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ナイルに死す



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ナイルに死すの評価: 4.46/5点 レビュー 104件。 Aランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.46pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全104件 1~20 1/6ページ
No.104:
(5pt)

中古の割には程度良好

中古本なので、あまり期待していませんでしたが、良品でした。
ナイルに死す (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-76)Amazon書評・レビュー:ナイルに死す (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-76)より
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No.103:
(5pt)

原作が最高!

自分がアガサにはまることになった原因の作品。映画のラストが衝撃すぎて、同原作別映画を続けて3本見た。映画はどれも設定が違うので、どれが一体本当の筋なの?という確認も兼ねて原作を読んだのだが、最終的には「小説最高~~!!!!!好き~~!!!」という感想で終わった。なぜ自分がこの話が好きなのか分かった。ロマンスが!ロマンスがとてもいい!女性陣が…とても良い!(泣)そして原作のジャッキーがすごく良かった。ポワロの「愛しすぎている」という言葉の意味がめちゃめちゃ染みた。切ない。そしてサイモンは馬鹿。名作!!!
ナイルに死す〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫 クリスティー文庫 15)Amazon書評・レビュー:ナイルに死す〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫 クリスティー文庫 15)より
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No.102:
(5pt)

エジプト観光 & 恋愛心理劇ミステリーの妙

巻頭から250ページ (全体の46%) までは主要人物の紹介およびエジプト観光、そして2人の女性と1人の男性との織りなす緊迫した三角関係が描かれている。そのかん殺人事件は起こらず、アブシンベル神殿で故意か偶然の落石によりヒロインのリネットが危うく死にかけるのが唯一事件と呼べるもの。だがこんな前半250ページも、脂の乗ったクリスティーの筆力でグイグイ読ませます。
荒波をかき分けての航海と違い、波穏やかなナイルの大河を豪華遊覧船カルナック号に乗ってゆったりと進むのが何とも優雅です。

大富豪の令嬢リネットは、貴族のウィンドルシャム卿と婚約したものの、何となくマリッジブルーぎみ。
そんなところへ、親友のジャクリーヌ・ド・ベルフォールが訪ねてきて、自身の婚約者サイモン・ドイルが失業中なのでリネットのお屋敷の管理人として雇って欲しいと申し出る。
リネットの快諾をうけ、後日ジャクリーヌがサイモンを連れてリネットを再訪したところ、なんとリネットはサイモンに一目ぼれし、あろうことかジャクリーヌから奪うようにしてサイモンと電撃結婚してしまう。

そしてリネットとサイモンは嬉々としてエジプトへと新婚旅行に出掛けるのだが、新婚ほやほやの2人は、旅先においてストーカーのようにつきまとう元カノ・ジャクリーヌに悩まされる。やむなくリネットは、偶然エジプトに休暇旅行に来ていた名探偵ポアロに、ジャクリーヌを何とかなだめるようお願いする。

しかし、ポアロの説得もむなしく、ジャクリーヌはサイモンをあきらめるどころか、バッグの中から女持ちの小さなピストルを取り出して、これでリネットを撃ちたくなると告白する。
リネットとサイモン夫妻は、ジャクリーヌから身を隠すようにして密かに豪華客船カルナック号に乗り込みナイル川を遡り始めるのだが、船内にまたもやジャクリーヌの姿を見出して驚いてしまう。
その一方で観光途中、アブシンベル神殿を見物中に不意の落石でリネットは危うく死にかけるのだが犯人はジャクリーヌではありえない、というところが何とも謎めいている。どうやら、船内には富豪の令嬢リネットの死を願っている人物がジャクリーヌ以外にもいるらしい。

