帽子収集狂事件

【この小説が収録されている参考書籍】

評判

帽子収集狂事件の評価:

4.03/5点 レビュー 36件。 D ランク

Amazon書評・レビュー点数毎のグラフです

平均点4.03pt

Amazonレビュー一覧

Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全47件 21〜40 2/3ページ
No.27
(5pt)

奇想天外?

大筋はわかりますが、しばらく前に購入したので。。。でも面白い作品だったと思います(^^ゞ
帽子蒐集狂事件 (1959年) (新潮文庫) Amazon書評・レビュー: 帽子蒐集狂事件 (1959年) (新潮文庫)より
B000JASGZ2
No.26
(4pt)

ミステリーの良品!

まだ肌寒く霧の多い3月のロンドンで発生した事件であり、月曜日の昼の発端から翌未明に解決するまでの顛末が物語られます。
帽子収集狂による犯行を暗示するシルクハット、現場の霧のロンドン塔、凶器のクロスボウの矢による刺殺などの趣向は、
この作者にしてはいささか地味に感じられます。
しかしながらこの作品の魅力は何と言っても、登場人物の設定とあの印象的な事件の解決場面に至るまでの展開です。
特に天真爛漫なお嬢様、快活で奔放な人妻、いわくありげな女性探偵の3人の女性は、事件の展開に深くかかわりを持ち、
場面によっては事件解決の重要な伏線を示す役回りを果たします。また物語の終盤で自殺を遂げる男も実に魅力的な人物として描かれています。
そして皮肉な運命に翻弄される犯人と、対するフェル博士、ハドリー警部、ランポール青年が結末に下す審判が、物語に忘れがたい余韻を残します。
新訳は読みやすく、作品と作家の評価を見直す良い機会となりました。お薦めします。
帽子収集狂事件【新訳版】 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 帽子収集狂事件【新訳版】 (創元推理文庫)より
4488118305
No.25
(3pt)

カーの代表作!かな???

1933年発表のフェル博士物の2作目です。前作「魔女の隠れ家」にあったオドロオドロしい怪奇趣味はありませんが、ロンドン塔という舞台設定で怪しいムードを作りあげています。相方は前作にも登場したアメリカ人青年ランポールと、これ以後レギュラーとなるハドリー警部が初登場しています。
 内容は、霧深いロンドンで帽子収集狂が話題になるころ、ポーの未発表原稿の盗難の件で友人に呼ばれたフェル博士。そして友人の甥がロンドン塔の逆賊門で、胸にクロスボウの矢を突き刺され死体で発見される。ゴルフウェアを着ていたが、なんと頭にはシルクハットをかぶっていた!というもの。
 乱歩が激賞し、カーのA級作品7作を選んだ際も本作を1番目に挙げたというが、私的にはちょっと理解しかねる。たしかにストーリーは面白く謎も多いのだが、帽子の盗難、原稿の盗難、殺人と続いていくと感の良い読者ならある程度先が見えてしまうのではないだろうか。フェル博士の推理も憶測の域を脱しておらず、明解な論理の過程は示されていない。
 しかし終盤で明かされる犯人と真相は、さすがはカーの面目躍如たるものがあると思う。後の作品でも出てくるあるパターンが使われているのだが、どんどん窮地に落ちていく犯人に哀愁さえ感じてしまうのは私だけだろうか。
 この作品はカー初心者にはあまりお勧めはできない。カーを好きになるか、嫌いになるか非常に微妙な作品だからである。できれば何冊か読んだ後で読まれることをお勧めする。(と言っても現在絶版ばかりで難しいのだが・・・)
 最後になるが、真相を知った3人(フェル博士、ランポール青年、ハドリー警部)があることをするのだが、フェル博士とランポールは良しとしても、ハドリー警部、あんた警察官でしょ!そんな勝手なことしていいのっ?ってエピソードがでてきます。思わず笑ってしまうオチですが、こういうところがカーマニアにはたまらないんですよネ。
 カーの一応代表作と言われているが、傑作とは言えない(すいません。よく解らない表現で・・・)作品ですが、本格の黄金時代を築いた巨匠の初期の佳作と言えるのではないでしょうか。興味のある方はどうぞご一読を。
帽子収集狂事件【新訳版】 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 帽子収集狂事件【新訳版】 (創元推理文庫)より
4488118305
No.24
(4pt)

