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厳寒の町



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【この小説が収録されている参考書籍】
厳寒の町
厳寒の町 (創元推理文庫)

厳寒の町の評価: 8.00/10点 レビュー 1件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点8.00pt

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全1件 1~1 1/1ページ
No.1:
(8pt)

厳寒の季節が通り過ぎるのを待つしかない町(国)の閉塞

アイスランドを代表するミステリー・シリーズの第5作。移民の子の殺害事件をテーマに、アイスランド社会における移民の問題に取り組んだ、社会派警察ミステリーである。
アイスランド人の父親とタイ人の母親の間に生まれ、今は離婚した母親がシングルマザーとして育てている10歳の男の子が殺害された。レイキャビク警察捜査官・エーレンデュルたちは人種差別が絡んだ犯罪ではないかと想定し、学校や家族関係から捜査を始めたのだが、そこで浮き上がってきたのは移民に対するアイスランド市民の複雑な感情であり、様々な緊張関係だった。さらに、エーレンデュルは別の女性失踪事件にも取り組んでいるのだが、こちらも有力な手掛かりが得られずにいた。そして、凶器と思われるナイフが発見されたことから解決への道筋を見つけたエーレンデュルたちがたどり着いた真相は、深い悲しみと喪失感をもたらすものだった。
地道な聞き込みで殺人事件の隠された真相を明らかにしていく、オーソドックスな警察小説である。そこに加えられるのが、主人公たちの家庭や人間関係にまつわる解決策のない重荷で、全編を通して重苦しさが立ち込めている。これはまさに、北欧警察ミステリーならではのテイストだが、アイスランドの場合は、その風土の過酷さもあって重苦しさがひときわ大きいと言えるかもしれない。
シリーズ愛読者はもちろん、北欧ミステリーのファンには自信をもっておススメする。

iisan
927253Y1

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