そして、ついにある晩、船の展望室で事件は起こった。ヤケ酒を飲み泥酔したジャクリーヌが、元カレ・サイモンと口論になり、サイモンの脚を小型ピストルで撃ってしまったのだ。
ベスナー医師がサイモンの介抱に当たり、狂乱のジャクリーヌは看護婦のバワーズが部屋に連れて行って朝まで付きっきりで介護した。
ところが翌朝、さらなる悲劇が乗船客全員を震撼させる。新妻リネットが睡眠中に頭をピストルで撃ち抜かれてベッドの中で死んでいたのだ。リネットの頭の傷跡の大きさから凶器はジャクリーヌの小型ピストルと思われた。しかし犯人として最も疑われたジャクリーヌには完全なアリバイがあった。では、一体誰がリネットを殺したのか。
しかもその凶器のピストル自体は展望室でのサイモン銃撃事件の後、所在が分からなくなっていた。
この不可解極まる殺人事件を解明するために、名探偵ポアロと友人の切れ者レイス大佐が全力で立ち向かう。

結末における真犯人は、クリスティー作品の例に漏れず、超意外な人物です。
新婚花嫁の殺害というショッキングな事件の起きる反面、巻末近くでは意外なカップルが2組誕生して、読み手を微笑ませるという読者サービスまで用意されているのは、さすがクリスティーとしか言いようがないです。
ナイルに死す〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫 クリスティー文庫 15)Amazon書評・レビュー:ナイルに死す〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫 クリスティー文庫 15)より
4151310150
No.101:
(5pt)

原作が良ければ翻訳も映える

遅ればせながら、書店をブラウジングしていた時本書に眼が止まった。「新訳版」とある。この時節に自社による新訳とは珍しいと思いつつ、出版社の改訳への思い入れを読むために「訳者あとがき」を探したが見当たらず、西村心太氏の「解説」もまったくそのことに触れていなかった。不思議だなと思いつつ、加島祥造訳の「旧訳版」を探し出して「解説」を見たら、これも西村心太氏が書いていて、なんと一字一句「新訳版」と変らなかった。これには少々腹が立った。

文庫版の出版年を見ると、「旧訳」が2003年、「新訳」が2020年である。翻訳には賞味期限があると言われているので、早川書房が意図して改訂したのだろうが(本書は早川書房が版権を独占して、他社は出版できないと言われている)、出版社の礼儀として改版のいきさつくらいは記すべきではないか、翻訳料は払ったとはいえ、翻訳者に対しても失礼だとの思いを強く持った。

ちなみに「旧訳」の加島祥造氏(1923-2015)はフォークナー翻訳者として有名な方で、詩人、エッセイストでもある。「新訳」の黒原敏行氏(1957-)もまた、コーマック・マッカーシの名翻訳で知られている。原作者は私の大好きな作家であり、翻訳者も尊敬出来る。

ところで、二冊の文庫本を見比べて気がつくのは、本の体裁(装丁や活字サイズ)や、17年もの時の経過にもかかわらず、自社本の広告までが全く同じである(驚き!)のに、本文の頁数がかなり違うことだ。黒原訳の方がなんと41頁も少ない。目視で判るほどの厚さの差ではないが気になった。いい加減な出版社が原作の一部を削除する例はあっても、早川さんに限ってそれはあり得ない。ちなみに各章毎に加島訳/黒原訳の頁比を診ると、平均で1.07(範囲1.05~1.09)となり、原作部分での意図的な削除は考えられない結果になった。多分両翻訳者の趣向の違いの蓄積結果なのであろう。

そこで、任意の一部分を原文と比較してみる。第1章5節の冒頭のごく一部である。

It was four o’clock when the dilapidated little two-seater stopped with a sound of crunching gravel. A girl got out of it–a small slender creature with a mop of dark hair. She ran up the steps and tugged at the bell. A few minutes later she was being ushered into the long stately drawing-room, and an ecclesiastical butler was saying with the proper mournful intonation:
‘Miss de Bellefort.’
‘Linnet!’
‘Jackie!’
Windlesham stood a little aside, watching sympathetically as this fiery little creature flung herself open-armed upon Linnet.
‘Lord Windlesham–Miss de Bellefort–my best friend.’

