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カラマーゾフの妹
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カラマーゾフの妹の評価:
書評・レビュー点数毎のグラフです | 平均点2.83pt |
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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください
全10件 1~10 1/1ページ
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ロシア文学の古典『カラマーゾフの兄弟』の、著者死去のために書かれることのなかった続編という体裁で、なおかつ原典中のフョードル殺害事件の矛盾をもとに隠された真相を推理してみる古典文学検証ミステリ?なのであります。 原典の中の出来事を本格ミステリのテキストとして大胆に読み替えてみる試みはなかなか面白かったものの、そこで導き出された結論が原典を超えるインパクトや説得力を持っていたかといえばかなり疑問。 物語は著者ドフトエフスキーの続編の構想(三男アリョーシャが革命に身を投じる)に沿った展開なのですが、原典の事件の真相究明には直接関わらないところで話が進んでいくといった調子でして、一冊の本としてはまとまりが悪いのは難あり。ロケットやコンピュータの挿話は必要だったの? タイトルの「妹」の挿話のように物語の根幹に関わるようなところでオリジナルの「創作」が多いのもちと興ざめ。 確かに原典の事件にはいちおうの辻褄は合わせてみせたものの、この本の中の出来事で説明のないままうやむやに終わったものが多いのはいかがなものでしょう? 次男イワンは多重人格者にされてしまうし、三男アリョーシャはまるでサイコパスだしで、何だか原典のグロテスクで通俗的なパロディといった読後感なのでした。 | ||||
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こんな作品が書かれていたのですね。ミステリーはもう長い間読むことはなく、久しぶりに手に取りました。着想はいいし、ロシアcosmism(fedrov)などの日本ではなじみのない視角も取り入れられて、だいぶ関心を持って読んだのですが、出来上がった作品はどうもおさまりの悪いものになっているようです。 本来なら深められるべき論点は、あまりにもペダンティックで一般の読者には関心があるものではないので結局深化されることはありません。ミステリーというジャンルを意識し、一般の読者との接点を意識したためでしょうか、19世紀の人物が20世紀の人物と化して作品中で、ロケットの専門用語を操るという奇妙な矛盾に陥ってしまいます。味付けとして、ロシア文学や革命運動のtriviaがあちこちに埋め込まれているのですが、これは座談の中の味付け以上のものではなく、全体の構成の中で有機的に機能することはありません。 さて本書の眼目ともいうべき謎解きなのですが、これは読んだ方に判断してもらうほかはありません。謎解きそれ自体に価値を見出すのか、それとも謎解きは全体の作品の中の一つの構成要素なのか、読者の好みに依拠するところ大ですから。歴史を題材とした作品は、過去の乱歩賞の受賞作品にも多々ありましたが、本作品の出来上がりは残念なものです。 | ||||
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ネタバレの部分あるので、未読の方は注意してください。 2012年の江戸川乱歩賞受賞作。 ドストエフスキーの名作「カラマーゾフの兄弟」は、 作者自身がその13年後を舞台に続編を書くと明言していながら、果たせずに他界している。 その続編を新たに独自に構築したもの。原典を読んでいなくても、ちゃんと説明があるので それなりに楽しめる。但し、元となった翻訳版に文体が似せてあるためか、はたまたロシア人 や地名などの固有名詞がたくさん出てくるためか、リーダビリティは高くない。また、もの すごい意外性やエンタテインメント性があるかというとそれほどでもない。読後に得られる カタルシスもあまりない。 中には、ちょっと設定が不自然というところもあった。たとえば、 ・クロソートキンが、いかに神童であり、財力のある家の娘と結婚したとはいえ、わずか27歳 で大会社を経営し、ロシア中にその商品を行き渡らせるほど成功を収めているというのは不自然。 ・皇帝を暗殺する計画として、なんの実績もないロケットを使うというのが馬鹿げている。実験 も不足しているし、それをまた、目立つクロソートキン社の管理する水道塔から発射するという のもあり得ない設定。その時代前後に発表されたロケットに関する公式や計算機を登場させたか ったから(その部分は単調な小説に変化を与えていて面白いのだが)だろうが、これはあまりにも いただけない。 ・最終的に真犯人は三男のアレクセイ(アリョーシャ)ということになるのだが、教会の長老や 実父を殺す際の動機が弱すぎる。 これら以外にも不自然な点はあるが、ドストエフスキーが果たせなかった続編にチャレンジし、 比較的良くまとまっているという点が評価されたのだろう。が、私のような乱歩賞マニアでなけれ ば、わざわざ買って読むほどではないと思えた。 | ||||