乱歩好み

かつて江戸川乱歩がカーの代表作として絶賛した作品だが、正直かつて中学生の頃に読んだ時は評価の高さがよく判らなかった。
再読してみると乱歩の好みに合致したであろう趣向の面白さが「なるほど」と理解できた。とはいえカー作品中でも「死人を起す」などと並んでマニア度の高い長編にはほかならず、これからカーを読んでみようという方には「火刑法廷」や「三つの棺」などをお勧めする次第。
帽子収集狂事件【新訳版】 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 帽子収集狂事件【新訳版】 (創元推理文庫)より
4488118305
No.23
(3pt)

帽子に隠された謎。

正直クイーン・クリスティ・カーなどの『本格黄金期』の作品より、日本の25年前からの『新本格ミステリ』の方が倍以上面白いと思っていましたが、この作品には驚かされました。カーと言えば『三つの棺』のメイントリックがよく分からなかったり、『魔女の笑う夜』が大爆笑珍密室トリックだったり、かと思えば短編『妖魔の森の家』の密室トリックがあまりにもすごすぎたりと、よく分からない作家です。この作品は出だしが暗く、スローペースで物語が進むのでかなり退屈でしたが、後半の謎解きシーンではのけぞりました。メイントリックは普通ですが、『帽子』に隠された謎の真相に、心底驚嘆しました。それにしても、どんでん返しの連続って、この時代にもうこれほどのクオリティであったのですね。別に日本人の発明じゃなかったんだ…。どんどん新訳、出して欲しいなあ…。『ユダの窓』とか未読で、読みたいのに読めないし。もう売ってないんですよね…古本って外見も中身も古すぎるし。新訳ブラボーだ!
帽子収集狂事件【新訳版】 (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 帽子収集狂事件【新訳版】 (創元推理文庫)より
4488118305
No.22
(5pt)

作者初期の傑作。

カーの作品は、ベスト5を選ぼうものなら皆違う作品を並べ、誰一人として同じ組み合わせ・順位はないというほど、人によって評価が分かれると聞くが、この作品も、日本では江戸川乱歩が高く評価したため知名度こそ高いが、表面的には密室のような不可能性は薄く、またカーの持ち味である怪奇趣味も影を潜めており、一般的にはカー・ファンはそれほど上位に挙げていないようだ。

しかし、連続帽子盗難事件とポーの未発表原稿盗難事件に絡ませたロンドン塔での殺人は、それぞれが別々の事件のはずが裏側で見事なまでに結合し、最後の最後でフェル博士に明かされる緻密な真相には、玄人ファンほどうならされるのではないだろうか。

また、本作品には怪奇趣味は薄いと前述したが、実際幽霊だの魔術だの魔女だの呪いだの、そういったオカルト性は皆無にも関わらず、本書の雰囲気は怪奇ムードに満ちている。そういうオカルト的な言葉を用いずに怪奇な雰囲気を醸し出すところもまた、本書のすごいところだと思う。

なお、ポーを敬愛してやまないカーは、本書で未発表原稿を扱っている他にも、処女作の「夜歩く」でポーの作品の一節を引用したり、とある短編作品にポー本人を登場させたりしている。
帽子収集狂事件 (創元推理文庫 118-4) Amazon書評・レビュー: 帽子収集狂事件 (創元推理文庫 118-4)より
4488118046
No.21
(5pt)

