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厳寒の町



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【この小説が収録されている参考書籍】
厳寒の町
厳寒の町 (創元推理文庫)

厳寒の町の評価: 4.00/5点 レビュー 12件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.00pt


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Amazonサイトに投稿されている書評・レビュー一覧です

※以下のAmazon書評・レビューにはネタバレが含まれる場合があります。
未読の方はご注意ください

全12件 1~12 1/1ページ
No.12:
(4pt)

後味は悪いが、現実的にありうる内容

後味の悪い物語であったが、現実的だと思える。緻密な展開で、終盤は幾度か戻って確認した。
エーレンデュルらは地道に聞き込み捜査し、特にちょっといい加減なイメージのあったシグルデュル=オーリは、これまでで一番活躍している。
エーレンデュルのくそ娘は毎度不快なだけの存在だったけど、今回はちょっと違った。このまま少し大人になってくれればいいが。

レビューの中で移民に関する意見がいくつかあるので、私も少し記述する。
欧米においてアジア人や黒人に対するヘイト、白人至上主義は間違いなく存在している。
日本では、麻生太郎が2020年1月に「日本は2千年、一つの民族」と “誇らしげに” 語っている。
アイヌ民族や琉球王国民族を完全に無視しており、無知なだけかとも思われるが(十分ありうる)、こんな人間が今現在に至っても副総理として君臨し権力を持ち続けているような国である。
国際的に見ても独特で閉鎖的なのは確かで、在日外国人は何かと不便で差別を感じているだろう。実際痛ましい事件は絶えず、裁判沙汰も多い。柳沢氏が述べていることに私は納得できる。
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No.11:
(3pt)

やや期待はずれでした。

私の予想していた内容と、やや懸け離れていて少し残念でした。
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No.10:
(4pt)

マリオン・ブリームさん

結末にやるせなさを感じる作品です。
アンドレアスとか言う、今後何かやらかしそうな新キャラも出てきました。

エーレンデュルの指導教官マリオン・ブリームさんについて。 
マリオン・ブリームさんは、邦訳では男性口調であったが、あとがき には原文では性別不詳と書いてありました。 
マリオン・ブリームさんの行動をよくよく思い返すと、マリオン・ブリームさんはやはり女性であったのではないかな?と思いました。
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No.9:
(3pt)

移民ねえ・・・

このシリーズはアイスランドが舞台ということで珍しく、第一作目の湿地はイマイチだったがその後は楽しく読んでいる。
今回も良かった。
工作の教師が「移民がいけないって言ってるわけじゃない。移民に気を使って多様文化に固執するためアイスランド国民の心の詩を学校行事で歌えない、そんな事がおかしいと言っているんだ」(大意)という言葉が切実に胸に響く。
そういうことを言うとすぐにヘイトだと後ろ指をさされる社会・・・日本とたぶる。

楽しく読み終わったのは良いが、最後の訳者のあとがきで「日本は移民に関して遅れているうんたらかんたら」と書いてあってがっかり。
さすが北欧人と結婚して住み着いている日本人女性って感じ。嫌な後味しか残らなかった。
なので☆マイナス2させてもらう。訳者あとがきがなければ満点。
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No.8:
(4pt)

刑事トリオは健在です

前3作は過去と現在の話ですたが、今回は現在の話です。
今回も刑事トリオは健在です。
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No.7:
(5pt)

エーレンデュル捜査官の日常をよぎる罪と罰

アイスランドを舞台にした小説は少ない。アイスランドは北海道に毛が生えたくらいの国土で、北極に近く、それゆえ人口が30万と旭川市の人口ほどしかない。レイキャビクに多くの人口が集中しているのも北海道と同じ現象か。札幌が200万に手が届くほどの大都市であることを思えば、アイスランドが如何に小さな国かがわかろうかと思う。

 今年はラグナル・ヨナソンのアリ=ソウルのシリーズにも魅力を感じたがそちらは同じアイスランド小説でも北極海に面したシグルフィヨルズルという港町、インドリダソンの本シリーズは、アイスランド一の街レイキャビクが舞台であるから、雰囲気はだいぶ違う。

