一家離散によって幸せな生活を失った女子高生の真由。義父の虐待から逃れ、街で身を売るリオナ。

１９８６年春。二人の女が福岡の証券会社で出会った。

貧困と虐待の連鎖――。 母親という牢獄から脱け出した少年は、 女たちへの憎悪を加速させた。

十年間堪え忍んだ夫との生活を捨て家政婦になった主婦。囚われた思いから抜け出して初めて見えた風景とは。

妻あり子なし、39歳、開業医。趣味、ヴィンテージ・スニーカー。

「金がないことがこんなに心細く、息苦しいとは思わなかった」。

時代に先駆けてピル解禁を訴えていた女は――突然、姿を消した。

男たちの身勝手さを、一行で打ち砕く桐野文学の極北! 夫公認のもと、元恋人と自由な時間を過ごす妻を描いた表題作「もっと悪い妻」など、計六作の短編を収録。

自分は少女誘拐監禁事件の被害者だったという驚くべき手記を残して、作家が消えた。

女は男の従属物じゃない―。1972年、東京、吉祥寺。

一番近くにいるのに 誰よりも遠い。 海釣りに出たまま、二度と帰らなかった夫。

記憶喪失の「僕」と島を捨てた昭光の、行くあてのない逃避行。

結婚は打算から始まり、見栄の衣をまとった。憧れのタワーマンションに暮らす若い母親。

名門Q女子高に渦巻く女子高生たちの悪意と欺瞞。「ここは嫌らしいほどの階級社会なのよ」。

小説家・マッツ夢井のもとに届いた一通の手紙。それは「文化文芸倫理向上委員会」と名乗る政府組織からの召喚状だった。

あの日、雷が落ちなければ、罪を犯すことはなかったー。埼玉で小料理屋を営む藤原幸人を襲った脅迫電話。

親友の耀子が、曰く付きの大金を持って失踪した。被害者は耀子の恋人で、暴力団ともつながる男・成瀬。

離婚の危機を乗り越えた岩見家だったが、娘・花奈のお受験や、夫・俊平の実家のある町田への引っ越し話を巡って、夫婦仲はぎくしゃくしている。

「悪魔」の子と噂される少年、良世。

清子は、暴風雨により、孤島に流れついた。夫との酔狂な世界一周クルーズの最中のこと。

高校二年生のあの日。薔薇(ばら)が咲き乱れる自宅のベッドで、ミロの口から「義 父と寝た」という驚くべき話を聞かされた。

こんなにいとも簡単に夫と息子を捨てられるとは。

おとなの世界は複雑すぎる。

高校三年の夏休み、隣家の少年が母親を撲殺して逃走。

出版社勤務の沙羅は40歳を過ぎ、かつて妊娠中絶した相手の川島と再会。それ以来、子供が欲しくてたまらなくなってしまった。

雅子、43歳、主婦。弁当工場の夜勤パート。

カスミは、故郷・北海道を捨てた。が、皮肉にも、北海道で幼い娘が謎の失踪を遂げる。

AVでレイプされ、失踪した一色リナの捜索依頼を受けた村野ミロは、行方を追ううちに業界の暗部に足を踏み入れた。

夫が突然、逝ってしまった。残された妻、敏子は59歳。

「朴美愛」偽造パスポートを手に入れたミロは海峡を越え韓国に渡る。

長老との結婚を拒んで舌を抜かれた女。武装集団によって拉致された女子高生たち。

遙か南の島、代々続く巫女の家に生まれた姉妹。大巫女となり、跡継の娘を産む使命の姉、陰を背負う宿命の妹。

東京五輪目前、お台場のレストランと東京湾上の豪華客船内で新種のウイルス感染症が同時発生。

ベルリンのガイドで生計を立てる、美貌の男、カール。地方銀行に勤める平凡な会社員、昌明。

東京オリンピック前夜の熱気を孕んだ昭和38年9月、地下鉄爆破に遭遇した週刊誌記者・村野は連続爆弾魔・草加次郎事件を取材するうちに、女子高生殺しの容疑者に。

ホスピスで起きた3件の不審死。沈黙を貫く医師が抱える真相とは? 救うべきは、患者か、命か――。

薄井正明、59歳。元大手銀行勤務で、出向先ではプチ・エリート生活を謳歌している。

児童福祉施設の保育士だった美佐江が、自宅アパートで25歳年下の夫と焼死した。その背景に、女の姿が浮かび上がる。

大正時代に東北に芸術家たちが創ったユートピア「唯腕村」。 １９９７年３月、村の後継者・東一は美少女マヤと出会った。

召し上がれ、致死量の謎。鬼才が腕を振るう、5つの“美味しい"本格ミステリー。

メキシコで麻薬密売組織の抗争があり、組織を牛耳るカサソラ四兄弟のうち三人は殺された。

不倫相手と夏休み、キューバに旅立った女性教師を待ち受けていたのは非難の嵐だった。

天文年間、小土豪が群雄割拠する中国地方で没落した宇喜多家の嫡男・八郎は、その器量を見込まれ、豪商・阿部善定のもとで父母とともに居候していた。

永井姉妹と森口兄弟は、姉と兄、妹と弟が同級生同士で、常に互いの消息を意識してきた。

粉飾、癒着、学閥……。

本能寺の変より四年前。織田信長に叛旗を翻し有岡城に立て籠った荒木村重は、城内で起こる難事件に翻弄されていた。

戦争で家族や家、すべてを失った里見滋。新型コロナウイルスの感染拡大で穏やかな日常が崩壊していく高校生の州崎駿。

ここではないどこかへ…。東京の日常に疲れ果てた有子は、編集者の仕事も恋人も捨てて上海留学を選ぶ。

いい気味だ…… 予測不能の展開、予想外の読後感。

蝶が恋しい。蝶のことだけを考えながら生きていきたい。

39年前、西田啓子はリンチ殺人の舞台となった連合赤軍の山岳ベースから脱走した。

古来より権力者の密命を請け負う極秘組織「シノビ」。時はくだり、現代。

アイヌの出自を持ち、独自のスタイルで地位を確立したアーティスト・ミワ。彼女との出会いが人に与えるものは。

千葉県松戸市の結婚相談所でアドバイザーとして働くシングルマザーの平山亜紀は、仕事で顧客とトラブルを起こして以降、無言電話などの嫌がらせに苦しめられている。

読字障害というハンディキャップを抱えながらもアメリカ留学の後、作家・評論家として活躍する三条公彦。

誰もが容疑者。誰もが当事者。