作者初期の傑作。

カーの作品は、ベスト5を選ぼうものなら皆違う作品を並べ、誰一人として同じ組み合わせ・順位はないというほど、人によって評価が分かれると聞くが、この作品も、日本では江戸川乱歩が高く評価したため知名度こそ高いが、表面的には密室のような不可能性は薄く、またカーの持ち味である怪奇趣味も影を潜めており、一般的にはカー・ファンはそれほど上位に挙げていないようだ。

しかし、連続帽子盗難事件とポーの未発表原稿盗難事件に絡ませたロンドン塔での殺人は、それぞれが別々の事件のはずが裏側で見事なまでに結合し、最後の最後でフェル博士に明かされる緻密な真相には、玄人ファンほどうならされるのではないだろうか。

また、本作品には怪奇趣味は薄いと前述したが、実際幽霊だの魔術だの魔女だの呪いだの、そういったオカルト性は皆無にも関わらず、本書の雰囲気は怪奇ムードに満ちている。そういうオカルト的な言葉を用いずに怪奇な雰囲気を醸し出すところもまた、本書のすごいところだと思う。

なお、ポーを敬愛してやまないカーは、本書で未発表原稿を扱っている他にも、処女作の「夜歩く」でポーの作品の一節を引用したり、とある短編作品にポー本人を登場させたりしている。
帽子収集狂事件 (1960年) (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 帽子収集狂事件 (1960年) (創元推理文庫)より
B000JALRN0
No.20
(4pt)

〈いかれ帽子屋〉の跳梁とポオの未発表原稿の盗難、そしてロンドン塔の殺人

〈いかれ帽子屋〉なる人物により、紳士たちの帽子が、相次いで盗難されていた頃、
ウィリアム・ビットン卿は、手に入れたばかりのポオの未発表原稿を盗まれてしまう。

いっぽう、ウィリアム卿の甥で、新聞記者のフィリップ・ドリスコルは、
〈いかれ帽子屋〉の記事を書いていたのだが、そんな彼が、ロンドン
塔で心臓を太矢で貫かれた死体となって発見される。

そして、ドリスコルの頭には、ウィリアム卿の盗まれたシルクハットが被せられていて……?!

ふたつの盗難とひとつの殺人――それらによって構成
される事件の全体像の解明が、本作の主眼となります。

ロンドン塔という場を活かした不可能状況の設定は、巧妙なのですが、
見取り図がお粗末で、現場の様子がいまいち伝わってこないのが残念
(そもそも、“○○○○もの”であることを読者にわかりやすく提示すべき
なのではないかとも思いますし)。

とはいえ、計画犯罪ではなく、不運な偶然の連鎖によって、加速度的に
袋小路に追い詰められてしまった犯人の姿は、滑稽でありつつ、哀れで、
忘れがたい印象を残します。
帽子収集狂事件 (1960年) (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 帽子収集狂事件 (1960年) (創元推理文庫)より
B000JALRN0
No.19
(4pt)

〈いかれ帽子屋〉の跳梁とポオの未発表原稿の盗難、そしてロンドン塔の殺人

〈いかれ帽子屋〉なる人物により、紳士たちの帽子が、相次いで盗難されていた頃、
ウィリアム・ビットン卿は、手に入れたばかりのポオの未発表原稿を盗まれてしまう。
いっぽう、ウィリアム卿の甥で、新聞記者のフィリップ・ドリスコルは、
〈いかれ帽子屋〉の記事を書いていたのだが、そんな彼が、ロンドン
塔で心臓を太矢で貫かれた死体となって発見される。
そして、ドリスコルの頭には、ウィリアム卿の盗まれたシルクハットが被せられていて……?!
ふたつの盗難とひとつの殺人――それらによって構成
される事件の全体像の解明が、本作の主眼となります。
ロンドン塔という場を活かした不可能状況の設定は、巧妙なのですが、
見取り図がお粗末で、現場の様子がいまいち伝わってこないのが残念
(そもそも、“○○○○もの”であることを読者にわかりやすく提示すべき
なのではないかとも思いますし)。
とはいえ、計画犯罪ではなく、不運な偶然の連鎖によって、加速度的に
袋小路に追い詰められてしまった犯人の姿は、滑稽でありつつ、哀れで、
忘れがたい印象を残します。
帽子収集狂事件 (創元推理文庫 118-4) Amazon書評・レビュー: 帽子収集狂事件 (創元推理文庫 118-4)より
4488118046
No.18
(4pt)

