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チャイナ橙の謎
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【この小説が収録されている参考書籍】
チャイナ橙の謎の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点3.33pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全9件 1~9 1/1ページ
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国名シリーズの新訳版、早くも第8作目に到達。 日本名の入った番外編を含めても、あと2冊で、終わりとは、感慨深いものがあります。 本作品は、数十年前の中高生の頃に読んだものの再読。 その醍醐味は、殺人現場内で動かせるものは、全て逆になっていたという、「あべこべの殺人」の奇抜な設定と、「密室トリック」の絶妙な掛け合わせでしょう。 【あべこべの殺人】 なぜ全てが逆なのか? 初読が遥かな昔のため、解決へ向けてのロジックもうろ覚え。 しかし、「読者への挑戦状」の後、エラリーの推理が始まると、記憶が甦ってきて、これはこれで、推理の楽しさを味わえました。 思えば、ミステリが好きになるきっかけの一つが、このロジックでした。 そういう意味で、大変に懐かしく、初読時を思い出しました。 【密室トリック】 これに対し、悔いの残っていたのが、このトリック。 初読時、エラリーの推理を読んでも、情景が頭に入って来なかったのです。 そんなわけで、自分の理解力に自信喪失した作品でした。 ところが、本書の巻末解説に、一度読んだくらいでは理解できない、という趣旨のことが書かれていて、自分だけではなかったと、安心しました。 ですから、これから読まれる方については、解決編を読んで、よく分からなくても、落胆しないでください。 なお、巻末解説のネタバレ部分(既読者向け)には、イラストで分かりやすい説明があり、長年の疑問が氷解しました。 巻末解説に力を入れている角川文庫新訳版ならではのものだと思います。 大変に助かりました。 ありがとうございます。 「ローマ帽子」や「ギリシャ棺」に比べると、ロジックがシンプルで、比較的低年齢の方でも、読みこなせる作品だと思います。 本作品で本格ミステリ好きが増えたなら、これほど嬉しいことはありません。 | ||||
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クイーンの作品は登場人物が多く、しかもいろんな呼び方で表現されるため、ともすると誰が誰だかわからなくなってしまう。外国人の名前を覚えるのが苦手な私には大変読みにくい作家の一人でしたが、本作品は登場人物が少なく訳もこなれており十分に楽しめました。 ただトリックが一度読んだだけでは全然わからない(わかる人がいるの?)。解説では巻末に親切な絵まで載せてありこれをみても最初はやっぱり分からない。何度も絵を見ていて何となく理解したような気になりました。 解説がなければ評価は少し下がったと思います。従って本作品は解説込みでこの本で読むのがよいと思います。 | ||||
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20年程ぶりに再読。初読の際の印象はあまりよくありませんでした。この作品以前に書かれた作品とはどうも毛色がちがうのです。前作の『シャム双生児の秘密』までは、出来不出来はあってもプロの警察官ですら見逃してしまうようなささいな物証から、切れのあるロジックで犯人や犯人がたくらんだトリックを名探偵エラリーが暴くという一貫したテーマがありました。『飯城 勇三』氏がいうところの「意外な推理」の面白さにみちていました。第三作『オランダ靴の秘密』でいえば、犯人が犯行時に穿いていたと思われる靴の特徴がキーなる。たった一足の靴から論理を積み上げ犯人を絞り込んでいく。細かいことを考えることが嫌いな人には「どうでもいいこと」かもしれませんが好き者にとってはたまらない面白さにみちています。 『チャイナ蜜柑の秘密』も「意外な推理」の面白さが作者のねらいであることは、変わらないのです。が、いわゆるチェスタートン風の「逆説的」な推理の面白さであり以前とは面白みが明らかにちがいます。たとえるなら、「彼は、晴天なのに雨傘を持ち歩いていた。それは、彼がここ数日天気が続くとおもっていたからだ」といった一見首をかしげるようなロジックなのです。 上着、ズボンも前後逆さにに着せられ、発見される身元不明の人物。現場の部屋の状況を観察すると動かすことが可能なものはすべて逆さまになっている。棚は表裏が逆になり、敷物もひっくり返され、卓上ランプは笠がしたになるように置かれている。 あべこべ、あべこべ・・・不条理が作品に満ちているのです おまけに最後にエラリーが暴く真相もぶっ飛びすぎて、特に日本人には身近でない風習をねたにしているのでどうもピンとこない。 こんな感じなんで初読時の印象は「なんでこんなのか書いたのか?」と決していい印象はありませんでした。 ところが、今回再読してみて、意外に面白いのに正直驚いたのです。初読時は、意味不明だった作品を覆う不条理感がなんともいい。「そうそう、パズラーってこういう洒落っ気が必要なんだよね」といった印象でしょうか?『靴に棲む老婆』『ダブル・ダブル』の味わいの源流ってこの作品かもしれまん。『Yの悲劇』にもそうした要素はあるですが、あっちはシリアス系です。『Yの悲劇』にあったグロテスクなユーモアを徹底させた上で深刻ぶらない感じて読者に提供する・・・それが『チャイナ蜜柑の秘密』なのかもしれません。 もっとも、これは好事家の意見で、おそらく一般的な日本人からすると、『国名シリーズ』のなかでもっとも異質の作品ではないか?どうも、昔からこの作品の日本での評価は低いです。まあ、妥当なところだと思います。 ただ、昔クイーンを読んだし、いまも好きなんだよね。というかたら、再読をお進めします。意外といけますよ。 | ||||