(加島訳)おんぼろの小型スポーツカーが砂利の上をガタガタと屋敷の前に停まったのは四時頃であった。一人の娘が中から現れた。小柄なすらりとした娘で、髪は黒味がかった褐色である。彼女は階段を駆けあがって、ベルを鳴らした。
 二、三分後、彼女は細長い壮大な感じのする応接室に通され、牧師のような執事が厳粛な声で、客の来訪を主人に告げた。
「ド・ベルフォール様がおみえでございます」
「リネット!」
「ジャッキー!」
この小柄な、火の玉のような娘が両手を拡げてリネットに抱きつくのをウインドルシャムは好ましげに眺めていた。
「あの、こちらはウインドシャム卿。こちらはミス・ド・ベルフォール。あたしの親友」

(黒原訳)四時に、おんぼろの小さな二人乗り自動車が、砂利をきしませながら停止した。降りてきたのは小柄でほっそりした若い女で、暗い色の髪がもじゃもじゃしていた。女は階段を駆けあがり、呼び鈴の鎖を引いた。
 数分後、牧師のような執事が女を横長の荘重な客間に案内してきて、しかるべき哀調を帯びた口調でこう告げた。「ミス・ド・ベルフォールがいらっしゃいました」
「リネット!」
「ジャッキー!」
 ウインドシャム卿は少し離れたところに立ち、燃え上がる火のような小柄な娘が両腕を広げてリネットに飛びつくのを、好意的な眼で見ていた。
「ウインドシャム卿-私の親友のミス・ド・ベルフォールです」

文章の並びの違いは英語・日本語の並びの違いで、英文を頭から訳すというのがトレンディーとされるが、優劣付けがたい。黒原氏は“tugged at the bell”を「呼び鈴の鎖を引いた」と訳したが、tugなら引っ張るんだろうなと妙に納得した。同じパラグラフ内で「ガタガタ」「もじゃもじゃ」とオノマトペの使用も面白かった。英文の表出順読みでは、執事自身がリネットを客間に案内したかどうかが不明だがどちらともとれよう。一概に加島訳の方が説明調と感じるが(字数が少し多い)、「翻訳には消費期限がある」と言われるのはこの辺りの微妙な違いを指すのだろうか。素人にこれ以上は判らない。

クリスティー作品は相当読んだつもりだったが、この小説は未読だった。早速前記の両訳書と、原本の『Death on the Nile』Harper Collins Publishers 2010(Kindle unlimited版)とを引き比べながら読み、実に堪能した。ミステリーだが、それを超える情感が至る所にある本だ。

名探偵ポアロは登場するが、今回は相棒のヘイスティング少佐は出てこない。代わりに別件で遊覧船に乗り組んできた英国諜報部員のルイス少佐がポアロを崇拝しながら「あうんの呼吸」で事件解決に向かってゆくのが小気味良い。