最後はいらない

正直最後のあの表現は
意外性を狙ったものですが
その分読者を混乱させてしまうので
いらないなと感じてしまいました。
そのため星はひとつ分マイナス。

ただ、世界背景は面白く
霧深いといった
犯罪にはおあつらえ向きの環境
そして被害者が人には好かれたものの
どうしようもないワルというなにやら一つも二つも
ありそうな設定。

そして不可解な事件の中でさえわたる
フェル博士の推理。
しかしながら今回はちょっと
思うままに行かず、歯がゆい展開となってしまいます。

この最後がなければ悪くはないのですが。
帽子収集狂事件 (1960年) (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 帽子収集狂事件 (1960年) (創元推理文庫)より
B000JALRN0
No.17
(4pt)

最後はいらない

正直最後のあの表現は
意外性を狙ったものですが
その分読者を混乱させてしまうので
いらないなと感じてしまいました。
そのため星はひとつ分マイナス。
ただ、世界背景は面白く
霧深いといった
犯罪にはおあつらえ向きの環境
そして被害者が人には好かれたものの
どうしようもないワルというなにやら一つも二つも
ありそうな設定。
そして不可解な事件の中でさえわたる
フェル博士の推理。
しかしながら今回はちょっと
思うままに行かず、歯がゆい展開となってしまいます。
この最後がなければ悪くはないのですが。
帽子収集狂事件 (創元推理文庫 118-4) Amazon書評・レビュー: 帽子収集狂事件 (創元推理文庫 118-4)より
4488118046
No.16
(4pt)

幾何的なリズム

カー初期の傑作。だが冷静にみれば,まだまだ洗練されていないし破綻気味な作品だ。それでも愛すべき古典には間違いないし,それどころか,
ありきたりの古臭さというものをこえ,いつまでも前衛的な輝きを放っている。
それというのも,帽子きちがいなる謎の設定や,眩暈すらする濃霧立ち込めたロンドン塔という舞台設定以上に,登場人物の微にわたり細をうがつ
心情を描破しているからだ。その古今東西変わらぬ人間の我慾は決して色褪せないのね。。でもそれ故,強烈にして魅力的,大げさに形容すれば
幾何的な道具立てがいまいち活きず,長々とした心情描写にダラダラとした問答が起伏なく繰り返されて間延び感覚が否めない。
しかし総合するなら結局はその展開の遅さも最終的には効果を発揮して,不思議に本当に不思議と嫌味のない読後。

おもうに本編はマニアックに愛読される存在でしょうね。これをイチオシする人は偏執要素が高いかと。ただ,僕はそんなタイプが好きだし,
実際問題自分もそうなんだろうなぁ。。そんなこんなでずっと手元に置いてるんだろう。
帽子収集狂事件 (創元推理文庫 118-4) Amazon書評・レビュー: 帽子収集狂事件 (創元推理文庫 118-4)より
4488118046
No.15
(4pt)

幾何的なリズム

カー初期の傑作。だが冷静にみれば,まだまだ洗練されていないし破綻気味な作品だ。それでも愛すべき古典には間違いないし,それどころか,
ありきたりの古臭さというものをこえ,いつまでも前衛的な輝きを放っている。
それというのも,帽子きちがいなる謎の設定や,眩暈すらする濃霧立ち込めたロンドン塔という舞台設定以上に,登場人物の微にわたり細をうがつ
心情を描破しているからだ。その古今東西変わらぬ人間の我慾は決して色褪せないのね。。でもそれ故,強烈にして魅力的,大げさに形容すれば
幾何的な道具立てがいまいち活きず,長々とした心情描写にダラダラとした問答が起伏なく繰り返されて間延び感覚が否めない。
しかし総合するなら結局はその展開の遅さも最終的には効果を発揮して,不思議に本当に不思議と嫌味のない読後。