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おもしろいです。また、近いうちに同じ作者の作品を読もうと思います。 | ||||
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本編の「カラマーゾフの兄弟」を昨年末 苦しみながら読んだ後だったので、 他の人が酷評するほど 苦しくもなく読めました。 それだけ 元の作品がきつかったから。 13年後のことが本編ではまったく書かれていなかったので、 かなり大胆な発想で、次男、三男を作り変えたのは面白かった。 まあ あまりにも長々とした作品が、消化不良で終わっていたので、 それを解消してくれた 続編 としては 面白かったです。 | ||||
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カラマーゾフの兄弟はもう40年以上も前に読んだことがあったが、内容についてはほとんど覚えていなかった。 その昔、ドフトエスキーとかトルストイとかを図書館で借りてきて、読みあさった時期があったのだ。 ということで、本書は期待して読み始めたのだが、期待に反して、なかなか頁が進まない。 本来であれば、昔のドフトエスキーが思い起され、わくわく感があっても良さそうなものだが、 これではもう一度「カラマーゾフの兄弟」を読んでみようという気もおこらない。 何がどういけないのか、よく分からない。 着想はすごく良かっただけに残念だ。 | ||||
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これは世界文学の金字塔と言われる「カラマゾフの兄弟」の設定を借りたエンターテインメントである。 ドストエフスキーが当初予定していたが急逝したため書かれなかった2作目を意図したものではない。 つまり「カラマゾフの兄弟」の登場人物、キャラクター、背景、ストーリーを借りているが、フョードル殺害後の13年後から別な物語が始まると理解した。 「カラマゾフの兄弟」本編で繰り広げられる饒舌な登場人物による独特の世界観や哲学的対話の継承、展開は期待すべきではないと思った。 サブストーリーの道具立てに無理があったり、一連の事件の真犯人を取り巻く状況などストーリーに無理が感じられる部分は多々あるが、完成度としてはミステリーの佳作レベルといった感じではないか? 「カラマゾフの兄弟」をベースとした意欲的な取り組みとして個人的には評価したいと思う。 | ||||
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ほかの方も書いているけど、着想は面白い。 前半部分は、まあまあ。ただ中盤以降にガックリ。文体が原因だろうが、全体に軽い。 フランスの文学理論家ピエール・バイヤールが『アクロイド殺し』や『バスカヴィル家の犬』の再読に挑んでおり、それなりに面白かったので、本作も、純粋なミステリーではないにしてもミステリー的な要素を持った『カラマーゾフの兄弟』の読み直しとしても期待したが、その面でも、イマイチ。 SF的要素もあるが、それも中途半端。せっかくツィオルコフスキーを登場させるなら、もう少し工夫があってもいい気がする。 とにかく盛り込みすぎ。続編か、読みなおしか、徹底した娯楽小説か、そのうちの一つだけに絞っていたら、もう少し良かったような気がする。 | ||||
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私が「カラマーゾフの兄弟」を読んだり、映画を観たりしてから何十年も過ぎた。青春時代の愛読書で、今も大切な作品だ。 その続編が書かれた、それも江戸川乱歩賞受賞というので、わくわくどきどきしながら読んだ。 イワンの多重人格は、そうきたか、とある意味納得しそうになったが、アリョーシャの人物設定はあり得ない。原作のアリョーシャがわずか13年であのような人間に変貌するなんて。ストーリーのための人物設定だとしたら、本末転倒。 推理小説として読むなら、それなりに面白いとは思うし、原作の細部まで読み込んでの展開は、オリジナル作品を書くよりむしろ大変かも…。それでも「カラマーゾフの妹」の妹に、どれだけの重い意味があるのかと問うときに、答えが見つからない。 この作品を読んだおかげで、ドストエフスキーの原作をまた読み返したくなった。あのアリョーシャやイワンに会いたくなった。 | ||||
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SF仕立てはいりませんでしたな。 この作家さんはカラマーゾフをこのように解釈したと考えれば、カラマーゾフ・ファンの方も腹が立たないのでは…。 当然ですが原作から立ち上る香気は、ほぼ無いですね。 死刑体験やシベリア流刑という苛烈な実体験あるドストエフスキーと比べると、教科書で身につけた浅い心理学の知識という感はどうしても否めません。 でも、まあ、けっこう楽しめたから☆三つです。 | ||||
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