会社員の青年・梅木隆介はある夜、夫婦と名乗るヒッチハイクの男女を車に乗せた。

選挙に出馬する義弟の不透明な資金三千万円を持ち逃げした木谷省吾。

新進の考古学者・江村宗三は、元兄嫁の西田美奈子と十四年ぶりに再会し、情事を重ねていた。

もう耐えられない―画家の矢沢辰生は、異常なほど嫉妬深い妻の暴力に苦悩していた。ときには死の恐怖すら感じるほどだった。

女性限定の25日間ヨーロッパ・ツアー旅行「ローズ・ツア」が企画された。

大和大学助教授の稲木は、バーのマダム啓子との情事の帰途、入試問題草案を紛失した。

大屋圭造は三流経済誌の記者。企業の提灯記事を書いては広告料を取る「トリ屋」である。

昭和初期の小倉。私鉄職員の“わたし”三輪は、陶器会社に勤める仲間、秋島、久間とともに詩を愛好していた。

銀行員安田信吾は行金五百万円を持ってキャバレーのホステスと共に逃走した。取引先の隠し預金を裏付ける極秘メモが決め手だ。

雨の港で海中へ転落した車。妻は助かり、夫は死んだ―。

古美術商『草美堂』の主人・高尾庄平は62歳。商売は順調で30歳も年下の野村和子を愛人にしていた。

神奈川県の相模湖畔で交通関係の業界紙の社長が殺された。

東京近郊に広大な敷地と白亜の近代校舎をもつ私立女子大学・若葉学園。

水尾市の市会議員である鐘崎義介は酒造会社と市政に批判的な新聞社を経営するやり手。

若い芸術家の憧れの的である美貌の人妻・竜崎亜矢子。彼女は夫・重隆との愛なき結婚に苦しむ“名家の囚人”であった。

不動産ブローカーの粕谷為三は、すし屋で元愛人の霜井登代子と再会する。

遠沢加須子は、夫の遺した中部光学というレンズ製造会社を諏訪で経営している。

小さな出版社を経営する紺野美也子は、ベストセラーをねらって大流行作家に近づき、その魅力で書下ろし小説を依頼する。

白昼の銀行を舞台に、巧妙に仕組まれた三千万円の手形詐欺。

過去の徴兵検査で第二乙種不合格、そして三十二歳となった今、兵隊にとられることはないと確信していた山尾に、召集令状が届く。

二十年近く地道にある省の役人を勤めてきた川島留吉は、ふとしたきっかけで役人仲間と麻雀を始める。

救援物資の横流し、麻薬の密輸から殺人事件まで、“神の名”のもとに行われた恐るべき犯罪の数々。

東都相互銀行の若手常務、野心家の夫塩川弘治との結婚生活に心満たされぬ信子は、独身助教授浅野を知る。

設計士の板垣貞夫は地元の有志から、石見銀山跡を観光地にしたいと、設計の構想、工費の見積もりの依頼を受ける。

大学で法制史を教える山根辰雄は、古書店で集めた本に、同じ蔵書印があることに気付く。

新聞社の文化部で各界の著名人たちと交流し、活躍していた姉信子に憧れていた妹の笠原祥子。

脱税や贈収賄にからまる連続殺人事件。若い新聞記者が腐敗した組織の内情糾明に挑む長篇推理。

北海道の北浦市市長春田は、陳情上京中に失踪、数日後に武蔵野林で絞死体となって発見される。

男は心臓を鋭利な刃物で刺され、右胸の皮膚を円く抉られていた。新緑の四月初め、東京西方の田園を流れる川のほとり。

前衛水墨画の旗手として、一躍脚光を浴びた久井ふみ子は、ライバル滝村可寿子を蹴落とし、画壇の頂点を目指す。

日本列島を北から南へ連続して起った6つの変死事件――奇妙な新婚旅行の男の変死と花嫁の失踪。

名古屋のホテルと深大寺公園での医師連続殺人事件…薬品の闇取引きや診療拒否、荒廃した医療現場を衝く長篇推理。

欲望渦巻く文壇で闘う女性を描いた、巨匠・松本清張による傑作ロマン長編! 井沢恵子は姑との不和が原因で夫と離婚した。

新進の考古学者・高須通子は、石造物の調査のために訪れた奈良で、殺傷事件に巻きこまれた海津信六を助ける。

作家の小西は、戦友が社長を務める地方紙に、小説の連載を始めた。

松山地検庁舎の怪火で事務官が焼死、事故として処理された。

日本史教科書編纂の分野で名を馳せる島地章吾助教授は、学会で変わり身の早さと女癖の悪さで名を知られていた。

悪徳岡っ引・梅三郎の罠にかかって、“破牢”の重罪を負った甲州無宿の源次。

農林省食糧管理局長・岡村福夫は、同省の倉橋課長補佐が汚職の重要参考人になったことをうけて、視察先の札幌から深夜に呼び戻された。

大学卒業から四年。就職難で仕方なく入った会社の仕事に男は気が乗らない。

鉄砲にかけては百発百中の名手稲富治介は風采のあがらない無骨者のため細川忠興・ガラシア夫妻にうとまれ出陣の機会も与えられず不愚の一生を終えた。

アルプスの名峰グロスグロックナーで出逢った二人、国際刑事警察機構の若き警察官高木史朗とミステリアスな女性陽子は運命の恋に落ちた。

日航定期便福岡行き「もく星」号墜落事故の原因究明にあたる中浜宗介らは、事故報告書の「事故の原因は、乗員全員死亡により確認は困難で、航空管制の不手際その他、何らかの間接原因に基づく操縦士の錯誤」という記述のうち、“何らかの間接原因”と“操縦士の錯誤”との因果

芦村節子は旅で訪れた奈良・唐招提寺の芳名帳に、外交官だった叔父・野上顕一郎の筆跡を見た。

武蔵野台地の一画で、多摩川を見下ろす城跡に私たちの高校はある。

殺人容疑で捕えられ、死刑の判決を受けた兄の無罪を信じて、柳田桐子は九州から上京した。

戦前から戦後にかけて、豪華な指輪が次々と持ち主を変えながら数奇な運命をたどる。