おもうに本編はマニアックに愛読される存在でしょうね。これをイチオシする人は偏執要素が高いかと。ただ,僕はそんなタイプが好きだし,
実際問題自分もそうなんだろうなぁ。。そんなこんなでずっと手元に置いてるんだろう。
帽子収集狂事件 (1960年) (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 帽子収集狂事件 (1960年) (創元推理文庫)より
B000JALRN0
No.14
(4pt)

奇妙な謎と巧妙なトリックに逆説あり笑いあり涙ありのフェル博士初期代表作。

怪奇趣味と密室興味に情熱を燃やし続けた本格派の巨匠カーが作風に喜劇性を加味して大成功を収めた非常に人情味の濃い初期代表傑作です。本書が二度目の登場となる名探偵フェル博士は前作からのワトスン役アメリカ人青年ランポールに加え初登場のロンドン警視庁ハドリー主任警部と共に人間的な魅力全開で大活躍します。今回の事件では容疑者の尋問にも上の空で野良犬とじゃれ合ったり、ゴムネズミの玩具を懐から出してはしゃいだり、決して嘘ではないのですが難解で逆説的なヒントを述べて皆の頭を悩ませ悦に入ったりと、相変わらずの変人振りを発揮するフェル博士はまさに食えない爺さんです。
ロンドン市内を騒がす奇妙な帽子収集狂による相次ぐ帽子盗難事件は謎を追う新聞記者の殺人事件へと発展し冗談事では済まなくなった。霧けぶるロンドン塔の逆賊門の階段で発見された死体は太矢に心臓を刺し貫かれ頭に不似合いなシルクハットがかぶせてあった。ハドリー警部は奇怪な事件に昔なじみのフェル博士の助けを乞い、やがて事件とエドガー・アラン・ポーの未発表ミステリー原稿の盗難事件との関連性が浮上する。
初期のフェル博士物の特長は犯行その物の不可能性は薄く十分実行可能に思えますが、実は密かに裏で大変な事が行われていたというパターンで、本書のトリックも前作「魔女の隠れ家」と原理・構造がほぼ同じなのに気づけばやっぱりまんまとしてやられます。本書はいつもより尋問の部分が長く読むのに苦労しますし、神の如きフェル博士が如何に推理して突拍子もない真相に到達したのかがアバウトでやや解り難いです。けれどそんな全ての不満を帳消しにするのがラストの恋愛も絡んだ温かな人情ドラマで、老境に達したハドリー警部とフェル博士の弱者に向けた優しい思いやりの心が強く胸を打ちます。本書は奇妙な謎と巧妙なトリックに逆説あり笑いあり涙ありと面白さ抜群のフェル博士の代表作と言えるでしょう。
帽子収集狂事件 (1960年) (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 帽子収集狂事件 (1960年) (創元推理文庫)より
B000JALRN0
No.13
(4pt)

