを父とする邸宅に住んでおり、ディートリッチには若くて美しいサリーという妻がおり、サリーは義理の息子であるハワードと恋仲になっていて、それを知った何者かがサリーとハワードを脅迫、エラリーはそれに巻き込まれる、というものです。

全部で500ページ近い大長編ですが、ハワード、ディートリッチ、サリー、そしてエラリーの性格描写が素晴らしく、あとがきにあるように、前半は文学小説のようです。それが、エラリーのヒラメキから一転、壮大なトリックの話になっていくところが見ものです。

1948年の作品だとはとても思えないほどの緊迫感がありますが、強いて言えば、トリックが壮大すぎて、ちょっとやり過ぎに思えました。まぁ、だからこそ、誕生に10年もかかったのでしょう。
十日間の不思議〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:十日間の不思議〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150701547
No.24:
(5pt)

剛腕ともいうべき筆力に唖然とする異形の名作

戦争の後遺症、心理学の流行、1948年発表という時代性を抜きにしては語れない、この時期のクイーンだからこそ成し得た異形の名作。神学的イメージに彩られた歪なストーリーやプロットを論理的探偵小説の枠に強引に落とし込んだ剛腕ともいうべき筆力に唖然とする。いきなりミステリのビギナーには勧められる内容ではないが、本書と一対を成す次作『九尾の猫』と併読すれば、さらに感動は増す。
十日間の不思議〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:十日間の不思議〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150701547
No.23:
(5pt)

十日目の対決が最高にスリリング

ライツヴィルシリーズのパート3は異様な出だしです。夢か現実かわからないシーンが続き、血まみれになって自殺しようとする主人公のハワード。ハワードは彫刻家で、偉大な父親に対してコンプレックスの塊です。しばしば記憶喪失の発作を起こして悩んだ末に、10年前にパリで3週間だけ交流を持ったエラリイ・クイーンに助けを求めます。自分の屋敷に来て自分の行動を見張っていて欲しいと頼むのです。ハワードの実家はライツヴィルにありました。エラリイは因縁を感じながら、三たびライツヴィルに向かうのでした…不倫、恐喝、窃盗、出生の秘密など不穏な雰囲気はありますが、中々殺人事件は起こらず普通小説のように話は進んでいきました。どのへんが傑作?と途中で、疑う気持ちが起きます。八日目に殺人があり、九日目にエラリイ・クイーンの謎解きが鮮やかに披露されます。しかし、十日目にすべてがひっくり返されます。エラリイ・クイーンと真の黒幕との対峙。この最終章の対決は最高に面白くスリリングでした。傑作と呼ばれる理由がわかりました。
十日間の不思議〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:十日間の不思議〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150701547
No.22:
(5pt)

エラリー・クイーンの最高傑作はこれ!

1948年発表。いわゆる『ライツヴィルもの』の第3作。すでに町の状況は読者の頭の中では折り込み済みでしょうと言わんばかりに登場人物が極めて少ないです。

精緻に組み立てられたプロットにただただ感心するとともに、この作品が後の『本格』に与えた影響たるや絶大なものがあるなぁ、と読了後感じ入ってしまいました。法月綸太郎の『ふたたび赤い悪夢』の各章の命名や『生首に聞いてみろ』の主人公のキャラクターなどこの作品にストレートに影響を受けています。何しろ余りに面白くてページをめくるのがもったいないのです。

この新訳の前の本では巻末の解説はあの鮎川哲也が書いていました。御大が解説を引き受けるのも無理はないなぁ、と思います。指摘しているシーン描写の欠陥はそのとおりでその一点のみを除けばすべてのプロットが完璧です。既に一度ヌーベルバーグの巨匠クロード・シャブロルの手で映画化されていますが、場所をフランスに置き換えたり時間が短過ぎたりとイマイチです。オーソン・ウェルズのディドリッチ・ヴァン・ホーンなどピッタリだっただけに残念でした。高い映像性とキャラクター各々の魅力そのままに是非とも再映像化して欲しい作品です。

なにしろぼくのエラリー・クイーンのベスト1はこの作品です。この作品と『災厄の町』に挟まれた『フォックス家の殺人』が廃版から復活してすごく嬉しいです。
十日間の不思議〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:十日間の不思議〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150701547
No.21:
(5pt)

