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黄昏に眠る秋



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黄昏に眠る秋の評価: 7.25/10点 レビュー 4件。 Bランク
書評・レビュー点数毎のグラフです平均点7.25pt

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サイトに投稿されている書評・レビュー一覧です
全4件 1~4 1/1ページ
No.4:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(9pt)

秋の夜長にゆったりと読む

物語に合った文体がとても良くさらに雰囲気を醸し出すという効果を担っている。ガツガツした語り口ではなくゆっくり読み進むことがこのミステリを楽しむもう一つの要素だ。
いろいろなピースが最後に一つになる上に最後のうっちゃりがあってミステリとして満足のいく出来だ。
たった一点の問題点はある人物を探し当てるところが偶然なのか必然なのかというところ。居所を時間をかけて調べたのであろうがサラリと書いてあるので
偶然出会ったかのような印象を持ってしまう。大事なポイントと思うのでもっとしっかりした書き方をして欲しかった。


だがすべてが一本の線に繋がっていく過程をゆっくりと二人の視点ともう一人の人物の視点で語られる物語は読みごたえがある。
過酷な自然の中で暮らす人たちの生活と探偵役の老人の人生とがオーバーラップする語り口も中々良いと思う。だれしも年老いて身体が
思うように動かなければ嘆きと怒りが心中を占める。老人は身体は不自由になってもまだまだ頭は使えると、いろいろ考えて一歩ずつ真相に近づいていく様子を
丹念に描いているのがこのミステリのすべてだ。理路整然と思考するのではなく、一つ一つの出来事や他の人の話しから仮説を組み立てていくところがこの探偵役の老人の良いところであり、
この本はそこを楽しむミステリと云える。このエーランド島を舞台にしたミステリは四部作として書かれているのであとの二冊も楽しみながら読みたいと思う。

ニコラス刑事
25MT9OHA
No.3:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(8pt)

物語の展開に合わせて、じっくりと

いきなりスウェーデンと英国で新人賞を受賞したという、スウェーデンの人気作家のデビュー作。秋、冬、春、夏と続く「エーランド島四部作」の第一作でもある。
濃霧に包まれたエーランド島で幼い少年が行方不明になってから二十数年後、夫とも別れ都会で一人暮らしをしていた少年の母親ユリアに、島の介護施設で暮らす少年の祖父から「あの子のサンダルが届けられた」という電話が来た。誰にも心を開かない生活を送っていたユリアだったが、勇気を振り絞って島に帰り、祖父と一緒に少年の失踪の謎を解こうとする。体力も金もコネも無い二人だったが、古くからの友人たちに助けられながら調査を進め、やがて第二次世界大戦直後の事件に起因する暗く、陰鬱な真実に向き合うことになった。
物語のスパンが少年の失踪から20年、その遠因となる事件から約50年という長さで、しかも探偵役が介護施設にいるリューマチに悩む老人とほとんど鬱状態の中年女性ということで、ストーリー展開は超スローペース。舞台となっているのも、夏のバカンスシーズンを除けばほとんど人の姿を見ない寂れた島の寒村ということで、とにかく暗くて重く、最初は読み続けるのがしんどい作品である。がしかし、その分だけ人物や情景の描写が丁寧で、事件の背景が判明してくる中盤以降は謎解きと濃厚な人間ドラマにぐいぐい引き込まれていく。最後のどんでん返しも、派手ではないが説得力があり、ミステリーとしての完成度を高めている。
北欧ミステリーファンはもとより、人間ドラマを重視したミステリーが好きな人にはオススメだ。

iisan
927253Y1
No.2:
(6pt)

再読はないと思うけど

よく出来た小説だと思います。
難点は、策に溺れた感がなきにしもあらず・・・・。
テオリン氏の文章力は他よりも抜き出ているのだから(もちろん翻訳も)
自然を自然のままに、人を人のままに描いてちょっぴりミステリー風味が良いと思うのだけど。




ももか
3UKDKR1P
No.1:1人の方が「ナイスレビュー!!」と投票しています。
(6pt)

黄昏に眠る秋の感想

海外物は異常な登場人物やバイオレンスなど、日本にはない刺激的な要素でスリルやサスペンスといった作品に出会う事が多いのですが、本書はそれらとは違う作品です。
非常に刺激がない。
秋から冬にかけての哀愁漂うシンミリした雰囲気。
メインの登場人物は老人でスピード感がでるアクションはなし。
ここら辺の感覚から好みに合わなかったり退屈に感じてしまうかもしれません。
単に私が中盤までページの進みが遅かっただけですが。。。

が、読み終わってみればミステリ文学といいますか、
作品に張られている伏線がミステリとしての面白さを感じ、
舞台のエーランド島の空気感やそこに住む人々の模様を味わえるよい作品でした。

読む前のオススメですが、
本書の舞台となる、『エーランド島』をGoogleの画像や地図検索で視覚的に見ておくと、より作品に入り込めます。
何かの手がかりというわけではないのでご安心を。
石灰岩の荒地や平野の何か物寂しい感じを一層引き立てると思います。

20年前に子供が行方不明になって悲壮感漂いながら暮らしていた母ユリア。
介護施設で暮らす80歳近いユリアの父 イェルロフ。
人生の終盤で、季節でいうところ冬の一歩手前と言うところ。
今頃になって何者かから子供の靴が届く。

子供は生きているのか?行方不明になった時、何が起きたのか?
現在と過去を繰り返すよくある構成の中で、読者は物語の真相を知っていきます。
読者は過去も見れるので、登場人物達より多い情報量で話を把握して行くわけですが、
ここがなんというか魅せ方が巧かったです。

途中まで面白さが分からなく読書が大変だった為、好みの点数はそんなに高くないです。
2作目以降は同じ舞台や登場人物で内容把握が容易らしいので、より楽しめそう。
続けて読んでみようと思います。

egut
T4OQ1KM0

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