時代背景は「ジャッキーは……この2年間どうやって生き延びてきたのかわからないわ」と言う会話から判るように、「世界恐慌」勃発から2年後の1931年である。金ピカの20年代を終焉させたこの株価大暴落は、世界中の資本家や富豪の運命を変えた。第一次世界大戦後に大流行したオリエンタリズムにのってエジプト観光ツアーをしている登場人物たちは、今のところは恐慌をうまく乗り過ごしたようだが、内情はかなりきつくなっている様子が窺える。遺産相続をしたばかりで金に糸目を付けないアメリカの大富豪リネット・リッジウエイ嬢も、叔父の資産管財人が彼女の金で大穴を開けてしまったようで、本人はまだ知らないが、将来が心許ない。ましてや小市民たちに失業、倒産の憂き目は免れない。作者は乗客に資本主義を呪う理想主義的な青年貴族や、手ロリストとまでをも登場させ、そんな社会不安を強調する。メインストーリーは失業中で、悪事をしてでも金が欲しいハンサムな青年と彼の恋人で没落した貴族令嬢が、ナイル河を上下する豪華遊覧船に乗り込んで計画的犯行を遂げる事件である。それと同時に魅力的に描かれているのは乗り合わせた個性的あふれる乗客で、皆それぞれの問題を抱えるが、ポアロは人生相談者よろしく、相手を見極めつつ、彼らを徐々に解きほぐしてゆく。特に犯行の実行に悩む恋人に向っては、ポアロは事件には触れず、滋味あふれる諭しを何度も行う。人生経験豊かな老人と未熟さを残す若い女性との謎めいた会話は、読者によく判りミステリーとは異なる感動を呼ぶ。クリスティーが一番好きな作品だと言う理由がよく判る。原作が良ければ翻訳も映えるのだ。
ナイルに死す〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫 クリスティー文庫 15)Amazon書評・レビュー:ナイルに死す〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫 クリスティー文庫 15)より
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No.100:
(5pt)

映画を見返したくなりました

ドラマや映画で何度か観た映像が本を読んでいる間、目に浮かびました。舞台がエジプトなのも新鮮です。
ナイルに死す〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫 クリスティー文庫 15)Amazon書評・レビュー:ナイルに死す〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫 クリスティー文庫 15)より
4151310150
No.99:
(4pt)

ポアロの灰色の脳細胞を存分に堪能できる、クリスティーの挑戦状

舞台はナイル川で豪遊するクルーズ船。エジプトに観光に来ていたポアロはこの船で殺人事件に巻き込まれることになりました。

渦中の人物はリネットという名のセレブの麗人。婚約者とめでたく新婚旅行に興じるリネットですが、クルーズ船にはリネットの旧友であるジャクリーンが同船していたのでした。ジャクリーンはリネットの婚約者サイモンの元カノであり、サイモンを諦められない彼女は復讐のためストーキングしに来ていたのです。なぜかサイモンに発砲するジャクリーン。幸運にもサイモンは一命をとりとめますが、その後リネットが死体で発見されることになりました。一見すると三角関係の愛憎のもつれに端を発する殺人事件に見えるのですが、殺害されたリネットは若くしてセレブとなった資産家です。ひとまずポアロは乗船客の容疑者を洗い出すのですが、この時点でリネットを殺害する動機のある人物は片手に余るほど登場し、いずれも劣らず怪しさ抜群という始末。

導入部こそ殺人者が誰であるかが明らに思えたものの、そこは灰色の脳細胞を持つ名探偵。ポワロはぬかりなく随所で丹念に背景を解きほぐすことを忘れません。いずれにしても、真実が絞り込まれるどころか、むしろ無数の手がかりや殺人者、凶器の可能性が浮かび上がってくるというクリスティーの挑戦状を、私は本作でこれでもかと堪能することができました。

ポワロは調査を通じて興味深い手がかりを明らかにしつつ、容疑者の可能性のある緊張したインタビューを通じてアリバイの穴を鮮やかに突いていきます。それでも、全体を通してポアロのメモは読者に共有されることはありません。それがまたミスリードを誘発するのですが、本書はこの塩梅が実に心地いい。実際に私は途中で何度かは犯人が分かったつもりだったけど、何度も裏目を突かれてしまうことになりました。

楽しく優れた没入感を持った、良質な殺人ミステリーだと思います。
ナイルに死す (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-76)Amazon書評・レビュー:ナイルに死す (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-76)より
4150700761
No.98:
(5pt)

凄いページターナーの作品です。全く飽きることなく、ラストまで一気読みでした。人間ドラマがほんと、面白かった!