とても面白い探偵小説

翻訳版でも言葉の美しさがわかる本
丁寧に越前さんが翻訳してくださっているからでしょう。

初めてエラリイ・クインの本を読みましたが他のも全部読みたくなる!
十日間の不思議〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:十日間の不思議〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150701547
No.20:
(5pt)

戦時のパリでハワードと出会う

エラリイ・クイーンは、戦時のパリのカフェで、ユシェット通りとサン・ミッシェル大通りの角で、ハワードと出会いました。ここからすべてが始まります。

新訳版もまた、読みやすく、原著が傑作であることを思い出させてくれます。これは、探偵の回想のなかでの回想を読者が回想する営みにあたります。
十日間の不思議〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)Amazon書評・レビュー:十日間の不思議〔新訳版〕 (ハヤカワ・ミステリ文庫)より
4150701547
No.19:
(5pt)

なかなか殺人が起きないが…

アガサ・クリスティーが創造したセント・メアリ・ミードほど有名ではないけれど、エラリイ・クイーンも架空の町ライツヴィルを創造している。本書はそのライツヴィルを舞台にしたミステリの一作だ。

記憶喪失の発作を起こす知人から「自分の行動を見ていてくれ」と依頼を受け、久しぶりにライツヴィルを訪ねた主人公エラリイ。しかし彼の到着を待たずに現地では盗難事件が発生し、やがて物語は思いもよらぬ脅迫事件へと発展するのだった―。

そんな感じで、本書ではなかなか殺人が起こらない。それでもグイグイと読ませる手腕は、さすがクイーン。やっと全体の3分の2を過ぎたころに殺人事件も起きるが、その後は怒濤のようにクライマックスへと突入する。しかしその結末には続きがあり…。

というわけで、僕は本書を面白く読んだ。しかし、ひとつだけ腹立たしいことがあった。それは解説で鮎川哲也が堂々のネタバレをやっていることだ。昔は今ほどネタバレに対するマナーが厳しくなかったとは思うが、それでもねえ。解説を除けば大満足のミステリでした。
十日間の不思議 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-1)Amazon書評・レビュー:十日間の不思議 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-1)より
4150701016
No.18:
(4pt)

エラリイ・クィーンの苦悩

今までのロジック中心のストーリーから、一変してエラリイの人間味を話の軸においている。終末に犯人から「論理がいかに輝かしくとも法を承服させることはできない‥」と言われてしまう。もちろん反論するが、かなり苦しい。
その後の結末も哀しい。
エラリイの敗北感漂う作品だった。
十日間の不思議 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-1)Amazon書評・レビュー:十日間の不思議 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-1)より
4150701016
No.17:
(5pt)

怒涛の終焉

国名シリーズが軽く読めたので、クイーンの小説にハマりました。ですが、ライツヴィルものは、やはり一筋縄ではいきませんでした。前半は殺人がなくて、ちょっと飽きてしまって、しばらく読まずにいました。ですが、最後まで読んでしまうと、前半の大切さがわかる。恐るべしクイーン。
十日間の不思議 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-1)Amazon書評・レビュー:十日間の不思議 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-1)より
4150701016
No.16:
(4pt)

十日間の必然性はあるか

エラリークイーンは、「レーン四部作」と「国名シリーズ」のほか2,3作を今から40年近く前に集中的に読んだ。その後に、クイーン選のアンソロジーをまとめて読み、それっきりのつきあいであったが、偶然に「クイーン作品全解説」本をネットでみつけ、新たなクイーン熱が起こったところである。
過去に読破したシリーズは、再読する気力と時間がないため今のところ断念せざるを得なかったが、今回あらたに後期作品を中心に読み始めた。本書は「ライツヴィルシリーズ」の最後の物語であるが、最後にふさわしい考え込まされる作品になっている。まず登場人物が少なく、事件らしいものもあまりなく一見淡々と進行していくのだが、それが一気に加速するかのように事件が終焉する。その後にたたみかけるように転換し、読者によっては「そんなのありか」とか「さすがクイーン」あるいは「なるほどねえ」と評価が分かれる作品でもあるかと思う。  自分は「よく読めばわかっただろうが、ちょっとあざといのでは」という感想をもった。
十日間の不思議 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-1)Amazon書評・レビュー:十日間の不思議 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-1)より
4150701016
No.15:
(4pt)