奇妙な謎と巧妙なトリックに逆説あり笑いあり涙ありのフェル博士初期代表作。

怪奇趣味と密室興味に情熱を燃やし続けた本格派の巨匠カーが作風に喜劇性を加味して大成功を収めた非常に人情味の濃い初期代表傑作です。本書が二度目の登場となる名探偵フェル博士は前作からのワトスン役アメリカ人青年ランポールに加え初登場のロンドン警視庁ハドリー主任警部と共に人間的な魅力全開で大活躍します。今回の事件では容疑者の尋問にも上の空で野良犬とじゃれ合ったり、ゴムネズミの玩具を懐から出してはしゃいだり、決して嘘ではないのですが難解で逆説的なヒントを述べて皆の頭を悩ませ悦に入ったりと、相変わらずの変人振りを発揮するフェル博士はまさに食えない爺さんです。
ロンドン市内を騒がす奇妙な帽子収集狂による相次ぐ帽子盗難事件は謎を追う新聞記者の殺人事件へと発展し冗談事では済まなくなった。霧けぶるロンドン塔の逆賊門の階段で発見された死体は太矢に心臓を刺し貫かれ頭に不似合いなシルクハットがかぶせてあった。ハドリー警部は奇怪な事件に昔なじみのフェル博士の助けを乞い、やがて事件とエドガー・アラン・ポーの未発表ミステリー原稿の盗難事件との関連性が浮上する。
初期のフェル博士物の特長は犯行その物の不可能性は薄く十分実行可能に思えますが、実は密かに裏で大変な事が行われていたというパターンで、本書のトリックも前作「魔女の隠れ家」と原理・構造がほぼ同じなのに気づけばやっぱりまんまとしてやられます。本書はいつもより尋問の部分が長く読むのに苦労しますし、神の如きフェル博士が如何に推理して突拍子もない真相に到達したのかがアバウトでやや解り難いです。けれどそんな全ての不満を帳消しにするのがラストの恋愛も絡んだ温かな人情ドラマで、老境に達したハドリー警部とフェル博士の弱者に向けた優しい思いやりの心が強く胸を打ちます。本書は奇妙な謎と巧妙なトリックに逆説あり笑いあり涙ありと面白さ抜群のフェル博士の代表作と言えるでしょう。
帽子収集狂事件 (創元推理文庫 118-4) Amazon書評・レビュー: 帽子収集狂事件 (創元推理文庫 118-4)より
4488118046
No.12
(5pt)

霧のロンドン塔・カーの最高傑作

カー得意の神秘怪奇趣味はないが、もう一つの歴史趣味に色濃く染め上げられている。ロンドン塔の歴史についてのカーの語り口は魅力に溢れ、それを読むだけでも値打ちがある。だが読む者を霧に煙るロンドン塔に引きつけておいて、最後にけたぐりを喰わせる手口はさすがにカー。そしてフェル博士、ハドリ警視、ランボウルの三人が「未解決」と評決する結末は最高の充足感をあたえてくれる。
帽子収集狂事件 (創元推理文庫 118-4) Amazon書評・レビュー: 帽子収集狂事件 (創元推理文庫 118-4)より
4488118046
No.11
(5pt)

霧のロンドン塔・カーの最高傑作

カー得意の神秘怪奇趣味はないが、もう一つの歴史趣味に色濃く染め上げられている。ロンドン塔の歴史についてのカーの語り口は魅力に溢れ、それを読むだけでも値打ちがある。だが読む者を霧に煙るロンドン塔に引きつけておいて、最後にけたぐりを喰わせる手口はさすがにカー。そしてフェル博士、ハドリ警視、ランボウルの三人が「未解決」と評決する結末は最高の充足感をあたえてくれる。
帽子収集狂事件 (1960年) (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 帽子収集狂事件 (1960年) (創元推理文庫)より
B000JALRN0
No.10
(4pt)

トリックの好き嫌いが評価の分かれ目

江戸川乱歩が黄金時代のベスト・テンの中で
第7位に選んだということで、有名な作品。
カーの初期の代表作とされています。

1930年代のロンドンで発生する帽子の連続盗難事件。
この事件を追う新聞記者のドリスコルが
ロンドン塔逆賊門の階段で刺殺死体となって発見され、
その頭上には盗まれたシルクハットがのっていました。
相前後し、ドリスコルの叔父、ビットン卿が
ポーの未発表原稿を発見しますが、
その原稿が盗まれるという事件が発生します。
これらの事件を名探偵フェル博士が
どんな名推理で解決していくのか・・・。

