病弱で生意気な美少女つぐみ。

幸せな四人家族の長女として、何不自由なく育った弥生。ただ一つ欠けているのは、幼い頃の記憶。

複雑な家庭環境の中、これまで会わずに育った「兄妹」が出会った瞬間から恋を育む──。

妹の死。頭を打ち、失った私の記憶。

これまで書いた自分の作品の中で、いちばん好きです。これが書けたので、小説家になってよかったと思いました。

私の衝動的なプロポーズに対して、長い沈黙の後とかげはこう言った。「秘密があるの」―。

双子のミミとこだちは、何があっても互いの味方。

高校生活最後を飾るイベント「歩行祭」。それは全校生徒が夜を徹して80キロ歩き通すという、北高の伝統行事だった。

あみ子は、少し風変わりな女の子。

一九七〇年の夏、海辺の街に帰省した“僕”は、友人の“鼠”とビールを飲み、介抱した女の子と親しくなって、退屈な時を送る。

この世で最も恐ろしいことは、自分が自分でなくなってしまうこと――。

中学に進んでまもなく、どうしても学校へ足が向かなくなった少女まいは、季節が初夏へと移り変るひと月あまりを、西の魔女のもとで過した。

記憶が80分しか持続しない天才数学者は、通いの家政婦の「私」と阪神タイガースファンの10歳の息子に、世界が驚きと喜びに満ちていることをたった1つの数式で示した…。

５２ヘルツのクジラとは、他のクジラが聞き取れない高い周波数で鳴く世界で一頭だけのクジラ。何も届かない、何も届けられない。

婚約者・坂庭真実が忽然と姿を消した。 その居場所を探すため、西澤架は、彼女の「過去」と向き合うことになる。

もし絵馬の言葉が本当なら、私をあなたのお嫁さんにしてください―。きっかけは絵馬に書いた願い事だった。

佐和子の家族はちょっとヘン。父を辞めると宣言した父、家出中なのに料理を届けに来る母、元天才児の兄。

十七歳の夏、親もとを出て「黄色い家」に集った少女たちは、生きていくためにカード犯罪の出し子というシノギに手を染める。

二〇一七年、東京竹芝で善良な弁護士、白石健介の遺体が発見された。

長谷川初実（ハツ）は、陸上部に所属する高校1年生。

「君はこれから世界でいちばんタフな15歳の少年になる」―15歳の誕生日がやってきたとき、僕は家を出て遠くの知らない街に行き、小さな図書館の片隅で暮らすようになった。

日本における本格探偵小説を確立したばかりではなく、恐怖小説とでも呼ぶべき芸術小説をも創り出した乱歩の初期を代表する傑作9編を収める。

あの日、あんなことをしなければ…。心ならずも親友を裏切ってしまった中学生さくら。

恩人の命令は、思いがけないものだった。 不当な理由で職場を解雇され、腹いせに罪を犯して逮捕された玲斗。

他人の目を気にして、びくびくと生きている百合は、単純なミスがきっかけで会社をやめてしまう。

謎の空間、二重扉、窓のない子供部屋—— 間取りの謎をたどった先に見た、 「事実」とは!? 知人が購入を検討している都内の中古一軒家。

箱根駅伝を走りたい―そんな灰二の想いが、天才ランナー走と出会って動き出す。

庭・池・電燈付二階屋。汽車駅・銭湯近接。

「黒髪の乙女」にひそかに想いを寄せる「先輩」は、夜の先斗町に、下鴨神社の古本市に、大学の学園祭に、彼女の姿を追い求めた。

衆人環視の中、首相が爆殺された。そして犯人は俺だと報道されている。

ジヴェルニーに移り住み、青空の下で庭の風景を描き続けたクロード・モネ。その傍には義理の娘、ブランシュがいた。

僕たちは「その日」に向かって生きてきた―。昨日までの、そして、明日からも続くはずの毎日を不意に断ち切る家族の死。

東京ディズニーランドでアルバイトすることになった21歳の若者。友情、トラブル、恋愛…。

西暦一九九七年、東洋の全体主義国家、大東亜共和国。

砂丘へ昆虫採集に出かけた男が、砂穴の底に埋もれていく一軒家に閉じ込められる。考えつく限りの方法で脱出を試みる男。

盲目の三味線師匠春琴に仕える佐助の愛と献身を描いて谷崎文学の頂点をなす作品。

暗く重たい雨雲をくぐり抜け、飛行機がハンブルク空港に着陸すると、天井のスピーカーから小さな音でビートルズの『ノルウェイの森』が流れ出した。

才能豊かなパティシエの気まぐれに奔走させられたり、犬のボランティアのために水商売のバイトをしたり、難民を保護し支援する国連機関で夫婦の愛のあり方に苦しんだり…。