ラストが秀逸。本格謎解きとしてはかなり薄味ですが。

自殺を黙認する作品は数あれど、本作品のラストシーンはその奇天烈さが印象的。この「有名な名探偵」(本人曰く)ですが、またまた冤罪をうみ、冤罪被害者は自殺します。1年後、探偵は自分の誤りに気づきます。すべての謎解きを終えて、真犯人と二人きり。名探偵いわく、
「ぼくにも罪がある。もう2度と探偵はしない。あんたは老い先短いし、警察に突き出したりはせん。けど、そのかわり、のぅ、言わんでも、わかるじゃろ?」と、抽き出しを開けて、なんと、拳銃を見せるのです! 真犯人をひとり残して外に出て、しばらくすると銃声。それを聞いて探偵は、ひとり寂しく街を去っていく‥‥。って、自殺を強要してますよね、これ。ヤクザ映画か何かですか? 「悪い奴ほどよく眠る」か何かですか? 面白すぎです。(褒め言葉です) 
しかも次作では、あの時もう二度と探偵はしないと誓ったのに‥‥とか言いつつ復帰、またまた冤罪をうむんだな。しかも自殺までされるし。こういう前例のせいで、「頼子のために」みたいな後続が出てくるんですね。(いい意味で) ただ惜しむらくは、探偵自身も再起不能になるほどの精神的打撃を負って欲しかった。
いずれにせよ、断崖で「死んじゃダメだ、生きて罪を償うんだ」などとぬかす船越なにがしや、内藤なにがしの2時間ドラマに、物申したいという諸氏にはオススメしたい作品です。
十日間の不思議 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-1)Amazon書評・レビュー:十日間の不思議 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-1)より
4150701016
No.14:
(4pt)

国名シリーズとは異なる作風が楽しめる

1948年に発表された本作品は、架空の都市「ライツヴィル」を舞台にした作品群の第3作目にあたり、初期の国名シリーズの純粋パズラーとは一線を画する作風になっています。
その作風とは、「人間を描くミステリ」とでも呼べるもので、大掛かりなトリックや犯人当てといった趣向よりも、事件の真相が明かされるにつれ、ライツヴィルの人間模様に深みが出てくるという方向に重点が置かれています。

本作品では、名探偵エラリー・クイーンが、パリで出会ったハワードという若い彫刻家との関わりが物語の発端となります。
ハワードは、時折、記憶喪失に陥るという発作に見舞われ、エラリーに自宅で自分を監視してほしいと依頼します。
つまり、記憶喪失になっている間、自分は何か重大な犯罪を起こしているのではないか、と恐れているのです。
彼の自宅というのがライツヴィルにあり、エラリーはこの町をみたび、訪れることになるが…といった展開。

ライツヴィルものの第1作「災厄の町」もそうでしたが、本作品でも、殺人事件はなかなか起こりません。
しかし、謎の盗難事件や脅迫事件など、読者を飽きさせないような事態は、次々と発生しますので、ご安心を。

そして、いよいよ殺人事件が起こり、そこから、真相解明まで、それほどページがないのですが、この結末、国名シリーズとは全く異なるという意味で、ある種の新鮮味がありました。
ただ、多くのミステリを読んでいると、似たような趣向を読んだことがあるので、衝撃度にやや物足りなさあり、といったところでしょうか。

作品的には、「災厄の町」には及ばないように思いますが、国名シリーズ時代にはなかったエラリーの苦悩が色濃く反映されている点で、大人の味のミステリとして評価してよいのではないか、と感じました。
この次は、本作品の翌年発表の「九尾の猫」を読んでみたいと思っています。
十日間の不思議 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-1)Amazon書評・レビュー:十日間の不思議 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-1)より
4150701016
No.13:
(4pt)

ライツビル物

この作品は、ライツビル物の3作目だと思いますが、3作とも面白かったです。 私的に1番好きなのは「フォックス家」でしたが、この作品も面白かったです。 いつもレビューを書くのに、あまり内容をどうこうと書いてしまうと今から読む方達に申し訳ないと思ってしまい、「面白かった」とかくらいしか説明出来ず、ボキャブラリー貧困ですいません(;'・ω・)読むのは好きなのですが・・・でも、ライツビル物3作品はお勧めして1度読んでみて下さいと言える作品だと思います。 「災厄の町」「フォックス家の殺人」「十日間の不思議」お勧めです。
十日間の不思議 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-1)Amazon書評・レビュー:十日間の不思議 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-1)より
4150701016
No.12:
(3pt)