 タイトルの通り冬は厳寒で、殺人事件の件数もさして多くないのに、二人も警察小説の書き手がいること自体奇跡に近い。インドリダソンという作家は、過去に現在に材を取り、この国の直面する現実を、ミステリーという世界に最も伝わりやすい表現で極東のぼくのもとにまで語り伝えてくれる。ガラスの鍵賞、ゴールド・ダガー賞、マルティン・ベック賞といくつものミステリ賞を獲得してきたことが本シリーズの世界進出の力になっている故だろう。

 今回はアイスランドの採った移民政策とそれに纏わる住民間の軋轢、根強く残る差別といったところに作家の眼は向けられる。雪の上で刺殺された被害者は、タイとの混血少年。教育の場にも強く根を張るヘイト殺人なのか、はたまた移民家族の複雑な家庭環境が呼び起こした悲劇なのか。

 エーレンデュル警部とその有能な配下であるエリンボルク、シグルデュル=オーリという三人の捜査官が、事件を追う。関係者への聴取場面が多く、そこにいくつもの疑念の根が張られてゆく。真相に近づくというよりも、より複雑な迷路へと迷い込んでゆく彼らの心境を通して、複雑な人間模様やそこに巻き起こる悲喜劇が描かれてゆく様相は、このシリーズの特色であり、それらが丁寧に描かれる繊細な筆致ことが作風の魅力だと言える。

 エーレンデュル捜査官の私生活の面も常にどの作品にも付き纏う。別居する娘と息子が作品群の背景で常に成長や遠回りを繰り返し、父との葛藤を繰り返しては、遠からず近からず生活の中に滑り込んでくる。そして決して逃れることのできぬ謎めいた弟の事件、あるいは事故。吹雪の中で手を放したゆえに二度と見つかることのなかった幼き弟への罪悪感は本作でもまたエーレンデュルの心を苦しめる。雪が解けても見つかることのなかった弟の遺体。その謎は永遠に引きずりながらエーレンデュルの人生に影を落とし続ける。

 そして何本かかかってくる謎の女性からの無言の電話が、本作では印象的である。まるで作品の途中途中に刺し込まれる鋭利なナイフの刃先のように。

 アイスランドの直面する問題に敢えて向かい合うような事件を提供する作品シリーズでありながら、一方でエーレンデュルの生活の陰影の部分を事件以上に追跡してゆく点も、本シリーズの読みどころである。彼の心の動き。彼の動揺。そして彼の誤解。等々。

 そして同僚たちとの距離感。共存するには疑わしい影ばかりの目立つ国や社会への不安感。それらを常に見据えながら、物語という主旋律を奏でてゆく作家の腕の冴えこそが、常に確かな読みごたえ、重厚な作品価値を産み出して続ける。地味ながらも信頼に値する良品シリーズと言ってよいだろう。
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No.6:
(5pt)

やはり良い。

この人は回を重ねるごとに文章が面白くなっている気がする。
シリーズ1作目では描写は丁寧なものの、淡々とした雰囲気だったけど、2作目、3作目と進むうち、登場人物の私生活を、読者に「しつこい」と思わせない程度にバランスよく織り交ぜたり、舞台となっている土地の特徴や食べ物、国の内情、社会問題を実にうまく織り込み、読む者を物語に引き込む文体のリズムが形成されていったように思える。
次の翻訳本が待ち遠しい。
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No.5:
(5pt)

移民問題と少年事件捜査を考える良作

御多分に漏れずEUを揺るがす移民問題である。北欧といっても北の果ての島国アイスランドにも多数のアジア系移民がいるというから驚く。
日本も昨今外国人労働者に頼る政策に転換したようだが、日本はあくまで労働力の次元であり、「移民」受け入れにはほど遠い。人口比での受け入れ数もはるかに低い。労働力を担うのは人である以上、その生活や家族、文化の受け入れは当然付随してくる。だから、外国人労働者の受け入れは必然的に移民問題に発展するはずであり、労働力だけなどという虫のいい話は許されない。
この小説では移民の子供に焦点を当てて、そうした移民問題の本質を考えさせる。学校、言語、居住環境などはその重要な要素である。
もう一つ、子供が犯罪に巻き込まれ、被害者も容疑者や参考人も少年であるときには、事件捜査は子どもの脆弱性に十分配慮する必要がある。エーレンデュルら捜査チームはその点を慎重すぎるほど配慮して、親の立ち会いや家庭での事情聴取に徹しており、決して乱暴な取り調べをしない。被害者の兄を逃した母親に対しても生温い対応で、ヤキモキさせられるほどだ。このあたりは少年事件の捜査のあり方として、司法関係者が見習うべき点は多いと思う。