本文539頁と分量は相当なものですが、とても面白かったです。途中からは、ぐいぐい読まされてしまいました。

まず、作品の中盤まで来て発生する第一の殺人。その発火点に向かって、徐々に醸成されてゆく危険な場の雰囲気づくりに魅せられました。
なかでも、エルキュール・ポアロが主要登場人物のふたり、リネット・リッジウェイ、ジャクリーヌ・ド・ベルフォールのそれぞれと言葉を交わすシーンが印象に残ります。ふたりそれぞれとポアロとの会話を読みながら、胸をぐさぐさやられました。時を超えても変わらぬ真理を感じて、さすがクリスティーやなあと。

第一の殺人が起きて以降の展開も、目が離せないものでした。登場人物それぞれの身に起きるドラマが読みごたえ十分で、頁をめくる手が止まらなかったです。
犯行の真相に向かって、猫のようにひたひたとしのび寄っていくポアロ練達の推理力の見事なこと。それだけでなく、ヘラクレス、じゃない、キューピッドの如く、縁結びの神としての力も発揮するエルキュール・ポアロの手腕が素晴らしかったです。

そうそう。作中、ポアロが登場人物のひとりに向かってつぶやく詩のような文句が魅力的でした。こんなのです。
《 人生はむなしい
  少しばかり愛し
  少しばかり憎み
  そしてさよなら

  人生はみじかい
  少しばかり望み
  少しばかり夢見
  そしておやすみ 》p.421

黒原敏行(くろはら としゆき)の訳文。
ほとんど引っかかるところなく、読んでいくことができました。平易で、読みやすい日本語の文章でしたね。拍手!
ナイルに死す〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫 クリスティー文庫 15)Amazon書評・レビュー:ナイルに死す〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫 クリスティー文庫 15)より
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No.97:
(3pt)

アガサクリスティー随一の長編

エジプト行きの船上で起きた殺人事件をポアロが解決するストーリー。
クリスティーの作品中、随一の長さの作品だが、文章が展開が巧みであきさせない。
数時間かけて一気に読んだ。
クリスティー本人が自作品の中でもベストに入る自信作、としていたらしいが
自分はほかの作品の方が好き。
以下、そう感じた理由を述べる。
1.登場人物がやたら多い。しょっちゅう人物リストのページと照らし合わせて読んだ。
似たような名前、似たような特徴の登場人物が多かったためだ。(例:老婦人たちとそのメイドや娘などが複数登場する)
そしてそれら多くの登場人物のエピソードが必ずしも有機的に事件本筋と絡んでいるとはいえず、
蛇足感があった。

2.本筋の殺人事件と並行して謎のテロリストが船内に潜伏している件も並行して取り扱われるのだが、
テロリスト探しの部分が盛り上がらず、これもまた強い蛇足感がある。

3.エジプトの描写があっさりめで薄い。もっとエキゾチックな雰囲気を予想していたが、舞台となる船上が西洋社会そのままで、特にエジプトじゃなくても別によくない?って印象なのだ。他作品と違う味わいを期待していたので肩透かしを食らった。

4.登場人物が語る東洋人の死生観の描写に違和感があった。「東洋人は死を何とも思わない」って、そりゃ言い過ぎ。ちょっとサイードのオリエンタリズム感あるよね。

5.自分はクリスティー作品はこれが5作目。そうなるとクリスティー作品のパターンがなんとなく読めてしまい、冒頭の登場人物のリストを見ただけで犯人が誰か予想が付いてしまった。

ミステリー作品に何を求めるかは人それぞれだと思うが、自分はトリックそのものよりも、
動機や心理描写などの人間ドラマを楽しみたいタイプ。
そういう意味では、相変わらず巧みな心理描写なので、十分楽しめたことは強調しておきたい。

まだ未読のクリスティー作品はたくさんあるので、「やられた!」といい意味で予想を裏切られるような作品に出合いたいと思う。
ナイルに死す (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-76)Amazon書評・レビュー:ナイルに死す (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-76)より
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No.96:
(5pt)