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エラリー・クイーンというよりフレデリック・ダネイは、自作のベストとして本書をあげているのは少々意外だった。 プロットよりは密室つくりのトリックに自信があったのじゃあないだろうか。とはいっても、この密室トリックだけど、一度読んだだけではまったくと言っていいほどわからない。本書では「解説」で図を使って、巧く説明している。なので、「解説」は本編を読んでから読んだ方がいい(かも知れない)。 オリジナルがリリースされたのが1934年ということで、この「国名シリーズ」でもようやく大恐慌の不景気さが伝わってくる。 1977年に来日した際の、ダネイとイーデス・ハンソンさんとの対談の内容も掲載されている今回の「解説」はなかなかに面白い。 | ||||
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事件の大きな謎は、犯行現場がなぜ‘あべこべ’な状態にされなければならなかったかという点ですが、その理由は、日本人にはあまりピンとこない事情によるものであり、しかもなぜそこまで徹底してやらなければならなかったのかが、非常に不自然に感じられます。また’あべこべ’なしの当初の計画通りに犯行が行われた場合は、ひどく間抜けな事件現場になるような気がします。 そんな見方をすると、理路整然を第一とするクイーンの作品としては、駄作の烙印を押されてしまうのもしかたないと思います。 でも私にとっては、事件現場のばかばかしくも悪夢的な状況や、’あべこべの国’中国に関する怪しげな記述、そして冗談のような間抜けなトリック等々、どれも愛すべき内容で、「やっちゃったね!クイーン先生!」とでも言ってあげたくなる気持ちになります。 犯人も憎めない人物で、そのささやかな動機を告白する場面では、思わず同情を覚えてしまいます。 本書は、真面目に怒らずに、そんなところを楽しんで読んでほしいと思います。 | ||||
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宝石と切手の収集家である出版業者の待合室で、身元不明の謎の男が殺害された。 死体は、衣服をすべてうしろまえにされ、背中の上着の下からは二本の槍が突き出ている。 しかも、犯行現場のあらゆる調度品までもが逆向きにされているという、不可思議な状況。 この“あべこべ”は、何を意味しているのか? チェスタトン流の逆説に挑戦したとおぼしきナンセンス・ミステリ。 したがって、事件が現実的かどうか、といった観点で読むのではなく、 作品の根幹にある着想や趣向そのものを味わうといった読み方を すべきではないか、と個人的には思います。 本作は、広義の《密室殺人》に該当しますが、実際に使われているのは、 実に素朴な機械的トリックなので、人によっては拍子抜けかもしれません。 しかし、そのようにして構成された《密室》が従来のものと “あべこべ”であるところに、クイーンの創意があります。 (のちに、笠井潔氏が『哲学者の密室』において本作を本歌取り) また、チェスタトン流の逆説ということでいえば、本作の「すべて」が “あべこべ”という状況は、ミステリという枠組みを越え、広く一般に 流布した、チェスタトンのある短篇の有名な警句に由来するものです。 | ||||
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国名シリーズ中の一作で、クィーンとしてはハデなトリックを用いた作品。密室殺人を扱ったものなのだが、部屋の中のものが全て「あべこべ」になっているというのが一つの趣向。チェスタトンなら警句の一つも吐きそうな状況で、この風味を活かして欲しい所だったが、理由は残念ながら現実的なもの。現在では多くの模倣作品があるが、初読でも冷静に考えれば読者にも理由は推理可能。 もう一つの趣向は密室構成法にあるのだが、これまた模倣作品が非常に多い。カーばりのハデなトリックが楽しめる。 国名シリーズの中では異色とも言えるハデなトリックを前面に押し出した作品で、後に多くの模倣を産み出した傑作。 | ||||
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クィーンの国名シリーズの中でも、「シャム双子」と共に特異な位置をしめる異色作だと思います。全てがあべこべになった部屋での殺人という、クィーンらしくない謎とその真相を、手をたたいて喜ぶか、ギャグと受け止めて笑い飛ばすか、怒って本を投げ捨てるか、読者の受け止め方は様々でしょう。僕なんかはここまでやったクィーンに心から賞賛を送りたい一人です。ちなみに作者の自薦ベストにも選ばれているはず。もう一つだけ言いたいことが・・・。この作品「○○もの」と気軽に紹介されていることが多いのですが、それ知らせちゃだめですよ!それ自体がトリックを構成する1要素なのに(こんな風に書くこと自体まずいかなと思いますが)。これから読んでみようと思う人は、解説や紹介文などは先に読まないことです。 | ||||
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誰も出入りしなかったはずの部屋で殺された男。部屋は密室。そして、踏み込んでみると、部屋の中はすべて「あべこべ」にされていた・・・これも以後使い古されることになるトリックだが、致し方あるまい。あべこべになっていた理由は、エラリーが気づくのとどっこいどっこいの段階で気づく人もいるかもしれない。密室の作り方は図解まで入っているのだが、イマイチ凝りすぎていて、本当に成功するのかなと思った。 | ||||
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