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夜歩く



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夜歩くの評価: 4.00/10点 レビュー 6件。 Dランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点4.00pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全2件 1~2 1/1ページ
No.2:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(2pt)

終始退屈

探偵が活躍する小説はあまり好みではない。人工物という機械的な印象が拭えず、どうも薄っぺらく感じてしまう。それでも壮大な仕掛けがあるのではないかと期待して読んでしまうので、自分でも不思議である。しかし、この一冊は内容結末共に特に面白みもなかった。ほとんど緻密なまでの描写によって全く話が進まない。その割には捻りを感じない終わりにがっかり。
この手の小説にありがちだが、探偵とその助手が手記を書く形式など、またかと思うようなオリジナリティの欠如はその形式ばった印象に拍車をかける。主人公御一行が他の作家のキャラクターと混同してしまい、ほとんど印象に残らないのも残念だ。また他の小説を批判しつつ、あたかも読者に語りかけるようにこの一冊は現実のものなんだと訴えかけてくることには辟易する。

以上の点を悪い意味でしっかり抑えていて、内容にも弱さを感じずにはいられない本作は、全く楽しみを見出せませんでした。この作家とは相性が悪いのかも…

陰気な私は地球を回さない
L1K3MG03
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(3pt)

デビュー作にしてカーのエッセンスたっぷり

カーのデビュー作で、カー初期の作品で主役を務めていた探偵アンリ・バンコランが主人公。人狼の異名を持つ殺人鬼の噂漂うパリを舞台にした、カーの怪奇趣味が横溢した作品だ。奇妙な題名だが、これは人狼と呼ばれる殺人鬼が夜に犯行を起こしていたに起因する。

デビュー作にその作者の全てがある、とよく云われるが、正にこの作品は正鵠を得ており、前述したカーの怪奇趣味、そして事件も密室殺人とその後のカーの作家業の本質が既に表れている。
当時私は文庫の発行順に読んでいた関係で、すでにこの作品を読む前にここまで感想を挙げてあるカーの諸作を読んでおり、自分なりにカーの(というか訳者の)文体に慣れ、またそれらが醸し出すカー独特の作品世界の雰囲気を掴んでいたつもりだったが、それでもなおこの作品はなんとも云い様の知れぬおどろおどろしさを感じ、難儀した記憶がある。小さい頃にテレビで観た横溝正史の『八ツ墓村』の重苦しさに似た感じとでも云おうか。しかも本作で主人公を務めるバンコランも悪魔のような雰囲気を備えているという非情さを持った人物で、それまで読んでいたフェル博士とは全く違ったキャラクター設定であることもこの思いに拍車を掛けたように思う。
またデビュー作だからか、妙に文章も力んだところがあり、精緻に描写するあまり、全体がよく掴めない所も多々あった。まあこれは訳が古いことも大きいのだが。

そんなこともあり、本作はあまり印象に残っていない。そのせいで私の中ではバンコラン自体、カー作品の中ではもっとも影の薄いキャラクターになってしまった。探偵らしからぬ非情さのみが強く心に残っているぐらいだ。
この作品も読み返すべきかもしれないなぁ。

Tetchy
WHOKS60S

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