素晴らしい出来映え、クリスティの代表作

本書のメイントリックは非常に巧妙なもので、「そして誰もいなくなった」「アクロイド殺し」に匹敵する。戦後早い時期に日本のある作家によって模倣されたことがある。
その上本書は、人間ドラマとしてすぐれている。
舞台となったエジプトの描写、犯人の人間像の造形、エンディング、いずれも強く印象に残る。
クリスティの多くの作品の中から代表作を選ぶとしたら、評者は本書と「オリエント急行の殺人」を選ぶだろう。
黒原敏行氏による新訳も読みやすく良い。
ナイルに死す〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫 クリスティー文庫 15)Amazon書評・レビュー:ナイルに死す〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫 クリスティー文庫 15)より
4151310150
No.95:
(4pt)

やっぱり3.5

45年ぶりの再読。
しかも新訳。

面白かったけど、気に入らん。

私が初めて買ったクリスティの翻訳本だったよなあ。

映画は、ユスチノフ版もブラナー版もどっちも大好き。

オリビア パッセー、ジェーン バーキンとても魅力的だった。
ブラナー版は、ガル ガドットが出たから、もっと好き。
でも、ガル様、リネット役ではなく、ジャクリーン役だったら良かったのに、と思う。

原作のほうがつまらん、と思うのは、ミスディレクションが多すぎること。そして、登場人物が多すぎること、しかも、途中から突然現れる人物までいて、これはフェアじゃない、と思った。

どちらの映画とも、また、スーシェ版のドラマでも、原作におけるそうした瑕疵を巧く治している。
ナイルに死す〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫 クリスティー文庫 15)Amazon書評・レビュー:ナイルに死す〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫 クリスティー文庫 15)より
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No.94:
(4pt)

おもしろかった

安定のおもしろさ。本の厚みは気にならない。すぐ読めます。
ナイルに死す〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫 クリスティー文庫 15)Amazon書評・レビュー:ナイルに死す〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫 クリスティー文庫 15)より
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No.93:
(4pt)

面白かった

1979年?の映画は、当時の映画館を含めて何度も見ましたが、本を読むのは初めて。
勿論、結果は知っているのですが、面白かったです。
クリスティーらしく登場人物が多いので、中高年者からすると「誰だっけ」となり、優しくない(笑)ですね。
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No.92:
(5pt)

今、読んでも新鮮!

とても分厚い一冊ですが、読み飽きることなくすっーっと一気に読めます。クリスティあるあるですが登場人物が多く、誰だっけ?となりますが、登場人物のページを何度も見直せば大丈夫です。
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4151310150
No.91:
(4pt)

以前映画で見たが、

表題にやられて購入。時代を感じさせない上に背景的なものが面白い。長ったらしいが人間味があり好き。
 只、ネタバレになるのかもしれないが、本筋の犯人は失敗するのがわかっていて実行したのであれば些か奇妙に感じる。未来を見据えながら罪を犯すとは愛なのだろうか?
ナイルに死す (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-76)Amazon書評・レビュー:ナイルに死す (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-76)より
4150700761
No.90:
(5pt)

名作の一言に尽きる

長い物語です。小休止はなんども挟みましたが、リタイアせず読み通すことができました。
映画(1978年版)を先に観ていたため、犯人も犯罪トリックもすでに知っています。
しかし、登場人物のセリフは機知に富んで魅力的、心理描写も非常に巧みなため、
小説を読んだ後の醍醐味や充足感を減らすことは全くありませんでした。
言うまでもないが名作です。2022年にまた映画が公開されました。喜ばしいことです。
ナイルに死す (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-76)Amazon書評・レビュー:ナイルに死す (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-76)より
4150700761
No.89:
(4pt)

内容は良いが

本の内容は良かったが、いまだに、2月25日公開と印刷してある映画版の表紙の物が送られてきた。画像は通常版なので、映画版が送られてくるという記載があると良かった。
ナイルに死す〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫 クリスティー文庫 15)Amazon書評・レビュー:ナイルに死す〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫 クリスティー文庫 15)より
4151310150
No.88:
(3pt)

翻訳の限界か?