この小説の評価の分かれ目は、
「密室以上のトリックを考案して
全世界をうならせた代表作!」と
本書中の作品紹介にもありますとおり、
作品の最後の最後で明かされるトリック(犯行の意外な手口)を
面白いと感じるかどうか、だと思います。

ちなみに、カーに傾倒していたとされる日本の推理作家、
横溝正史の某代表作の中に、
同じ発想のトリックが使われています
(着想が同じなだけで、
同一のトリックではありません)。
このことからも、
この作品が後の作家に大きな影響を与えたことが推察されます。

じつは本書は1980年に読んで以来の再読なのですが、
トリックは今読み直しても、
なかなか味のあるものとして楽しめましたので、
★4つとしました。
帽子収集狂事件 (創元推理文庫 118-4) Amazon書評・レビュー: 帽子収集狂事件 (創元推理文庫 118-4)より
4488118046
No.9
(4pt)

トリックの好き嫌いが評価の分かれ目

江戸川乱歩が黄金時代のベスト・テンの中で
第7位に選んだということで、有名な作品。
カーの初期の代表作とされています。

1930年代のロンドンで発生する帽子の連続盗難事件。
この事件を追う新聞記者のドリスコルが
ロンドン塔逆賊門の階段で刺殺死体となって発見され、
その頭上には盗まれたシルクハットがのっていました。
相前後し、ドリスコルの叔父、ビットン卿が
ポーの未発表原稿を発見しますが、
その原稿が盗まれるという事件が発生します。
これらの事件を名探偵フェル博士が
どんな名推理で解決していくのか・・・。

この小説の評価の分かれ目は、
「密室以上のトリックを考案して
全世界をうならせた代表作!」と
本書中の作品紹介にもありますとおり、
作品の最後の最後で明かされるトリック(犯行の意外な手口)を
面白いと感じるかどうか、だと思います。

ちなみに、カーに傾倒していたとされる日本の推理作家、
横溝正史の某代表作の中に、
同じ発想のトリックが使われています
(着想が同じなだけで、
同一のトリックではありません)。
このことからも、
この作品が後の作家に大きな影響を与えたことが推察されます。

じつは本書は1980年に読んで以来の再読なのですが、
トリックは今読み直しても、
なかなか味のあるものとして楽しめましたので、
★4つとしました。
帽子収集狂事件 (1960年) (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 帽子収集狂事件 (1960年) (創元推理文庫)より
B000JALRN0
No.8
(5pt)

「帽子収集狂」ではなく「マッド・ハッター」(気ちがい帽子屋)

本書はカーの出世作で、ポーの未発表原稿の盗難、帽子を盗んでは銅像や馬にかぶせて回る謎の「マッド・ハッター」、そのマッド・ハッターに盗まれた帽子が死体にかぶせられていたりと、カーの趣味満載の作品。
そのカーの趣味のひとつがタイトルにも現れている。その名も『不思議の国のアリス』になぞらえた『マッド・ハッター・ミステリー』。

ところが、わが国では『不思議の国のアリス』のお茶会(マッド・ティー・パーティー)の主役である「マッド・ハッター」(気ちがい帽子屋)について無理解な訳者たちにより、作品の趣旨を損なうタイトルがつけられている。これなら横溝正史がつけた訳題『帽子狂の殺人』の方がまだマシである。

第一、マッド・ハッターは盗んだ帽子を銅像や馬や死体にかぶせたりはしても「収集」などしておらず、本書のタイトルが帽子「収集狂」事件なのは明らかにおかしい。
それは、本書の前年にエラリー・クイーンが執筆した『Yの悲劇』のハッター一家が、『アリス』になぞらえられて「マッド・ハッター一族」と呼ばれているのと同じである。
帽子「収集狂」事件だなんて、内容とも一致しない変てこりんなタイトル、ぜひ改版の際に変えて欲しいと思う。
帽子収集狂事件 (1960年) (創元推理文庫) Amazon書評・レビュー: 帽子収集狂事件 (1960年) (創元推理文庫)より
B000JALRN0