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災厄の町



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災厄の町の評価: 7.00/10点 レビュー 5件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.00pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全5件 1~5 1/1ページ
No.5:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

災厄の町の感想


▼以下、ネタバレ感想

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氣學師
S90TRJAH
No.4:3人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

クイーンシリーズ本丸への入口

第3期クイーンシリーズで後期クイーンの代表とされるいわゆる「ライツヴィルシリーズ」の第1弾が本作。
第1の事件として架空の町ライツヴィルの創設者となったライト家に起きた妻毒殺未遂事件を扱っている。

題名の『災厄の町』とはすなわちライツヴィルを指している。但しこの町に悪党共が巣食い、荒廃しているとか、基幹産業が斜陽になり、過疎化が進んでいるとかそんな類いのものではなく、町の著名人であるライト家に起こった妻毒殺疑惑事件について、町中の人間が伝聞からあらぬ噂を掻き立て、それが歪んだ憎悪を生み、容疑者のジム・ハイトのみならず、被害者のライト一家へも誹謗・中傷を浴びせていくという、1つの事件が町に及ぼす狂気を謳っているのだ。

扱う事件は妻殺し。夫であるジムは金に困り、飲んだくれ、しかも殺人計画を匂わす手紙まで秘匿していた、と明々白々な状況証拠が揃っていながら、当の被害者である妻が夫の無実を信じて疑わないというのが面白い。そしてその娘婿の無実を妻の家族が信じているというのも一風変わっている。
この実に奇妙な犯人と被害者ならびにその家族の関係が最後エラリイの推理が披露される段になって、実に深い意味合いを帯びてくる。

そして特徴的なのはエラリイが敢えて真相を語るのを先送りにし、今までの作品と違い、ごく限られた人物にしか明かさなかったことだ。

『スペイン岬の秘密』でも見られた、真相を明かすこと、犯人を公の場で曝すことが必ずしも正義ではないのだというテーマがここでは更に昇華している。
知らなくてもよいこと、気付かなくてもよいことを知ってしまったがために苦悩している。興味本位や己の知的好奇心の充足という、完全な野次馬根性で事件に望んでいたエラリイが直面した探偵という存在の意義についてますます踏み込んでいる。

さてこの幸せに見えた新婚夫婦の、知られざる狂気と殉教精神が故に起こった悲劇というモチーフはロスマクの諸作を連想させる。
私はそれが故に今までのロジックの妙で驚きを提供していた作品よりも余韻が残る思いがした。

もう1つだけ本書に関して付け加えよう。今回は『中途の家』以来となる法廷シーンが挿入されている。この辺の内容はけっこう手馴れた物で読み物としての面白さがある。通常法廷物であれば法廷シーンで一発逆転劇が繰り広げられるのだが、クイーンの場合は逆に容疑者が更に苦境に追い込まれていく模様が書かれており、逆に危機感を煽り立てるところに特徴がある。
クイーンが法廷シーンを盛り込んだのは当時人気を博し、ドラマにもなったE・S・ガードナーのペリー・メイスンシリーズの影響を受けたからではないだろうか。出版社の要望もあったのかもしれないが、あくまで真相は法廷シーンではなく、古くから一同を集めて館で披露するスタイルを固執しているのがクイーンらしい。

しかし今なおミステリ評論家の間で俎上に上る後期クイーン問題。ようやくその入口に立った喜びは確かにある。
さて悩める探偵クイーンの道程を一緒に辿っていこう。


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Tetchy
WHOKS60S
No.3:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(4pt)

いろいろと期待はずれでした

作者自身がベスト3に挙げ、ファンからの評価も高い作品のため期待した読んだのですが、私にはいまいち良さがわからず完全に期待はずれでした。

まず、クイーンがしばし滞在することになった架空の街「ライツヴィル」を舞台にした物語と言うことで、本の冒頭に街の地図が載っているのが、箱庭ゲーム感があって、「すごく面白そう!」と期待したのですが、結局この地図は推理にも物語にも最後まで全く関わることなく、肩透かしでした。

また『災厄の町』などとタイトルにあるからには、町全体を恐怖に包むような恐ろしい連続殺人!みたいなのを期待していたのですが、最初の事件からして中々起こらないし、その後も淡々とした展開で内容の割りに冗長に感じ、正直「いつになったら面白くなるんだ?」と思いながら読んでいました。
ほとんど法廷ミステリと言ってもいいぐらい法廷パートが長いのですが、その後の展開と結末から考えるとこの形式にした意味もよくわからなかったです。

そして何より肝心の謎解き部分が物足りないです。
事件が起こった瞬間に犯人がわかってしまい、あまりにわかりやすいのでむしろフェイクか?と深読みしてしまったぐらいですが結局そのまんまの結末でガッカリでした。
こんなの『国名シリーズ』のクイーンだったら一瞬で気づいたはずだと思うんですけどね。

今までのとにかくロジック重視だった作品から、人物描写中心の物語ということで、作者にとっての「新境地」であった作品なのでしょうが、私の求めている彼(ら)の作品ではなかったということでしょう。
若い女性とラブロマンスめいたことをしたり、時には暴力も辞さないこれまでになくハードボイルドなクイーンもなんだかしっくり来ませんでした。



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マリオネットK
UIU36MHZ
No.2:2人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(7pt)

良くも悪くも古典的名作

エラリイ・クイーンの代表作にも挙げられる1942年の作品。新訳版での感想である。
ニューイングランドの田舎町・ライツヴィルを訪れたエラリイ・クイーン(なぜかエラリイ・スミスの偽名を使用)は、地元の名家ライト家の敷地に建つ空家を借りることにした。この家は、ライト家の次女ノーラが新婚で住むはずだったのだが、結婚式前日に花婿ジムが姿を消したために空いていたのだった。ところが、ほどなくジムが町に帰ってきたため、ノーラとジムは結婚し、この家で新婚生活をスタートさせた。幸せな生活を送っていた二人だったが、ジムの蔵書を整理していたローラが三通の未投函の手紙を発見したことから事態は暗転する。その手紙はジムの姉に宛てたもので、妻の発病、悪化、死亡を告げていた。そして手紙に書かれていた通り、大晦日のパーティーで悲劇が発生した。
ヒ素を使った毒殺事件の謎を解明する本格派の謎解きミステリーである。ストーリー展開の基本は殺害の動機と手段の解明にあるのだが、同時に被害者と加害者の人間性にも重点が置かれていて、単なる謎解きだけではない心理ミステリーにもなっている。ただいかんせん時代状況が古過ぎて、ミステリーとしては「これはないだろう」というのが事件のポイントになっているのが残念だ。
古典作品を古典として楽しめる読者にはオススメだ。

iisan
927253Y1
No.1:
(8pt)

クイーン作品の中でベスト3に入ります

野村芳太郎監督の映画も良かったです。

わたろう
0BCEGGR4

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