エラリーが、どんどん人間臭くなっていく

ミステリー作品としての出来自体については、微妙と言える。クイーンの意図が変わっていったことに原因があるのだろう。
ライツヴィルものを続けて読んでいくと、エラリーに多少感情移入したくなってしまう。国名シリーズやレーンもののような超人エラリーは面影もない。『災厄の町 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-12)』以降、エラリーには、以前ほどの“キレ”がない。本作も含め、妙に女性と絡み、探偵業そのものについても悩むし、失敗する。それに、本書で「十誡」が使われているのは、探偵=神といったそれまでの探偵の在り方に対する疑問というか、問題提起なのかもしれない。

『フォックス家の殺人 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-32)』は1944年の出来事で、本作で描かれる事件のあとに起こる『九尾の猫 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-18)』は1949年の出来事。だから、ライツヴィルではせいぜい、4〜5年しか経過してないはずなのに、かなり時間経過があったような描写が多いのは不思議である(例えば、デイキン署長)。
あと、鮎川哲也氏が「解説」で、『災厄の町』執筆時点で「ライツヴィルシリーズを書こうと意図していた」とされているが、そのことには異論はないものの、かなり大まかな計画であったと思う。その理由については『災厄の町』のレビューに書いておいた。
十日間の不思議 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-1)Amazon書評・レビュー:十日間の不思議 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-1)より
4150701016
No.11:
(5pt)

どっちが漂流者なのか分からない引き裂いてしまうんだ笑い方を忘れてしまうまえに

彫刻家のハワード・ヴァン・ホーンはたびたび記憶喪失の発作に悩まされていた。どうやら今度の漂流は19日間だったようだ。
ふとニューヨークの簡易宿泊所で目覚めた彼は、自身の衣服が血まみれになっていることに慄き、かつてパリで知り合っていたことがある
エラリーのもとへとやってきた。意識不明の期間になにか恐ろしい罪を犯したんじゃないかと?そしてもし次の発作が起こったときに自分を
監視するためにライツヴィルのヴァン・ホーン家に来てほしいと。エラリー三たびライツヴィルへ。
さて第一部 九日間の不思議では、その愛憎があまりに融け合ってしまった便利な観念としてのハワードの不思議なエディプスコンプレックス
によってエラリーは実にアンビヴァレントな立場に追い込まれて引き裂かれるような思いになっちゃうんです。でもそこが面白い!!
お約束の殺人事件がなかなか起こらない代わりに、家庭内心理劇を見つめるエラリーの視点、心のつぶやきで物語りを引っ張っていくところが
本作の魅力でしょう。しかしまさかそれが黙認されている特権というプライドを剥奪する圧力調整とは知らずに。。
それは第二部 十日目の不思議で明かされるのです。いかに接続メカニズムが狂わされていたかと。。
ふんわりとした雲の後光の中に横たわっているものは血なまぐさい限り。一方で地面に見捨てられた神は完全に無力なものとして横たわる。
まあ・・・これほど説明しにくい本格推理小説はないんです(笑)。
無力
愛すべきものすぎて憎らしい、、しかし葛藤は美しく、なにもコンプレックスを完全に仮面で隠してしまう必要もない。程度の問題なんだ。
一方、笑いのタネにするのも程度の問題だろう。したたかな手段は反面でどうしようもなく鈍感なこじつけにもなる。本来そこには無数に
あったはずのみずみずしい表情まで圧殺してしまうんだから。変調をきたした接続メカニズム、笑いすら仮面めいてる。
そんなアンビヴァレントな状況の裏返しとして融け合うのに便利な無数の各種つぶやき。しかしそれすら無力な仮面になるまえに素直に
抱きしめられるべきだなあ。取り立てて不思議なことではなく、息苦しい仮面を引き裂いて、ただ自身を大事にしようというプライドを
持つだけの話。
十日間の不思議 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-1)Amazon書評・レビュー:十日間の不思議 (ハヤカワ・ミステリ文庫 2-1)より
4150701016

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