ナイル殺人事件の新作映画を見たので、購入しましたが、やっぱり翻訳物の言葉の使い方が少し気に入りませんでした!
ナイルに死す〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫 クリスティー文庫 15)Amazon書評・レビュー:ナイルに死す〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫 クリスティー文庫 15)より
4151310150
No.87:
(4pt)

読み応えあり。

アガサ・クリスティー原作は、オリエント急行殺人事件を、映画公開時に読みました。2作目です。この作品も、映画ナイル殺人事件を見て読みました。各章毎に分かれていないのは少し分かりにくいですが、読み応えあり、オススメです。
ナイルに死す (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-76)Amazon書評・レビュー:ナイルに死す (ハヤカワ・ミステリ文庫 1-76)より
4150700761
No.86:
(5pt)

極上のミステリー

ミアファローやオリビアハッセイが好演している映画の
原作です ナイルに死す 素敵ですね
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4150700761
No.85:
(5pt)

新たな生命が吹き込まれた

コロナ禍で延び延びになり、2022年にやっと公開されたケネス・ブラナー監督・主演の映画『ナイル殺人事件』を観て、新訳の原作を購入した。最初は気になる箇所を拾い読みするだけのつもりだったが、読み始めると結局引き込まれてしっかり熟読してしまった。それだけ新訳が読みやすく、よく知っているつもりのこの話に新たな生命が吹き込まれていると感じた。

旧訳で2回は読んでいるし、1978年版の映画やデヴィッド・スーシェ主演のドラマ版も何度も見ているのに、いろいろ発見があった。リネットがなんと20歳という若さであること、物語の随所に1930年代の世界大恐慌の影響がうかがえること。さらにはメインの3人以外にも魅力的な登場人物が多いこと。個人的にはファーガスンというキャラクターが生き生きしていてユニークだと思った。

ファーガスンは、「大事なのは過去ではなく未来だ」という物語のモチーフのひとつとなるセリフを何度も言う。小説のラストも、この言葉で締めくくられる。その部分が、旧訳ではファーガスンの過去の発言を引用した表現になっているのに対して、新訳では今この瞬間ファーガスンがその主張をエジプトで繰り返しているという訳になっている。そういうディテールの発見も面白かった。

「きみも死を東洋人の目で見るべきなんだ。死なんて出来事のひとつに過ぎない」と言うファーガスンに対して、コーネリアという女性が「東洋人は教育を受けていないんですもの。気の毒だけど」と返すくだりには、当時の西欧社会の偏見が透けて見えて、苦笑せざるを得なかった。このコーネリアも、魅力に富んだ人物として描かれていて、印象に残る。

ちなみに、こうした脇のキャラクターたちが最も生かされている映像化作品は、デヴィッド・スーシェのドラマ版である。ドラマ版には、新旧両方の映画でカットされているコーネリア・ロブスン、ティム・アラートンなどの人物も登場し、枝葉のエピソードも概ねきちんと描かれる。つまり展開的に最も原作に忠実なのだが、尺が短いため駆け足なのが残念だ。

今回、新訳で読み直してみて、クリスティーの面白さは時代を超えることに、あらためて気づかされた。事件の起こらない前半部分でさえ「読ませる」のは、優れたミステリ作家である以前に、天賦のストーリーテラーである証左だろう。クリスティー作品がミステリファンというような枠にとらわれることなく、今も多くの人をひきつけてやまない理由が、本作には詰まっていると思う。
ナイルに死す〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫 クリスティー文庫 15)Amazon書評・レビュー:ナイルに死す〔新訳版〕 (ハヤカワ文庫 クリスティー文庫 15)より
4151310150

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