なお、今回はエーレンデュルが少年時代の遭難事件について娘から深刻に問いかけられたり、同僚シグルデュル・オーリの少年時代の事件や両親との関係が初めて明らかになるなど、捜査チームの家庭問題のドラマも進展を見せており、小説の多面的多層的な面白さを加えている。
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No.4:
(4pt)

物悲しい

このシリーズをずっと愛読しています。
アイスランドの風土が興味深く、今作では移民問題も込められて、物悲しい展開になっていました。次回作を待っています。
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No.3:
(4pt)

国際労働力移動論がテーマではありません

この作家のシリーズが出るとつい買ってしまう。まあ、無難なミステリーとりあえず。今回アイスランドの経済事情
(まあ、日本も)がからむのかな、なんて思っていると、いつもの地道な捜査からの展開。
ちょつと惰性的になってきたかなということで、
星4
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No.2:
(3pt)

右肩下がりシリーズ

「湿地」、「緑衣の女」は大変面白かった。「声」と「湖の男」もまあまあ面白かった。しかし、この作品はどうだろう?移民問題がテーマなの、子どもが犯人かもしれないとは最初の方で匂わせてあったが、そのまんま。このシリーズは回を重ねるにしたがって面白くなくなるような気がするな。
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No.1:
(4pt)

レイキャビクの「悲しみ」のすべて

「声」に続く? エーレンデュル捜査官シリーズ5作目、「厳寒の町」(アーナルデュル・インドリダソン 東京創元社)を読みました。
 言うまでもなく舞台はアイスランド、レイキャビク。10歳の少年が刺殺され、彼が「タイ人」だったことが判明します。アイスランドに於ける<移民>の受け入れというアクチュアルな問題の陰では、いくつかの不満と憤りが渦巻いています。それについては、同じ島国の我が国同様<偏見>と<排訴>による重苦しい「ヘイトクライム」につながってしまうのだろうか?移民との結婚。引き起こされる機能不全。とは言え、人口が約35万人の国と我が国を単純に比較することはできませんね。より一層わかりやすく、その分過激なのかもしれません。
 ある"失踪事件"を追っていたエーレンデュルが巻き込まれ、いつものように捜査官シグルデュル=オーリ、エリンボルクたちがコツコツと真相へと近づいていきます。エーレンデュルを含む三人のアンサンブルとそれぞれの味わい深いキャラクターをインドリダソンは、ある意味とても冷ややかに描写しています。そして、導師マリオン・ブリームも悲しみを帯びて登場し、自助会のミーティングが役に立たなかったエーレンデュルの薬物依存の娘も少しだけ顔を出します。ちょっと大人になって。
 この事件のスケールから言って、もう少し迅速に捜査は進むのではないのか?それは舞台がアイスランドだからなのか?アイスランド警察は、関係者に対する追求が少し緩いのではないか?その追及の手を緩めながらの追求は、真相に辿り着くためのミス・ディレクションの役割を果たしているのかとも感じました。
 ペドファイル(小児性愛者)の影に怯えながら、若くして亡くなったエーレンデュルの弟のもう一つの影を過去からの亡霊のように引きずるエーレンデュル。読者は不自然さを感じさせない物語展開に乗せられながらもいくつかのミス・ディレクションに翻弄されます。また、ミステリーとしては1箇所とてもテクニカルで素敵なキックがありました。そしてある名前に纏わる問いかけに対する答は、映画「ライオン 25年目のただいま」(監督:ガース・ディヴィス)を想起させます。(ネタバレにならないよう語るのは、本当に難しい)
 アイスランドという国、厳寒の町、そこに生きる多くの「家族」の悲しみが散りばめられ、その「悲しみ」のすべてが氷の風のようにレイキャビクに吹きつけていきます。秀作だと思います。

 蛇足ですが、とても丁寧な柳沢由美子さんの<訳者あとがき>はくれぐれも最後に読まれることをおすすめします。
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