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炎の爪痕



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【この小説が収録されている参考書籍】
炎の爪痕 (創元推理文庫)

炎の爪痕の評価: 7.00/10点 レビュー 1件。 Cランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全1件 1~1 1/1ページ
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

妬みから始まる噂が敵意に変わる、閉鎖コミュニティのおぞましさ

シェトランド諸島を舞台にした「ジミー・ペレス警部」シリーズの最終巻となる第8作。イギリス本土から移住してきた家族の納屋で相次いで発見された首吊り死体にまつわる、複雑な人間関係を解きほぐして行く警察ミステリーである。
一家で移住してきたフレミング家の納屋で、前の持ち主が首吊り自殺しているのが見つかった。さらに家の中に奇妙な絵を描いた紙片が置かれることが続き、不安を覚えた一家の母親・ヘレナはペレス警部に相談したのだが、その翌日、今度は島の旧家の子守りをしている若い女性・エマの首吊り死体が見つかった。ペレスは上司であり恋人でもあるリーヴス主任警部の指揮のもと、部下のサンディ刑事とのチームで捜査に乗り出した。誰もがみんな知り合いという閉鎖的なコミュニティだけに、噂は飛び交うものの秘密は隠され続け、真相には容易に近づけないでいた。さらに、ペレスとリーヴスの関係に大きな変化がもたらされ、チームワークがギクシャクする事態にもおちいった…。
殺人事件の捜査とペレスを中心にした人間関係のドラマが同時並行で進み、なかなか謎解きには至らない。そのスローペースを退屈させないのがシェトランド諸島の自然と地域の人間性で、ゆったりとした物語世界を作り出している。中でも誰もが知り合いという閉鎖的社会の息苦しさはおぞましくあり、読み応えもある。その分、謎解きミステリーとしては動機、犯人像に鋭さがない。
シリーズ最終巻だが、これまでの作品を読んでなくても十分に楽しめることは保証する。

iisan
927253Y1

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